自主調査(調査報告)

新規学卒者を対象とした正社員の採用活動に関するアンケート調査

2018/08/01 :自主調査(調査報告)

─学校や学生との繋がりの強化が採用のポイント─

はじめに

 新潟労働局の「平成30年3月高等学校・大学等新規卒業予定者の職業紹介状況(平成30年1月末日現在)」によると、県内における新規学卒者(2018年3月卒)の就職内定率は高等学校卒で97.8%、大学等卒で88.4%といずれも過去最高の水準となっている。一方、県内への就職率(県内就職内定構成比)は高等学校卒で87.3%、大学等卒で58.5%と緩やかに低下しており、最近10年間でみると最低の水準となっている(図表1)。このように就職率が高い、いわゆる売り手市場のなか県外への人材流出もあり、県内企業は新規学卒者の採用に苦労していることがうかがえる。

そこで、当センターでは県内の新規学卒者(高校や大学、専門学校を含む)を対象とした正社員の採用活動の状況を把握するために、県内企業1,000社(有効回答644社)を対象にアンケート調査を行なった。以下はその結果である。

1正社員の採用活動の有無

─6割弱が正社員の採用活動を実施─

 新規学卒者を対象に、2017年度の1年間で正社員(18年4月入社)の採用活動を行なったかどうかを尋ねたところ、「採用活動を行なった」と回答した割合は57.5%となった(図表2)。

規模別にみると、「採用活動を行なった」と回答した割合は、大企業で100.0%、中堅企業で88.9%となっているのに対し、中小企業で52.6%にとどまっている。

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新潟県企業動向調査2018年上期

2018/08/01 :自主調査(調査報告)

─業況感は概ね横ばいで推移 先行きは仕入価格や人件費の上昇が懸念材料─

1業況感

(1)全産業

─足元、先行きとも業況感は、横ばいで推移─

2018年1-3月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲2.5となった。海外需要が堅調であるほか、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い首都圏で建設需要が増加したため、17年10-12月期の▲7.1から4.6ポイント上昇し、県内企業の業況感は改善した(図表1)。

続く、18年4-6月期(含む実績見込み)は▲8.5となり、同1-3月期比で▲6.0ポイントと低下したものの、基調としては17年7-9月期以降、概ね横ばい圏内で推移している。

先行きを示す見通しBSIは、18年7-9月期が▲4.8、続く同10-12月期は▲8.4と、同4-6月期の実績見込みに比べ、ほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は18年1-3月期が3.8となり、17年10-12月期比0.7ポイント上昇し、3四半期連続で「良い」超となった(図表2)。

続く18年4−6月期は▲2.4となり、同1-3月期比6.2ポイント低下した。内訳をみると、食料品や窯業・土石、一般機械といった業種で上昇したものの、木材・木製品や輸送機械、繊維などで低下した。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「受注数量の増加と効率化による改善の結果、業績が好転している」(窯業・土石)、「オリンピック関連の本格的な着工開始や設備投資の増加により、需要は堅調である」(一般機械)、「海外向けの売上が増加している」(電気機械)といった声がある一方、「工場全体の稼動を落としている」(繊維)、「人手不足や原材料入荷の遅れ、受注先自体の生産能力オーバーに伴う受注のキャンセルが響き、業績は上向いていない」(その他製造)といった声が聞かれた。

非製造業は18年1-3月期が▲7.1となり、17年10-12月期比7.3ポイント上昇した。

続く18年4-6月期は▲12.9となり、同1-3月期比5.8ポイント低下した。内訳では、卸売やサービス他などが上昇したものの、建設や運輸で低下した。

非製造業の業況については「海外向けプラントの案件の受注が増えている」(卸売)といった声がある一方、「人材不足により受注量を調整しなければならないときもあり、売上を伸ばせない」(建設)といった声が寄せられた。

先行きについては製造業では18年4-6月期と比べて上昇する一方、非製造業は低下する見通しとなっている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、18年1-3月期は大企業が9.1、中堅企業が2.2、中小企業が▲3.5となった。17年10-12月期比では中堅企業や中小企業は上昇したものの、大企業では低下した(図表3)。

続く18年4-6月期は大企業が3.0、中堅企業が2.2、中小企業は▲9.9となった。同1-3月期と比べると、中堅企業は横ばいで推移したものの、大企業や中小企業は低下した。

先行きは大企業や中小企業でやや上昇するものの、中堅企業では低下する見通しである。

2生産・売上

─生産・売上は3期ぶりに「減少」超幅が拡大─

18年1-6月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」-「減少」)は▲3.8となった(図表4)。17年7-2月期(以下、前期)から1.5ポイント低下し、3期ぶりに「減少」超幅が拡大した。業種別にみると、製造業は4.2となり前期から6.3ポイント低下した。内訳をみると、木材・木製品、一般機械などが低下した。また、非製造業は▲9.6となり、前期から1.8ポイント上昇した。内訳では、小売、運輸などで上昇した。

生産・売上については「消費者の簡便志向の拡大により、調理済みの商品の販売が好調である」(小売)といった声が寄せられる一方、「統廃合などにより受注先が減少し、売上が減っている」(一般機械)といった声が聞かれた。

先行きを示す18年7-12月期(以下、来期)のBSIは▲2.8と今期に比べて1.0ポイント上昇する見通しとなっている。

3仕入・販売価格

(1)仕入価格

─3期連続で「上昇」超幅が拡大─

今期の仕入価格BSI(「上昇」-「低下」)は46.0となった(図表5)。前期から7.0ポイント上昇し、3期連続で「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業は54.9となり前期から10.3ポイント上昇した。内訳をみると、鉄鋼、輸送機械などの業種で上昇した。非製造業は39.6となり、前期を4.6ポイント上回った。内訳では、運輸、小売などで上昇した。

仕入価格については「原油価格が3年ぶりの高値となっており、灯油価格の上昇による悪影響を懸念している」(金属製品)、「燃料価格の高騰で利益が減少している」(運輸)との声があった。

来期のBSIは44.3となり、今期に比べて1.7ポイントの低下と概ね横ばいで推移する見通しとなっている。

(2)販売価格

─3期連続で「上昇」超幅が拡大─

今期の販売価格BSI(「上昇」-「低下」)は9.1となった(図表5)。前期から2.1ポイント上昇し、「上昇」超幅が拡大した。

業種別にみると、製造業が4.9となり前期から4.2ポイント上昇した。また、非製造業も12.1となり前期から0.7ポイント上昇した。

販売価格については「売上が好調な冷凍食品向けの商材は値上げができている」(食料品)、「鋼材や消耗品などの価格上昇により、販売価格も上がっている」(鉄鋼)などの声がある一方、「災害復旧工事や新設・保全工事などの大型案件は価格競争が厳しい」(卸売)といった声が寄せられた。

来期のBSIは8.4となり、今期に比べて0.7ポイント低下とほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。

4採 算

(1)採 算

─2期ぶりに悪化─

今期の採算BSI(「好転」-「悪化」)は▲11.6となった(図6)。前期比3.4ポイント低下し、2期ぶりに悪化した。

業種別にみると、製造業は▲10.8となり前期比8.4ポイント低下となった。内訳をみると、木材・木製品、鉄鋼などの業種で低下した。非製造業は▲12.1となり、同0.3ポイント上昇した。内訳では、サービス他、建設などの業種で上昇した。

採算については「高付加価値商品を投入したことにより販売価格の引き上げに成功した。その結果、採算が大幅に改善した」(サービス他)といった声がある一方、「最低賃金の上昇やパート比率が低下したことにより、労務費が増加しており、収益性が悪化している」(食料品)、「原材料価格高騰による仕入価格の上昇分を製品の販売価格に反映できず、採算が悪化している」(金属製品)といった声も聞かれた。

来期のBSIは▲7.3となり今期に比べ4.3ポイント上昇する見通しとなっている。

2)採算好転・悪化の理由

─ 好転要因では「売上数量の増大」「高付加価値製(商)品の比率拡大」、悪化要因では「売上数量の減少」「仕入価格の上昇」が上位─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(74.4%)の回答割合が最も高く、以下「高付加価値製(商)品の比率拡大」(18.6%)、「販売価格の上昇」(15.1%)、「経営の合理化」(12.8%)、「新鋭設備の導入」(9.3%)などが続いた(図表7)。

なお、17年下期調査と比べると、「新鋭設備の導入」と「高付加価値製(商)品の比率拡大」の割合が高くなっている。

一方、今期の採算が「悪化」した理由では「売上数量の減少」(72.7%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(40.0%)、「人件費などの固定費負担の増加」(32.1%)、「競争の激化」(13.9%)などが続いた(図表8)。

なお、17年下期調査と比べると、「仕入価格の上昇」と「人件費などの固定費負担の増加」などの割合が高くなっている。

5雇 用

(1)全産業・業種別

─雇用の不足感が一層高まっている─
 
今期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は▲38.6となり、前期比2.3ポイント低下した(図表9)。継続的に雇用BSIの調査を開始した1993年下期調査以来、最も水準が低かった17年下期調査をさらに下回り、雇用の不足感は一層強くなった。

業種別にみると、製造業は前期比0.8ポイント上昇の▲30.8となり、「不足」超幅が縮小した。内訳をみると、食料品や木材・木製品などで雇用BSIが上昇している。非製造業は前期比4.5ポイント低下し▲44.2となった。内訳では、小売、運輸などで低下した。

雇用については「若い人材の入社が少なく、社内の高齢化が進んでいる」(鉄鋼)、「技術系人員が特に不足しており、受注を受けられない状況となっている」(建設)、「人手不足により人件費が上昇している」(サービス他)などといった声があった。

(2)職種別

─「サービス」「営業・販売」などで「不足」超幅が拡大─

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で「不足」超幅が最も大きく、以下「営業・販売」「生産・建設」などが続いている(図表10)。

17年下期と比べると、「サービス」「営業・販売」などの職種で「不足」超幅が拡大した。

6設備投資

(1)設備投資計画

─18年度の設備投資額は、前年度を上回る見通し─

18年度における設備投資の実施企業割合(含む計画)は55.1%となり、17年度実績を4.7ポイント下回る見込みとなっている(図表11)。

実施企業割合を業種別にみると製造業が66.8%、非製造業が46.7%となった。

18年度の設備投資額(含む計画)は、17年度実績比20.8%増となる見通しである(図表12)。

業種別にみると、一部大手企業の大型投資もあり、製造業は17年度実績比30.5%増となっている。内訳をみると、精密機械、その他製造業などの業種で増加している。また、非製造業も同1.3%増となっており、小売、建設などの業種で増加している。

規模別にみると、すべての規模で17年度実績を上回っており、大企業が前年度比40.7%増、中堅企業が同0.5%増、中小企業が同4.1%増となった。

(2)設備投資の目的

─「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが上昇─

18年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(67.3%)の回答割合が最も高く、以下「省力化・合理化」(30.3%)、「生産能力増大のための機械・設備導入」(29.0%)などの順となっている(図表13)。

17年度実績と比べると、「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが上昇した一方、「土地購入」「店舗・工場等の新設、増改築」などが低下した。

7経営上の問題点

─4期連続で「人材不足」がトップ─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(64.9%)の回答割合が4期連続で最も高くなった。以下「生産・受注・売上の不振」(38.9%)、「先行き見通し難」(38.8%)、「仕入価格の上昇」(37.4%)などが続いている(図表14)。

17年度下期調査と比べると、「人材不足」「仕入価格の上昇」「人件費の増加」などの割合が上昇した一方、「リスク管理体制の弱さ」「販売価格の低下」「競争の激化」などの割合は低下した。

経営上の問題については、「人手不足や働き方改革による長時間労働の抑制により、外注費が増えており収益悪化の要因となっている」(その他製造)、「売上が伸びている部門はあるが、人件費の増加や運送費の値上げにより利益幅が少なくなっており、改善策を検討している」(小売)などといった声があった。

8賃 金

(1)賃上げの状況

─3割超の企業がベースアップを実施─

18年度におけるベースアップの実施予定を尋ねたところ、「実施した」と回答した企業の割合は32.1%となった(図表15)。また、定期昇給を「実施した」と回答した企業の割合は60.0%となった。

なお、ベースアップを「実施した」「実施を検討中」を合わせた『ベースアップに前向き』な回答割合は46.3%となり、前年同時期に行なった「2017年上期企業動向調査(以下、前年調査)」に比べると、3.8ポイント上回っている。

(2)賃金の引き上げ率

─引き上げ率は「1.5%以上2.0%未満」が最も高い─ 

18年度にベースアップもしくは定期昇給を「実施した」または「実施を検討中」と回答した企業に、賃金の引き上げ率について尋ねたところ、「1.5%以上2.0%未満」(27.0%)の回答割合が最も高く、以下「1.0%以上1.5 % 未満」(26.3 %)、「2.0 % 以上2.5 % 未満」(16.1%)などの順となった(図表16)。

(3)賞与・一時金の状況

─夏季の賞与・一時金増額は約1割の企業が実施─

18年度の夏季における賞与・一時金の支給について尋ねたところ、「未定」とする回答が多いものの、「増額する」と回答した企業の割合は9.9%、「増額を検討中」が16.1%、「据え置く」が42.3%となった(図表17)。「増額する」「増額を検討中」を合わせた『増額に前向き』な企業の割合は26.0%となっており、前年調査と比べると、2.5ポイント上回っている。

まとめ

─先行きの業況感は概ね横ばいで推移する見通し─

アンケート調査結果をみると、県内企業の「業況感」は18年1-3月期に上昇したものの、18年4-6月期(含む実績見込み)は低下し、概ね横ばい圏内で推移している。

また、先行きを示す見通しBSI(18年7-9月期、同10-12月期)は同4-6月期と比べ、概ね横ばいとなっている。海外からの需要は底堅いものの、原材料価格の高騰などによる仕入価格の上昇や人手不足が企業の採算を圧迫している面もあり、先行きについても慎重な見方が示されている。こうしたなか、設備投資の目的において「情報化(IT)投資」「省力化・合理化」などが増えていることは、仕入価格の上昇や人手不足への対策の一環とも考えられる。

一方、米国の通商政策や各国の金融政策を背景とした金利や為替動向など不透明な材料があるなかで、仕入価格の上昇や人手不足が県内経済に与える影響について今後も注視していきたい。

(2018年7月 近 由夏)

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特別調査─電子マネーの利用状況に関するアンケート調査─

2018/07/02 :自主調査(調査報告)

─電子マネーの利用者は半数を突破。小口決済手段としての利用が広がる─

はじめに

利用店舗の拡大や利便性の高さなどを背景に、電子マネーの利用者は年々増加を続けている。

こうしたなか、県内における電子マネーの利用状況を探るため、4月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,571人)に対してアンケート調査を実施した。

1電子マネーの現状

(1)電子マネーの定義

─ 前払いによって金銭的価値が発行されたデジタルデータ─

日本銀行では電子マネーを「金銭的な価値をもつ電子的なデータ」※1であり、「利用する前にチャージを行うプリペイド方式(前払い方式)の電子的リテール決済手段」※2であると説明している。また、総務省では「事前に現金と引換えに金銭的価値が発行されたICカードやプリペイドカード等」※3と定義している。

本稿では上記の定義を踏まえ、電子マネーを「現金などによる前払いによって金銭的価値が発行されたデジタルデータのことで、電子マネーを記録したICカードやスマートフォン等を読取端末にかざすなどして支払いを行うもの」とする。なお、チャージ(入金)機能がなく、利用金額に応じてポイントが付与されるだけのポイントカード、クレジットカードやデビットカードによる支払い、電子マネーによる「定期券」の利用分、バスカードなどの特定の商品・サービスに使用するプリペイドカードなどは対象外とした。

(2)電子マネーの現状

─電子マネーの市場規模は拡大が続く─

日本銀行の調査によれば、2017年の電子マネーの決済金額は約5兆1,994億円となり、08年から6倍以上増加している(図表1)。

また、同調査によると17年の電子マネーの発行枚数は約3億5,800万枚で08年から3倍以上増加しており、いずれも右肩上がりで成長を続けている。

なお、参考までに主要な非現金決済手段の1つであるクレジットカードと比較すると、一般社団法人日本クレジット協会の調査によれば17年の信用供与額(消費者が1年間にクレジットカードショッピング又はショッピングクレジットを利用した額)は約58兆3,700億円であり、電子マネーはその9%程度の規模となっている。

※1  日本銀行ホームページ「電子マネーとは何ですか?」
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c26.htm/

※2 日本銀行 決済機構局「最近の電子マネーの動向について(2012年)」

※3 総務省「家計消費状況調査年報(平成28年)」

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定例調査─新潟県消費動向調査2018年夏期─

2018/07/02 :自主調査(調査報告)

─「消費支出」は2期ぶりに上昇─

はじめに

新潟県内の個人消費関連の経済指標をみると、小売業販売額(注)や乗用車(軽含む)新規登録・届出台数は前年を上回って推移している(図表1)。

ただし、百貨店・スーパー・ホームセンターなどの販売現場からは、必要なもの以外は購入を控える「節約志向」が続いているといった声も聞こえるなど力強さに欠ける面もみられる。

そこで個人消費の実態と先行きの動向を把握するため、4月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,607人)を対象に、収入や消費支出の状況、今後半年間における消費支出項目、購入・支出を予定している商品、ボーナス等についてアンケート調査を実施した。

1収入の推移

─収入は、2期ぶりの低下となるも横ばい圏内で推移─

〈半年前と比較した収入について〉

半年前と比べて収入が「増えた」と回答した人の割合は12.5%、「減った」と回答した人の割合は16.5%となり、収入CSI※は▲4.0となった(図表2)。収入CSIは2017年冬の調査と比べて0.6ポイント下回っており、2期ぶりに低下した。ただし、下落幅はわずかであり基調としては横ばい圏内で推移している。

〈今後半年間の収入について〉

今後半年間の収入について尋ねたところ、収入予想CSIは▲7.5となった(図表2)。収入予想CSIは足元の収入CSIと比べて3.5ポイント低くなっており、慎重な見通しが示されている。

2消費支出の推移

─消費支出は、2期ぶりに上昇─

〈半年前と比較した消費支出について〉

半年前と比べて消費支出が「増えた」と回答した人の割合は37.6%、「減った」と回答した人の割合は5.3%となり、消費支出CSIは32.3となった(図表3)。消費支出CSIは17年冬の調査と比べて6.7ポイント上回っており、2期ぶりに上昇した。

〈今後半年間の消費支出について〉

今後半年間の消費支出については「増えそう」と回答した人の割合は35.6%、「減りそう」と回答した人の割合は7.0%となり、消費支出予想CSIは28.6となった(図表3)。消費支出予想CSIは、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて3.7ポイント低くなっており、先行きの消費に対してやや消極的な姿勢がみられる。

※CSI(Consumer Survey Index)
アンケートの回答結果を指数化したもので、ここでは「増えた・増えそう」と回答した人の割合から「減った・減りそう」と回答した人の割合を差し引いた数値のことをいう。CSIは、収入・消費支出が増加基調か減少基調かといった「変化の方向」と、拡張・後退が速いか遅いかといった「変化のテンポ」を示すものである。

3今後半年間における消費支出項目

─「住居費」が4.7ポイント上昇─

今後半年間の消費支出について「増えそう」な支出項目を尋ねたところ(複数回答)、「食費(外食費を除く)」が最も高く37.4%となった(図表4)。以下「教育費(学費・教材費等)」「住居費(修繕・維持管理費・家賃等)」などの順となっている。

17年夏の調査と比べると、「住居費(修繕・維持管理費・家賃等)」の割合が4.7ポイント上昇しているほか、「交通・自動車関係費」などの割合が上昇している。

4今後半年間に購入・支出を予定している商品等

─耐久消費財では「生活家電」がトップ─

今後半年間で購入・支出を予定している商品等を、耐久消費財と非耐久消費財等に分けて尋ねた(複数回答)。

〈耐久消費財〉

耐久消費財では「生活家電(冷蔵庫等)」の割合がトップとなった(図表5)。以下「家具・インテリア用品」「スマートフォン」などの順となっている。

17年夏の調査と比べると、「薄型テレビ」「冷暖房機器」「生活家電(冷蔵庫等)」の割合が上昇しており、09年以降に実施された「家電エコポイント制度」で購入された家電製品の買い替え需要がみられる。一方、「家具・インテリア用品」「スマートフォン」「パソコン・周辺機器」などの割合が低下している。

〈非耐久消費財等〉

非耐久消費財等では「婦人物衣料品」の割合が最も高くなった(図表6)。以下「国内旅行」「紳士物衣料品」などの順となった。

17年夏の調査と比べると、「婦人物衣料品」の割合がわずかに上昇する一方、「教育費(学習塾・家庭教師等)」「娯楽費(趣味・書籍等)」「子供用衣料品」などの割合が低下している。

5ボーナス支給予想

─ ボーナス支給予想は17年夏の調査に比べて上昇─

今夏のボーナスが昨年の夏と比べて「増えそう」と回答した人の割合は8.1%、「減りそう」と回答した人の割合は14.8%となった(図表7)。ボーナス支給予想CSIは▲6.7となり、17年夏の調査に比べて3.2ポイント上回った。

今夏のボーナス支給予想CSIを年代別に17年夏の調査と比べると、50代を除くすべての世代で「増えそう」と回答した人の割合が上昇している(図表8)。

6ボーナスの使途

(1)ボーナスの使途

─「預貯金等」が約5割でトップ─

今夏にボーナス支給があると回答した1,155人を対象に、ボーナスの使途について尋ねたところ(複数回答)、「預貯金等」の割合が51.7%となり最も高く、次いで「旅行・レジャー」となった(図表9)。

17年夏の調査と比べると「預貯金等」「買い物」の割合が上昇している。一方、「教育資金」「生活費の補填」などの割合が低下している。

ボーナスの使途を年代別にみると、全ての年代で「預貯金等」が第1位となった(図表10)。第2位は10〜20代、30代、60代以上で「旅行・レジャー」、40代、50代で「生活費の補填」となっている。

(2)預貯金等の内訳

─「投資信託」「株式」が上昇─

今夏のボーナスの使途で「預貯金等」と回答した597人を対象に、その内訳を尋ねたところ(複数回答)、「普通預金」と回答した人の割合が69.2%と最も高くなった(図表11)。以下「定期預金」「投資信託」などの順となった。

17年夏の調査と比べると、「投資信託」「株式」などの割合がやや上昇した。一方、「定期預金」「普通預金」などの割合が低下した。

まとめ

今回の調査結果によると、「収入」は17年冬の調査と比べて小幅な低下となり横ばい圏内で推移した。

こうしたなか、「消費支出」は2期ぶりの上昇となった。背景には、1〜2月の寒波や大雪の影響で一時的に落ち込んだ消費の反動などが考えられる。

先行きの消費に対しては消費支出予想CSIが、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて3.7ポイント低くなっており、やや消極的な姿勢がみられるものの、「家電エコポイント制度」で購入された「薄型テレビ」や「冷暖房機器」などの買い替え需要なども期待されることから、消費の下支えも見込まれる。

今後、どのように個人消費が推移していくか注視していきたい。

(2018年6月 金井 佑太)

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クラウドファンディングの現状と活用のポイント

2018/06/01 :自主調査(調査報告)

─ 資金と支援者を同時に集め、事業を拡大できる新たな手段 ─

はじめに

クラウドファンディングの利用が急速に拡大している。矢野経済研究所「2017年版 国内クラウドファンディングの市場動向」によると、16年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、前年度比96.6%増の745.5億円となっている(図表1)。近年では、単に資金集めやPRの手段としてだけではなく、販路開拓や顧客獲得、事業におけるリスクの軽減などに効果があることから注目されている。そのため、新商品・サービスの開発・販売や店舗の出店、創業や事業の拡大などにおいて、クラウドファンディングを活用する事業者が増えてきている。

そこで、本稿では利用が広がりつつあるクラウドファンディングの現状やメリット、活用のポイントなどについて紹介する。

1.クラウドファンディングとは

(1)仕組み

クラウドファンディングとは「クラウド=群衆」と「ファンディング=資金調達」をあわせた造語である。「このような商品やサービスを作りたい」「地域の課題をこういうふうに解決したい」といったアイデアや計画、プロジェクトを持つ資金調達者(プロジェクト実行者)が、クラウドファンディングの専用サイト(以下、専用サイト)を通じて世のなかに呼びかけ、共感した支援(投資)者から小額の支援金を広く集めることができる手段である(図表2)。

また、支援金に対する見返り(以下、リターン)の設定に応じて、クラウドファンディングは様々な種類に分けられる。ただし、主要な専用サイトで新潟県内の事業者の利用状況をみると、リターンが商品・サービスである「購入型」と、分配金である「投資型(ファンド形態)」(以下、「投資型」)の利用が多くなっている。そのため、以降では「購入型」と「投資型」について紹介する。

(2)「購入型」の概要や流れ

①概要

「購入型」は資金調達者が提供する商品・サービスをリターンとし、広く支援(購入)を募る仕組みである(図表3)。店舗等ではまだ販売されていない新商品や限定品などが主に提供されており、支援者は専用サイトを通じて、他にはない商品・サービスを購入することができる。

②起案から募集、リターン提供までの流れ

ⅰ)プロジェクトの起案
資金調達者が支援金を集めたい商品・サービスを決めるところから、「購入型」のクラウドファンディングは始まる。新規性や限定性がないと支援が集まりにくいことから、新商品・サービスの販売開始時や、新店舗の出店時などでの利用が多い。

ⅱ)募集開始

次に資金調達者は目標とする支援金の調達額や募集期間、リターンなどを掲載したプロジェクトページを作成する。その後、専用サイトに掲載を申請して専用サイト運営者の審査を受けた後に、募集が開始される。

ⅲ)入金

支援者からの支援金が集まり、目標とした支援金額に到達すると資金調達者に入金される。早期に当初の目標金額を調達できた際には、さらに目標とする支援金額を引き上げて募集を続ける場合もあり、入金時に手数料を専用サイトに支払うことが一般的である。

一方、目標に達しない場合は、プロジェクトがキャンセルされ、支援金は支援者に返金されて専用サイトに支払う手数料は発生しない※。

※ 調達額が目標に達しない場合でも、資金を返金せず、プロジェクトを実施し、支援者にリターンを提供する場合もある。

ⅳ)リターンの提供

支援金額が目標以上に集まった場合、募集期間終了後に、資金調達者は商品やサービスを支援者に提供する。「購入型」は予約販売と同様の形式となるため、商品の場合は決められた在庫数を揃えておけばよく、過剰な在庫を抱えなくてもよい。

③利用する資金調達者のメリット

「購入型」は商品・サービスの支援金の集まり具合により、今後、量産して販路拡大を目指すのか、開発中止とするのかなどを判断できるメリットがある。近年ではこの効果に注目して、量産する前にどのくらい消費者のニーズがあるのかを把握したいメーカーがテスト販売の一環として利用するケースが増えてきている。

また、新規性や話題性がある場合は、専用サイト内で注目のプロジェクトなどとして特集コーナーなどに取り上げられ支援者の閲覧数が増えることで、高い広告効果を得られる場合もある。

④デメリット
商品やサービスに新規性や限定性がないと、支援が集まりにくいため、一般的な商品・サービスの提供には向かない場合が多い。

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新潟県の景気の現状と先行き見通し

2018/05/01 :自主調査(調査報告)

─横ばいで推移している県内経済─

1.景気の現状と先行き

現 状

◎県内経済は横ばいで推移している

県内主要経済指標等から景気の現状を概観すると、雇用状況は改善が続いており、設備投資は持ち直している。また、個人消費は持ち直しの動きが鈍化しており、生産活動は横ばい圏内で推移している。一方、住宅投資や公共投資は減少している。総じてみると県内経済は横ばいで推移している。

新潟県が公表している景気動向指数(※)(一致指数)をみても、足元で下がっているものの、2017年後半より横ばい圏内で推移していることが確認できる(図表1)。

先行き

◎横ばい圏内の動きが続く

生産活動は世界経済の回復により海外需要が見込まれるものの、人手不足などの供給制約の声も聞かれることから横ばい圏内で推移していくとみられる。雇用は高水準が続くと見込まれる一方、住宅投資や公共投資は減少が続くとみられる。総じてみると、県内経済は横ばい圏内の動きが続く見込みである。

ただし、世界経済に保護主義的な動きが広がっていることや、円高、資源高などの懸念もあることから、その動向を注視する必要がある。

2.生産活動の現状と先行き

現 状

◎横ばい圏内で推移している

新潟県の鉱工業生産指数(季節調整値)は、17年10−12月期に前期比0.1%減少の102.2となり、横ばい圏内で推移している(図表2)。

生産指数を業種別にみると、東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や首都圏の再開発などから、金属製品は作業工具や鉄骨などが増産となり好調に推移している(図表3)。食料品は米菓や包装米飯などを中心に堅調に推移している。はん用・生産用・業務用機械は大口受注の落ち込みなどがみられ減少している。

先行き

◎横ばい圏内で推移していく

生産活動の先行きを業種別にみると、食料品は節約志向が続くなか、多様化する顧客のニーズに対応した新商品の開発・販売などから堅調に推移するとみられる。はん用・生産用・業務用機械や輸送用機械は人手不足や部材の調達不足などの供給制約の声が聞かれるものの、海外需要に支えられ底堅く推移すると思われる。一方、電子部品・デバイスは新型スマホ向けの生産が落ち着いたことなどから減少する見込みである。

総じてみると、生産水準は横ばい圏内で推移していくものと思われる。

3.設備投資の現状と先行き

現 状

◎持ち直している

当センターが2017年下期に実施した「企業動向調査」によると、17年度の設備投資額(含む見込み)は前年度実績比0.7%増加する見込みとなっており、17年上期調査の同3.5%減よりも上方修正されている(図表4)。

規模別にみると、大企業が前年度比13.7%減、中堅企業が同0.9%減となった一方、中小企業が同20.7%増となり、中小企業を中心に増加している。

また、17年度における設備投資の目的をみると、製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「生産能力増大のための機械・設備導入」「省力化・合理化」などの順となっている(図表5)。

また、非製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の回答割合が最も高く、以下「店舗・工場等の新設、増改築」「情報化(IT)投資」などの順となっている。

先行き

◎持ち直しが続く

製造業では従業員の作業負担を軽くするための設備導入がみられるほか、非製造業ではセルフレジの導入など、人手不足やIoTに対応するための設備投資の動きも広がっている。

また、働き方改革推進の取り組みとして、事業所内保育所の設置などの福利厚生面の設備投資もみられることなどから、設備投資の持ち直しの動きが続くものと思われる。

4.雇用の現状と先行き

現 状

◎改善が続いている

17年10-12月期の有効求人倍率(パートを含む全数、季節調整値)は1.57倍となり、10四半期連続で前期を上回った(図表6)。その後の動きをみると、1月は1.66倍、2月は1.68倍となり、改善が続いている。

先行き

◎高水準が続く

雇用の先行指標となる新規求人数(パートを含む全数・実数)をみると、17年10-12月期は前年比10.9%増と8四半期連続で前年を上回っている。一方、新規求職者数(同)は17年10-12月期に同3.8%減となり、29四半期連続で前年を下回っている(図表6)。

また「企業動向調査」によると、17年下期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は前期比6.7ポイント低下し、依然として人手不足感の強い状況が続いている(図表7)。

企業側の採用意欲が高まる一方、求職者数の減少傾向が続いており、県内の有効求人倍率は当面、高水準が続くものとみられる。

5.個人消費の現状と見通し

現 状

◎持ち直しの動きが鈍化している

百貨店・スーパー販売額(全店)は、17年10-12月期に前年比1.1%増となり、2四半期連続で前年を上回っているものの、増加幅は縮小傾向にある(図表8)。背景には共働き世帯や高齢者世帯が増加していることなどから、惣菜やカット野菜など比較的単価の高い食料品の販売が増えているものの、全体としては節約志向が続いていることがある。

また、家電大型専門店・ドラッグストア・ホームセンターの販売額を合計した専門量販店販売額(全店)は、17年10-12月期に前年比3.6%増となり、8四半期連続で前年を上回った。ただし、増加幅は縮小傾向にある(図表8)。ドラッグストアや家電大型専門店は前年を上回ったものの、ホームセンターは前年並みにとどまっている。

一方、乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は、18年1-3月期に前年比5.1%減となり、2四半期連続で前年を下回った(図表8)。普通乗用車と小型乗用車では、完成検査不備問題による減産の影響などで減少が続いている。

総じてみると、個人消費は持ち直しの動きが鈍化している。

先行き

◎力強さに欠ける状況が続く

百貨店・スーパー販売額は、節約志向を背景に横ばいで推移するものと思われる。専門量販店販売額は、業種によって差があるものの、新規出店が続いているドラッグストアを中心に、堅調に推移するとみられる。一方、乗用車新規登録・届出台数は、完成検査不備問題による影響と、軽乗用車で前年の新型車効果による増加の反動も予想されることから前年をやや下回って推移するとみられる。

また、物価の変動に対して、賃金が上昇しているかどうかを示す指標である実質賃金指数(現金給与総額・事業所規模5人以上)をみると、17年10-12月期は前年比1.9%増と3四半期連続で前年を上回った(図表9)。その後の実質賃金指数の動きをみると、1月は前年比1.0%減となっている。賃上げが一部の企業で行なわれてはいるものの、全体としては物価上昇を上回る所得の改善に至っていない状況にある。

以上のことから、今後、個人消費は力強さに欠ける状況が続くと思われる。

6.住宅投資の現状と見通し

現 状

◎減少している

17年10-12月期の新設住宅着工戸数は、前年比15.1%減となった(図表10)。内訳をみると、持家は4四半期連続で前年を下回ったほか、貸家も2四半期連続で前年を下回った。

その後の動きをみると、1月は前年比26.1%減、2月は前月の大雪の影響による着工のずれ込みなどがみられ、同45.9%増となったものの、基調としては減少傾向をたどっている。

先行き

◎減少が続く

金利上昇の動きがみられず、消費税増税前の駆け込み需要は早くても18年度後半以降となるとの声も聞かれることから、持家については様子見ムードが継続すると思われる。また、貸家は供給過剰感から建築を控えるケースもあるため前年を下回るとみられる。これらのことから、先行きの住宅投資は減少が続くと思われる。

7.公共投資の現状と見通し

現 状
◎減少している

公共投資の発注動向を表す公共工事請負金額は、17年10-12月期に前年比12.1%減となった(図表11)。公共工事補正予算額が前年度を下回ったことなどから、2四半期ぶりに減少した。その後の動きをみても、1月は前年比36.8%減、2月は同41.6%減となり、大幅な減少傾向をたどっている。

先行き

◎減少が続く

18年度の県や市町村の公共工事関連予算は一部自治体で大規模な建設工事が終了したことなどから前年を下回っている。このため、引き続き減少が続くものと思われる。

(2018年4月 久住 正人)

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公共インフラの効率的な維持管理に向けて

2018/04/02 :自主調査(調査報告)

─官民連携を中心としたインフラを維持していくためのポイント─

はじめに

道路や上下水道といった公共インフラ(以下、インフラ)の老朽化が進んでいる。国内のインフラのうち、高度経済成長期に整備されたものが、耐用年数の到来とともに老朽化を迎えている。同時に、多くの自治体が財政難に直面するなか、インフラの維持管理を適切かつ効率的に進めていくことが課題となっている。

本稿では、新潟県内におけるインフラの現状を整理するとともに、県内外の先進的なインフラの維持管理の事例をふまえたうえで、これからのインフラの効率的な維持管理のポイントをまとめてみた。

なお、本稿におけるインフラとは、上下水道や道路、橋梁などをいい、行政庁舎や公民館などの建物は含めないこととする。

1.インフラの現状

(1)全国の現状

①建設後の経過年数

国土交通省「PPP/PFIの推進について」によると、今後20年間で建設後50年※以上を経過するインフラの割合が急速に上昇する見込みである。

例えば、建設後50年以上を経過する道路橋の割合は、2013年に約18%だったものが、23年に約43%、33年には約67%と急増する見込みとなっている(図表1)。また、トンネルや河川管理施設などでも、33年には建設後50年以上を経過する割合が50%以上となる見込みである。

②維持更新費の推計

インフラの維持更新費は、増加が続く見込みである。「平成26年度国土交通白書」によると、13年度の維持管理・更新費は約3.6兆円であったが、10年後には約4.3~5.1兆円、20年後には約4.6~5.5兆円程度になると見込まれている。

※建設後50年:施設の老朽化は利用状況や環境によって異なるが、ここでは便宜的に建設後50年で整理している

(2)新潟県の現状

①建設後の経過年数

新潟県が保有するインフラも全国と同様、今後20年間で老朽化した施設の割合が高くなる見込みである。橋梁においては、建設後50年以上を経過する施設の割合が13年に約24%だったものが、20年後の33年には約67%と急増する見込みである(図表2)。

また、新潟県内の各市町村が作成している「公共施設等総合管理計画」などをみると、市町村が保有するインフラにおいても、同様の状況となっているところがほとんどである。

②維持更新費の推計

新潟県内においても、インフラの維持更新費は増加する見込みである。新潟県内の各市町村が作成している「公共施設等総合管理計画」などによると、現状と今後の維持更新費が判明している15市町村のうち、今後30年から50年間でインフラの維持更新費が現状より増加と見込まれる市町村は12市町村となっている。一方、減少が見込まれるのは3市町村となっている(図表3)。

また、新潟県が作成している「新潟県土木部社会資本維持管理計画」などをみると、新潟県が維持管理するインフラにおいても、維持更新費が現状より増加する見通しとなっている。 続きを表示…

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スポーツツーリズムによる地域活性化

2018/03/01 :自主調査(調査報告)

─スポーツツーリズムの先進事例と取り組みにおけるポイント─

はじめに

近年、少子高齢化・人口減少が進むなか、国内外からの旅行消費の増加や交流人口の拡大を推進する観光振興には、地域社会の活力を高める役割が期待されている。

そうしたなか政府は、地域のさらなる活性化に向け、観光とスポーツを融合させ、地域観光の振興を目指す取り組みであるスポーツツーリズムを推進している。

本稿では、スポーツツーリズムの現状について整理するとともに、県内外の取り組み事例を調査し、地域活性化に向けたポイントをまとめた。

1.スポーツツーリズムとは

スポーツツーリズムとは、スポーツを『観る』『する』ための旅行や周辺地域の観光のほか、地域でスポーツを『支える』人々との交流などを含んだスポーツに関連する様々な旅行スタイルのことである。

日本には、プロ野球やJリーグをはじめとしたハイレベルな競技を観戦する『観る』スポーツがある。また、地域の自然環境を活用したサイクリング、トレッキング、スキーなどを体験する『する』スポーツも存在する。さらに、スポーツ合宿の誘致や大会の運営、地域密着型のチームの支援などを行なう『支える』スポーツがある(図表1)。

こうしたスポーツツーリズムの推進により、地域観光の振興を図ることで、旅行消費の増加や交流人口の拡大が見込めるほか、地域のスポーツ振興などの効果が期待できる。

2. スポーツツーリズムの推進に向けた取り組み

(1)政府等の取り組み

政府は観光庁の設置後、観光立国の実現に向けた取り組みのなかでスポーツ観光の推進を掲げた。2011年には、スポーツツーリズムの推進に向け、スポーツを活用した観光まちづくりやスポーツツーリズムに関連した人材の活用などを盛り込んだ「スポーツツーリズム推進基本方針」を取りまとめた。その後、同方針に基づいて発足した「一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構」では、スポーツイベントの開催支援や先進事例を紹介するシンポジウムの開催などを通して、スポーツツーリズムの全国的な普及拡大を図っている。

観光庁が公表している「旅行・観光動向調査」によると、16年のスポーツツーリズムにおける関連消費額は2,543億円となっている(図表2)。なお17年に文部科学省が策定した「第2期スポーツ基本計画」では、スポーツツーリズムの関連消費額を21年度までに3,800億円に拡大させることを目標に掲げている。

(2)スポーツコミッションの設立

近年、スポーツツーリズムの活性化とスポーツによる地域活性化の推進主体であるスポーツコミッションが全国各地で設立されている。スポーツコミッションは、自治体、企業、スポーツ団体などの地域内外の関係機関と連携し、スポーツイベントの開催やスポーツ合宿の誘致などを行なうことで、地域を活性化させる役割を担っている。

スポーツ庁が公表している「全国の地域スポーツコミッション所在状況」によると、17年9月現在で、全国に83のスポーツコミッションが設立されている。第2期スポーツ基本計画では、スポーツコミッションの設立を促進し、21年度末までに170に拡大させることが目指されている。

なお新潟県内には、「一般財団法人佐渡市スポーツ協会」「十日町市スポーツコミッション」「新潟市文化・スポーツコミッション」の3団体が設立されており、都道府県別にみたスポーツコミッションの組織数は、全国で8番目に位置している(図表3)。

3.スポーツツーリズムの類型

スポーツツーリズムを取組内容により整理すると、地域のトップアスリートやチームを市民、企業、行政で支えることで交流人口の拡大を目指す「①ホームタウン型」、様々なスポーツイベントの開催を通して選手や観戦者を集める「②イベント開催型」、スポーツキャンプ・合宿の場を提供することで宿泊などの経済効果の拡大を図る「③キャンプ・合宿型」、地域の自然環境や気候条件を生かしてアウトドアスポーツの活動の場を提供することで誘客を促進する「④リゾート型」の4つに分類できる。

なお新潟県内をみると、「①ホームタウン型」では、長岡市に拠点を置くプロバスケットボールチームである「新潟アルビレックスBB」と市民、企業、行政が連携する「バスケのまちづくり」がある(図表4)。「②イベント開催型」では、一般財団法人佐渡市スポーツ協会を事務局とした「スポニチ佐渡ロングライド210」などのスポーツイベント事業の取り組みがみられる。「③キャンプ・合宿型」では、十日町市スポーツコミッションによるサッカークロアチア代表(U17)のスポーツ合宿の誘致などが実施されている。「④リゾート型」では、湯沢町などで自然環境を生かしたスキーやスノーボードを目的とする観光客の誘客が行なわれている。

4.事例紹介

スポーツツーリズムの4類型のうち、「④リゾート型」は、これまで全国各地で進められてきた観光誘客と重なるところが大きいため、本章では、近年注目されている取り組みである「①ホームタウン型」「②イベント開催型」「③キャンプ・合宿型」について、県内外の先進的な事例を紹介する。

【①ホームタウン型】新潟県柏崎市
地域の水球チームを核とした「水球のまち」の推進

(1)水球の第一人者による社会人チームの設立

柏崎市には、1964年の県立柏崎高校の男子チームによるインターハイ優勝など、50年以上にわたる水球の歴史がある。2004年には「柏崎アクアクラブ」が設立され、小学校から高校まで選手を一貫して育成する体制が整備されてきた。こうしたなか、09年の新潟国体の地元開催や10年の「ブルボンウォーターポロクラブ柏崎(以下、ブルボンKZ)」の設立をきっかけに、「水球のまち」の推進に向けた取り組みが始まった。

ブルボンKZは、当時新潟産業大学の教員兼水球部監督で水球男子の日本代表主将だった青栁勧氏が設立した日本初の本格的な水球の社会人クラブチームである。

ブルボンKZの設立以前は、社会人以降の支援体制が乏しく、水球競技を続けていくことが難しい状況にあった。青栁氏はこうした課題を解決するため、株式会社ブルボンをはじめとした地元企業などにスポンサー協力を依頼し、活動資金の支援を得たほか、地元企業に在籍しながら競技を続けられる環境を整備したことで、全国からトップレベルの選手を集めることができた。これによりブルボンKZは、12年に日本選手権で優勝したほか、16年のリオデジャネイロオリンピックでは4人の日本代表選手を輩出している。

(2 )小学校から社会人までの一貫した指導体制の整備

青栁氏は、高いレベルの選手を輩出し続けるためには、地域の競技団体を集約し、効率的な指導体制を構築することが必要だと考えていた。そこで15年に、新潟産業大学の選手が加わっていたブルボンKZとジュニア選手を育成していた柏崎アクアクラブを統合し、小学校から社会人までの一貫した指導体制を整えた。これによりブルボンKZの選手は、日本代表経験者による指導が受けられるほか、競技レベルに応じた練習が可能となり、17年には「全国JOCジュニアオリンピック夏季水泳競技大会」で、中学生チームが3位となるなど好成績を残している。

(3 )全国大会の開催と海外チームの水球合宿の誘致

柏崎市は、「水球のまち」の推進に向け、15年から水球の全国大会である「全日本ジュニア(U17)水球競技選手権大会〜かしわざき潮風カップ〜」を開催している。17年には開会式を含む大会5日間における来場者数が延べ8,201人となるなど、県内外から多くの観戦者を集めた。なお同大会の期間中には、トーナメントに敗退したチームやブルボンKZが試合形式で対戦する練習会を独自に開催しており、敗退したチームも滞在して練習ができるように工夫している。

また柏崎市は、欧州のプロリーグで活躍した青栁氏の人脈を生かして海外の水球チームへの合宿誘致を展開している。海外チームの合宿誘致の推進に向け、通訳の用意、Wi-Fiの貸し出し、市内のホテル・旅館の受け入れ環境の整備、市民交流会の開催などを行なっており、16年にはインドネシアのジャカルタ州代表やイタリアのクラブチームの水球合宿を誘致した。これらの取り組みにより、柏崎市におけるスポーツ合宿の年間延べ宿泊数は、12年度の9,754泊から16年度には12,262泊に増加している。さらに、17年にはシンガポール、韓国、中国の水球チームの合宿を受け入れており、地域の観光消費の拡大や国際交流の促進を図っている。

(4 )水球を核とした地域活性化の取り組み

柏崎市は、17年に「水球のまち推進室」を設置し、水球を核とした地域活性化の取り組みを強化している。

ブルボンKZの練習試合の見学会である「KZリーグ」を開催し、プレーの解説やルール説明などを行なっているほか、柏崎市で行なわれる水球の大会や合宿をはじめ、ブルボンKZの情報などをFacebookを通じて発信することで、柏崎市民の水球競技に対する理解・浸透を図っている。また20年の東京オリンピックなどの国際大会に向けて、強豪国のセルビア共和国やモンテネグロに対する水球合宿の誘致活動を行なっており、さらなる国際交流の促進を目指している。

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