10月2015

3Dプリンタが県内製造業にもたらす変化

2015/10/02 :自主調査(調査報告)

─製品の高付加価値化と製造工程の効率化─

はじめに

3Dプリンタは家電量販店で販売されるほど国内でも身近な装置になっている。最近では樹脂部品だけでなく、金属部品の製造にも3Dプリンタが使われ始めており、今後は本県製造業にも影響を与えるとみられる。そこで、先行して3Dプリンタを活用している事を紹介するとともに、今後、3Dプリンタの普及が県内製造業にもたらす変化についてまとめた。

1.3Dプリンタとは

(1)3Dプリンタとは

─原材料を層状に重ねて立体を作る装置─
3Dプリンタとは、三次元の設計データに基づき、原材料を積み重ねて固め、立体的にものを作る装置のことで、世界的には付加製造(Additive Manufacturing:AM)装置と呼ばれている(ⅰ)。金属や樹脂などの原材料を層状に塗り重ねて厚みを出している様子が、紙に印刷する従来のプリンタに似ているため、日本では3Dプリンタと呼ばれている。

(ⅰ)立体を作る方法としては、熱で溶かした原材料を層状に塗り重ねる方法(熱溶解積層法、下の写真参照)や液状の光硬化樹脂等に紫外線レーザーを照射して固める方法(光造形法)、粉状の金属原材料にレーザー光等を照射して焼き固める方法(粉末焼結法)など様々な方法がある。

調査1

(2)3Dプリンタの長所・短所

─高価だが、従来工法にはない長所も─
3Dプリンタは、まだ技術開発の途上にあるため、長所がある一方で、改善すべき短所も多い。現時点での主な長所・短所をそれぞれ3点にまとめた。

長所① 3次元データから速やかに加工・製造

調査2製造業では、NC(ⅱ)工作機械並びに3次元CAD・CAM(ⅲ)の普及が進んでいることから、3次元の設計データを用いる機会が増えている。3Dプリンタは、こうした3次元の設計データをもとに試作品や部品を自動的かつ速やかに製造できる。

(ⅱ) NCとは、工作物に対して工具によって加工する位置を座標値として数値情報で指令する制御方式を指す。

(ⅲ)CAD(コンピュータ支援設計)とは、コンピュータ上で設計・製図を行うことを指す。コンピュータを使って部品等の平面図(正面図、側面図、上面図など)を設計・製図することを2次元CADと呼ぶのに対し、部品等をコンピュータの3次元空間上に、縦、横、奥行きのある立体的な形状で表示して設計・製図することを3次元CADと呼ぶ。一方、CAM(コンピュータ支援製造)とは、コンピュータ上で工作機械等の加工プログラムを作成することを指す。NC工作機械を使用するときには、3次元CADのデータに基づいて、CAMによって加工プログラムを作ることが必要になる。
輸送機械や電気機械など様々な分野で3次元CAD/CAMが用いられており、特に金型製造において3次元CAD/CAMの活用が進んでいるといわれる。

長所② 複雑な形状の部品を製造可能

3Dプリンタは、従来工法では難しい複雑な形状の部品を簡単に作れる(右上の写真、右が3Dプリンタ製)。ただし、形状を複雑にすると、部品に細い棒状の部分や厚さが薄い部分ができる場合があるので、必要な強度を得られているか検証する必要がある。

長所③ 従来型の加工工程を大幅に簡素化

3Dプリンタは、従来の切る、曲げる、プレス、削る、組み立て、溶接といった複数の製造工程を1工程に集約できる。そのため、3Dプリンタを製造工程に組み込むことで、時間や費用を節約できる可能性がある。

例えば、3Dプリンタによる製造では金型や鋳型が不要となるため、金型・鋳型の製作にかかる時間や費用を削減できる。

短所① 高精度プリンタは高価

家庭用の3Dプリンタの低価格化が進んでいるものの、製造業者が使用する高精度の3Dプリンタは数千万円以上と価格はまだ高い。

低価格の3Dプリンタは加工精度が低く、加工後の表面にザラザラ感が残りやすいため、追加での磨き加工が必要となる場合もある。

短所② 原材料は高価かつ限定的

3Dプリンタで使用する原材料も、従来工法と比べて割高になる場合が多い。

樹脂や金属、石膏など、使える原材料の種類は増えてきてはいるが、従来工法に比べると原材料の種類はまだ少ない。

短所③ 大量生産や大型品には不向き

3Dプリンタは、掃除やメンテナンスも含め1回の製造にかかる時間が長い。そのため、装置の回転率を高めて大量生産を行うことは難しい。

また、大型の3Dプリンタの開発が遅れているため、現時点では大型部品を作ることも難しい。

続きを表示…

このページのトップへ

大河津分水路を作った人たち

2015/10/02 :感頭言

北越工業株式会社 代表取締役社長 寺尾 正義

私の入社したころ、弊社工場は分水町(現燕市)にあった。分水町の名前は町の南側にある「大河津分水路」に由来する。「大河津分水路」は信濃川の水量が多いときに日本海にバイパスするための水路で、幅は広いところで約700m、長さは約10kmである。明治42年に着工。昭和6年に完成するまで、延べ22年間、人員1,000万人を要した東洋一の大工事だった。

信濃川沿いの地域の人たちはたびたび起きる水害に悩まされていたが、明治29年に起きた信濃川の氾濫、いわゆる『横田切れ』によって、近郷の集落はおろか遠く新潟市の沼垂まで水に浸かった。この出来事によって信濃川の分水路建設の機運が一気に高まり、完成にこぎつけた。 続きを表示…

このページのトップへ

グラフで見る県内経済2015年10月(八月の新潟県経済)

2015/10/02 :グラフで見る県内経済

概況:横ばいで推移している県内経済。生産活動、個人消費ともに横ばいの動き

生産活動:概ね横ばいで推移している

県内経済6月の鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比2.6%上昇して101.3となった。出荷指数は、同0.5%上昇して104.0となった。在庫指数は、同0.1%低下して134.2となった。

食料品は、米菓や水産練り製品などの生産で好調を維持している。

はん用・生産用・業務用機械は、工作機械を中心に堅調に推移している。

電子部品・デバイスは、依然として低水準にあるものの、一部に明るさがみられる。

輸送機械は、自動車部品の生産が振るわず、やや弱含んでいる。 続きを表示…

このページのトップへ

シンワ測定株式会社

2015/10/02 :探訪

確かな技術と開発力で「はかるもの」を通じて正確さと便利さを提供する シンワ測定株式会社

大工さんの7つ道具の1つである金属製直尺・曲尺では、ナンバーワンのシェアを誇るシンワ測定株式会社。

建築、製造現場の工程の変化や作業工具の変化に対応し、ホームセンターや問屋などのニーズに応え、新製品を出し続けている同社の製品開発と人材確保・育成について渡辺社長にお話をお聞きしました。

探訪[団体概要]
代表者 社長 渡辺 徹
所在地 本社:三条市
設立 1971年7月
社員数 200名
資本金 9,500万円
事業内容 各種測定器の製造販売
URL http://www.shinwasokutei.co.jp/

続きを表示…

このページのトップへ

今すぐできる選りすぐりのアイデア 第55回

2015/10/02 :酒井とし夫の街でみつけた商売繁盛のヒント

ビジネス心理学講師/米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター/米国NLP心理学協会認定コーチ/ランチェスター経営認定講師 酒井とし夫 氏

こんにちは、酒井とし夫です。私は自分で商売をしながら経営戦略や戦術を学ぶにつれて、こんなことを思うようになりました。

「日常生活で何気なく見ているモノやコトの中にこそ、よく考えられた集客ノウハウや広告宣伝、販促、マーケティングのテクニックがぎっしり詰まっている」

スーパーに置かれている買い物かごの位置にはちゃんと理由があります。街の繁盛店の店頭ワゴンに並ぶ商品にはオーナーの意思と意図が現れています。店舗のレイアウトはその企業の膨大な調査と経験の集大成です。POP、値決め、色使いはその企業やお店の試行錯誤とテストマーケティングの結果です。毎日、目にするチラシ、DM、雑誌、TV、新聞、書籍、ホームページには読み手の興味と関心を引く効果的なコピー作成ノウハウが凝縮されています。

そんな日常生活の中で私が見つけた商売に役立つヒントやアイデア、ノウハウを毎月紹介します。是非、あなたのご商売や会社経営に応用するにはどうしたら良いのかを考えながらお読み下さい。

行動の拠り所

売上を上げたい、集客したい、販促計画を立てたい、起業したい、講師になりたい、自信を持ちたい、アガリを治したいetc・・・いろいろな相談を受けます。そんなとき、相手にアドバイスをしていて一番困ることは何だと思いますか?

それは、あれこれとアドバイスをした後で次のような言葉を返されることです。

「いや、ウチには〇〇がないから」

〇〇の部分にはだいたい次の言葉が入ります。

時間、前例、実績、知名度、能力、お金、人材、企画力、営業力、気合etc・・・。

つまり、「酒井さんの言うことはとてもよく分かるのだけれど、ウチには〇〇がないから『できない』のです」ということ。

そう言われる度に私はモテない男性から相談を受けているような気になります。

「酒井さん、僕はぜんぜんモテないんです。どうしたらいいでしょうか?」

「では、まず服装を変えましょう」

「いや、こういうラフな格好が好きなんです・・・」

「では、相手の目を見て話しをする練習をしましょう」

「いや、内気なので目を見ることができないんです・・・」

「じゃあ、笑顔でコミュニケーションを取りましょう」

「いや、楽しくもないのに笑えないですよ・・・」

「じゃあ、習うより慣れろでこれから合コンに行きましょう」

「いや、これからちょっと予定が・・・」

「・・・(もう、勝手にしてください)」

人生を変えたい、組織から脱して独立したい、自分の能力を発揮して人の役に立ちたい、売上を上げたい、お店を開きたい、部下の能力を伸ばしたい、アガリを治したい、自信を持ちたい、女性にモテたい・・・そう口で言うのはカンタン。言うだけなら何万回でも言えますが、本当に本当に本当に本当に本当に本当にそうなりたいと心から思っているのなら、やるべきことはただ1つ。

それは“行動”。しかし、人はなかなか動かない。では、さくさくと行動するにはどうすればいいか?それは“信じる” こと。ブルーオーシャン、ランチェスター戦略、心理学、マーケティング、キャズム理論、コアコンピタンス、ビジョナリー、EQ、直感、指導員、コンサルタント、自分、相手、特定の思想であれ、なんでもよいけれど信じる拠り所があれば人は行動が容易になります。今日は信じて行動し続ける人のお話です。

続きを表示…

このページのトップへ

訪日外国人政策のアキレス腱

2015/10/02 :地域観光事業のススメ方

株式会社 井門観光研究所 代表取締役  井門 隆夫(いかど たかお)氏

─旅館の全国最低客室稼働率への対策は─

1.旅館の客室稼働率はなぜ低い

新潟県がついに全国最下位になってしまった。それは、「旅館」の「客室稼働率」の話(リゾートホテルも)。前年は長野県だったのが、抜かれたのだ。

年間客室稼働率が23.6%ということは、単純に言えば、半年間営業し、その半数の客室が埋まっているという感じなので、「ちゃんと稼げているのだろうか」と少し心配になってしまう。

客室稼働率が低い要因としては、冬期間などの閑散期が長いこと、あるいはスキーエリアでは季節営業の宿が多いこと、総じて家族経営の小規模施設が多いことなどが考えられる。一方、逆に考えると、客室稼働率が低くても、収支(生計)が成り立つということは、副業や自給自足の面も含めて、新潟県が「豊か」である証拠でもあるだろう。

もっとも旅館業に関しては、新潟県に限らなくとも、その客室稼働率は全国的に低く、一番数値の高い神奈川県でも50%を切っている。ただし、日本旅館協会(旧国際観光旅館連盟)の自主調査では、全国平均58%(大型旅館57%、中型旅館60%、小規模旅館49%)なので、協会非加盟旅館が低いとも推測できる。

旅館業は4万軒以上もあり、日本旅館協会加盟旅館は3,200軒にすぎない。残りの3万数千軒を含めてしまうことで客室稼働率は低く表れてしまうと思われる。そうした3万数千軒は、おそらくほぼ全てが家族経営であり、効率的な営業以上に自らの生活ペースというものを大切にしているはずだ。例えば、平日にお客様が1組というような非効率さを回避すべく、部屋が埋まるのが確実な日しか営業しないとすれば、低い客室稼働率になってしまうのは致し方ないことだろう。家族経営に通年営業は酷である。

井門さん

続きを表示…

このページのトップへ

新興国の回復がカギ握る2015年度下期のマーケット

2015/10/02 :マーケットレポート

※ 本稿は、2015年9月1日現在で執筆されたものです。

1.中国不安が席巻した2015年度上期のマーケット

15年度上期のマーケットを振り返ると、予想外の混乱をみせたギリシャ問題は、最終的に、ギリシャ側が貸し手となるEUやIMFの財政改善政策を全面的に受け入れる形で決着した。しかし、政治が絡んだ問題は経済合理性から導き出される結論とは異なる方向へ向かうリスクが高いことをあらためて印象づけた。

一方で、中国株急落に起因した世界同時株安は、単に中国経済に対する不安感だけが問題だったわけではない。米国の利上げが間近に迫るなかで、景気の低迷が続く中国を筆頭とした新興国経済との景況感格差が一層拡大するとの懸念が根底にあったように考えられる。

中国株は、14年半ばから1年間で2.5倍に達するという暴騰をみせた。一方で実体経済の低迷は続き、今年6月にはついに下落に転じ、わずか1カ月の間に30%もの急落へと転じた。中国政府は、金融緩和、金融機関による株式の買い入れ推奨や、事実上の空売り禁止措置などの手を打ち、いったんは株安に歯止めがかかったようにもみられたが、8月半ば以降に再度急落し、これが世界同時株安へと繋がった。

中国株急落はバブル崩壊であるとの見方もあるが、過去のバブル、およびバブル崩壊とは特徴が異なる。まず、日本のバブル崩壊時などのように極端に割高になったわけではない。株価を一株あたり利益で割って求められるPER(株価収益率:一般的に15倍程度が妥当な水準とされる)は、日本のバブル時には80倍程度であったのに対し、上海総合株価指数のPERは今年6月のピーク時でも22倍に過ぎない。また、過去のバブル崩壊は揃って金融引き締め時、すなわち中央銀行が利上げを行っている最中に起きたのに対し、中国では11年来金融緩和が続いている。

このように考えると、中国株の急落は短期的な行き過ぎた上昇からの反動であり、典型的なバブル崩壊現象とはやや異なる。ちょうどこの春から中国では住宅価格が再び上昇に転じ始めている。金融緩和が続くなかで、余剰マネーが割高感の強まった株式市場から、割高感が薄らいだ不動産市場にシフトしている可能性もある。上海総合株価指数のPERは、3,000ポイント前後でPERが割高感のない15倍程度になることから、同水準あたりでは輸出主導による景気回復を待つことが可能となろう。 続きを表示…

このページのトップへ

第28回 中国向け食品の輸出について

2015/10/02 :チャイナレポート

1.はじめに

2014年に日本から海外に輸出された農林水産物は初めて6千億円を超え、過去最高を記録した。輸出先としては金額の多い順に、香港、アメリカ、台湾、中国となっている。このうち中国向けの状況は、11年の原発事故後、中国側の規制により一旦輸出が落ち込んだものの、13年以降に回復基調に転じ、14年は過去最大の輸出規模となった。

中国向けの輸出品目をみると、水産物(ホタテ貝、さけ、ます等)が上位を占めており、主に水産加工品メーカー向けに輸出されている。水産物以外では、アルコール飲料や清涼飲料水の輸出が増加している。残念ながら新潟を含む10都県(新潟、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、長野、千葉、東京)は、中国向けの食品輸出が禁止されている。ただし、今年6月に同規制の緩和に向けた日中間協議が開かれたと報じられており、今後の規制緩和の動向が注目される。

チャイナレポート1

2.上海における日本食品の店頭販売状況について

チャイナレポート2最近の現地での状況を探るために、上海において日本の輸入食材を豊富に取扱っている久光百貨店の食品スーパーを訪ねた。

同スーパーの売り場では、中国への輸入が禁止されている食肉(牛肉、豚肉など)や乳製品は当然ながら置いていないが、それ以外の日本の食材はほぼ何でも揃っている。定番商品として、調味料(醤油、味噌、ソース、たれ)やお菓子(ビスケット、飴)は人気が高い。

一方で、日本酒やコメの販売は通常の時期にはあまり売れず、春節(旧正月)の時期に贈答用として販売されるのがメインとなっている。果物で唯一取り扱われているリンゴも、日本酒やコメと同様に秋口から春節前までの数カ月間の販売に限定されているとのことだ。

3.今後の中国市場への参入について

今後10都県に対する規制が緩和されれば、新潟の食品メーカーにとっては2011年ぶりに中国市場への参入機会が得られることとなる。

しかし、原発事故以降も、10都県以外の食品メーカーは、中国市場への参入に取り組んできており、すでに多くの日本食品が市場に入っている。日本からの輸入食品に限らず、日本の食品メーカーによる現地生産品も多い。

今後新たに中国市場に参入するには、これらに対抗できる商品でないと厳しいものと思われる。中国市場の現状やライバルメーカーの参入状況を十分に把握しておく必要があるといえる。

また今年の10月1日から施行される食品安全法の改正にも注意しなければならない。食品安全法は09年に施行されたが、その後も品質保証期限切れ肉使用問題など、食の安全を揺るがす事件が後を絶たない状況が続いていた。

そのため今回「史上最も厳しい食品安全管理体制を整備する」ことを目的に大掛かりな法改正が行われた。本改正法では、中国の輸入業者側だけではなく、海外の輸出業者側が負うべき責任も盛り込まれている。中国で食品の生産、販売に従事する企業はもちろん、中国に食品を輸出する日系企業も本改正法に備える必要がある。中国で「食の安全・安心」に対する意識が高まることにより、日系企業にとってビジネスチャンスが拡がるものと思われる。

(上海駐在員事務所 佐藤 誠)

続きを表示…

このページのトップへ