自主調査(調査報告)

定例調査─新潟県の景気の現状と先行き見通し ─

2017/11/01 :自主調査(調査報告)

─緩やかに持ち直している県内経済─

1.景気の現状と先行き

現 状

◎県内経済は緩やかに持ち直している

県内主要経済指標等から景気の現状を概観すると、生産活動は海外からの受注回復などにより持ち直しが続いている。雇用は人手不足感が強まり、一段と改善している。また、設備投資には持ち直しの兆しがみられる。一方、個人消費は横ばいで推移しており、住宅投資や公共投資では弱さがみられる。総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している状況にある。

新潟県が公表している景気動向指数(一致指数・3カ月後方移動平均)をみても、2016年後半より緩やかに上昇していることが確認できる(図表1)。

 

先行き

◎持ち直しの動きが広がる

生産活動は新興国や先進国の景気回復などから受注が回復しており、引き続き緩やかに上昇していく見込みである。また、個人消費は依然として日常品に節約志向がみられる。一方、2009年以降に実施された「家電エコポイント制度」や「エコカー補助金制度」などを受けた耐久消費財が買い替え時期を迎えており、個人消費の押し上げ効果が期待される。したがって県内経済は、今後、持ち直しの動きが広がると思われる。

ただし、海外の政治・経済情勢や国内政局の不透明感から株価や為替の変動リスクが懸念されており、その動向を注視する必要がある。

2.生産活動の現状と先行き

現 状

◎持ち直している

新潟県の鉱工業生産指数(季節調整値)は、17年4-6月期に前期比3.9%上昇の104.5と、3四半期連続で前期を上回っており、生産活動は持ち直している(図表2)。

生産指数を業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスが、自動車向けやスマホ向けの生産増加などから好調に推移している(図表3)。また、輸送機械は自動車部品で北米向けや中国向けなどが堅調となっており、底堅い動きとなっている。

先行き

◎緩やかに上昇していく

生産活動の先行きを業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスは海外からの受注が回復していることなどを背景に好調が続くものとみられる。金属製品は東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や首都圏の再開発などから、作業工具や建設用金属製品を中心に堅調に推移すると思われる。また、食料品は健康志向や中食などへの需要に対応した新商品の開発・販売などから、米菓や水産練製品を中心に底堅く推移するとみられる。

総じてみると、外需関連企業では海外からの受注回復などから持ち直しが鮮明となっていることに加え、内需関連企業でも堅調に推移していることから、生産活動全体としては緩やかに上昇していくものと思われる。

3.設備投資の現状と先行き

現 状

◎持ち直しの兆しがみられる

当センターが2017年上期に実施した「企業動向調査」によると、17年度の設備投資額(含む計画)は前年度実績比3.5%減少する見込みとなっている(図表4)。なお、16年度の設備投資額は15年度実績比6.6%減少となっており、これに比べると17年度の減少幅は縮小している。

規模別にみると、大企業では17年度の設備投資額(含む計画)が前年度を下回っているものの、中堅企業では前年度実績比30.7%増、中小企業でも同9.1%増となっている。

また、17年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」「生産能力増大の為の機械・設備導入」などの順となっている(図表5)。また、非製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「店舗・工場等の新設・増改築」「情報化投資」などの順となっている。

先行き

◎持ち直す

製造業では従業員の作業負担を軽くするための設備導入がみられるほか、非製造業ではセルフレジの導入など、人手不足やIoTに対応するための設備投資の動きも広がっていることから、設備投資は今後、持ち直していくものと思われる。

4.雇用の現状と先行き

現 状

◎一段と改善している

17年4-6月期の有効求人倍率(パートを含む全数、季節調整値)は1.51倍となり、7四半期連続で前期を上回った(図表6)。その後の動きをみると、7月は1.52倍、8月は1.51倍となり、引き続き高水準で推移している。

先行き

◎高水準が続く

雇用の先行指標となる新規求人数(パートを含む全数・実数)をみると、17年4-6月期は前年比7.5%増と6四半期連続で前年を上回っている。一方、新規求職者数(同)は17年4-6月期に同5.1%減となり、27四半期連続で前年を下回っている(図表6)。

また「企業動向調査」によると、17年上期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は前期比横ばいとなったものの、依然として人手不足感の強い状況が続いている(図表7)。

企業側の採用意欲が高まる一方、求職者数の減少傾向が続いており、県内の有効求人倍率は当面、高水準が続くものとみられる。

5.個人消費の現状と見通し

現 状

◎横ばいで推移している

百貨店・スーパー販売額(全店)は、17年4-6月期に前年比0.3%減となった(図表8)。足元ではハロウィンなど特別なイベントの際に消費支出が旺盛となる、いわゆる「ハレ消費」は好調となっているものの、日常品では節約志向が続いており横ばいで推移している。

一方、家電大型専門店・ドラッグストア・ホームセンターの販売額を合計した専門量販店販売額(全店)は、17年4-6月期に前年比0.9%増となり、6四半期連続で前年を上回った(図表8)。ホームセンターなどの販売額は前年を下回っている一方、新店舗出店が続くドラッグストアは好調が続いている。

乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は、17年7-9月期に前年比7.8%増となり、4四半期連続で前年を上回った(図表8)。昨年、燃費不正問題などで低迷していた反動などから軽乗用車が好調に推移している。

総じてみると、個人消費は横ばいで推移している。

先行き

◎明るい兆しがみられる

百貨店・スーパー販売額は、日常品の節約志向を背景に、引き続き横ばいで推移するものと思われる。

専門量販店販売額は、業種によって差があるものの、新規出店が続いているドラッグストアを中心に、堅調に推移するとみられる。

乗用車新規登録・届出台数は、軽乗用車で新型車の販売効果もみられ、引き続き堅調に推移すると見込まれる。

また、2009年以降に実施された「家電エコポイント制度」などにより増加した耐久消費財の買い替え時期が訪れ始めており、個人消費全体の押し上げ効果も期待される。

一方、物価の変動に対して、賃金が上昇しているかどうかを示す指標である実質賃金指数(現金給与総額・事業所規模5人以上)をみると、17年4-6月期は前年比0.2%増と2四半期ぶりに前年を上回った(図表9)。その後の動きをみると、7月は前年比0.6%増となり、前年をわずかながらも上回る状況が続いており、個人消費にプラスの効果を与えることが期待される。

以上のことから、今後、個人消費は明るい兆しがみられると思われる。

6.住宅投資の現状と見通し

現 状

◎弱含んでいる

17年4-6月期の新設住宅着工戸数は、前年比0.7%増と2四半期ぶりに増加したものの、力強さに欠け、弱含んだままにある(図表10)。持家は2四半期連続で前年を下回ったものの、貸家は2四半期ぶりに前年を上回った。

その後の動きをみると、7月は前年比28.3%減、8月は同4.7%増となっており、一進一退の動きとなっている。

先行き

◎減少傾向となる

県内の新設住宅着工戸数は、昨年が高水準であったことから今後、その反動が見込まれる。また、持家は住宅ローンの金利上昇が見込まれないことから、様子見ムードが広がっているほか、貸家は相続税対策による需要の一服や、供給過剰感から建築を控えるケースもみられるため、先行きの住宅投資は減少傾向をたどると思われる。

7.公共投資の現状と見通し

現 状

◎弱含んでいる

公共投資の発注動向を表す公共工事請負金額は、17年4-6月期に前年比7.6%減となった(図表11)。3四半期ぶりに前年を下回っており、弱含みで推移している。

ただし、その後の動きをみると、7月は前年比12.3%減となったものの、8月は同19.5%増となり、17年度予算が本格的に執行され始めてきているものと思われる。

先行き

◎横ばいで推移

17年度の県や市町村の公共工事関連予算は補正予算も含めると前年度とほぼ同水準となっていることなどから、今後は概ね横ばいで推移するものと思われる。

(2017年10月 江口 大暁)

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自主調査─公共施設の効率的な維持管理に向けて─

2017/11/01 :自主調査(調査報告)

─みえる化と複合化、住民・民間事業者との協働が鍵─

はじめに

日本国内では、高度成長期に整備した数多くの公共施設が老朽化している。そのため、多くの自治体が財政難に直面するなか、公共施設の維持・更新や統廃合を適切に進めていくことが課題となっている。

本調査では、新潟県内における公共施設の現状を整理するとともに、県内外における公共施設の先進的な有効活用の事例をふまえたうえで、これからの公共施設の効率的な維持管理のポイントをまとめてみた。なお、本調査における公共施設とは、いわゆる箱モノを中心とした建築物や公園、プールなどを指し、上下水道や道路、橋梁などのインフラ施設は含めないこととする。

1.公共施設を取り巻く環境

(1) 国が主導する公共施設の老朽化対策

国は、公共施設の老朽化対策に動いている。公共施設等の老朽化対策に関する国全体の取り組みとして、2013年に「インフラ長寿命化基本計画(以下、『基本計画』)」を策定した(図表1)。そして14年に、地方自治体に対し「公共施設等総合管理計画(以下、『行動計画』)」を策定するよう要請した。

「行動計画」とは、過去に建設された公共施設が大量に更新時期を迎えるにあたり、地方自治体の厳しい財政状況と人口減少をふまえ包括的な対応策をまとめたものである。

この「行動計画」の対象となる公共施設は、地方自治体が所有する全ての施設である。そして、今後30年程度の総人口や年代別人口の見通しと、中長期的な維持管理・更新等のコストの見通しをふまえ、公共施設の数や延床面積等の削減に関する数値目標の設定に努めることなどが求められている。

さらには、個別施設ごとに具体的な維持管理や更新等の時期、内容などを盛り込んだ「個別施設計画」をできるだけ早期に策定することも求められている。

(2) 公共施設等総合管理計画の策定状況

17年3月末現在、「行動計画」は、国内の都道府県および政令指定都市では全自治体が策定済みである。一方、市区町村については98.1%の自治体が策定している。

新潟県の状況をみると、新潟県ならびに30市町村すべてが策定済みとなっている。ただし、「行動計画」のなかで、公共施設の数や延床面積等において削減数量や目標年度を具体的な数値で明示している自治体は、31自治体のうち8自治体のみとなっている。具体的な数値目標を掲げている市町村の例をみると、「40年間で2割の総量(延床面積)の縮減」(柏崎市「柏崎市公共施設等総合管理計画」)、「維持更新に必要な金額の30%縮減」(魚沼市「魚沼市公共施設等総合管理計画」)、「全体面積25%程度の縮減を目指す。新規整備の場合は、複合化等を基本とする」(胎内市「胎内市公共施設等総合管理計画」)などのようになっている。

2.公共施設の現状

(1)都道府県別の公共施設の現状

総務省「公共施設状況調」などをもとに、都道府県別の公共施設の現状をみてみる。現状整理に際しては、自治体が削減の数値目標の指標として掲げている公共施設延床面積(各都道府県の市町村所有分の合計で、都道府県所有分は含んでいない)を用い、人口規模を加味した住民1人あたり面積で分析している。なお、一般的に住民1人あたり面積が大きいほど、公共施設の保有が多いと考えられる。

住民1人あたり面積が最も小さい都道府県は東京都(1.99㎡)で、以下、埼玉県(2.27㎡)、神奈川県(2.41㎡)、千葉県(2.47㎡)、静岡県(3.18㎡)などとなっている(図表2)。

一方、住民1人あたり面積が最も大きい都道府県は島根県(7.06㎡)で、以下、北海道(6.61㎡)、高知県(6.00㎡)、鹿児島県(5.84㎡)、秋田県(5.84㎡)などとなっている。

新潟県の住民1人あたり面積は4.80㎡で全国の水準(3.78㎡)を約1.0㎡上回っている。これは、面積の小さい順でみると、全国で29番目となっており、全国的にみて新潟県の住民1人あたり面積はやや大きいとみられる。

(2)新潟県内における公共施設の現状
次に、新潟県の住民1人あたり面積を市町村別にみてみる。

住民1人あたり面積が最も小さい市町村は新潟市(3.42㎡)で、以下、新発田市(3.77㎡)、五泉市(3.80㎡)などとなっている(図表3)。

また、上記の新潟県全体の住民1人あたり面積(4.80㎡)を基準にしてみると、「平成の大合併」による1市町村あたりの延床面積の増加もあり、30市町村中21市町村が県全体の水準を上回っている。

(3) 公共施設の効率的な維持管理に向けた問題点

以上のように、新潟県の住民1人あたり面積は全国水準を上回っているほか、市町村によっては、新潟県の住民1人あたり面積の水準をも大きく上回っている所もみられる。

そこで、県内の各市町村が策定した「行動計画」の内容を確認するとともに、県内の自治体に聞き取り調査をした結果などをふまえ、県内の公共施設の効率的な維持管理に向けた問題点について、以下のとおり整理した。

①庁内・住民の合意形成が難航

ほとんどの市町村の「行動計画」には、公共施設の総量や維持費を削減することが明記されている。そして、その基本方針に基づき「個別施設計画」の策定に着手している市町村がほとんどである。

しかし、「個別施設計画」の策定に際しては、個別施設ごとに、個別施設に関連する庁内の部署はもとより、利用者である地域住民の理解が求められる。

その際、削減の対象となる個別施設については、庁内・住民とも削減反対の意見が出やすく、合意までに時間がかかる場合や、容易に合意が得られないことも多くなっている。その結果、「個別施設計画」の策定が進まず、具体的な対策に乗り出せないという問題がある。

②総量が削減されない懸念

新潟県内の市町村の「行動計画」をみると、計画的に公共施設の現状維持や修繕等を進めることで、公共施設の長寿命化を図る方針を盛り込んだものが多くなっている。長寿命化自体は問題ではないが、長寿命化と併せて、統廃合に取り組まないと総量削減(公共施設の数と延床面積の削減)が進まないことが懸念される。

③施設統廃合後の跡地の賃貸・売却等が困難

公共施設の統廃合を進めると、遊休施設や遊休地が発生するケースが多い。その賃貸・売却を検討すると反対意見が表明され、容易に賃貸・売却に向けた手続きに入れない場合があるほか、そもそも賃貸・売却先の確保が難しいこともあるとみられる。

また、遊休地に新たな公共施設の設置を要望されるケースもあり、遊休地の賃貸・売却等が進みにくい場合もある。

(4)県内における公共施設の有効活用事例

このようななか、県内において遊休施設を有効活用している事例として、本稿では南魚沼市の事例をみてみる。

【南魚沼市     旧議場を活用したコールセンター

◎合併により空きスペースが発生

南魚沼市は、2004年11月に旧六日町と旧大和町が合併して誕生した。その後05年10月に、旧塩沢町が編入合併することで現在に至っている。

この合併により、旧3町の行政組織や保育園・小学校などが統廃合されることで、旧3町が有していた役場庁舎の一部や保育園・小学校などの施設のなかに遊休施設が生じた。

一方、07年4月に、改正地方自治法が施行され、行政財産である庁舎の一部を長期的かつ安定的に貸し付けることが可能になった。これを受けて、同市では、遊休施設となった行政財産の一部または全部について、民間事業者などとの間で賃貸借契約を結べる素地が整った。

◎旧町議会議場にコールセンターを誘致

同市では、上記のような遊休施設の有効活用とは別に、新たな産業・企業誘致にも注力していた。その案件の一つとして、ヤマト運輸株式会社(東京都)からのコールセンター進出の打診があり、同市は積極的かつ親身に同社からの相談に対応していた。

このようななか、同市から旧塩沢町役場(現在の南魚沼市塩沢庁舎)の遊休部分をいくつか紹介する過程で、旧町議会議場部分をヤマト運輸に賃貸することとなった。

賃貸借契約に際しては、公用部分の改修は同市が費用を負担し、旧議場部分はヤマト運輸が費用を負担して改修工事を行なった。これにより、同市は改修にかかる費用負担を抑えることができた。また、ヤマト運輸も企業立地に関する同市と新潟県からの補助制度を活用することができた。

このヤマト運輸との旧議場の賃貸借契約により、同市にとっては大きく2つの効果があった。

1つ目は、賃貸による家賃収入を得ることができたことである。家賃収入は年間約1,200万円で、他にも法人市民税の収入も得ることができている。

2つ目は、地元雇用の拡大につながったことである。100名規模の新たな雇用の場を市内に作ることができた。

◎他の遊休施設にも展開

同市では、上記の事例の他にも、いくつかの行政庁舎や廃校となった校舎等の一部または全部を民間事業者や各種団体などに賃貸等している。これにより、公共施設の有効活用を図ることで家賃収入という新たな財源を確保している。

今後も、遊休施設が発生する可能性があることから、同市では引き続き遊休施設に関する情報発信と、借り手に関する情報収集に努めていきたいとしている。

3.県外における管理運営事例

全国には、国による指針が示される前から、独自で公共施設の削減や効率的な維持管理に取り組んできた自治体がある。本稿では、施設の有効活用や統廃合を積極的に進めてきた秦野市(神奈川県)と公共施設の複合化に取り組んでいる習志野市(千葉県)の2つの事例を紹介することとする。

【(1)神奈川県秦野市 市役所敷地内へのコンビニ誘致他

◎市役所敷地内にコンビニ誘致

秦野市は、全国でもいちはやく公共施設の再配置に取り組んだ自治体として知られている。

同市は、庁舎の敷地の一部を2007年から定期借地契約でコンビニエンスストアに賃貸している。同市は土地のみを貸し付けているもので、建物はコンビニエンスストアが建設したものである。店内には同市の観光協会も同居しており、同市の土産品や名産品も販売している。また、市民向けに住民票の受け取りや図書館で借りた書籍の返却、市の刊行物などの購入を24時間可能にしており、住民サービスを向上させているうえ、賃料収入を市庁舎の維持修繕費にあて、市の財政を補っている。

◎コンビニエンスストア誘致を契機に公共施設の再配置を検討

コンビニエンスストアへの賃貸事業を契機に、公共施設の有効活用について検討を始めた同市は08年、市内の公共施設の再配置を検討する専任部署を設置した。そして09年に、将来の人口構成や財政状況、公共施設の現状分析と課題をまとめた「公共施設白書」を公表した。さらにその1年半後には、施設更新の優先順位や目標値を定めた「公共施設再配置計画(以下、『再配置計画』)」を策定した。

「再配置計画」では、公共施設の再配置に関する基本方針として、①更新投資を除き、新規投資は凍結、②市内施設総量の圧縮(残す施設は、義務教育、子育て、行政事務の3つを優先)、③余剰施設は売却・賃貸、④市内施設は専任部署が一元的にマネジメントを行なう、という4つの方針を掲げた。さらに、施設総量の数値目標として、今後40年間で延床面積を31%減らすことを明示している。そして、「公共施設白書」や「再配置計画」の内容については、市報やホームページなどで市民に周知してきた。また、住民説明会の場などにおいて、それらに明示された客観的なデータを使っての説明を心がけてきた。

◎住民サービスの向上を担保した再配置
同市は「再配置計画」にもとづき、住民サービスの機能を維持しながら施設総量を順次減らしている。廃止できるものから地道に廃止を進めるとともに、住民サービスの維持・向上も視野に入れた目玉となる公共施設の再配置事業を進めている。

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働き方改革の現状と推進のポイント

2017/10/02 :自主調査(調査報告)

はじめに

働き方改革に関する動きが加速している。政府は今年3月に「働き方改革実行計画」をまとめ、長時間労働の是正などの9つの検討テーマを示した。また、秋には残業時間の上限規制などが盛り込まれた基本法が国会に提出される見込みであり、企業によっては対応を迫られる可能性も出てきている。

そこで、当センターでは働き方改革に向けた取組状況を把握するため、県内企業を対象にアンケート調査を実施し、先月の「センター月報9月号」にその結果をまとめた。今月号では先進的な取り組みを行なっている県外企業の事例を中心に、働き方改革の現状や推進のポイントについてまとめた。

1.働き方改革の背景

(1)労働時間の高止まり

働き方改革に関する動きが進んでいる背景としては、労働時間の高止まりがあげられる。厚生労働省「毎月勤労統計」によると、全国及び新潟県の一般労働者の平均月間総実労働時間は、リーマン・ショックの影響で労働時間が一時的に減少した2009年を除くと、概ね横ばいで推移している(図表1)。

労働時間の短縮が進まないため、社員の健康被害につながるケースが生じているほか、育児・介護と仕事の両立が難しい状況が続いており、女性のキャリア形成にも悪影響を及ぼしている。さらには、労働生産性が改善されない一因ともなっている。

(2)人口の減少

2つ目の背景としては、人口の減少があげられる。総務省「国勢調査」と国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると、全国の総人口は10年の1億2,806万人をピークに減少に転じており、30年に1億1,913万人になると予測されている(図表2)。同様に新潟県の総人口も1995年をピークに減少している(図表3)。

なかでも、生産活動に従事しうる生産年齢人口(15~64歳)は、総人口よりも早い95年をピークに減少しており、今後、さらなる労働力人口の減少が見込まれている。また、新潟県の生産年齢人口も、全国より早い85年をピークに減少に転じている。

したがって、労働力を確保するためには、意欲があっても育児などで働くことができない女性や、元気な高齢者に活躍してもらう必要性が一段と高まっている。そのため、育児・介護と仕事を両立できる労働環境の整備が求められている。

(3)人材不足
3つ目の背景としては、企業での人材不足があげられる。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、足元7月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍となり、バブル期の最高値であった1.46倍(90年7月)を上回って推移している(図表4)。また7月の新潟県の有効求人倍率(季節調整値)も、全国と同じ1.52倍となっている。

景気の回復が続き、企業の求人数が増加していることに加え、生産年齢人口の減少で求職者数が減少していることもあり、労働力市場における需給は逼迫している。このような売り手市場のなかで、採用を有利に進めるために、労働環境の整備に注目する企業は多い。

2.働き方改革とは

(1)政府が進める働き方改革

今年3月に政府は「働き方改革実行計画」をまとめた。そのなかで9つの検討テーマが掲げられ、政府が進める改革の方向性が示された(図表5)。今後、これらのテーマに沿って、具体的な法整備が進められる予定となっている。

(2) 企業における4つの取り組みテーマとその効果、並びに県内企業の取組状況

政府の示した方向性に沿って労働環境を実際に整備するのは企業である。そこで、本稿では政府が推進する9つのテーマを企業側から捉え直し、下記のとおり4つにまとめた。

また、2017年5月に当センターが実施した「2017年上期 新潟県企業動向調査」(以下、「企業動向調査」)において、4つのテーマにおける取組状況について県内企業1,000社にアンケートを行なった。その概況も先月号に続けて紹介する。

①労働生産性の向上による長時間労働の是正

労働生産性の向上による長時間労働の是正とは、業務の見直しや早帰りの実施、省人化に向けた設備・システム投資などを行なうことを指す。企業にとっては、ムダの排除や社員の健康増進による労働生産性の向上が望める。

なお、「企業動向調査」によると、所定外労働時間の削減(長時間労働の是正)について「取り組んでいる」と回答した企業の割合は70.8%となり、このうち『どちらかというと削減された』と回答した企業は72.6%、『どちらかというと削減されていない』と回答した企業は27.5%であった。一方、所定外労働時間の削減について「取り組んでいない」と回答した企業は23.0%だったほか、「所定外労働は行なっていない」と回答した企業は6.3%であった。

②柔軟な働き方がしやすい環境整備

柔軟な働き方がしやすい環境整備とは、時短勤務やテレワークの導入などにより、育児・介護と仕事の両立が行ないやすい勤務制度を充実させることや、副業・兼業の容認などにより柔軟な働き方がしやすい環境を整備することなどである。企業にとっては、社員の定着による離職率の低下、フルタイムでは働けない人材の活用といった効果が期待される。

「企業動向調査」において、柔軟な働き方の実現に向けた勤務形態の導入状況について尋ねると、「時差出勤制度」が19.3%と最も高く、次いで「育児や介護以外の事由で利用できる短時間勤務制度」が17.8%となった。柔軟な働き方がしやすい環境整備に向けて各種勤務制度を導入している企業の割合は、他の3テーマに比べて、やや低い傾向がみられた。

③多様な人材の活用

多様な人材の活用とは、女性や高齢者の活躍促進、障がい者の雇用推進、外国人材の活用などの取り組みを行なうことを指す。企業にとっては、多様な人材の確保や多様な人材による新たな視点からの商品開発、イノベーションの創出といった効果が望める。

「企業動向調査」によると、多様な人材の活用についての取組状況については、「65歳以降の再雇用・勤務延長制度の導入」が44.0%と最も高く、次いで「65歳までの定年延長」が31.6%となり、高齢者の活躍を推進している企業の割合が高かった。一方、「障がい者の雇用」や「女性管理職・役員の増加」については規模によって差がみられた。

④処遇改善による非正規雇用労働者の活躍促進

処遇改善による非正規雇用労働者の活躍促進とは、非正規雇用労働者の正社員登用や、同一労働・同一賃金などに取り組むことである。企業にとっては、非正規雇用労働者のモチベーションアップ、定着率の向上、人材確保といった効果が期待できる。

「企業動向調査」によると、非正規雇用労働者の処遇改善の取組状況については、「正社員への登用」が52.6%と最も高かった一方で、「正社員と非正規雇用労働者の賃金格差の縮小」は10.5%にとどまった。

「企業動向調査」によると、残業の削減には県内企業の多くが取り組んでいるのに対して、柔軟な働き方がしやすい環境整備に向けた勤務制度の導入に関しては低い水準にとどまった。このように県内企業では各テーマへの取組状況には差がみられたほか、自由回答には「働き方改革に取り組み始めたばかり」という声も多かった。

そこで、県外において働き方改革に対し先進的に取り組み、成果が出ている事例を、各テーマに沿って4つ紹介する。なお、事例は規模や業種のバランスを考慮して取り上げている。

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定例調査━BCP(事業継続計画)の効果的な策定・運用ポイント

2017/09/01 :自主調査(調査報告)

─BCPの実効性を高めるために─

はじめに

2011年3月の東日本大震災や昨年4月の熊本地震など、ここ数年の間に立て続けに発生した大規模災害は広域的かつ甚大な被害をもたらした。直接的な被害はもとより、サプライチェーンの寸断による部品不足や計画停電などの影響により、数多くの企業が操業の中断を余儀なくされた。

こうした大規模災害への備えとしてBCP(事業継続計画)を策定・運用する企業が増えてきている。近年はBCPを「災害時の対応計画」だけでなく、平常時における経営の効率化や取引先との関係強化、企業価値の向上など、企業の経営戦略に欠かせない取り組みとして位置付ける動きもみられる。

そこで本レポートでは、BCP策定の必要性や実効性を高めるためのポイントを整理するとともに、BCPを有効に活用する県内外の事例や専門家の意見をまとめた。

1.BCP(事業継続計画)の概要

(1)BCPとは

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、企業が地震や水害などの自然災害や感染症の流行など不測の事態により被害を受けても、重要な事業(製品・サービスの提供)を中断させない、または中断しても可能な限り早急に再開するように、事前に取り決めておく計画のことである(図表1)。

(2)BCP策定・運用の必要性

緊急事態が発生した際に有効な手段を打つことができなければ、倒産や事業縮小を余儀なくされる可能性がある。そうした状況を回避するためには事前の対策でもあるBCPを策定し、運用することで、緊急時にあっても重要な事業の継続・早期復旧を図ることが極めて重要である。

また、BCPを策定・運用する過程で自社の強みや弱みの把握、優先すべき事業の絞り込み、取引先や顧客との関係強化にもつなげることが可能となることから、経営面においてプラスの効果をもたらすものと思われる。

参考までに2016年版中小企業白書において、BCPの策定・運用により、どのような効果が得られたか尋ねた結果をみると、「経営資源の把握」と回答した割合が53.6%と最も高くなっている(図表2)。また「人材育成」(31.7%)、「経営陣と従業者間のコミュニケーションの改善」(28.9%)などが上位に挙げられている。

(3)防災計画とBCPの違い

防災計画とBCPの大きな違いは、防災計画が人命の安全や建物等の物的被害の軽減などを目的に作成するのに対し、BCPは重要な事業の継続・早期復旧に主眼を置いて作成する点である(図表3)。

またBCPでは、本社や工場など特定の拠点に留まらず、社外の取引先など重要な事業に関わるすべての業務が対象となる。被害状況をみながら場当たり的な復旧を行うのではなく、あらかじめ復旧までの目標時間を定めておく点、代替先を確保しておく点、情報・データのバックアップを実施しておく点なども特徴となっている。

BCPの主な項目例は下記の通りである(図表4)。具体的な項目としては「どのような災害を想定した計画であるのか」を明確にしたうえで、事前の対策となる「代替方法の確保」「優先業務の特定」「安否確認の方法」などのほか、災害時の対処として、いつまでに復旧を遂げるかという「復旧目標時間の設定」、早期復旧に向けて取引先との「相互応援協定」などを盛り込んでおくことが一般的である。

2.BCPの策定状況

政府は、2010年6月に閣議決定された新成長戦略のなかで、企業のBCP策定率を20年までに大企業でほぼ全て、中堅企業では50%との目標を掲げている。以下に現時点における企業のBCPの策定状況をまとめる。

(1)大企業、中堅企業のBCP策定状況

内閣府が16年に実施した「企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査」によると、BCPを「策定済みである」と回答した企業と「策定中である」と回答した企業を合わせた割合は、大企業で75.4%となった(図表5)。一方、中堅企業では42.0%となっている。

政府目標に対して、大企業は25ポイントほど、中堅企業でも8ポイントほど下回っている。

(2)中小企業のBCP策定状況

16年版中小企業白書によると、BCPを「策定済み」と回答した企業と「現在策定中」と回答した企業を合わせた割合は24.7%であった(図表6)。一方、「策定していない」と回答した企業の割合は64.4%にのぼっている。

以上に示した大企業、中堅企業及び中小企業の調査結果を規模別にみると、調査が異なるため単純比較はできないものの、企業規模が小さいほど「策定済み」と回答した企業の割合が低くなっている。

(3)新潟県内企業のBCP策定状況

新潟県内企業のBCP策定状況を帝国データバンク新潟支店が公表した調査結果(17年5月調査)でみると、「策定している」「現在、策定中」と回答した企業を合わせた割合は16.7%であった(図表7)。一方「策定していない」と回答した企業の割合は56.1%と半数を超えており、県内企業においてもBCPを策定する企業は一部にとどまっているものとみられる。

このような状況のもと、新潟県では災害時でも県内企業が事業を円滑に継続できるよう、他県の企業との相互連携を行う「お互いさまBC連携ネットワーク」の取り組みを進めており、既に1組合と4社がBCP協定を締結している。

(4)BCPを策定しない理由

16年版中小企業白書において、中小企業がBCPを策定しない理由について尋ねた結果をみると、「スキル・ノウハウ不足」と回答した割合が49.7%と最も高くなっている(図表8)。このほか「自社では特に重要ではない」(33.9%)、「人手不足」(31.8%)などが上位に位置している。

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特別調査─働き方改革に関するアンケート調査─

2017/09/01 :自主調査(調査報告)

はじめに

働き方改革をめぐる動きが加速している。政府は今年3月、「働き方改革実行計画」を取りまとめ、9つの検討テーマを示した(図表1)。今後、関連法の改正などが進められるものとみられ、企業によっては長時間労働の是正などを求められる可能性がでてきている。一方、人材不足が続くなか、優秀な人材の確保・定着のために働き方改革に注目している企業は多い。そこで、当センターでは県内企業における働き方改革に関する取組状況を把握するために、1,000社を対象にアンケート調査を行なった。

なお、質問にあたり政府の掲げる9つの検討テーマを、企業側の観点から4つのテーマに捉え直し、「非正規雇用労働者の処遇改善」「多様な人材の活用」「柔軟な働き方に向けた勤務形態の導入」「所定外労働時間の削減」について、現在の取組状況などに関して尋ねた。

 

1.非正規雇用労働者の処遇改善

(1)非正規雇用労働者の雇用状況

─「雇用している」が7割半ば─

県内企業に対し非正規雇用労働者※の雇用状況について尋ねると、「雇用している」が75.9%となった一方、「雇用していない」は24.1%であった(図表2)。

規模別にみると、大企業と中堅企業では9割以上の企業で、非正規雇用労働者を雇用している結果となった。

(2) 非正規雇用労働者の処遇改善に向けた取組状況

─「正社員への登用」がトップ─

前頁(1)で非正規雇用労働者を「雇用している」と回答した企業に、非正規雇用労働者の処遇改善に向けた取組状況について尋ねると(複数回答)、「正社員への登用」が52.6%と最も高くなった(図表3)。以下「正社員並みの福利厚生制度の適用」(37.2%)、「職務や職能等に応じた評価・賃金制度の導入」(25.5%)などの順となった。

規模別でみると、大企業や中堅企業では「正社員への登用」を実施している割合が、中小企業と比べて高くなった。一方、中小企業では「正社員と非正規雇用労働者の賃金格差の縮小」を実施している企業の割合が、大企業や中堅企業と比べて高かった。

なお、自由回答で尋ねたところ、非正規雇用労働者への処遇改善に関して、「育児などで非正規となっていた社員に、子供の手間があまりかからなくなったタイミングで正社員契約に切り替えてもらった」(木材・木製品製造)といった声が挙げられた。

2.多様な人材の活用

─「65歳以降の再雇用・勤務延長制度の導入」がトップ─

多様な人材の活用状況について尋ねると(複数回答)、「65歳以降の再雇用・勤務延長制度の導入」が44.0 % と最も高く、以下「65歳までの定年延長」(31.6%)、「障がい者の雇用」(19.7%)、「高年齢者(55歳以上)の新規採用」(16.8%)などの順となった(図表4)。

規模別でみると、大企業では「障がい者の雇用」「女性管理職・役員の増加」などの割合が、中堅企業や中小企業と比べて高くなった。一方、中小企業では「65歳以降の再雇用・勤務延長制度の導入」「65歳までの定年延長」などと回答した企業の割合が、大企業や中堅企業と比べて高かった。

なお、自由回答では、「65歳以上の社員が複数勤務している。在宅勤務も含め、年齢に応じた仕事を担当してもらい支障なく働いてもらっている」(印刷業)といった声が寄せられている。

3. 柔軟な働き方の実現に向けた勤務形態の導入

─「時差出勤制度」がトップ─

柔軟な働き方の実現に向けた勤務形態の導入状況について尋ねると(複数回答)、「時差出勤制度」が19.3%と最も高く、以下「育児や介護以外の事由で利用できる短時間勤務制度」(17.8%)、「フレックスタイム制度」(9.3%)などの順となった(図表5)。

規模別でみると、大企業では「育児・介護以外の事由で利用できる短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「休業中の従業員に対する職場復帰支援制度」などの割合が、中堅企業や中小企業に比べて高かった。

なお、自由回答では、「介護のため退職に陥りそうな社員がいたが、労働環境を整備した結果、継続して働いてもらえるようになった」(卸売)、「以前は結婚・出産すると退職する社員が多かったが、育休制度の拡充や短時間勤務制度を導入したことで、働き続ける社員が増えた」(小売)といった声が寄せられている。

4.所定外労働時間の削減

(1)所定外労働時間の削減に向けた取組状況

─「取り組んでいる」が7割─

所定外労働時間(以下、残業)の削減に向けた取組状況を尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した割合が70.8%と最も高く、以下「取り組んでいない」(23.0%)、「所定外労働は行なっていない」(6.3%)の順となった(図表6)。

規模別にみると、大企業では100%、中堅企業でも93.6%の企業が残業の削減に取り組んでいるとの結果となった。

(2)削減状況

─『どちらかというと削減された』先は72.6%─

前頁(1)で残業の削減に取り組んでいると回答した企業に、その結果を尋ねたところ、「削減された」「やや削減された」を合わせた『どちらかというと削減された』と回答した企業の割合は72.6%となった(図表7)。一方、「あまり削減されていない」「削減されていない」を合わせた『どちらかというと削減されていない』と回答した企業の割合は27.5%であった。

なお、規模別では大きな差はみられなかった。

(3)取組内容

─「実態(実際の労働時間等)の把握」がトップ─

①全体

前頁(1)で残業の削減について「取り組んでいる」と回答した企業に、その取組内容について尋ねたところ(複数回答)、「実態(実際の労働時間等)の把握」と回答した企業の割合が65.7%となり、最も高くなった(図表8)。以下「業務の見直し・効率化」(62.7%)、「経営トップからの継続的な呼びかけ」(42.2%)などの順であった。

②削減状況別
残業の削減に向けた取組内容を残業の削減状況別にみると、『どちらかというと削減された』先では、「経営トップからの継続的な呼びかけ」「業務の見直し・効率化」「業務の分散・平準化」などの割合が、『どちらかというと削減されていない』先に比べて高くなった(図表8)。

なお、自由回答では、「ITの活用により残業時間を正確に把握したうえで残業が多い社員に対し、個別に指導を行なった。その結果、残業を大幅に削減することができた」(総合建設)、「半年先の業務量を予測し、繁忙が予想されるときは、あらかじめ協力会社に依頼をすることで、業務量を分散させている」(精密機械)などといった声が寄せられている。

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定例調査─2017年上期新潟県企業動向調査─

2017/08/01 :自主調査(調査報告)

先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し

─ 経営上の問題点は2期連続で「人材不足」がトップ─

1.業況感

(1)全産業

─先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し─

2017年1−3月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲11.7となった。海外需要が持ち直していることや、補正予算の施行による公共工事の増加などから、16年10−12月期の▲20.3から8.6ポイント上昇した(図表1)。

続く、17年4−6月期(含む実績見込み)は▲19.7となり、同1−3月期比で8.0ポイント低下したものの、基調としては16年7−9月期以降概ね横ばい圏内で推移している。

先行きを示す見通しBSIは、17年7−9月期が▲13.5、続く同10−12月期は▲15.1となり、今後、緩やかに持ち直す見通しとなっている。

(※)BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)とは、アンケートの回答結果を指数化したものである。本稿でのBSIとは、業況あるいは先行きの見通しなどが「良い」か「悪い」かという質問に対して「プラス(良い、増加等)」「普通(不変等)」「マイナス(悪い、減少等)」の3つの選択肢を用意して、「プラス」と回答した企業の割合から「マイナス」と回答した企業の割合を差し引いた数値のことをいう。

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は17年1−3月期が▲11.2となり、16年10−12月期比10.4ポイント上昇した(図表2)。

続く17年4−6月期は▲16.7となり、同1−3月期比5.5ポイント低下した。内訳をみると、化学や鉄鋼などの業種で上昇したものの、輸送機械や一般機械などで低下した。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「スマートフォン向けが好調である」(化学)といった声がある一方、「二輪車向けの売上高が減少している」(輸送機械)といった声が挙げられた。

非製造業は17年1−3月期が▲12.0となり、16年10−12月期比7.3ポイント上昇した。

続く17年4−6月期は▲21.8となり、同1−3月期比9.8ポイント低下した。内訳では、卸売業では上昇したものの、運輸やサービス他などで低下した。

非製造業の業況については「ものづくり補助金により工作機械等の卸売が増えそうだ」(卸売)といった声がある一方、「引き合いは多いものの、人材不足のため対応できない状況にある」(サービス他)といった声が挙げられた。

先行きについては製造業、非製造業ともに17年4−6月期と比べて上昇する見通しとなっている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、17年1−3月期は大企業が8.9、中堅企業が12.3、中小企業が▲14.7となり、16年10−12月期と比べ、いずれも上昇した(図表3)。

続く17年4−6月期は大企業が▲8.9、中堅企業が▲16.3、中小企業が▲20.5と同1−3月期と比べ、いずれも低下した。

先行きについては全ての規模で概ね上昇する見通しである。

2.生産・売上

─生産・売上は3期ぶりに「減少」超幅が縮小─

17年1−6月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」−「減少」)は▲14.1となった(図表4)。16年7−12月期(以下、前期)から12.8ポイント上昇し、3期ぶりに「減少」超幅が縮小した。

業種別にみると、製造業は▲7.1となり前期から22.1ポイント上昇した。内訳をみると、金属製品、精密機械などが上昇した。また、非製造業は▲19.1となり、前期から6.2ポイント上昇した。内訳では、運輸、サービス他などで上昇した。

生産・売上については「海外での販売が好調となっている」(精密機械)、「外国人旅行者への売上が好調であり、冬季期間は毎年売上が増えている」(サービス他)といった声が聞かれた。

先行きを示す17年7−12月期(以下、来期)のBSIは▲11.4と今期と比べて2.7ポイントの上昇となり、2期連続で上昇する見通しとなっている。

3.仕入・販売価格

(1)仕入価格

─6期ぶりに「上昇」超幅が拡大─

今期の仕入価格BSI(「上昇」−「低下」)は29.9となった(図表5)。前期から19.1ポイント上昇し、6期ぶりに「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業は33.7となり前期から28.5ポイント上昇した。内訳をみると、金属製品、電気機械などの業種で上昇した。非製造業は27.2となり、前期から12.5ポイント上昇した。内訳では、運輸、卸売などで上昇した。

仕入価格については「国際価格上昇により鋼材が値上がりしている」(金属製品)、「燃料費が上昇している」(運輸)、「海外で水産物需要が拡大しており、輸入価格は上昇傾向にある」(卸売業)といった声があった。

来期は31.3となり、今期と比べて1.4ポイントの上昇にとどまり、概ね横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)販売価格

─6期ぶりに「上昇」超─

今期の販売価格BSI(「上昇」−「低下」)は0.1となった(図表5)。前期から6.2ポイント上昇し、6期ぶりに「上昇」超となった。

業種別にみると、製造業が▲3.7となり前期から7.0ポイント上昇した。また、非製造業は2.9となり前期から5.8ポイント上昇した。

販売価格については「販売価格の競争は厳しいままにある」(繊維)といった声がある一方、「婚礼宴会の価格は1組当たりの招待人数が増えていることから上昇傾向にある」(サービス他)といった声が挙げられた。

来期は1.0となり、今期と比べてほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

4.採 算

(1)採算

─ほぼ横ばいで推移─

今期の採算BSI(「好転」−「悪化」)は▲16.8となった(図表6)。前期比1.2ポイント低下したものの、ほぼ横ばいとなった。

業種別にみると、製造業は▲14.3となり前期比1.2ポイント上昇となった。内訳をみると、輸送機械、精密機械などの業種で上昇した。非製造業は▲18.6となり、同2.9ポイント低下した。内訳では、運輸、卸売などで低下した。

採算については「原材料価格の上昇も落ち着きつつあるため採算は改善傾向にある」(食料品)といった声がある一方、「販売数量は伸びているが、仕入価格の上昇に値上げが追いつかず採算が悪化している」(卸売)といった声も聞かれた。

来期は▲13.5に上昇し、「悪化」超幅は縮小する見通しとなっている。

(2)採算好転・悪化の理由

─ 好転要因では「売上数量の増大」「高付加価値製(商)品の比率拡大」が上位─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(74.6%)の回答割合が最も高く、以下「高付加価値製(商)品の比率拡大」(22.2%)、「販売価格の上昇」と「経営の合理化」(各17.5%)などが続いた(図表7)。

なお、16年下期調査と比べると「売上数量の増大」と「高付加価値製(商)品の比率拡大」の割合が特に高くなっている。

一方、今期の採算が「悪化」した理由では「売上数量の減少」(70.2%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(29.8%)、「競争・競合の激化」(21.5%)、「販売価格の低下」(21.0%)などが続いた(図表8)。

 

 

5.雇 用

(1)全産業・業種別

─不足感の強い状況が続く─

今期の雇用BSI(「過剰」−「不足」)は▲29.6となり、前期比横ばいとなったものの、人手不足感が強い状況が続いている(図表9)。

業種別にみると、製造業は前期比ほぼ横ばいの▲23.8となった。内訳をみると、化学や一般機械などで雇用BSIが低下している。非製造業は前期比ほぼ横ばいの▲33.8となった。内訳では、運輸、小売などで低下した。

雇用については「ドライバーが不足しており、これ以上の受注は厳しい」(運輸)、「現場作業員の高齢化が進んでいることや、若者の採用難により労働力不足が続いている」(建設)などといった声があった。

(2)職種別

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で「不足」超幅が最も大きく、以下「営業・販売」「生産・建設」などが続いている(図表10)。

16年下期と比べると、「生産・建設」「専門・技術」などの職種で「不足」超幅が拡大した。

6.設備投資

(1)設備投資計画

─ 17年度の設備投資額は、前年度を下回る見通しであるものの、減少幅は縮小─

17年度における設備投資の実施企業割合(含む計画)は56.7%となり、16年度実績を5.4ポイント下回る見通しとなっている(図表11)。

実施企業割合を業種別にみると、製造業が68.0%、非製造業が48.5%となった。

17年度の設備投資額(含む計画)は、16年度実績比3.5%減となる見通しである(図表12)。

なお、16年度の設備投資額は15年度実績比6.6%減であり、これに比べると17年度の減少幅は縮小している。

業種別にみると、製造業は16年度実績比11.9%減となっている。内訳をみると、一般機械、化学などの業種で減少している。一方、非製造業は同18.5%増となっており、小売、運輸などで増加している。

(2)設備投資の目的

─「情報化(IT)投資」「既存機械・設備の入れ替え」などが上昇─

17年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(67.3%)の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」と「生産能力増大の為の機械・設備導入」(各27.6%)などとなっている(図表13)。

16年度実績と比べると、「店舗・工場等の新設・増改築」「省エネルギー・環境問題への対応」などが低下した一方、「情報化(IT)投資」や「既存機械・設備の入れ替え」などが上昇した。

7.経営上の問題点

─2期連続で「人材不足」がトップ─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(53.4%)の回答割合が最も高く、以下「生産・受注・売上不振」(43.0%)、「先行き見通し難」(41.3%)、「競争・競合の激化」(38.7%)などが続いている(図表14)。

16年下期調査と比べると、「仕入価格の上昇」「人材不足」「人件費の増加」の割合が上昇した一方、「生産・受注・売上不振」「先行き見通し難」「販売価格の低下」などの割合は低下した。

8.賃 金

1)賃上げの状況

─約3割の企業がベースアップを実施─

17年度における賃上げの状況について尋ねたところ、ベースアップを「実施した」と回答した企業の割合は29.3%となった(図表15)。なお、前年同時期に行った「2016年上期企業動向調査(以下、前回調査)」に比べると、0.6ポイント上回っている。

(2)賞与・一時金の状況

─夏季の賞与・一時金増額は1割弱の企業が実施─

17年度における夏季の賞与・一時金の支給について尋ねたところ、「未定」とする回答が多いものの、夏季の賞与・一時金を「増額する」と回答した企業の割合は7.7%、「増額を検討中」が15.8%、「据え置く」が40.4%となった(図表16)。なお、夏季の賞与・一時金を「増額する」「増額を検討中」を合わせた『増額に前向き』な回答割合は前回調査と比べると、3.2ポイント上回っている。

9.まとめ

─先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し─

アンケート調査結果をみると、県内企業の「業況感」は17年1−3月期に上昇したものの、同4−6月期(含む実績見込み)は低下したため、概ね横ばい圏内での推移となった。

ただし、先行きを示す見通しBSI(17年7−9月期、同10−12月期)は、同4−6月期と比べて改善することが見込まれていることから、先行きは緩やかに持ち直すことが期待される。

足元では依然として海外の政治・経済情勢の不透明感から株価や為替の変動リスクが懸念されるものの、「ロボット関連の受注が好調である」(金属製品)、「前年割れが続いていた軽自動車の販売も緩やかに回復しつつある」(小売)などの前向きな声もあったため、今後、県内経済で持ち直しの動きが鮮明となるか注視していきたい。

(2017年7月 江口 大暁)

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特別調査─日本版DMOの現状と設立・運営上のポイント─

2017/08/01 :自主調査(調査報告)

─DMOを通じた観光による地域活性化を目指す─

はじめに

地方創生を実現していくうえで、観光への期待が高まっている。国土交通省観光庁(以下、観光庁)「『日本版DMO』形成・確立に係る手引き(第2版)」(以下、「手引き」)によると、観光は「地域外との交流や住民の地域活動などの地域間の交流によって交流人口を拡大させ、地域を活性化させる原動力」と位置づけられている。

そして、各地の観光振興を牽引する組織として諸外国のDMOと呼ばれる観光振興組織が注目を集めている。このDMOにならい、観光庁では日本版DMOの形成・確立を推進し始めたところである。

本稿では、DMOと日本版DMOの概要について整理するとともに、県内外の日本版DMOの現状と課題に着目することにより、日本版DMOを設立・運営する際のポイントをまとめることとする。

1.DMOの概要

(1)DMOとは

DMOとは、Destination Management/MarketingOrganizationの略であり、米国や欧州各国、豪州などの諸外国において、発達してきた観光振興のための組織のことである。具体的には、地域の観光振興を図るために、統一的な権限と責任が与えられ、観光地のマネジメント活動と、対外的なマーケティングやプロモーション活動を実践していく組織である。この組織はマーケティングやブランディングなどの専門性を有する人材で構成されることが多く、活動資金も行政からの補助金ではなく、観光振興目的の宿泊税などで調達している場合が多い。

観光庁「国内外の観光地域づくり体制に関する調査業務」によると、諸外国のDMOの事例として、米国のナパバレーDMOやスイスのトッゲンブルグDMO、豪州のニューサウスウェールズ州DMOなどが紹介されている。これらのDMOの事業内容や組織体制、資金調達内容をみると、一律ではなく、国や地域によって多種多様ではある。しかし、いずれのDMOとも、観光分野やマーケティングなどで専門性を有する人材が中心となり、観光地域づくり(地域特性を踏まえた観光戦略に基づき、観光を軸とした地域の幅広い関係者が連携した地域づくり:観光庁ホームページ)や国内外でのプロモーション、観光商品開発、観光人材の育成等で主導的な役割を果たしていることでは共通している。

(2)日本版DMO候補法人とは

「( 1 )DMOとは」でみた諸外国におけるDMOにならい、観光庁では、2015年11月に「日本版DMO候補法人登録制度」を創設した。これは、日本版DMOを地域に根付かせ、それを核とした観光による地方創生を目指したものである。「手引き」によると、日本版DMO法人を「『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実施するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人」としている。

また、観光庁を登録主体として、日本版DMOの候補となり得る法人を「登録」し、登録を行った法人等に対して、関係省庁が連携して支援を行い、各地における日本版DMOの形成・確立を強力に支援していくというものである。

一方、日本版DMOをマーケティングまたはマネジメントするエリアの大きさに応じて、①複数の都道府県にまたがる広域連携DMO、②複数の地方公共団体にまたがる地域連携DMO、③単独市町村を対象エリアとする地域DMOの3 つに分けている(図表1 )。

(3)日本版DMO候補法人の登録状況

日本版DMO候補法人の登録数は着実に増えている。16年2月の第1弾登録の24件から、随時登録が行われ、17年5月の第9弾登録で累計145件となっている。内訳をみると、広域連携DMOが6件、地域連携DMOが67件、地域DMOが72件となっている(図表2 )。

このうち、地域連携DMOの登録状況を地域別にみると、登録数が多い順に中部が14件、近畿と九州が各12件、関東が10件、東北が7件、中国・四国が6件、北海道が4件、北陸(新潟県を含む、以下同じ)が2件となっている。また、地域DMOは同様に、中部が20件、関東が10件、東北と九州が各9件、近畿が8件、北陸が7件、中国・四国が5件、北海道が4件となっている。

(4)観光協会と日本版DMOとの違い

従来、地域の観光振興において中心的な役割を果たしてきた観光協会(観光連盟など)と、日本版DMOには次のような違いが生まれることが期待されている。ただし、現状では目立った違いは生まれていないものとみられる(図表3 )。

観光協会と日本版DMOとの大きな違いは自治体(行政)との関係にある。観光協会は、都道府県または市町村などからの補助金により運営されるケースがほとんどで、職員に関しても行政のOBや出向者などを受け入れている場合が多い。その結果、所在する自治体の観光行政を補完する、または地域のイベントなどの実動部隊としての役割が大きい。一方のDMOは、資金調達の面で行政からの補助金のみに依存することなく、自らの収益事業などを財源とすることが望まれる。したがって、行政との協力関係を築きながらも、自主的な事業を自ら計画・実行し、その結果を評価・改善しながら事業を継続していく、いわゆるPDCAサイクルを回した事業運営が求められている。

加えて、組織の構成メンバーについても、観光協会は観光関連事業者で多数を占められるケースが多いのに対し、日本版DMOでは観光関連以外の事業者や地域住民なども参画するケースがある。さらには、データ分析やマーケティングなどの分野ごとに専門的な人材が揃っていることが期待されている。

また、観光協会は、その活動に際して地域内での公平性を志向することが多く、かつ観光協会の構成メンバーの意向を重視する内向き志向になりがちである。一方の日本版DMOは、外からの観光客を意識した活動が多く、外向きの顧客志向であるのが一般的である。これに附随して、事業活動の範囲について観光協会は、所在する自治体のエリア内に限定されるケースがほとんどであるのに対し、DMOは地域連携などを通じて、所在自治体以外で活動する場合もある。

2. 県内における日本版DMO候補法人のうごき

(1) 県内における日本版DMO候補法人の登録状況

17年5月末現在、新潟県または県内市町村を対象エリアとする6つの法人・団体が日本版DMO候補法人として観光庁に登録されている(図表4 )。

そのうち、地域連携DMOの一般社団法人雪国観光圏は、観光庁の「観光圏整備法」に基づく観光圏整備事業において観光地域づくりを進めてきた団体である。湯沢町を始めとした県内外の7市町村で構成され、08年から活動している。また、一般社団法人信州いいやま観光局は、長野県と新潟県の9市町村で構成される広域観光連携の団体である「信越自然郷」を推進するために登録されたものである。

地域DMOの一般社団法人新発田市観光協会と一般社団法人糸魚川市観光協会は、既存の観光協会がDMO候補法人として登録されたものである。また、妙高観光推進協議会は、妙高市内のインバウンド観光を推進するために新規に結成された団体であり、今後法人化する予定である。

(2) 県内における日本版DMO候補法人の課題

「( 1 )県内における日本版DMO候補法人の登録状況」でみた6つの法人・団体のうち、一般社団法人雪国観光圏は「雪国A級グルメ」や「SAKURA QUALITY」などの事業で、観光圏内の食や宿泊施設の品質を評価・向上させていく取り組みを既に行っており、全国的にみても先進的な活動を行う日本版DMOの1 つと捉えられている。

一方、他の法人・団体は日本版DMOとしての活動を始めてから間もないというところが多く、現状では目立った取り組みはなく、今後活動が本格化していくものとみられる。

このようななか、新潟県内で主に活動している4つの候補法人(一般社団法人雪国観光圏、一般社団法人新発田市観光協会、妙高観光推進協議会、一般社団法人糸魚川市観光協会)が国に提出した「日本版DMO形成・確立計画」と4候補法人からの聞き取り調査の結果などをふまえ、県内における日本版DMO候補法人の課題について、以下のとおり整理した。

①幅広い業種からの参画が少ない

候補法人の構成メンバーは観光関連事業者が多数を占めるところが多くなっている。一部には、観光関連以外の農商工業者が参画しているところもあるものの、観光協会を母体としているところを中心に、メンバーのほとんどが観光関連の事業者で、多様な民間事業者や地域住民の参画が十分ではないと感じているところもある。結果として、活動の幅や地域への経済効果に広がりがみられないことが課題となっている。

②専門性のある人材の確保・育成が進んでいない

候補法人のなかで中心となる職員は、一部の候補法人を除いて、観光行政を長く経験してきた行政職員のOBや出向者、または観光協会の職員であることが多い。そのため、DMOらしい特徴ある活動に至っていないケースが多くなっている。したがって、マーケティングやプロモーション、データ分析などDMOで求められる専門性の高い人材の確保・育成を課題と捉えているところが多い。

③財源の行政への依存が高い

ほとんどの候補法人では、行政からの補助金収入が主たる財源となっている。一部の候補法人において、事業収入や構成メンバーからの会費収入などの財源を確保または見込んでいるところがあるが、総じて行政への依存度が高い。その結果、事業に自律性が乏しく、観光行政を補完する活動にとどまっているところが多いものとみられる。多様な自主財源の確保が課題の1 つである。

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定例調査─新潟県消費動向調査2017年夏期─

2017/07/03 :自主調査(調査報告)

─ 「収入」「消費支出」は、ともに横ばい圏内で推移─

新潟県内の景気は、持ち直しの兆しがみられる状況にある。しかしながら、新潟県内の個人消費は横ばいで推移している。足元の個人消費関連の経済指標をみると、専門量販店販売額(家電・ドラッグストア・ホームセンターの販売額合計、全店)や乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は前年を上回っている(図表1)。一方、百貨店・スーパー販売額(既存店)は、前年を下回っている。

こうした個人消費関連の経済指標の動きを踏まえ、個人消費の実態を把握するため、県内勤労者2,000人を対象に、収入や消費支出の状況、今後半年間における消費項目の増減、購入・支出を予定している商品、ボーナス等についてアンケート調査を実施した。

1.収入の推移

─収入は、3期連続で低下するも横ばいで推移─

〈半年前と比較した収入について〉

半年前と比べて収入が「増えた」と回答した人の割合は12.8%、「減った」と回答した人の割合は16.4%となり、収入CSIは▲3.6となっている(図表2)。収入CSIは3期連続で下落しているものの、2016年冬の調査と比べて0.8ポイント低下と下落幅はわずかであり、基調としては横ばいで推移している。

〈今後半年間の収入について〉

今後半年間の収入についても同様に尋ねたところ、収入予想CSIは▲10.7となっている(図表2)。収入予想CSIは、足元の収入を示すCSIと比べて7.1ポイント低くなっている。

注)CSI(Consumer Survey Index)

アンケートの回答結果を指数化したもので、ここでは「増えた・増えそう」と回答した人の割合から「減った・減りそう」と回答した人の割合を差し引いた数値のことをいう。CSIは、収入・消費支出・生活実感が増加(改善)基調か減少(悪化)基調かといった「変化の方向」と、拡張・後退が速いか遅いかといった「変化のテンポ」を示すものである。

2.消費支出の推移

─消費支出は、16年夏から横ばい圏内で推移─

〈半年前と比較した消費支出について〉

半年前と比べて消費支出が「増えた」と回答した人の割合は34.9%、「減った」と回答した人の割合は6.1%となり、消費支出CSIは28.8となっている(図表3)。消費支出CSIは16年冬の調査と比べて2.7ポイント上昇し、4期ぶりの上昇となっている。ただし、16年夏の調査からみると、基調としては横ばい圏内で推移している。

〈今後半年間の消費支出について〉

今後半年間の消費支出についても同様に尋ねたところ、「増えそう」と回答した人の割合は32.3%、「減りそう」と回答した人の割合は7.4%となり、消費支出予想CSIは24.9となっている(図表3)。消費支出予想CSIは、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて、3.9ポイント低くなっており、先行きの消費に対して慎重な見通しが示されている。

3. 今後半年間における消費支出項目

─「 増えそう」は「教育費」などが上昇─

今後半年間の消費支出について「増えそう」な支出項目と「減りそう」な支出項目をそれぞれ尋ねた(複数回答)。

〈消費支出が増えそうな項目〉

「増えそう」と回答した割合が最も高かったのは「食費(外食費を除く)」で、以下「教育費(学費・教材費等)」「保健医療費」などの順となっている(図表4)。

16年夏の調査と比べると、「教育費(学費・教材費等)」「娯楽費(趣味・書籍・旅行等)」の回答割合がそれぞれ2.6ポイント上昇しているほか、「外食費」「衣料・履物」などの回答割合が増加している。

〈消費支出が減りそうな項目〉

「減りそう」と回答した割合が最も高かったのは「娯楽費(趣味・書籍・旅行等)」で、以下「外食費」「小遣い(含む交際費)」などの順となっている(図表5)。

16年夏の調査と比べると、「娯楽費(趣味・書籍・旅行等)」の回答割合が4. 8 ポイント低下しているほか、「外食費」「小遣い(含む交際費)」の回答割合が低下しており、余暇関連の支出への節約志向がやや弱まっていることがうかがえる。

4. 今後半年間に購入・支出を予定している商品等

─ 耐久消費財では「家具・インテリア用品」がトップ─

今後半年間で購入・支出を予定している商品等を、耐久消費財と非耐久消費財に分けて尋ねた(複数回答)。

〈耐久消費財〉

耐久消費財では「家具・インテリア用品」の回答割合が15年夏の調査以来、最も高くなっている(図表6)。以下は、「家電製品(冷蔵庫等)」「スマートフォン」などの順となっている。

16年夏の調査と比べると、「家具・インテリア用品」の回答割合が2.9ポイント上昇しているほか、「家電製品(冷蔵庫等)」も上昇している。一方、「薄型テレビ」が2.1ポイント低下しているほか、「冷暖房機器」「スマートフォン」「DVD・ブルーレイディスク(レコーダー・プレーヤー)」などの回答割合が低下している。

〈非耐久消費財〉

非耐久消費財では「婦人物衣料品」の回答割合が最も高く、以下「国内旅行」「紳士物衣料品」などの順となっている(図表7)。

16年夏の調査と比べると、「教育費(学習塾・家庭教師等)」が3.0ポイント上昇しているほか、「娯楽費(趣味・書籍等)」「紳士物衣料品」などの回答割合が上昇している。一方、「婦人物衣料品」「貴金属・ハンドバック・靴」の回答割合は低下している。

5.ボーナス支給予想

─ ボーナス支給予想は、横ばいで推移─

今夏のボーナスが昨年の夏と比べて「増えそう」と回答した人の割合は6.2%、「減りそう」と回答した人の割合は16.1%となり、ボーナス支給予想CSIは▲9.9となった(図表8)。16年夏の調査を1.1ポイント下回っているものの、小幅な低下にとどまっており、概ね横ばいで推移している。

今夏のボーナス支給予想CSIを年代別に16年夏の調査と比べると、10~20代、30代で「増えそう」と回答した人の割合が上昇している(図表9)。一方、40、50代では「減りそう」と回答した人の割合が上昇しており、年代によって回答の傾向に違いがみられる。

 

6.ボーナスの使途

(1)ボーナスの使途

─「 預貯金等」が約5割でトップ。「旅行・レジャー」が1.7ポイント上昇─

今夏にボーナス支給があると回答した1,150人を対象に、ボーナスの使途について尋ねたところ(複数回答)、「預貯金等」の回答割合が50.4%となり最も高くなっている(図表10)。以下「旅行・レジャー」「生活費の補填」などの順となっている。

16年夏の調査と比べると、「旅行・レジャー」が1.7ポイントの上昇となっている。一方、「買い物」は1.5ポイント低下している。

ボーナスの使途を年代別にみると、全ての年代で「預貯金等」が第1位となっている(図表11)。第2位は10~20代、30代では「旅行・レジャー」、40代、50代、60代以上では「生活費の補填」となっている。

(2)預貯金等の内訳

─「普通預金」は2.2ポイント上昇─

今夏のボーナスの使途で「預貯金等」と回答した580人を対象に、その内訳を尋ねたところ(複数回答)、「普通預金」と回答した人の割合が70.2%と最も高くなっている(図表12)。以下は「定期預金」「投資信託」などの順となっている。

16年夏の調査と比べると、「投資信託」「普通預金」などの回答割合が上昇している。一方、「定期預金」などの回答割合が低下している。


 

 

 

まとめ

今回の調査結果によると、「収入」は、16年夏以降、3期連続で低下となっている。ただし、低下幅はわずかであり、概ね横ばい圏内を維持している。

一方、足元の「消費支出」は4期ぶりの上昇となったものの、こちらも16年夏の調査からみると、横ばい圏内で推移している。

ただし、「今後半年間における消費支出項目」をみると、16年夏と比べて「娯楽費(趣味・書籍・旅行等)」「外食費」の回答割合が上昇している。また「ボーナスの使途」では「旅行・レジャー」の回答割合が上昇している。したがって、県内の勤労者世帯では、余暇関連への支出意向が高まっており、消費マインドの改善の兆しがうかがえる。

収入が伸び悩むものの、こうした消費マインドの改善の兆しが本格化し、個人消費全体の上昇につながっていくのか、引き続き注視していきたい。

(2017年6月 早川 寛人)

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