11月2017

新春経済講演会を1月22日(月)に開催いたします

2017/11/20 :News

2018年 リサーチセンター新春経済講演会

日本のこれから、日本人のこれから

【講 師】お茶の水女子大学 名誉教授   藤原 正彦(ふじわら・まさひこ)  氏

【日 時】平成30年1月22日(月) 14:00~15:30(開場13:30)

【会 場】だいしホール(第四銀行本店内)

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2017リサーチ講演会「「吉越式会議」で増収増益を図る」

2017/11/15 :過去の講演会

開催日

平成29年11月15日(水)

講 師

吉越事務所     代表

吉越 浩一郎  氏(よしこし・こういちろう)氏

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今すぐできる選りすぐりのアイデア 第20回

2017/11/01 :酒井とし夫の街でみつけた『商売繁盛心理学』

ビジネス心理学講師/米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター/米国NLP心理学協会認定コーチ/ランチェスター経営認定講師 酒井とし夫 氏

こんにちは、ビジネス心理学講師の酒井とし夫です。

私はどんな商品やサービスを扱っていても、どんな業界で働いていても、ビジネスにはひとつの共通項があると考えています。

それは…、お客様は『人』である、ということ。

そして、人は『心』で好き嫌いを感じ、『心』で興味を抱き、『心』で買うか買わないかの行動を決定します。

そのため、どんな業界や職種の方々であっても、ビジネスに関わる方は人の『心』に影響を与える心理学の知識やスキルを理解しておくと、交渉、打ち合わせ、営業、広告、販促、プレゼンテーション、接客、コミュニケーションで優位に立つことができます。

私が日常生活のなかでみつけた商売に役立つ心理学的なヒントやアイデア、ノウハウを毎月紹介します。是非、あなたのご商売や会社経営に応用するにはどうしたら良いのかを考えながらお読み下さい。

大きくみえる魚

小著「小さな会社が低予算ですぐできる広告宣伝心理術」の142ページで、サンマが実物以上に大きくみえるトレイのことについて書きました。普通、スーパーの鮮魚売り場で売られている魚はトレイより小さいですよね。でも、私の知っている鮮魚店では魚の方がトレイより大きい。

魚の方がトレイより大きいと魚が実物以上に大きく、しかも身厚にみえます。この鮮魚店の店主は「人間の心理」をよく分かっていますね…ということを書きました。実はこの時、その写真が手元に無かったので右のような絵をイラストレーターに描いてもらいました。

その鮮魚店は都内にあるのですが、先日、出張の際にお店の前を通ったらちょうどそのトレイに入れて販売されている魚をみつけたので写真を撮らせてもらいました(写真参照)。

どうでしょう。尻尾がトレイから右側にはみ出しているのが分かるでしょうか。これによって魚が大きくみえるのです。前にみた時は向かって左側に頭も飛び出していましたから、もっと迫力がありました。

人は比較してものをみます。これは無意識に行われます。そのため店頭で人は無意識にトレイと魚を比較します。魚がトレイから飛び出していると、比較して「大きくみえる」「身厚にみえる」のです。もしかしたら魚の味は他のお店と変わらないのかもしれません。でも、みせ方が他のお店とは大きく異なります。この鮮魚店はいつも店頭に人だかりができています。

その鮮魚店の近くの駅ビルに宝飾品店があります。そのお店の入り口脇のショーウィンドウにはきれいなネックレスがディスプレイされています。値段は90万円です。お店の前を通るとそのネックレスが必ず目に入ります。

もし、お店に婚約指輪を買いにきた社会人カップルがこのネックレスをみたとします。「うわっ!高い!」と感じるはずです。その後、店内で婚約指輪の価格を目にすると相対的に安く感じることが多くなります。これも人は比較して価格の高さ安さを感じるからです。

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「コ・ワーキング」が創る滞在型観光

2017/11/01 :観光イノベーションで地域を元気に

株式会社 井門観光研究所 代表取締役  井門 隆夫(いかど たかお)氏

─ハブ&スポーク型観光の提案─

1.世界中でコ・ワーキング

タイ南部クラビー県のランタ島は、マングローブが生い茂るジャングルと真っ白な砂浜が続く、日本ではまだ知られていないリゾートだ。日本でいえば奄美大島あたりにあたるだろうか。

この地に、Ko Hubというリゾート型リモートオフィスがある。周辺のゲストハウスやコテージに泊まりながら、クラウド上のデータとパソコンを相手にここで仕事をしているのは、世界中から集まったコ・ワーカーたちだ。彼らの所属や職種は様々。共通するのは、本国を離れ、創造力の必要な仕事を持ち出し、自分の秘密基地でワークとライフの境目なく過ごしていることだ。ビーチではいつでもダイビングに興じることができ、近くの動物福祉センターで犬をレンタルして、散歩のボランティアもできる。簡単なランチはオフィスで提供され、夕食はコ・ワーキングの仲間たちと付近のレストランに出かけていく。彼らのなかには、Ko Hubにしばらく滞在した後、チェンマイやバリ島のオフィスに移動して働く旅人もいる。「コ・ワーキング」とは、自己裁量で仕事のできるビジネスパーソンがリモートオフィスに集まって働くスタイルのことだ。

アジアにはこうしたリモートオフィスのアライアンスが組まれ、そこで働く数千人のコ・ワーカーたちのネットワークがいくつもある。なかでも、1年で12もの都市を旅しながら、その土地のリモートオフィスで働く、「働きながら旅をする」人たちのためのパッケージプログラム “Remote Year”(remoteyear.com)は時代の先端をいく。年間5千ドルを払えば、オフィスや交通の手配をすべて代行してくれるプログラムで、組織で利用しているところもあるという。

日本では、京都のホテルミレニアルズがプログラムに参加している。その名のとおり「ミレニアル世代(1980~90年代生まれ)のためのホテル」をコンセプトとし、館内のコ・ワーキングスペースと、自由に使えるキッチン・食堂とバーがロビー代わりだ。夜寝るまで共用スペースで仕事をしたり会話をしたり。「スマートポッド」と呼ばれるベッドルームは固定扉のない簡易なキューブ型。目隠しのスクリーンを下ろせば、内側のベッドから動画をみることができる作りになっていて、とても斬新だ。

日本にいると、世界の動きについていけていないと感じるときがある。コ・ワーキングの動きもまさにそのひとつ。決められた職場で決められた時間に働き、出張や研修先で休暇を取る「ブリージャー」というスタイルや、休暇先で仕事をする「ワーケーション」という働き方にはほとんど縁がなく、プレミアムフライデーになるとパソコンをもって近くのカフェで時間をつぶすのが関の山の日本のホワイトカラーたちは、すでに世界に乗り遅れつつあるのかもしれない。

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第8回 上海/バンコク

2017/11/01 :海外現地レポート

バンコク   第四銀行コンサルティング推進部

タイにおける日本の注目度

トルコや台湾と同様に親日国として有名なタイですが、タイを訪れたりしない限りは本当に親日なのかと、なかなかイメージすることができないかもしれません。JETROの調査によれば、タイに進出している日系企業は2014年の段階で4,567社となっており、日系企業はタイの学生にとって非常に人気のある就職先です。

また、タイ国内には現在約2,800店もの日本食レストランがあり、寿司やラーメンは勿論、お好み焼きやちゃんこ鍋のお店もあります。このように数字だけをみても、タイにおいて日本の文化がいかに浸透しているかがお分かりになるかもしれませんが、今回は、実際に参加したイベントについてご紹介し、タイにおける日本への関心の高さをお伝えしたいと思います。

JAPAN EXPO IN THAILANDは日本の文化、観光、食、就職等をタイでPRするイベントで、9月1日~9月3日の3日間バンコク市内の大型デパートにて開催されました。日本ではフランスやアメリカでのJAPAN EXPOの状況がよく報道され、漫画等のサブカルチャーの面が特集されがちです。ただ、タイにおいては観光誘致を図る地方公共団体、外国人留学生の受け入れを狙う大学や高校などの教育機関、販路開拓やテストマーケティングの為に出展する企業等様々な企業・団体がアピールを行なっていました。

9月1日と9月3日の2日訪れましたが、9月1日は平日にも関わらず多くのタイ人が訪れており、最終日の9月3日(日)はそれを上回るタイ人で埋め尽くされていました。JAPAN EXPOは日本への留学や就職に関心のある若者が多く来場し、タイの若者の性格や嗜好を調査するには絶好の機会になるかもしれません。

ビジットジャパンFITトラベルフェアは個人旅行に特化したイベントで、9月22日~9月24日までの間、こちらもバンコク市内の大型デパートにて開催されました。日本政府観光局(JNTO)の調査によれば、タイ人の訪日旅行者数は2015年657千人、2016年796千人と年々増加しており、2017年も2016年を上回るペースでタイ人観光客が日本を訪れています。実際に各ブースを覗いてみると、タイ人が各地方都市や観光地へのアクセス方法、周辺施設の情報等を熱心に聞いており、その場で日本行きのフライトやホテルを予約するタイ人も多いとのことです。タイ人の多くはソンクラーンという、4月の連休中に日本を訪れ、雪や桜、温泉などを楽しみます。そして、InstagramやFacebookにそれらの写真をアップするのが彼らの楽しみ方となっています。

上記二つのイベント以外にもタイでは日本に関連した多くのイベントが行なわれています。また、タイはASEANのほぼ中心に位置し、近年注目されているベトナム、カンボジア、ミャンマーなどへのアクセスも非常に容易です。親日であり日本への関心の高いタイを足掛かりに、それらの国々への展開を検討されるのは如何でしょうか。

(バンコク派遣 日下部 尚之)

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飛田テック株式会社

2017/11/01 :探訪

循環型環境社会を創造する   飛田テック株式会社

高度な設備と技術で国内の自動車リサイクル業界を牽引するとともに、鉄スクラップ事業でも業容を大きく拡大している飛田テック株式会社。その自動車リサイクル事業開始の経緯や、現在の取り組みなどについて、飛田社長からお話をうかがいました。

代 表 者 飛田 剛一
所 在 地 上越市
創  業 1953年
社 員 数 150名
資 本 金 1,000万円
事業内容 鉄鋼資源のリサイクル、廃自動車のリサイクル

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定例調査─新潟県の景気の現状と先行き見通し ─

2017/11/01 :自主調査(調査報告)

─緩やかに持ち直している県内経済─

1.景気の現状と先行き

現 状

◎県内経済は緩やかに持ち直している

県内主要経済指標等から景気の現状を概観すると、生産活動は海外からの受注回復などにより持ち直しが続いている。雇用は人手不足感が強まり、一段と改善している。また、設備投資には持ち直しの兆しがみられる。一方、個人消費は横ばいで推移しており、住宅投資や公共投資では弱さがみられる。総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している状況にある。

新潟県が公表している景気動向指数(一致指数・3カ月後方移動平均)をみても、2016年後半より緩やかに上昇していることが確認できる(図表1)。

 

先行き

◎持ち直しの動きが広がる

生産活動は新興国や先進国の景気回復などから受注が回復しており、引き続き緩やかに上昇していく見込みである。また、個人消費は依然として日常品に節約志向がみられる。一方、2009年以降に実施された「家電エコポイント制度」や「エコカー補助金制度」などを受けた耐久消費財が買い替え時期を迎えており、個人消費の押し上げ効果が期待される。したがって県内経済は、今後、持ち直しの動きが広がると思われる。

ただし、海外の政治・経済情勢や国内政局の不透明感から株価や為替の変動リスクが懸念されており、その動向を注視する必要がある。

2.生産活動の現状と先行き

現 状

◎持ち直している

新潟県の鉱工業生産指数(季節調整値)は、17年4-6月期に前期比3.9%上昇の104.5と、3四半期連続で前期を上回っており、生産活動は持ち直している(図表2)。

生産指数を業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスが、自動車向けやスマホ向けの生産増加などから好調に推移している(図表3)。また、輸送機械は自動車部品で北米向けや中国向けなどが堅調となっており、底堅い動きとなっている。

先行き

◎緩やかに上昇していく

生産活動の先行きを業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイスは海外からの受注が回復していることなどを背景に好調が続くものとみられる。金属製品は東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や首都圏の再開発などから、作業工具や建設用金属製品を中心に堅調に推移すると思われる。また、食料品は健康志向や中食などへの需要に対応した新商品の開発・販売などから、米菓や水産練製品を中心に底堅く推移するとみられる。

総じてみると、外需関連企業では海外からの受注回復などから持ち直しが鮮明となっていることに加え、内需関連企業でも堅調に推移していることから、生産活動全体としては緩やかに上昇していくものと思われる。

3.設備投資の現状と先行き

現 状

◎持ち直しの兆しがみられる

当センターが2017年上期に実施した「企業動向調査」によると、17年度の設備投資額(含む計画)は前年度実績比3.5%減少する見込みとなっている(図表4)。なお、16年度の設備投資額は15年度実績比6.6%減少となっており、これに比べると17年度の減少幅は縮小している。

規模別にみると、大企業では17年度の設備投資額(含む計画)が前年度を下回っているものの、中堅企業では前年度実績比30.7%増、中小企業でも同9.1%増となっている。

また、17年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」「生産能力増大の為の機械・設備導入」などの順となっている(図表5)。また、非製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「店舗・工場等の新設・増改築」「情報化投資」などの順となっている。

先行き

◎持ち直す

製造業では従業員の作業負担を軽くするための設備導入がみられるほか、非製造業ではセルフレジの導入など、人手不足やIoTに対応するための設備投資の動きも広がっていることから、設備投資は今後、持ち直していくものと思われる。

4.雇用の現状と先行き

現 状

◎一段と改善している

17年4-6月期の有効求人倍率(パートを含む全数、季節調整値)は1.51倍となり、7四半期連続で前期を上回った(図表6)。その後の動きをみると、7月は1.52倍、8月は1.51倍となり、引き続き高水準で推移している。

先行き

◎高水準が続く

雇用の先行指標となる新規求人数(パートを含む全数・実数)をみると、17年4-6月期は前年比7.5%増と6四半期連続で前年を上回っている。一方、新規求職者数(同)は17年4-6月期に同5.1%減となり、27四半期連続で前年を下回っている(図表6)。

また「企業動向調査」によると、17年上期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は前期比横ばいとなったものの、依然として人手不足感の強い状況が続いている(図表7)。

企業側の採用意欲が高まる一方、求職者数の減少傾向が続いており、県内の有効求人倍率は当面、高水準が続くものとみられる。

5.個人消費の現状と見通し

現 状

◎横ばいで推移している

百貨店・スーパー販売額(全店)は、17年4-6月期に前年比0.3%減となった(図表8)。足元ではハロウィンなど特別なイベントの際に消費支出が旺盛となる、いわゆる「ハレ消費」は好調となっているものの、日常品では節約志向が続いており横ばいで推移している。

一方、家電大型専門店・ドラッグストア・ホームセンターの販売額を合計した専門量販店販売額(全店)は、17年4-6月期に前年比0.9%増となり、6四半期連続で前年を上回った(図表8)。ホームセンターなどの販売額は前年を下回っている一方、新店舗出店が続くドラッグストアは好調が続いている。

乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は、17年7-9月期に前年比7.8%増となり、4四半期連続で前年を上回った(図表8)。昨年、燃費不正問題などで低迷していた反動などから軽乗用車が好調に推移している。

総じてみると、個人消費は横ばいで推移している。

先行き

◎明るい兆しがみられる

百貨店・スーパー販売額は、日常品の節約志向を背景に、引き続き横ばいで推移するものと思われる。

専門量販店販売額は、業種によって差があるものの、新規出店が続いているドラッグストアを中心に、堅調に推移するとみられる。

乗用車新規登録・届出台数は、軽乗用車で新型車の販売効果もみられ、引き続き堅調に推移すると見込まれる。

また、2009年以降に実施された「家電エコポイント制度」などにより増加した耐久消費財の買い替え時期が訪れ始めており、個人消費全体の押し上げ効果も期待される。

一方、物価の変動に対して、賃金が上昇しているかどうかを示す指標である実質賃金指数(現金給与総額・事業所規模5人以上)をみると、17年4-6月期は前年比0.2%増と2四半期ぶりに前年を上回った(図表9)。その後の動きをみると、7月は前年比0.6%増となり、前年をわずかながらも上回る状況が続いており、個人消費にプラスの効果を与えることが期待される。

以上のことから、今後、個人消費は明るい兆しがみられると思われる。

6.住宅投資の現状と見通し

現 状

◎弱含んでいる

17年4-6月期の新設住宅着工戸数は、前年比0.7%増と2四半期ぶりに増加したものの、力強さに欠け、弱含んだままにある(図表10)。持家は2四半期連続で前年を下回ったものの、貸家は2四半期ぶりに前年を上回った。

その後の動きをみると、7月は前年比28.3%減、8月は同4.7%増となっており、一進一退の動きとなっている。

先行き

◎減少傾向となる

県内の新設住宅着工戸数は、昨年が高水準であったことから今後、その反動が見込まれる。また、持家は住宅ローンの金利上昇が見込まれないことから、様子見ムードが広がっているほか、貸家は相続税対策による需要の一服や、供給過剰感から建築を控えるケースもみられるため、先行きの住宅投資は減少傾向をたどると思われる。

7.公共投資の現状と見通し

現 状

◎弱含んでいる

公共投資の発注動向を表す公共工事請負金額は、17年4-6月期に前年比7.6%減となった(図表11)。3四半期ぶりに前年を下回っており、弱含みで推移している。

ただし、その後の動きをみると、7月は前年比12.3%減となったものの、8月は同19.5%増となり、17年度予算が本格的に執行され始めてきているものと思われる。

先行き

◎横ばいで推移

17年度の県や市町村の公共工事関連予算は補正予算も含めると前年度とほぼ同水準となっていることなどから、今後は概ね横ばいで推移するものと思われる。

(2017年10月 江口 大暁)

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自主調査─公共施設の効率的な維持管理に向けて─

2017/11/01 :自主調査(調査報告)

─みえる化と複合化、住民・民間事業者との協働が鍵─

はじめに

日本国内では、高度成長期に整備した数多くの公共施設が老朽化している。そのため、多くの自治体が財政難に直面するなか、公共施設の維持・更新や統廃合を適切に進めていくことが課題となっている。

本調査では、新潟県内における公共施設の現状を整理するとともに、県内外における公共施設の先進的な有効活用の事例をふまえたうえで、これからの公共施設の効率的な維持管理のポイントをまとめてみた。なお、本調査における公共施設とは、いわゆる箱モノを中心とした建築物や公園、プールなどを指し、上下水道や道路、橋梁などのインフラ施設は含めないこととする。

1.公共施設を取り巻く環境

(1) 国が主導する公共施設の老朽化対策

国は、公共施設の老朽化対策に動いている。公共施設等の老朽化対策に関する国全体の取り組みとして、2013年に「インフラ長寿命化基本計画(以下、『基本計画』)」を策定した(図表1)。そして14年に、地方自治体に対し「公共施設等総合管理計画(以下、『行動計画』)」を策定するよう要請した。

「行動計画」とは、過去に建設された公共施設が大量に更新時期を迎えるにあたり、地方自治体の厳しい財政状況と人口減少をふまえ包括的な対応策をまとめたものである。

この「行動計画」の対象となる公共施設は、地方自治体が所有する全ての施設である。そして、今後30年程度の総人口や年代別人口の見通しと、中長期的な維持管理・更新等のコストの見通しをふまえ、公共施設の数や延床面積等の削減に関する数値目標の設定に努めることなどが求められている。

さらには、個別施設ごとに具体的な維持管理や更新等の時期、内容などを盛り込んだ「個別施設計画」をできるだけ早期に策定することも求められている。

(2) 公共施設等総合管理計画の策定状況

17年3月末現在、「行動計画」は、国内の都道府県および政令指定都市では全自治体が策定済みである。一方、市区町村については98.1%の自治体が策定している。

新潟県の状況をみると、新潟県ならびに30市町村すべてが策定済みとなっている。ただし、「行動計画」のなかで、公共施設の数や延床面積等において削減数量や目標年度を具体的な数値で明示している自治体は、31自治体のうち8自治体のみとなっている。具体的な数値目標を掲げている市町村の例をみると、「40年間で2割の総量(延床面積)の縮減」(柏崎市「柏崎市公共施設等総合管理計画」)、「維持更新に必要な金額の30%縮減」(魚沼市「魚沼市公共施設等総合管理計画」)、「全体面積25%程度の縮減を目指す。新規整備の場合は、複合化等を基本とする」(胎内市「胎内市公共施設等総合管理計画」)などのようになっている。

2.公共施設の現状

(1)都道府県別の公共施設の現状

総務省「公共施設状況調」などをもとに、都道府県別の公共施設の現状をみてみる。現状整理に際しては、自治体が削減の数値目標の指標として掲げている公共施設延床面積(各都道府県の市町村所有分の合計で、都道府県所有分は含んでいない)を用い、人口規模を加味した住民1人あたり面積で分析している。なお、一般的に住民1人あたり面積が大きいほど、公共施設の保有が多いと考えられる。

住民1人あたり面積が最も小さい都道府県は東京都(1.99㎡)で、以下、埼玉県(2.27㎡)、神奈川県(2.41㎡)、千葉県(2.47㎡)、静岡県(3.18㎡)などとなっている(図表2)。

一方、住民1人あたり面積が最も大きい都道府県は島根県(7.06㎡)で、以下、北海道(6.61㎡)、高知県(6.00㎡)、鹿児島県(5.84㎡)、秋田県(5.84㎡)などとなっている。

新潟県の住民1人あたり面積は4.80㎡で全国の水準(3.78㎡)を約1.0㎡上回っている。これは、面積の小さい順でみると、全国で29番目となっており、全国的にみて新潟県の住民1人あたり面積はやや大きいとみられる。

(2)新潟県内における公共施設の現状
次に、新潟県の住民1人あたり面積を市町村別にみてみる。

住民1人あたり面積が最も小さい市町村は新潟市(3.42㎡)で、以下、新発田市(3.77㎡)、五泉市(3.80㎡)などとなっている(図表3)。

また、上記の新潟県全体の住民1人あたり面積(4.80㎡)を基準にしてみると、「平成の大合併」による1市町村あたりの延床面積の増加もあり、30市町村中21市町村が県全体の水準を上回っている。

(3) 公共施設の効率的な維持管理に向けた問題点

以上のように、新潟県の住民1人あたり面積は全国水準を上回っているほか、市町村によっては、新潟県の住民1人あたり面積の水準をも大きく上回っている所もみられる。

そこで、県内の各市町村が策定した「行動計画」の内容を確認するとともに、県内の自治体に聞き取り調査をした結果などをふまえ、県内の公共施設の効率的な維持管理に向けた問題点について、以下のとおり整理した。

①庁内・住民の合意形成が難航

ほとんどの市町村の「行動計画」には、公共施設の総量や維持費を削減することが明記されている。そして、その基本方針に基づき「個別施設計画」の策定に着手している市町村がほとんどである。

しかし、「個別施設計画」の策定に際しては、個別施設ごとに、個別施設に関連する庁内の部署はもとより、利用者である地域住民の理解が求められる。

その際、削減の対象となる個別施設については、庁内・住民とも削減反対の意見が出やすく、合意までに時間がかかる場合や、容易に合意が得られないことも多くなっている。その結果、「個別施設計画」の策定が進まず、具体的な対策に乗り出せないという問題がある。

②総量が削減されない懸念

新潟県内の市町村の「行動計画」をみると、計画的に公共施設の現状維持や修繕等を進めることで、公共施設の長寿命化を図る方針を盛り込んだものが多くなっている。長寿命化自体は問題ではないが、長寿命化と併せて、統廃合に取り組まないと総量削減(公共施設の数と延床面積の削減)が進まないことが懸念される。

③施設統廃合後の跡地の賃貸・売却等が困難

公共施設の統廃合を進めると、遊休施設や遊休地が発生するケースが多い。その賃貸・売却を検討すると反対意見が表明され、容易に賃貸・売却に向けた手続きに入れない場合があるほか、そもそも賃貸・売却先の確保が難しいこともあるとみられる。

また、遊休地に新たな公共施設の設置を要望されるケースもあり、遊休地の賃貸・売却等が進みにくい場合もある。

(4)県内における公共施設の有効活用事例

このようななか、県内において遊休施設を有効活用している事例として、本稿では南魚沼市の事例をみてみる。

【南魚沼市     旧議場を活用したコールセンター

◎合併により空きスペースが発生

南魚沼市は、2004年11月に旧六日町と旧大和町が合併して誕生した。その後05年10月に、旧塩沢町が編入合併することで現在に至っている。

この合併により、旧3町の行政組織や保育園・小学校などが統廃合されることで、旧3町が有していた役場庁舎の一部や保育園・小学校などの施設のなかに遊休施設が生じた。

一方、07年4月に、改正地方自治法が施行され、行政財産である庁舎の一部を長期的かつ安定的に貸し付けることが可能になった。これを受けて、同市では、遊休施設となった行政財産の一部または全部について、民間事業者などとの間で賃貸借契約を結べる素地が整った。

◎旧町議会議場にコールセンターを誘致

同市では、上記のような遊休施設の有効活用とは別に、新たな産業・企業誘致にも注力していた。その案件の一つとして、ヤマト運輸株式会社(東京都)からのコールセンター進出の打診があり、同市は積極的かつ親身に同社からの相談に対応していた。

このようななか、同市から旧塩沢町役場(現在の南魚沼市塩沢庁舎)の遊休部分をいくつか紹介する過程で、旧町議会議場部分をヤマト運輸に賃貸することとなった。

賃貸借契約に際しては、公用部分の改修は同市が費用を負担し、旧議場部分はヤマト運輸が費用を負担して改修工事を行なった。これにより、同市は改修にかかる費用負担を抑えることができた。また、ヤマト運輸も企業立地に関する同市と新潟県からの補助制度を活用することができた。

このヤマト運輸との旧議場の賃貸借契約により、同市にとっては大きく2つの効果があった。

1つ目は、賃貸による家賃収入を得ることができたことである。家賃収入は年間約1,200万円で、他にも法人市民税の収入も得ることができている。

2つ目は、地元雇用の拡大につながったことである。100名規模の新たな雇用の場を市内に作ることができた。

◎他の遊休施設にも展開

同市では、上記の事例の他にも、いくつかの行政庁舎や廃校となった校舎等の一部または全部を民間事業者や各種団体などに賃貸等している。これにより、公共施設の有効活用を図ることで家賃収入という新たな財源を確保している。

今後も、遊休施設が発生する可能性があることから、同市では引き続き遊休施設に関する情報発信と、借り手に関する情報収集に努めていきたいとしている。

3.県外における管理運営事例

全国には、国による指針が示される前から、独自で公共施設の削減や効率的な維持管理に取り組んできた自治体がある。本稿では、施設の有効活用や統廃合を積極的に進めてきた秦野市(神奈川県)と公共施設の複合化に取り組んでいる習志野市(千葉県)の2つの事例を紹介することとする。

【(1)神奈川県秦野市 市役所敷地内へのコンビニ誘致他

◎市役所敷地内にコンビニ誘致

秦野市は、全国でもいちはやく公共施設の再配置に取り組んだ自治体として知られている。

同市は、庁舎の敷地の一部を2007年から定期借地契約でコンビニエンスストアに賃貸している。同市は土地のみを貸し付けているもので、建物はコンビニエンスストアが建設したものである。店内には同市の観光協会も同居しており、同市の土産品や名産品も販売している。また、市民向けに住民票の受け取りや図書館で借りた書籍の返却、市の刊行物などの購入を24時間可能にしており、住民サービスを向上させているうえ、賃料収入を市庁舎の維持修繕費にあて、市の財政を補っている。

◎コンビニエンスストア誘致を契機に公共施設の再配置を検討

コンビニエンスストアへの賃貸事業を契機に、公共施設の有効活用について検討を始めた同市は08年、市内の公共施設の再配置を検討する専任部署を設置した。そして09年に、将来の人口構成や財政状況、公共施設の現状分析と課題をまとめた「公共施設白書」を公表した。さらにその1年半後には、施設更新の優先順位や目標値を定めた「公共施設再配置計画(以下、『再配置計画』)」を策定した。

「再配置計画」では、公共施設の再配置に関する基本方針として、①更新投資を除き、新規投資は凍結、②市内施設総量の圧縮(残す施設は、義務教育、子育て、行政事務の3つを優先)、③余剰施設は売却・賃貸、④市内施設は専任部署が一元的にマネジメントを行なう、という4つの方針を掲げた。さらに、施設総量の数値目標として、今後40年間で延床面積を31%減らすことを明示している。そして、「公共施設白書」や「再配置計画」の内容については、市報やホームページなどで市民に周知してきた。また、住民説明会の場などにおいて、それらに明示された客観的なデータを使っての説明を心がけてきた。

◎住民サービスの向上を担保した再配置
同市は「再配置計画」にもとづき、住民サービスの機能を維持しながら施設総量を順次減らしている。廃止できるものから地道に廃止を進めるとともに、住民サービスの維持・向上も視野に入れた目玉となる公共施設の再配置事業を進めている。

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