8月2017

今すぐできる選りすぐりのアイデア 第17回

2017/08/01 :酒井とし夫の街でみつけた『商売繁盛心理学』

ビジネス心理学講師/米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター/米国NLP心理学協会認定コーチ/ランチェスター経営認定講師 酒井とし夫 氏

こんにちは、ビジネス心理学講師の酒井とし夫です。

私はどんな商品やサービスを扱っていても、どんな業界で働いていても、ビジネスにはひとつの共通項があると考えています。

それは…、お客様は『人』である、ということ。

そして、人は『心』で好き嫌いを感じ、『心』で興味を抱き、『心』で買うか買わないかの行動を決定します。

そのため、どんな業界や職種の方々であっても、ビジネスに関わる方は人の『心』に影響を与える心理学の知識やスキルを理解しておくと、交渉、打ち合わせ、営業、広告、販促、プレゼンテーション、接客、コミュニケーションで優位に立つことができます。

私が日常生活のなかでみつけた商売に役立つ心理学的なヒントやアイデア、ノウハウを毎月紹介します。是非、あなたのご商売や会社経営に応用するにはどうしたら良いのかを考えながらお読み下さい。

納得がいかない!私も手に入れたい

人間は自分が本来手にすべきものを手に入れられずに、自分と似ている他者がそれらを手に入れたことが分かった場合には不満が生じます。

具体的には以下のようなことに気づいた場合です。

「同期の彼の給料の方が自分よりはるかに多い」

「隣の同い年のご主人が高級車に乗っている」

「同級生だった彼女が毎年海外旅行に行ってバカンスを楽しんでいる」

簡単にいうと人間は自分と同じような環境、立場にある人が、自分が手に入れていないものを手にしたことが分かると不満が生じるということです。これを心理学的には利己的な相対的略奪感といいますが、この感情は行動のための強いエネルギーとなります。

「私にだってそれを手に入れる権利があるのに、あの人がそれを手に入れていて、私が手に入れていないのは納得がいかない。私もそれを手に入れたい」

という気持ちが行動につながるわけです。

例えば、セールスの場であなたがどんなに良い提案をしても、相手が「自分とは関係がない」「自分には必要が無い」「みんな同じようなものだ」と思っている間は相手は行動にはいたりません。そのような場合に相対的略奪感をベースにしたセールステクニックが役立ちます。

具体的な事例をあげましょう。もし、あなたが金融商品や資産形成の説明を行っていたとして、「これらの金融商品は今が買い時です」「あなたのために資産形成のアドバイスをします」という説明では相手が行動を起こしてくれることはほとんどありません。しかし、次のような話をすると相手の気持ちのなかに相対的略奪感が生まれます。

「こちらに資料があります。ご覧ください。実はあなたと同世代である40歳代の平均年収は○○円で、持ち家保有率は○○パーセントです。その資産価値は平均○○千万円です。『えっ、そんなにあるの?』と思われる方が多いかもしれませんね。でも、これは○○総研が発表している統計データです。

もし、今のあなたにこれだけの資産が無いとしても、これから3年であなたが年収を増やし、マイホーム等の資産を手に入れることは不可能ではありません。本来であれば毎日毎日会社のために真面目に働き、家族のために心身をすり減らして働いているあなたこそがこのような幸せを手に入れるべきなのです。

現状で同年代並みの資産が無かったとしても、それは今までのあなたの努力や頑張りが悪いのでもなく、あなたのやってきたことが間違っていたからでもありません。それは、単に資産の築き方の要点を知っているか知らないかの差です。今、40代の方にお勧めのサービスがありますが、そのお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

といった説明をします。

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地方の現場で学ぶ大学の創設を

2017/08/01 :観光イノベーションで地域を元気に

株式会社 井門観光研究所 代表取締役  井門 隆夫(いかど たかお)氏

─なぜミネルバ大学は世界最難関になったのか─

1.ミネルバ大学

ミネルバ大学をご存じだろうか。2014(平成26)年9月に開校した、米国サンフランシスコに本部を置く全寮制の大学だ。新設校ながら初年度には98カ国、1万人以上の応募があり、その合格率は2.8%という狭き門。ハーバードやケンブリッジといった名門大学に合格してもミネルバを選ぶ学生が出るなど、たちまち「世界最難関」といわれるようになった大学だ。なぜ、設立して間もない大学に世界中から優秀な若者が集まってくるのか。

その解は大学のシステムにある。まず、ミネルバ大学にはキャンパスがない。さらに、全寮制といえども、サンフランシスコで合宿生活を送るのは最初の1年だけ。2年次以後は半年ごとに、ロンドン、ベルリン、ハイデラバード、ソウル、台北、ブエノスアイレスと渡り歩く。世界中の都市をキャンパスとしながら、今世界で何が起きているか、何が問題になっているのかを肌身で学ぶことができるシステムなのだ。さらに、どんな人種でも遠慮なく学べる環境も、世界中の秀才たちには魅力的なのだと思う。

午前中に行われる授業は完全オンライン制で、学生全員がパソコンに向かう。画面にはクラス全員の顔が映り、発言の頻度も色で表示される。「いいね」等の反応もあり、同じ教室にいなくても、世界のどこかにいる教員を中心としてネットワークで繋がった学生同士でいつでも活発な議論がなされている。パソコンに向かっている場所は、寮であったりインターンシップ先の企業だったり様々。学生たちは、午後からと毎週金曜日は、インターンシップ生として企業で活躍している。

気になる学費は、年間で1万ドル(約110万円)とアイビー・リーグ(米国北東部に所在する名門私立大学8校からなる連盟)の4分の1 。生活費込みでも約3万ドルというからかなり良心的だ。

2.マルチ・ベース

世界中の国々で「働き手(生産年齢人口)」が減少し始めた今世紀は、「労働生産性向上の時代」だと先月号で紹介した。経済成長に必要なGDP(国内総生産)は「生産年齢人口×労働生産性」で表されるため、生産年齢人口減少の時代に経済成長するためには「労働生産性の向上」が不可欠。昨今、さかんに「AI(人工知能)」等のテクノロジーの必要性が説かれているのも、働き手が減少するなかで労働生産性向上に直結するためである。

世界で最も早く、20年前(1995 年)に働き手が減少し始めた日本では、女性の一層の社会進出、定年後の高齢者の再雇用促進、外国人労働者の採用など、様々な手法で働き手の確保を行い、労働生産性を維持・向上させてきた。しかし、より高い生産性を求めて人々は都市に集中するようになり、地方創生がさけばれるようになった。

この状況を打開し、地方創生を進めるためには一朝一夕では立ち行かない。抜本的な制度やシステムのイノベーションが必要だ。その方法として、「働き方(休み方)改革」の一環としての「ワーケーション」と、「学校改革」という意味での「日本のミネルバ大学(オンライン大学)の創設」を提案したい。共通するコンセプトは「マルチ・ベース」。すなわち、都市と地方の両方をベースにして働き、学ぶことにある。

これまでの働き方は、都市にある職場に毎日通勤し、休暇を取って地方へ観光に出かけるという方法がふつうだった。学校も、毎日同じ校舎に通学し、修学旅行などで時々地方に出かけるという学び方が当たり前だった。しかし、インターネットが普及した現在、「こうしたやり方は古い」といえる時代にしていかねば、地方創生の実現は難しいと思う。

日本航空株式会社は2017年夏より、「ワーケーション」という仕事と休暇を組み合わせることができる制度を導入する。本誌ではこれまで「ビジネス」と「レジャー」を合わせた造語「ブリージャー」として紹介してきた働き方で、「ワーク」と「バケーション」を融合し、出張先で有給休暇を取ったり、休暇先でもテレワークで業務を行う日を設けたり、場所と時間を指定せずに自由に働けるスタイルである。

同社では、主に海外での休暇やテレワークを想定しているようだが、今後、国内の各地に設置したサテライト・シェアオフィス等をベースに働くことを推進する企業も出てくれば、国内でも仕事と休暇の融合が起きてくるだろう。サテライトオフィスにはホテルを併設し、短長期の滞在もできるようにしておく。むしろ、既存のリゾート施設にシェアオフィスを設置するリノベーションを図るほうがより現実的だろう。そして、サテライトオフィスを起点に有給休暇を取れば、余計な交通費をかけずに観光もできる。

毎日同じオフィスに缶詰めとなり、上司が残業している間は帰れない「忖度残業」が蔓延し、往復2時間かけて週5日通勤することを考えれば、週1回往復6時間かけてでも自然環境豊かなサテライトオフィスに出かけ、オンラインで業務を行い、いつでも有給休暇が取れる環境で仕事をしたほうが労働生産性は確実に高まると思う。

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第5回 上海/香港

2017/08/01 :海外現地レポート

香港   第四銀行コンサルティング推進部

香港の外国人家政婦─阿媽─(アマ)

世界でも有数の住宅価格の高さを誇る香港であるが、米国のコンサルティング会社の調査(※)によると、香港市民の2016年の住宅購入負担は年収18.1年分で、7 年連続で世界一となった。

高すぎる住宅価格は賃料の高騰を引き起こし、高い住宅賃料を支払うため、香港では子供がいる世帯では夫婦共働きが一般的となっている。そのような社会環境から、香港の家庭では、外国人家政婦(香港では阿媽(アマ)と呼ばれている)を雇うことが広く普及している。

阿媽の多くは、主にフィリピンやインドネシアからの出稼ぎがほとんどで、近年では、ミャンマーなどからも受け入れている。また、阿媽に従事している東南アジアの国々の人々の数は、およそ34万人といわれている。香港政府統計処によると、直近の香港の世帯数が約250万世帯(2016年)であることから、いかにその需要が多いかがわかる。

香港の阿媽は住み込みで働くことが一般的で、香港のアパートには専用の小部屋やバスルームが併設されていることが多い。週6日(香港では金融機関などは土曜日も午前のみ営業している)家事に従事し、住み込みではプライベートと労働の区別が難しく、長時間労働となっていることがしばしば問題となる。そのような環境から休日には、香港の中心地、中環(セントラル)や商業地、銅鑼湾(コーズウェイベイ)にあるヴィクトリアパークなどでは、同じ境遇にある人々で溢れる。同郷からきた人々どうしで会話をしたり、ダンスを踊って限られた余暇を楽しんでいる光景は香港名物となっている。

日本では、今春から国家戦略特区(東京都・神奈川県・大阪市)で外国人の家事代行サービスが始まった。家政婦というと富裕層が雇う「お手伝いさん」というイメージが日本では強い。しかし、香港では、外国人は一般的な家庭でも平日の家事や育児の担い手として活用されていることに加え、高齢化社会の進展により、高齢者の介護を目的として雇用される場合も多い。

また、日本で今般開始された家事代行サービスは、派遣される外国人側にとっても、サービスを利用する側にとっても、香港に比べハードルが高いものとなっている。派遣される外国人側の障害として、「言語」の問題がある。派遣基準の中に基本的な日本語を理解する能力が必須となる。また、利用する側にとっては、「コストの高さ」がある。住み込みとスポット利用の違いはあるが、1日3時間で1万円程度と、香港に比べ、まだまだ広く一般向けの料金とはいえないだろう。

日本では始まったばかりで、様々な課題はあるものの、業界によっては人手不足が深刻化するなか、家事や高齢者介護負担を減らして女性活躍をさらに推進するため、また働き方改革の一助となるべく、香港のように外国人家政婦サービスを効果的に活用されることを期待したい。

(※):世界406都市を対象に調査が行われ、香港は(香港の住宅価格中央値約542万香港ドル(約7,588万円)/世帯年収の中央値約30万香港ドル(約420万円)≒18.1倍。調査では5.1倍以上の地域を「購入負担が深刻な地域」に分類している。日本では、東京・横浜が4.7年分、大阪・神戸・京都が3.4年分となっている。

(寄稿時1 香港ドル=14円で試算)

(香港派遣 泉田 雄)

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株式会社小野組

2017/08/01 :探訪

積極的に県外へ展開し躍進をつづける      株式会社小野組

創業129年の永い歴史を誇るとともに、県外の補修・修繕工事を中心に受注を拡大し業績を大きく伸ばしている株式会社小野組。同社は異業種である農業分野への進出でも注目を集めています。それらの取り組みや今後の展開などについて、小野社長からお話をうかがいました。

代 表 者 小野 貴史

所 在 地 胎内市

創  業 1888年

社 員 数 166名

資 本 金 9,400万円

事業内容 一般土木建築工事業

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定例調査─2017年上期新潟県企業動向調査─

2017/08/01 :自主調査(調査報告)

先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し

─ 経営上の問題点は2期連続で「人材不足」がトップ─

1.業況感

(1)全産業

─先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し─

2017年1−3月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲11.7となった。海外需要が持ち直していることや、補正予算の施行による公共工事の増加などから、16年10−12月期の▲20.3から8.6ポイント上昇した(図表1)。

続く、17年4−6月期(含む実績見込み)は▲19.7となり、同1−3月期比で8.0ポイント低下したものの、基調としては16年7−9月期以降概ね横ばい圏内で推移している。

先行きを示す見通しBSIは、17年7−9月期が▲13.5、続く同10−12月期は▲15.1となり、今後、緩やかに持ち直す見通しとなっている。

(※)BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)とは、アンケートの回答結果を指数化したものである。本稿でのBSIとは、業況あるいは先行きの見通しなどが「良い」か「悪い」かという質問に対して「プラス(良い、増加等)」「普通(不変等)」「マイナス(悪い、減少等)」の3つの選択肢を用意して、「プラス」と回答した企業の割合から「マイナス」と回答した企業の割合を差し引いた数値のことをいう。

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は17年1−3月期が▲11.2となり、16年10−12月期比10.4ポイント上昇した(図表2)。

続く17年4−6月期は▲16.7となり、同1−3月期比5.5ポイント低下した。内訳をみると、化学や鉄鋼などの業種で上昇したものの、輸送機械や一般機械などで低下した。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「スマートフォン向けが好調である」(化学)といった声がある一方、「二輪車向けの売上高が減少している」(輸送機械)といった声が挙げられた。

非製造業は17年1−3月期が▲12.0となり、16年10−12月期比7.3ポイント上昇した。

続く17年4−6月期は▲21.8となり、同1−3月期比9.8ポイント低下した。内訳では、卸売業では上昇したものの、運輸やサービス他などで低下した。

非製造業の業況については「ものづくり補助金により工作機械等の卸売が増えそうだ」(卸売)といった声がある一方、「引き合いは多いものの、人材不足のため対応できない状況にある」(サービス他)といった声が挙げられた。

先行きについては製造業、非製造業ともに17年4−6月期と比べて上昇する見通しとなっている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、17年1−3月期は大企業が8.9、中堅企業が12.3、中小企業が▲14.7となり、16年10−12月期と比べ、いずれも上昇した(図表3)。

続く17年4−6月期は大企業が▲8.9、中堅企業が▲16.3、中小企業が▲20.5と同1−3月期と比べ、いずれも低下した。

先行きについては全ての規模で概ね上昇する見通しである。

2.生産・売上

─生産・売上は3期ぶりに「減少」超幅が縮小─

17年1−6月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」−「減少」)は▲14.1となった(図表4)。16年7−12月期(以下、前期)から12.8ポイント上昇し、3期ぶりに「減少」超幅が縮小した。

業種別にみると、製造業は▲7.1となり前期から22.1ポイント上昇した。内訳をみると、金属製品、精密機械などが上昇した。また、非製造業は▲19.1となり、前期から6.2ポイント上昇した。内訳では、運輸、サービス他などで上昇した。

生産・売上については「海外での販売が好調となっている」(精密機械)、「外国人旅行者への売上が好調であり、冬季期間は毎年売上が増えている」(サービス他)といった声が聞かれた。

先行きを示す17年7−12月期(以下、来期)のBSIは▲11.4と今期と比べて2.7ポイントの上昇となり、2期連続で上昇する見通しとなっている。

3.仕入・販売価格

(1)仕入価格

─6期ぶりに「上昇」超幅が拡大─

今期の仕入価格BSI(「上昇」−「低下」)は29.9となった(図表5)。前期から19.1ポイント上昇し、6期ぶりに「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業は33.7となり前期から28.5ポイント上昇した。内訳をみると、金属製品、電気機械などの業種で上昇した。非製造業は27.2となり、前期から12.5ポイント上昇した。内訳では、運輸、卸売などで上昇した。

仕入価格については「国際価格上昇により鋼材が値上がりしている」(金属製品)、「燃料費が上昇している」(運輸)、「海外で水産物需要が拡大しており、輸入価格は上昇傾向にある」(卸売業)といった声があった。

来期は31.3となり、今期と比べて1.4ポイントの上昇にとどまり、概ね横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)販売価格

─6期ぶりに「上昇」超─

今期の販売価格BSI(「上昇」−「低下」)は0.1となった(図表5)。前期から6.2ポイント上昇し、6期ぶりに「上昇」超となった。

業種別にみると、製造業が▲3.7となり前期から7.0ポイント上昇した。また、非製造業は2.9となり前期から5.8ポイント上昇した。

販売価格については「販売価格の競争は厳しいままにある」(繊維)といった声がある一方、「婚礼宴会の価格は1組当たりの招待人数が増えていることから上昇傾向にある」(サービス他)といった声が挙げられた。

来期は1.0となり、今期と比べてほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

4.採 算

(1)採算

─ほぼ横ばいで推移─

今期の採算BSI(「好転」−「悪化」)は▲16.8となった(図表6)。前期比1.2ポイント低下したものの、ほぼ横ばいとなった。

業種別にみると、製造業は▲14.3となり前期比1.2ポイント上昇となった。内訳をみると、輸送機械、精密機械などの業種で上昇した。非製造業は▲18.6となり、同2.9ポイント低下した。内訳では、運輸、卸売などで低下した。

採算については「原材料価格の上昇も落ち着きつつあるため採算は改善傾向にある」(食料品)といった声がある一方、「販売数量は伸びているが、仕入価格の上昇に値上げが追いつかず採算が悪化している」(卸売)といった声も聞かれた。

来期は▲13.5に上昇し、「悪化」超幅は縮小する見通しとなっている。

(2)採算好転・悪化の理由

─ 好転要因では「売上数量の増大」「高付加価値製(商)品の比率拡大」が上位─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(74.6%)の回答割合が最も高く、以下「高付加価値製(商)品の比率拡大」(22.2%)、「販売価格の上昇」と「経営の合理化」(各17.5%)などが続いた(図表7)。

なお、16年下期調査と比べると「売上数量の増大」と「高付加価値製(商)品の比率拡大」の割合が特に高くなっている。

一方、今期の採算が「悪化」した理由では「売上数量の減少」(70.2%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(29.8%)、「競争・競合の激化」(21.5%)、「販売価格の低下」(21.0%)などが続いた(図表8)。

 

 

5.雇 用

(1)全産業・業種別

─不足感の強い状況が続く─

今期の雇用BSI(「過剰」−「不足」)は▲29.6となり、前期比横ばいとなったものの、人手不足感が強い状況が続いている(図表9)。

業種別にみると、製造業は前期比ほぼ横ばいの▲23.8となった。内訳をみると、化学や一般機械などで雇用BSIが低下している。非製造業は前期比ほぼ横ばいの▲33.8となった。内訳では、運輸、小売などで低下した。

雇用については「ドライバーが不足しており、これ以上の受注は厳しい」(運輸)、「現場作業員の高齢化が進んでいることや、若者の採用難により労働力不足が続いている」(建設)などといった声があった。

(2)職種別

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で「不足」超幅が最も大きく、以下「営業・販売」「生産・建設」などが続いている(図表10)。

16年下期と比べると、「生産・建設」「専門・技術」などの職種で「不足」超幅が拡大した。

6.設備投資

(1)設備投資計画

─ 17年度の設備投資額は、前年度を下回る見通しであるものの、減少幅は縮小─

17年度における設備投資の実施企業割合(含む計画)は56.7%となり、16年度実績を5.4ポイント下回る見通しとなっている(図表11)。

実施企業割合を業種別にみると、製造業が68.0%、非製造業が48.5%となった。

17年度の設備投資額(含む計画)は、16年度実績比3.5%減となる見通しである(図表12)。

なお、16年度の設備投資額は15年度実績比6.6%減であり、これに比べると17年度の減少幅は縮小している。

業種別にみると、製造業は16年度実績比11.9%減となっている。内訳をみると、一般機械、化学などの業種で減少している。一方、非製造業は同18.5%増となっており、小売、運輸などで増加している。

(2)設備投資の目的

─「情報化(IT)投資」「既存機械・設備の入れ替え」などが上昇─

17年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(67.3%)の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」と「生産能力増大の為の機械・設備導入」(各27.6%)などとなっている(図表13)。

16年度実績と比べると、「店舗・工場等の新設・増改築」「省エネルギー・環境問題への対応」などが低下した一方、「情報化(IT)投資」や「既存機械・設備の入れ替え」などが上昇した。

7.経営上の問題点

─2期連続で「人材不足」がトップ─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(53.4%)の回答割合が最も高く、以下「生産・受注・売上不振」(43.0%)、「先行き見通し難」(41.3%)、「競争・競合の激化」(38.7%)などが続いている(図表14)。

16年下期調査と比べると、「仕入価格の上昇」「人材不足」「人件費の増加」の割合が上昇した一方、「生産・受注・売上不振」「先行き見通し難」「販売価格の低下」などの割合は低下した。

8.賃 金

1)賃上げの状況

─約3割の企業がベースアップを実施─

17年度における賃上げの状況について尋ねたところ、ベースアップを「実施した」と回答した企業の割合は29.3%となった(図表15)。なお、前年同時期に行った「2016年上期企業動向調査(以下、前回調査)」に比べると、0.6ポイント上回っている。

(2)賞与・一時金の状況

─夏季の賞与・一時金増額は1割弱の企業が実施─

17年度における夏季の賞与・一時金の支給について尋ねたところ、「未定」とする回答が多いものの、夏季の賞与・一時金を「増額する」と回答した企業の割合は7.7%、「増額を検討中」が15.8%、「据え置く」が40.4%となった(図表16)。なお、夏季の賞与・一時金を「増額する」「増額を検討中」を合わせた『増額に前向き』な回答割合は前回調査と比べると、3.2ポイント上回っている。

9.まとめ

─先行きの業況感は緩やかに持ち直す見通し─

アンケート調査結果をみると、県内企業の「業況感」は17年1−3月期に上昇したものの、同4−6月期(含む実績見込み)は低下したため、概ね横ばい圏内での推移となった。

ただし、先行きを示す見通しBSI(17年7−9月期、同10−12月期)は、同4−6月期と比べて改善することが見込まれていることから、先行きは緩やかに持ち直すことが期待される。

足元では依然として海外の政治・経済情勢の不透明感から株価や為替の変動リスクが懸念されるものの、「ロボット関連の受注が好調である」(金属製品)、「前年割れが続いていた軽自動車の販売も緩やかに回復しつつある」(小売)などの前向きな声もあったため、今後、県内経済で持ち直しの動きが鮮明となるか注視していきたい。

(2017年7月 江口 大暁)

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特別調査─日本版DMOの現状と設立・運営上のポイント─

2017/08/01 :自主調査(調査報告)

─DMOを通じた観光による地域活性化を目指す─

はじめに

地方創生を実現していくうえで、観光への期待が高まっている。国土交通省観光庁(以下、観光庁)「『日本版DMO』形成・確立に係る手引き(第2版)」(以下、「手引き」)によると、観光は「地域外との交流や住民の地域活動などの地域間の交流によって交流人口を拡大させ、地域を活性化させる原動力」と位置づけられている。

そして、各地の観光振興を牽引する組織として諸外国のDMOと呼ばれる観光振興組織が注目を集めている。このDMOにならい、観光庁では日本版DMOの形成・確立を推進し始めたところである。

本稿では、DMOと日本版DMOの概要について整理するとともに、県内外の日本版DMOの現状と課題に着目することにより、日本版DMOを設立・運営する際のポイントをまとめることとする。

1.DMOの概要

(1)DMOとは

DMOとは、Destination Management/MarketingOrganizationの略であり、米国や欧州各国、豪州などの諸外国において、発達してきた観光振興のための組織のことである。具体的には、地域の観光振興を図るために、統一的な権限と責任が与えられ、観光地のマネジメント活動と、対外的なマーケティングやプロモーション活動を実践していく組織である。この組織はマーケティングやブランディングなどの専門性を有する人材で構成されることが多く、活動資金も行政からの補助金ではなく、観光振興目的の宿泊税などで調達している場合が多い。

観光庁「国内外の観光地域づくり体制に関する調査業務」によると、諸外国のDMOの事例として、米国のナパバレーDMOやスイスのトッゲンブルグDMO、豪州のニューサウスウェールズ州DMOなどが紹介されている。これらのDMOの事業内容や組織体制、資金調達内容をみると、一律ではなく、国や地域によって多種多様ではある。しかし、いずれのDMOとも、観光分野やマーケティングなどで専門性を有する人材が中心となり、観光地域づくり(地域特性を踏まえた観光戦略に基づき、観光を軸とした地域の幅広い関係者が連携した地域づくり:観光庁ホームページ)や国内外でのプロモーション、観光商品開発、観光人材の育成等で主導的な役割を果たしていることでは共通している。

(2)日本版DMO候補法人とは

「( 1 )DMOとは」でみた諸外国におけるDMOにならい、観光庁では、2015年11月に「日本版DMO候補法人登録制度」を創設した。これは、日本版DMOを地域に根付かせ、それを核とした観光による地方創生を目指したものである。「手引き」によると、日本版DMO法人を「『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実施するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人」としている。

また、観光庁を登録主体として、日本版DMOの候補となり得る法人を「登録」し、登録を行った法人等に対して、関係省庁が連携して支援を行い、各地における日本版DMOの形成・確立を強力に支援していくというものである。

一方、日本版DMOをマーケティングまたはマネジメントするエリアの大きさに応じて、①複数の都道府県にまたがる広域連携DMO、②複数の地方公共団体にまたがる地域連携DMO、③単独市町村を対象エリアとする地域DMOの3 つに分けている(図表1 )。

(3)日本版DMO候補法人の登録状況

日本版DMO候補法人の登録数は着実に増えている。16年2月の第1弾登録の24件から、随時登録が行われ、17年5月の第9弾登録で累計145件となっている。内訳をみると、広域連携DMOが6件、地域連携DMOが67件、地域DMOが72件となっている(図表2 )。

このうち、地域連携DMOの登録状況を地域別にみると、登録数が多い順に中部が14件、近畿と九州が各12件、関東が10件、東北が7件、中国・四国が6件、北海道が4件、北陸(新潟県を含む、以下同じ)が2件となっている。また、地域DMOは同様に、中部が20件、関東が10件、東北と九州が各9件、近畿が8件、北陸が7件、中国・四国が5件、北海道が4件となっている。

(4)観光協会と日本版DMOとの違い

従来、地域の観光振興において中心的な役割を果たしてきた観光協会(観光連盟など)と、日本版DMOには次のような違いが生まれることが期待されている。ただし、現状では目立った違いは生まれていないものとみられる(図表3 )。

観光協会と日本版DMOとの大きな違いは自治体(行政)との関係にある。観光協会は、都道府県または市町村などからの補助金により運営されるケースがほとんどで、職員に関しても行政のOBや出向者などを受け入れている場合が多い。その結果、所在する自治体の観光行政を補完する、または地域のイベントなどの実動部隊としての役割が大きい。一方のDMOは、資金調達の面で行政からの補助金のみに依存することなく、自らの収益事業などを財源とすることが望まれる。したがって、行政との協力関係を築きながらも、自主的な事業を自ら計画・実行し、その結果を評価・改善しながら事業を継続していく、いわゆるPDCAサイクルを回した事業運営が求められている。

加えて、組織の構成メンバーについても、観光協会は観光関連事業者で多数を占められるケースが多いのに対し、日本版DMOでは観光関連以外の事業者や地域住民なども参画するケースがある。さらには、データ分析やマーケティングなどの分野ごとに専門的な人材が揃っていることが期待されている。

また、観光協会は、その活動に際して地域内での公平性を志向することが多く、かつ観光協会の構成メンバーの意向を重視する内向き志向になりがちである。一方の日本版DMOは、外からの観光客を意識した活動が多く、外向きの顧客志向であるのが一般的である。これに附随して、事業活動の範囲について観光協会は、所在する自治体のエリア内に限定されるケースがほとんどであるのに対し、DMOは地域連携などを通じて、所在自治体以外で活動する場合もある。

2. 県内における日本版DMO候補法人のうごき

(1) 県内における日本版DMO候補法人の登録状況

17年5月末現在、新潟県または県内市町村を対象エリアとする6つの法人・団体が日本版DMO候補法人として観光庁に登録されている(図表4 )。

そのうち、地域連携DMOの一般社団法人雪国観光圏は、観光庁の「観光圏整備法」に基づく観光圏整備事業において観光地域づくりを進めてきた団体である。湯沢町を始めとした県内外の7市町村で構成され、08年から活動している。また、一般社団法人信州いいやま観光局は、長野県と新潟県の9市町村で構成される広域観光連携の団体である「信越自然郷」を推進するために登録されたものである。

地域DMOの一般社団法人新発田市観光協会と一般社団法人糸魚川市観光協会は、既存の観光協会がDMO候補法人として登録されたものである。また、妙高観光推進協議会は、妙高市内のインバウンド観光を推進するために新規に結成された団体であり、今後法人化する予定である。

(2) 県内における日本版DMO候補法人の課題

「( 1 )県内における日本版DMO候補法人の登録状況」でみた6つの法人・団体のうち、一般社団法人雪国観光圏は「雪国A級グルメ」や「SAKURA QUALITY」などの事業で、観光圏内の食や宿泊施設の品質を評価・向上させていく取り組みを既に行っており、全国的にみても先進的な活動を行う日本版DMOの1 つと捉えられている。

一方、他の法人・団体は日本版DMOとしての活動を始めてから間もないというところが多く、現状では目立った取り組みはなく、今後活動が本格化していくものとみられる。

このようななか、新潟県内で主に活動している4つの候補法人(一般社団法人雪国観光圏、一般社団法人新発田市観光協会、妙高観光推進協議会、一般社団法人糸魚川市観光協会)が国に提出した「日本版DMO形成・確立計画」と4候補法人からの聞き取り調査の結果などをふまえ、県内における日本版DMO候補法人の課題について、以下のとおり整理した。

①幅広い業種からの参画が少ない

候補法人の構成メンバーは観光関連事業者が多数を占めるところが多くなっている。一部には、観光関連以外の農商工業者が参画しているところもあるものの、観光協会を母体としているところを中心に、メンバーのほとんどが観光関連の事業者で、多様な民間事業者や地域住民の参画が十分ではないと感じているところもある。結果として、活動の幅や地域への経済効果に広がりがみられないことが課題となっている。

②専門性のある人材の確保・育成が進んでいない

候補法人のなかで中心となる職員は、一部の候補法人を除いて、観光行政を長く経験してきた行政職員のOBや出向者、または観光協会の職員であることが多い。そのため、DMOらしい特徴ある活動に至っていないケースが多くなっている。したがって、マーケティングやプロモーション、データ分析などDMOで求められる専門性の高い人材の確保・育成を課題と捉えているところが多い。

③財源の行政への依存が高い

ほとんどの候補法人では、行政からの補助金収入が主たる財源となっている。一部の候補法人において、事業収入や構成メンバーからの会費収入などの財源を確保または見込んでいるところがあるが、総じて行政への依存度が高い。その結果、事業に自律性が乏しく、観光行政を補完する活動にとどまっているところが多いものとみられる。多様な自主財源の確保が課題の1 つである。

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グラフで見る県内経済2017年8月(六月の新潟県経済)

2017/08/01 :グラフで見る県内経済

概況:持ち直しの兆しがみられる県内経済。設備投資は持ち直しの兆しがみられる

生産活動:緩やかに持ち直している

4月の鉱工業生産指数(季節調整値)は、
前月比2.2%上昇して105.3となった。出荷指数は同3.4%上昇して104.0となった。在庫指数は同0.9%低下して125.6となった。

はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスは、海外からの受注回復などを背景に持ち直している。

金属製品は、建設用金属製品を中心に横ばいに推移している。

輸送機械は、自動車部品を中心に底堅い動きとなっている。

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今こそ、新潟から世界へ

2017/08/01 :感頭言

日本貿易振興機構(ジェトロ)

新潟貿易情報センター 所長       小野澤 麻衣

「新潟県でコメを生産しており、海外に販売していきたいのですが、正直何から始めれば良いのか分かりません。」

とある会合で、新潟市内のコメ農家様からのこの言葉を聞いたのは今から約1年半前でした。海外市場の動向把握、輸出実務の習得、広報資料の作成、輸送手段の確保など、実際に海外に売るためには多くの準備が必要です。しかし、この農家様は、決して規模も大きくなく、すべてが初めてである中、支援機関のサポートを活用し、試行錯誤をへながら着実に準備を進められました。その後、東京での食品見本市で複数の海外バイヤーと商談し、メールや電話での交渉を重ね、商談から約半年後、見事にドイツ、スイスへの輸出を実現されました。

工業製品、伝統産品と並び、新潟県が有する農産品・食品の底力には、2年前に赴任して以来、毎日驚かされています。野菜、果物といった生鮮品はもちろんのこと、加工品も豊富です。醸造やコメの加工などの技術面でも特筆すべきものがあると感じています。底力があるだけに、国内市場ニーズがとても高いのだと思います。しかし、世界の食市場も、安心・安全、健康、福祉、防災といった他方面ニーズにより非常に高度化しており、日本の高品質な食材を求める声は日に日に増しています。

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