自主調査(調査報告)

新潟県の景気の現状と先行き見通し

2018/11/01 :自主調査(調査報告)

─ 緩やかに持ち直している県内経済 ─

1景気の現状と先行き

現状

◎県内経済は緩やかに持ち直している

県内主要経済指標等から景気の現状を概観すると、設備投資は緩やかに増加している。生産活動や個人消費は緩やかに持ち直している。一方、住宅投資は弱含んでおり、公共投資は減少しつつある。総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している。

新潟県が公表している景気動向指数(一致指数・3カ月後方移動平均)をみても、2018年第2四半期から緩やかに上昇していることが確認できる(図表1)。

※)景気動向指数とは、生産、雇用、消費など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標である

先行き

◎概ね横ばい圏内で推移する見通し

個人消費は価格が高くても品質の良いモノやこだわりのあるモノを求める消費行動もみられており、緩やかに持ち直していくとみられる。生産活動は海外からの需要が底堅さを維持するとみられることから、引き続き高水準で横ばいに推移する見込みである。一方、住宅投資は貸家を中心に低水準での推移が続く見通しである。総じてみると、県内経済は概ね横ばい圏内で推移すると思われる。

ただし、米国の通商政策の動向によっては輸出が下振れし、受注の減少などの影響が起きることも想定されるため注視していく必要がある。

2生産活動の現状と先行き

現状

◎緩やかに持ち直している

新潟県の鉱工業生産指数(季節調整値)は、18年4−6月期に前期比5.5%上昇の104.0となり、4四半期ぶりに前期を上回った(図表2)。

生産指数を業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械は国内の設備投資の増加を背景に堅調に推移している(図表3)。電子部品・デバイスはスマートフォンや車載向けなどの受注が増加していることから緩やかに回復している。金属製品は首都圏の再開発などから作業工具や鉄骨などが伸びており前年を上回っている。一方、化学は低水準での動きとなっている。

先行き

◎高水準で横ばいに推移する

生産活動の先行きを業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械は国内企業の積極的な設備投資計画を受けて生産が増加するほか、海外からの受注が引き続き好調であることから、堅調に推移するとみられる。金属製品は東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や首都圏の再開発などから、建設用金属製品を中心に好調な動きとなるとみられる。食料品は高齢者や共働き世帯の増加を背景に包装米飯などが伸びているほか、米菓なども安定的な生産が見込まれることから、底堅い推移が続くと思われる。

今後も世界的な景気回復を受けて国内外の受注は堅調に推移するとみられる。ただし、西日本豪雨や台風、北海道胆振東部地震など相次ぐ災害を受け、部材の供給・輸送の停滞などにより生産活動への影響が懸念されることから、生産活動全体としては高水準ながら横ばいで推移すると思われる。

3設備投資の現状と先行き

現状

◎緩やかに増加している

当センターが2018年上期に実施した「企業動向調査」によると、18年度の設備投資額(含む計画)は前年度実績比20.8%増加する見込みとなっている(図表4)。なお、17年度の設備投資額は16年度実績比0.7%減少とほぼ前年並みにとどまったこともあり、18年度は大幅な増加に転じている。

業種別にみると、一部大手企業の大型投資もあり、製造業は17年度実績比30.5%増となっている。また、非製造業も同1.3%増と小幅ながら上昇している。18年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」「生産能力増大のための機械・設備導入」などの順となっている(図表5)。一方、非製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「店舗・工場等の新設、増改築」「情報化(IT)投資」などの順となっている。

なお、県内の工場建設や新規出店などを示す非居住用建築物着工床面積をみると、18年4-6月期は前年比14.8%増となり、2四半期連続で前年を上回った(図表6)。

先行き

◎緩やかな増加傾向が続く

製造業では人手不足を補う目的のほか、生産性向上に向けた取り組みの一環として、省力化・合理化投資や情報化(IT)投資が積極化している。一方、非製造業では店舗の新設や老朽化した店舗の増改築などに着手する動きもみられる。

人手不足の早期解消が見込まれないうえ、働き方改革により労働時間の制約があるなかで生産性向上が今後さらに求められることから、設備投資は緩やかな増加傾向が続くと思われる。

4雇用の現状と先行き

現状

◎改善が続いている

18年4-6月期の有効求人倍率(パートを含む全数、季節調整値)は1.71倍となり、11四半期連続で前期を上回った(図表7)。その後の動きをみると、7月は1.74倍、8月は1.71倍となり、引き続き高い水準で推移している。

先行き

◎高水準が続く

雇用の先行指標となる新規求人数(パートを含む全数・実数)をみると、18年4-6月期は前年比8.2%増と10四半期連続で前年を上回っている。一方、新規求職者数(同)は18年4-6月期に同2.8%減と31四半期連続で前年を下回っている(図表7)。

また「企業動向調査」によると、18年上期の従業員の過不足を示す雇用BSI(「過剰」−「不足」)は2期連続で低下しており、人手不足感の強い状況が続いている(図表8)。

景気が緩やかに持ち直しているなか、企業の活発な人材確保の動きが続く一方、離職者の数は前年を下回って推移しており求職者数の減少傾向は続いていることもあり、県内の有効求人倍率は当面、高水準が続くものとみられる。

5個人消費の現状と見通し

現状

◎緩やかに持ち直している

百貨店・スーパー販売額(全店)は、18年4-6月期に前年比3.3%増となり、4四半期連続で前年を上回った(図表9)。スーパーでは比較的単価の高い生鮮食品や惣菜の売れ行きが堅調であるほか、6月から気温の高い日が続いたことで夏場にかけて飲料などが伸びたため、販売額が前年を上回った。また、家電大型専門店・ドラッグストア・ホームセンターの販売額を合計した専門量販店販売額(全店)は、18年4-6月期に前年比2.9%増となり、10四半期連続で前年を上回った(図表9)。ホームセンターの販売額は前年並みであった一方、ドラッグストアでは積極的な新店舗の出店が続いたことから好調を維持している。

一方、乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は、18年4-6月期に前年比1.6%増、7-9月期に同1.9%減となり、17年7-9月期から横ばい圏内での推移が続いている(図表9)。新型車効果の一巡から小型乗用車が振るわなかったものの、高齢者を中心に安全装置が搭載された自動車に買い替える動きなどがみられた。

業態によって販売動向はやや異なるものの、総じてみると、個人消費は緩やかに持ち直している。

先行き

◎緩やかな持ち直しが続く

百貨店・スーパー販売額は、スーパーを中心に緩やかな回復傾向が続くものと思われる。消費者の中食需要の高まりを受けて惣菜などが堅調に推移するとみられる。専門量販店販売額は、ドラッグストアで新規出店が続いていることなどから前年を上回って推移すると思われる。また、乗用車新規登録・届出台数は、年末頃から消費増税前の駆け込み需要が期待されることから前年を上回って推移するとみられる。

一方、物価の変動に対して、賃金が上昇しているかどうかを示す指標である実質賃金指数(現金給与総額・事業所規模5人以上)をみると、18年4-6月期は前年比0.2%減と2四半期連続で前年を下回った(図表10)。名目賃金は緩やかな上昇傾向にあるものの、原油価格などの上昇を背景にガソリン代や電気代などの値上がりから物価も上昇している。そのため、所得環境は前年よりもやや悪化しており、消費者心理にマイナスの影響を与えている。

以上のように、百貨店・スーパー販売額、専門量販店販売額などの各種消費関連の指標は回復しているものの、所得環境の改善がみられないことから、個人消費の持ち直しは緩やかなものにとどまると思われる。

6住宅投資の現状と見通し

現状

◎弱含んでいる

18年4-6月期の新設住宅着工戸数は、前年比18.1%減となった(図表11)。内訳をみると、持家と貸家は2四半期ぶりに前年を下回った。貸家については相続税対策の需要が一巡したことから、同45.0%減と前年を大幅に下回っている。

その後の動きをみると、7月は前年比2.5%減、8月は同22.0%増となり、一進一退での推移となっているものの基調としては弱含んでいる。

先行き

◎減少傾向で推移

県内の新設住宅着工戸数をみると、持家は消費税増税前の駆け込み需要が相応にみられると思われるものの、14年4月に実施された増税時(以下、前回増税時)と比べ引き上げ幅が小さいことや住宅ローン減税の拡充による購入負担の軽減策が期待されることから、前回増税時よりも需要の振れ幅は小さくなると思われる。また、貸家は相続税対策による需要の一巡などから前年を下回って推移するとみられる。これらのことから、先行きの住宅投資は減少傾向となると思われる。

7公共投資の現状と先行き

現状

◎減少しつつある

公共投資の発注動向を表す公共工事請負金額は、18年4-6月期に前年比5.8%増となった(図表12)。公共工事補正予算の執行時期が後ずれしたことなどの影響により、3四半期ぶりに前年を上回った。その後の動きをみると、7月は同9.5%増となったものの8月は同12.0%減と大幅に前年を下回っており、基調としては減少しつつある。

先行き

◎減少傾向となる

18年度の公共工事関連予算は市町村を中心に前年度を下回る計画となっており、大規模な工事の予定もないことから、今後は減少傾向に転じると思われる。

(2018年10月 近 由夏)

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新潟県内における大卒者採用の現状と推進のポイント

2018/11/01 :自主調査(調査報告)

─県内における有効な採用活動とは─

はじめに

当センターでは今年5月、県内1,000社※1に「新規学卒者を対象とした正社員の採用活動におけるアンケート調査」(以下、「採用活動におけるアンケート」)を行なった。このなかで2017年度、新規学卒者(大学や専門学校、高校を含む)を対象として、正社員の採用活動を行なった370社に採用状況を尋ねたところ、採用人数が「予定していた人数を下回った」という回答割合が54.9%となった。県内企業の半数超において、予定通りの人数が確保できない状況となるなど、県内企業の採用活動は厳しさを増している。

そこで、県内における採用の現状や取組事例、採用を進める際のポイントなどを紹介する。なお、全国的にみると、就職者数が最も多い大学卒業者(以下、大卒者)を、本稿の主な対象とする。

※1 本調査では事業所を含むが、社と表記する

1採用を取り巻く環境

(1)人手の不足感と採用意欲の強まり

当センターが半年毎に行なっている「企業動向調査」によると、県内企業における雇用(正社員)の過不足を示す雇用BSI※2は、2018年上期に▲38.6となり、人手の不足感は強まっている(図表1)

人手の不足感から、企業の採用意欲も高まっている。例えば、県内に特化している就職支援サイト(大卒者などに企業の就職情報を提供するウェブサイト)である「にいがた就職応援団ナビ」に登録している企業数は増加している。08年に200社程度の登録数であったが、18年には428社とほぼ倍増している。

一方で、新潟労働局「新規学卒者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)」によると、県内の大卒者の入社3年目までの離職率は、概ね3割前後で推移しており、高止まりが続いている。このため、採用を継続して行なっていても、人手の不足感解消につながらないケースもある。

※2 正規雇用人員が「過剰」と回答した割合から、「不足」と回答した割合を引いた数値

(2)学生優位の売り手市場
大卒者における労働市場は人手不足を背景に、学生優位の「売り手市場」となっている。文部科学省「大学卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」によると、2018年3月に卒業した大卒者の就職率は98.0%に達している(図表2)。リーマン・ショック後の10年から上昇傾向が続いており、07年の本調査開始以来、過去最高となっている。

(3)業種や従業員規模でのミスマッチ
リクルートワークス研究所「第35回ワークス大卒求人倍率調査」によると、2019年卒の大卒者(大学院卒も含む)を対象とした全国の求人倍率は1.88倍となっている(就職希望者1人に対し1.88件の求人がある状況、図表3)。

業種別でみると、流通業が12.57倍、建設業が9.55倍と1倍を大きく超えているほか、製造業も1.97倍となっており、業種によっては採用が難しい状況となっている。一方、サービス・情報業(0.45倍)、金融業(0.21倍)は1倍を下回っている。

従業員規模別にみると、「300人未満」が9.91倍と最も高く、採用が難しい状況にある。以下「300〜999人」(1.43倍)、「1,000〜4,999人」(1.04倍)、「5,000人以上」(0.37倍)となっている。

(4)県内への就職者数の減少

新潟労働局「平成30年3月新規学校卒業者の職業紹介状況」(平成30年6月末日現在、最終)によると、県内にある大学の2018年3月卒業者のうち、就職を希望する求職者数は3,966人となっている(図表4)。また、求職者のうち県内に就職した数は1,955人である。求職者数は増加傾向にあるものの、県内就職者数は14年3月卒をピークに減少傾向となっている。

このため、求職者のうち県内に就職した割合である県内就職構成比は18年3月卒で49.3%となっており、13年3月卒をピークに低下傾向にある。

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VR活用の現状と普及に向けた課題

2018/10/01 :自主調査(調査報告)

─自社の課題解決手段としてのVR─

はじめに

近年、VR(Virtual Reality:仮想現実。以下、VR)と呼ばれる技術の活用が急速に広まっている。「VR元年」とも称される2016年以降、VRを体験する際に使用するヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)と呼ばれる機器が出回るようになっているほか、ゲーム業界およびアニメや映画などのエンターテインメント(以下、エンタメ)業界などを中心にVRコンテンツ※も数多く制作されている。

一般的にVRの実用化が先行している業界は、上記のゲーム業界やエンタメ業界などといわれている。しかし、上記の2つの業界以外にも不動産や観光、医療、教育、建設など様々な業界へと活用が進み始めている。

本稿では、VRの活用状況を整理するとともに、県内におけるVRの活用事例をふまえたうえで、VR普及に向けた課題を整理することとする。

※  HMDなどのVRを体験するための機器に対応した360°動画やゲームなどのこと

1VRとは

(1)VRとは

VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)は「仮想現実」と一般的に訳される。その他には「仮想現実感」や「人工現実感」などと訳されることもある。

具体的にVRとは、主にコンピュータや電子技術を用いて実際には存在しない空間を作り出し、人間の視覚や聴覚などの五感を刺激し、あたかも現実の空間にいるかのように疑似体験をさせる技術のことである。「バーチャル=仮想」という言葉の印象から、コンピュータグラフィックス(以下、CG)で作り上げた空間や架空の世界の空間を疑似体験することを連想しがちであるが、それだけがVRではない。実在する観光地や自然景観などの映像を使って作り上げたバーチャルな空間に入りこむことで、現実の観光地や自然景観などに実際にいるかのような疑似体験をすることもVRである。

例えば新潟県内では、株式会社新潟放送が「VRNIIGATA」という360°動画アプリを開発し、県内の観光名所やイベントなどの疑似体験が可能な動画コンテンツを配信している。そのアプリをスマートフォン(以下、スマホ)にダウンロードし(アプリのダウンロードは無料)、スマホ用のHMDを使うと、レインボータワー(新潟市)や美人林(十日町市)、長岡花火(長岡市)などの新潟県内の観光名所やイベントの魅力をどこにいても疑似体験することができる。

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建設業におけるICT活用の現状

2018/09/03 :自主調査(調査報告)

─建設現場での作業の効率化や安全性の向上に取り組む─

はじめに

2017年の建設業就業者数は498万人となり、1997年の685万人をピークに減少傾向にある。現在、建設現場で働いている技能労働者340万人のうち、約110万人は今後10年間で高齢化等のために離職する可能性があり、人手不足が一層深刻となっている。そのため、工期短縮に向けた作業の効率化と安全性に配慮した施工精度の向上を同時に実現する生産性向上が課題となっている。

一方、国はICTの活用により建設業の生産性を向上させ、魅力ある建設現場の実現を目指す「i-Construction」の施策のひとつとしてICTの活用を推進している。

そこで本レポートでは、建設業界を取り巻く環境を整理するとともに、国が推進するICTを活用した工事の概要やICTの活用により作業の効率化や安全性の向上などに取り組む県内外企業の事例を紹介する。

1建設業界を取り巻く環境

(1)建設業就業者数の減少と高齢化の進行

総務省「労働力調査」によると、2017年の建設業就業者数は498万人となった(図表1)。就業者数は、建設投資の減少のほか、若年層を中心とした新規入職者の落ち込みなどから減少傾向にある。

続いて就業者の年齢構成の推移をみると、17年は34歳以下の若年層の割合が18.5%となり、00年と比べて11.8ポイント低下している(図表1)。これに対し17年の55歳以上(高齢者層)の割合は34.1%と3割台半ばとなっている。00年と比べて9.3ポイント上昇しており、就業者の高齢化が進行している。

一方、国勢調査をもとに新潟県内における建設業就業者数をみると、15年は11万3千人となり、00年の15万9千人から約5万人減少している(図表2)。また年齢構成をみると、34歳以下は00年の27.2%から15年には18.2%へと低下している(図表2)。一方、55歳以上の割合は00年の25.7%から15年の38.0%へと10ポイント以上上昇しており、全国と同様、高齢化が進んでいる。

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新規学卒者を対象とした正社員の採用活動に関するアンケート調査

2018/08/01 :自主調査(調査報告)

─学校や学生との繋がりの強化が採用のポイント─

はじめに

 新潟労働局の「平成30年3月高等学校・大学等新規卒業予定者の職業紹介状況(平成30年1月末日現在)」によると、県内における新規学卒者(2018年3月卒)の就職内定率は高等学校卒で97.8%、大学等卒で88.4%といずれも過去最高の水準となっている。一方、県内への就職率(県内就職内定構成比)は高等学校卒で87.3%、大学等卒で58.5%と緩やかに低下しており、最近10年間でみると最低の水準となっている(図表1)。このように就職率が高い、いわゆる売り手市場のなか県外への人材流出もあり、県内企業は新規学卒者の採用に苦労していることがうかがえる。

そこで、当センターでは県内の新規学卒者(高校や大学、専門学校を含む)を対象とした正社員の採用活動の状況を把握するために、県内企業1,000社(有効回答644社)を対象にアンケート調査を行なった。以下はその結果である。

1正社員の採用活動の有無

─6割弱が正社員の採用活動を実施─

 新規学卒者を対象に、2017年度の1年間で正社員(18年4月入社)の採用活動を行なったかどうかを尋ねたところ、「採用活動を行なった」と回答した割合は57.5%となった(図表2)。

規模別にみると、「採用活動を行なった」と回答した割合は、大企業で100.0%、中堅企業で88.9%となっているのに対し、中小企業で52.6%にとどまっている。

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新潟県企業動向調査2018年上期

2018/08/01 :自主調査(調査報告)

─業況感は概ね横ばいで推移 先行きは仕入価格や人件費の上昇が懸念材料─

1業況感

(1)全産業

─足元、先行きとも業況感は、横ばいで推移─

2018年1-3月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲2.5となった。海外需要が堅調であるほか、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い首都圏で建設需要が増加したため、17年10-12月期の▲7.1から4.6ポイント上昇し、県内企業の業況感は改善した(図表1)。

続く、18年4-6月期(含む実績見込み)は▲8.5となり、同1-3月期比で▲6.0ポイントと低下したものの、基調としては17年7-9月期以降、概ね横ばい圏内で推移している。

先行きを示す見通しBSIは、18年7-9月期が▲4.8、続く同10-12月期は▲8.4と、同4-6月期の実績見込みに比べ、ほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は18年1-3月期が3.8となり、17年10-12月期比0.7ポイント上昇し、3四半期連続で「良い」超となった(図表2)。

続く18年4−6月期は▲2.4となり、同1-3月期比6.2ポイント低下した。内訳をみると、食料品や窯業・土石、一般機械といった業種で上昇したものの、木材・木製品や輸送機械、繊維などで低下した。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「受注数量の増加と効率化による改善の結果、業績が好転している」(窯業・土石)、「オリンピック関連の本格的な着工開始や設備投資の増加により、需要は堅調である」(一般機械)、「海外向けの売上が増加している」(電気機械)といった声がある一方、「工場全体の稼動を落としている」(繊維)、「人手不足や原材料入荷の遅れ、受注先自体の生産能力オーバーに伴う受注のキャンセルが響き、業績は上向いていない」(その他製造)といった声が聞かれた。

非製造業は18年1-3月期が▲7.1となり、17年10-12月期比7.3ポイント上昇した。

続く18年4-6月期は▲12.9となり、同1-3月期比5.8ポイント低下した。内訳では、卸売やサービス他などが上昇したものの、建設や運輸で低下した。

非製造業の業況については「海外向けプラントの案件の受注が増えている」(卸売)といった声がある一方、「人材不足により受注量を調整しなければならないときもあり、売上を伸ばせない」(建設)といった声が寄せられた。

先行きについては製造業では18年4-6月期と比べて上昇する一方、非製造業は低下する見通しとなっている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、18年1-3月期は大企業が9.1、中堅企業が2.2、中小企業が▲3.5となった。17年10-12月期比では中堅企業や中小企業は上昇したものの、大企業では低下した(図表3)。

続く18年4-6月期は大企業が3.0、中堅企業が2.2、中小企業は▲9.9となった。同1-3月期と比べると、中堅企業は横ばいで推移したものの、大企業や中小企業は低下した。

先行きは大企業や中小企業でやや上昇するものの、中堅企業では低下する見通しである。

2生産・売上

─生産・売上は3期ぶりに「減少」超幅が拡大─

18年1-6月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」-「減少」)は▲3.8となった(図表4)。17年7-2月期(以下、前期)から1.5ポイント低下し、3期ぶりに「減少」超幅が拡大した。業種別にみると、製造業は4.2となり前期から6.3ポイント低下した。内訳をみると、木材・木製品、一般機械などが低下した。また、非製造業は▲9.6となり、前期から1.8ポイント上昇した。内訳では、小売、運輸などで上昇した。

生産・売上については「消費者の簡便志向の拡大により、調理済みの商品の販売が好調である」(小売)といった声が寄せられる一方、「統廃合などにより受注先が減少し、売上が減っている」(一般機械)といった声が聞かれた。

先行きを示す18年7-12月期(以下、来期)のBSIは▲2.8と今期に比べて1.0ポイント上昇する見通しとなっている。

3仕入・販売価格

(1)仕入価格

─3期連続で「上昇」超幅が拡大─

今期の仕入価格BSI(「上昇」-「低下」)は46.0となった(図表5)。前期から7.0ポイント上昇し、3期連続で「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業は54.9となり前期から10.3ポイント上昇した。内訳をみると、鉄鋼、輸送機械などの業種で上昇した。非製造業は39.6となり、前期を4.6ポイント上回った。内訳では、運輸、小売などで上昇した。

仕入価格については「原油価格が3年ぶりの高値となっており、灯油価格の上昇による悪影響を懸念している」(金属製品)、「燃料価格の高騰で利益が減少している」(運輸)との声があった。

来期のBSIは44.3となり、今期に比べて1.7ポイントの低下と概ね横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)販売価格

─3期連続で「上昇」超幅が拡大─

今期の販売価格BSI(「上昇」-「低下」)は9.1となった(図表5)。前期から2.1ポイント上昇し、「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業が4.9となり前期から4.2ポイント上昇した。また、非製造業も12.1となり前期から0.7ポイント上昇した。

販売価格については「売上が好調な冷凍食品向けの商材は値上げができている」(食料品)、「鋼材や消耗品などの価格上昇により、販売価格も上がっている」(鉄鋼)などの声がある一方、「災害復旧工事や新設・保全工事などの大型案件は価格競争が厳しい」(卸売)といった声が寄せられた。

来期のBSIは8.4となり、今期に比べて0.7ポイント低下とほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

4採 算

(1)採 算

─2期ぶりに悪化─

今期の採算BSI(「好転」-「悪化」)は▲11.6となった(図6)。前期比3.4ポイント低下し、2期ぶりに悪化した。

業種別にみると、製造業は▲10.8となり前期比8.4ポイント低下となった。内訳をみると、木材・木製品、鉄鋼などの業種で低下した。非製造業は▲12.1となり、同0.3ポイント上昇した。内訳では、サービス他、建設などの業種で上昇した。

採算については「高付加価値商品を投入したことにより販売価格の引き上げに成功した。その結果、採算が大幅に改善した」(サービス他)といった声がある一方、「最低賃金の上昇やパート比率が低下したことにより、労務費が増加しており、収益性が悪化している」(食料品)、「原材料価格高騰による仕入価格の上昇分を製品の販売価格に反映できず、採算が悪化している」(金属製品)といった声も聞かれた。

来期のBSIは▲7.3となり今期に比べ4.3ポイント上昇する見通しとなっている。

2)採算好転・悪化の理由

─ 好転要因では「売上数量の増大」「高付加価値製(商)品の比率拡大」、悪化要因では「売上数量の減少」「仕入価格の上昇」が上位─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(74.4%)の回答割合が最も高く、以下「高付加価値製(商)品の比率拡大」(18.6%)、「販売価格の上昇」(15.1%)、「経営の合理化」(12.8%)、「新鋭設備の導入」(9.3%)などが続いた(図表7)。

なお、17年下期調査と比べると、「新鋭設備の導入」と「高付加価値製(商)品の比率拡大」の割合が高くなっている。

一方、今期の採算が「悪化」した理由では「売上数量の減少」(72.7%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(40.0%)、「人件費などの固定費負担の増加」(32.1%)、「競争の激化」(13.9%)などが続いた(図表8)。

なお、17年下期調査と比べると、「仕入価格の上昇」と「人件費などの固定費負担の増加」などの割合が高くなっている。

5雇 用

(1)全産業・業種別

─雇用の不足感が一層高まっている─
 
今期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は▲38.6となり、前期比2.3ポイント低下した(図表9)。継続的に雇用BSIの調査を開始した1993年下期調査以来、最も水準が低かった17年下期調査をさらに下回り、雇用の不足感は一層強くなった。

業種別にみると、製造業は前期比0.8ポイント上昇の▲30.8となり、「不足」超幅が縮小した。内訳をみると、食料品や木材・木製品などで雇用BSIが上昇している。非製造業は前期比4.5ポイント低下し▲44.2となった。内訳では、小売、運輸などで低下した。

雇用については「若い人材の入社が少なく、社内の高齢化が進んでいる」(鉄鋼)、「技術系人員が特に不足しており、受注を受けられない状況となっている」(建設)、「人手不足により人件費が上昇している」(サービス他)などといった声があった。

(2)職種別

─「サービス」「営業・販売」などで「不足」超幅が拡大─

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で「不足」超幅が最も大きく、以下「営業・販売」「生産・建設」などが続いている(図表10)。

17年下期と比べると、「サービス」「営業・販売」などの職種で「不足」超幅が拡大した。

6設備投資

(1)設備投資計画

─18年度の設備投資額は、前年度を上回る見通し─

18年度における設備投資の実施企業割合(含む計画)は55.1%となり、17年度実績を4.7ポイント下回る見込みとなっている(図表11)。

実施企業割合を業種別にみると製造業が66.8%、非製造業が46.7%となった。

18年度の設備投資額(含む計画)は、17年度実績比20.8%増となる見通しである(図表12)。

業種別にみると、一部大手企業の大型投資もあり、製造業は17年度実績比30.5%増となっている。内訳をみると、精密機械、その他製造業などの業種で増加している。また、非製造業も同1.3%増となっており、小売、建設などの業種で増加している。

規模別にみると、すべての規模で17年度実績を上回っており、大企業が前年度比40.7%増、中堅企業が同0.5%増、中小企業が同4.1%増となった。

(2)設備投資の目的

─「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが上昇─

18年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(67.3%)の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」(30.3%)、「生産能力増大のための機械・設備導入」(29.0%)などの順となっている(図表13)。

17年度実績と比べると、「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが上昇した一方、「土地購入」「店舗・工場等の新設、増改築」などが低下した。

7経営上の問題点

─4期連続で「人材不足」がトップ─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(64.9%)の回答割合が4期連続で最も高くなった。以下「生産・受注・売上の不振」(38.9%)、「先行き見通し難」(38.8%)、「仕入価格の上昇」(37.4%)などが続いている(図表14)。

17年度下期調査と比べると、「人材不足」「仕入価格の上昇」「人件費の増加」などの割合が上昇した一方、「リスク管理体制の弱さ」「販売価格の低下」「競争の激化」などの割合は低下した。

経営上の問題については、「人手不足や働き方改革による長時間労働の抑制により、外注費が増えており収益悪化の要因となっている」(その他製造)、「売上が伸びている部門はあるが、人件費の増加や運送費の値上げにより利益幅が少なくなっており、改善策を検討している」(小売)などといった声があった。

8賃 金

(1)賃上げの状況

─3割超の企業がベースアップを実施─

18年度におけるベースアップの実施予定を尋ねたところ、「実施した」と回答した企業の割合は32.1%となった(図表15)。また、定期昇給を「実施した」と回答した企業の割合は60.0%となった。

なお、ベースアップを「実施した」「実施を検討中」を合わせた『ベースアップに前向き』な回答割合は46.3%となり、前年同時期に行なった「2017年上期企業動向調査(以下、前年調査)」に比べると、3.8ポイント上回っている。

(2)賃金の引き上げ率

─引き上げ率は「1.5%以上2.0%未満」が最も高い─ 

18年度にベースアップもしくは定期昇給を「実施した」または「実施を検討中」と回答した企業に、賃金の引き上げ率について尋ねたところ、「1.5%以上2.0%未満」(27.0%)の回答割合が最も高く、以下「1.0%以上1.5 % 未満」(26.3 %)、「2.0 % 以上2.5 % 未満」(16.1%)などの順となった(図表16)。

(3)賞与・一時金の状況

─夏季の賞与・一時金増額は約1割の企業が実施─

18年度の夏季における賞与・一時金の支給について尋ねたところ、「未定」とする回答が多いものの、「増額する」と回答した企業の割合は9.9%、「増額を検討中」が16.1%、「据え置く」が42.3%となった(図表17)。「増額する」「増額を検討中」を合わせた『増額に前向き』な企業の割合は26.0%となっており、前年調査と比べると、2.5ポイント上回っている。

まとめ

─先行きの業況感は概ね横ばいで推移する見通し─

アンケート調査結果をみると、県内企業の「業況感」は18年1-3月期に上昇したものの、18年4-6月期(含む実績見込み)は低下し、概ね横ばい圏内で推移している。

また、先行きを示す見通しBSI(18年7-9月期、同10-12月期)は同4-6月期と比べ、概ね横ばいとなっている。海外からの需要は底堅いものの、原材料価格の高騰などによる仕入価格の上昇や人手不足が企業の採算を圧迫している面もあり、先行きについても慎重な見方が示されている。こうしたなか、設備投資の目的において「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが増えていることは、仕入価格の上昇や人手不足への対策の一環とも考えられる。

一方、米国の通商政策や各国の金融政策を背景とした金利や為替動向など不透明な材料があるなかで、仕入価格の上昇や人手不足が県内経済に与える影響について今後も注視していきたい。

(2018年7月 近 由夏)

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特別調査─電子マネーの利用状況に関するアンケート調査─

2018/07/02 :自主調査(調査報告)

─電子マネーの利用者は半数を突破。小口決済手段としての利用が広がる─

はじめに

利用店舗の拡大や利便性の高さなどを背景に、電子マネーの利用者は年々増加を続けている。

こうしたなか、県内における電子マネーの利用状況を探るため、4月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,571人)に対してアンケート調査を実施した。

1電子マネーの現状

(1)電子マネーの定義

─ 前払いによって金銭的価値が発行されたデジタルデータ─

日本銀行では電子マネーを「金銭的な価値をもつ電子的なデータ」※1であり、「利用する前にチャージを行うプリペイド方式(前払い方式)の電子的リテール決済手段」※2であると説明している。また、総務省では「事前に現金と引換えに金銭的価値が発行されたICカードやプリペイドカード等」※3と定義している。

本稿では上記の定義を踏まえ、電子マネーを「現金などによる前払いによって金銭的価値が発行されたデジタルデータのことで、電子マネーを記録したICカードやスマートフォン等を読取端末にかざすなどして支払いを行うもの」とする。なお、チャージ(入金)機能がなく、利用金額に応じてポイントが付与されるだけのポイントカード、クレジットカードやデビットカードによる支払い、電子マネーによる「定期券」の利用分、バスカードなどの特定の商品・サービスに使用するプリペイドカードなどは対象外とした。

(2)電子マネーの現状

─電子マネーの市場規模は拡大が続く─

日本銀行の調査によれば、2017年の電子マネーの決済金額は約5兆1,994億円となり、08年から6倍以上増加している(図表1)。

また、同調査によると17年の電子マネーの発行枚数は約3億5,800万枚で08年から3倍以上増加しており、いずれも右肩上がりで成長を続けている。

なお、参考までに主要な非現金決済手段の1つであるクレジットカードと比較すると、一般社団法人日本クレジット協会の調査によれば17年の信用供与額(消費者が1年間にクレジットカードショッピング又はショッピングクレジットを利用した額)は約58兆3,700億円であり、電子マネーはその9%程度の規模となっている。

※1  日本銀行ホームページ「電子マネーとは何ですか?」
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c26.htm/

※2 日本銀行 決済機構局「最近の電子マネーの動向について(2012年)」

※3 総務省「家計消費状況調査年報(平成28年)」

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定例調査─新潟県消費動向調査2018年夏期─

2018/07/02 :自主調査(調査報告)

─「消費支出」は2期ぶりに上昇─

はじめに

新潟県内の個人消費関連の経済指標をみると、小売業販売額(注)や乗用車(軽含む)新規登録・届出台数は前年を上回って推移している(図表1)。

ただし、百貨店・スーパー・ホームセンターなどの販売現場からは、必要なもの以外は購入を控える「節約志向」が続いているといった声も聞こえるなど力強さに欠ける面もみられる。

そこで個人消費の実態と先行きの動向を把握するため、4月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,607人)を対象に、収入や消費支出の状況、今後半年間における消費支出項目、購入・支出を予定している商品、ボーナス等についてアンケート調査を実施した。

1収入の推移

─収入は、2期ぶりの低下となるも横ばい圏内で推移─

〈半年前と比較した収入について〉

半年前と比べて収入が「増えた」と回答した人の割合は12.5%、「減った」と回答した人の割合は16.5%となり、収入CSI※は▲4.0となった(図表2)。収入CSIは2017年冬の調査と比べて0.6ポイント下回っており、2期ぶりに低下した。ただし、下落幅はわずかであり基調としては横ばい圏内で推移している。

〈今後半年間の収入について〉

今後半年間の収入について尋ねたところ、収入予想CSIは▲7.5となった(図表2)。収入予想CSIは足元の収入CSIと比べて3.5ポイント低くなっており、慎重な見通しが示されている。

2消費支出の推移

─消費支出は、2期ぶりに上昇─

〈半年前と比較した消費支出について〉

半年前と比べて消費支出が「増えた」と回答した人の割合は37.6%、「減った」と回答した人の割合は5.3%となり、消費支出CSIは32.3となった(図表3)。消費支出CSIは17年冬の調査と比べて6.7ポイント上回っており、2期ぶりに上昇した。

〈今後半年間の消費支出について〉

今後半年間の消費支出については「増えそう」と回答した人の割合は35.6%、「減りそう」と回答した人の割合は7.0%となり、消費支出予想CSIは28.6となった(図表3)。消費支出予想CSIは、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて3.7ポイント低くなっており、先行きの消費に対してやや消極的な姿勢がみられる。

※CSI(Consumer Survey Index)
アンケートの回答結果を指数化したもので、ここでは「増えた・増えそう」と回答した人の割合から「減った・減りそう」と回答した人の割合を差し引いた数値のことをいう。CSIは、収入・消費支出が増加基調か減少基調かといった「変化の方向」と、拡張・後退が速いか遅いかといった「変化のテンポ」を示すものである。

3今後半年間における消費支出項目

─「住居費」が4.7ポイント上昇─

今後半年間の消費支出について「増えそう」な支出項目を尋ねたところ(複数回答)、「食費(外食費を除く)」が最も高く37.4%となった(図表4)。以下「教育費(学費・教材費等)」「住居費(修繕・維持管理費・家賃等)」などの順となっている。

17年夏の調査と比べると、「住居費(修繕・維持管理費・家賃等)」の割合が4.7ポイント上昇しているほか、「交通・自動車関係費」などの割合が上昇している。

4今後半年間に購入・支出を予定している商品等

─耐久消費財では「生活家電」がトップ─

今後半年間で購入・支出を予定している商品等を、耐久消費財と非耐久消費財等に分けて尋ねた(複数回答)。

〈耐久消費財〉

耐久消費財では「生活家電(冷蔵庫等)」の割合がトップとなった(図表5)。以下「家具・インテリア用品」「スマートフォン」などの順となっている。

17年夏の調査と比べると、「薄型テレビ」「冷暖房機器」「生活家電(冷蔵庫等)」の割合が上昇しており、09年以降に実施された「家電エコポイント制度」で購入された家電製品の買い替え需要がみられる。一方、「家具・インテリア用品」「スマートフォン」「パソコン・周辺機器」などの割合が低下している。

〈非耐久消費財等〉

非耐久消費財等では「婦人物衣料品」の割合が最も高くなった(図表6)。以下「国内旅行」「紳士物衣料品」などの順となった。

17年夏の調査と比べると、「婦人物衣料品」の割合がわずかに上昇する一方、「教育費(学習塾・家庭教師等)」「娯楽費(趣味・書籍等)」「子供用衣料品」などの割合が低下している。

5ボーナス支給予想

─ ボーナス支給予想は17年夏の調査に比べて上昇─

今夏のボーナスが昨年の夏と比べて「増えそう」と回答した人の割合は8.1%、「減りそう」と回答した人の割合は14.8%となった(図表7)。ボーナス支給予想CSIは▲6.7となり、17年夏の調査に比べて3.2ポイント上回った。

今夏のボーナス支給予想CSIを年代別に17年夏の調査と比べると、50代を除くすべての世代で「増えそう」と回答した人の割合が上昇している(図表8)。

6ボーナスの使途

(1)ボーナスの使途

─「預貯金等」が約5割でトップ─

今夏にボーナス支給があると回答した1,155人を対象に、ボーナスの使途について尋ねたところ(複数回答)、「預貯金等」の割合が51.7%となり最も高く、次いで「旅行・レジャー」となった(図表9)。

17年夏の調査と比べると「預貯金等」「買い物」の割合が上昇している。一方、「教育資金」「生活費の補填」などの割合が低下している。

ボーナスの使途を年代別にみると、全ての年代で「預貯金等」が第1位となった(図表10)。第2位は10〜20代、30代、60代以上で「旅行・レジャー」、40代、50代で「生活費の補填」となっている。

(2)預貯金等の内訳

─「投資信託」「株式」が上昇─

今夏のボーナスの使途で「預貯金等」と回答した597人を対象に、その内訳を尋ねたところ(複数回答)、「普通預金」と回答した人の割合が69.2%と最も高くなった(図表11)。以下「定期預金」「投資信託」などの順となった。

17年夏の調査と比べると、「投資信託」「株式」などの割合がやや上昇した。一方、「定期預金」「普通預金」などの割合が低下した。

まとめ

今回の調査結果によると、「収入」は17年冬の調査と比べて小幅な低下となり横ばい圏内で推移した。

こうしたなか、「消費支出」は2期ぶりの上昇となった。背景には、1〜2月の寒波や大雪の影響で一時的に落ち込んだ消費の反動などが考えられる。

先行きの消費に対しては消費支出予想CSIが、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて3.7ポイント低くなっており、やや消極的な姿勢がみられるものの、「家電エコポイント制度」で購入された「薄型テレビ」や「冷暖房機器」などの買い替え需要なども期待されることから、消費の下支えも見込まれる。

今後、どのように個人消費が推移していくか注視していきたい。

(2018年6月 金井 佑太)

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