自主調査(調査報告)

新潟県企業動向調査 2019年下期

2020/02/03 :自主調査(調査報告)

─業況感は一時的に持ち直すも再び悪化。「経営上の問題点」では「生産・受注・売上の不振」「人材不足」の割合が上昇─

1はじめに

最近の国内経済の動向を実質GDP成長率(季節調整済・2次速報値)によりみると、2019年7-9月期は前期比0.4%増と4四半期連続で前期を上回った。輸出の減少により外需は低迷したものの、個人消費や設備投資など内需が牽引し緩やかな回復が続いている。

一方、県内経済においては米中貿易摩擦などを背景に海外からの受注が減少し、生産活動は低調に推移している。個人消費は消費増税前に駆け込み需要がみられた後、10月以降は耐久消費財などに反動減が生じている。これに対して、19年度の県などの公共工事関連の予算が前年度を上回っていることから、公共投資は緩やかに増加しており、県内経済を下支えしている。

こうしたなか県内景気の現状と先行きを把握するため、県内企業1,000社(有効回答705社)を対象にアンケート調査を実施した。

2業況

(1)全産業

─業況感は悪化。先行きも慎重な見通し─

2019年7-9月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲10.4となった(図表1)。公共工事の増加や消費増税前の駆け込み需要などを背景に、19年4-6月期の▲13.6から3.2ポイント上昇した。

続く19年10-12月期(含む実績見込み)は▲25.5となり、同7-9月期と比べて15.1ポイント低下した。天候不順や自然災害の影響、駆け込み需要の反動などから非製造業を中心に低下し、19年上期調査時点における見通しBSI(▲16.0)も下回った。

先行きを示す見通しBSIは20年1-3月期が▲28.5、続く同4-6月期は▲27.9と、19年10-12月期の実績見込みに比べてやや悪化が見込まれており、慎重な見通しとなっている。

(※)BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)とは、アンケートの回答結果を指数化したものである。本稿でのBSIとは、業況あるいは先行きの見通しなどが「良い」か「悪い」かという質問に対して「プラス(良い、増加等)」「中立(不変等)」「マイナス(悪い、減少等)」の3つの選択肢を用意して、「プラス」と回答した企業の割合から「マイナス」と回答した企業の割合を差し引いた数値のことをいう

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は19年7-9月期が▲21.6となり、19年4-6月期比5.6ポイント低下した(図表2)。

続く19年10-12月期は▲27.1と、同7-9月期に比べてさらに5.5ポイント低下し4四半期連続で悪化した。一般機械が横ばいとなったものの、それ以外のすべての業種で低下しており、特に繊維、木材・木製品、窯業・土石、鉄鋼などが大きく低下した。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「五輪関連の建設が活況を呈しており業況は改善している」(金属製品)との声がある一方、「米中貿易摩擦によって業界全体で受注量が減少している」(その他製造)といった声が寄せられた。

非製造業は19年7-9月期が▲2.4となり、19年4-6月期比9.5ポイント上昇した。公共工事の増加や消費増税前の駆け込み需要から、建設や小売などの業種で上昇した。

続く19年10−12月期は▲24.5となり、同7-9月期比22.1ポイント低下した。前期に大きく上昇した反動もありすべての業種で低下し、なかでも卸売や小売の低下幅が大きかった。

非製造業の業況については「公共工事の発注増加により売上高が増加している」(建設)との声がある一方、「増税前の7-9月期には荷動きが増加し業況が改善したものの、10月以降は荷動きが停滞していると感じる」(運輸)といった声が挙がった。

先行きは製造業、非製造業ともにさらに低下する見通しが示されている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、19年7−9月期は大企業が6.3、中堅企業が20.8、中小企業が▲13.6となり、19年4-6月期と比べてすべての規模で上昇した(図表3)。

続く19年10-12月期は大企業が▲9.4、中堅企業が▲29.2、中小企業が▲26.1となり、同7-9月期比でいずれも低下した。

先行きは大企業や中堅企業で概ね上昇する一方、中小企業では低下が見込まれている。

3生産・売上、在庫

(1)生産・売上

─2期連続の低下。先行きも低下する見通し─

19年7-12月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」−「減少」)は▲16.9となった(図表4)。19年1-6月期(以下、前期)から7.4ポイント低下し、2期連続で前期を下回った。

業種別にみると、製造業は▲22.9となり前期から7.6ポイント低下した。化学や木材・木製品などが上昇しているものの、食料品や電気機械などが低下している。また、非製造業は▲12.6となり、前期から7.1ポイント低下した。小売が上昇しているものの、運輸やサービス他などが低下している。

生産・売上については「大手ECサイトへの出店により売上高が増加した」(卸売)との声がある一方、「値上げした商品の販売が減少しており、消費マインドの低さを感じる」(食料品)といった声が聞かれた。

先行きを示す20年1−6月期(以下、来期)のBSIは、▲27.2と今期に比べ低下する見通しである。

(2)在庫

─2期連続で在庫は積み上がり─

今期の製・商品在庫BSI(「過剰」−「不足」)は5.2となった(図表4)。前期から1.7ポイント上昇し、2期連続で前期を上回った。

業種別でみると、製造業は10.3となり前期から7.1ポイント上昇した一方、非製造業では1.7と前期から2.1ポイント低下している。

来期は4.3とほぼ横ばいで推移する見通しである。

4仕入・販売価格

(1)仕入価格

─2期連続で低下し、低下傾向が続く見通し─

今期の仕入価格BSI(「上昇」-「低下」)は35.9となった(図表5)。前期から5.4ポイント低下し、2期連続で前期を下回った。

業種別にみると、製造業は42.5となり前期から6.3ポイント低下した。木材・木製品、繊維などの業種で低下している。非製造業は31.2となり、前期を5.0ポイント下回った。すべての業種で低下しており、特に運輸、卸売などの低下幅が大きくなっている。

仕入価格については「原材料の供給状況が不安定であることから、価格面・調達面の予測ができず苦慮している」(食料品)との声や「燃料価格が以前より下落した」(運輸)といった声もあった。

来期のBSIは32.3となり、今期に比べて3.6ポイント低下する見通しとなっている。

(2)販売価格

─小幅ながら2期連続で低下─

今期の販売価格BSI(「上昇」-「低下」)は6.0と前期に比べて2.8ポイント低下し、2期連続で前期を下回った(図表5)。

業種別にみると、製造業が2.4となり前期から2.8ポイント低下した。また、非製造業は8.5となり前期から2.7ポイント低下している。

販売価格については「値上げ交渉できる環境になってきている」(運輸)といった声がある一方、「取引先から要請された予算内での製造が求められ、価格の引き上げは難しい」(金属製品)といった声が寄せられた。

来期のBSIは1.8となり、今期に比べて4.2ポイント低下する見通しとなっている。

なお、販売価格BSIと仕入価格BSIの差は▲29.9と前期から2.6ポイント上昇した(図表5)。仕入価格、販売価格ともに低下しているものの、仕入価格の低下幅の方が大きくなっており、価格転嫁がやや進んでいる。

来期のBSIは仕入価格、販売価格とも低下が予想されている。

5採算

(1)採算

─2期連続で前期を下回った─

今期の採算BSI(「好転」-「悪化」)は▲17.4となった(図表6)。前期比5.2ポイント低下し、2期連続で前期を下回った。

業種別にみると、製造業は▲22.9となり前期比2.7ポイント低下した。化学やその他製造は上昇した一方、鉄鋼や電気機械などが低下している。非製造業は▲13.6となり、同6.9ポイント低下した。全業種で低下しており、特に運輸や建設などが大きく低下している。

採算については「仕事の平準化やコスト削減により、収益が向上した」(輸送機械)といった声がある一方、「販売は好調だが、競争激化により販売価格が低下しているほか、原材料の高騰により採算が悪化している」(化学)といった声も聞かれた。

来期のBSIは▲24.3となり、今期に比べ6.9ポイント低下する見通しとなっている。

(2)採算好転・悪化の理由

─悪化要因では「売上数量の減少」がトップ─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(61.5%)の割合が最も高く、以下「販売価格の上昇」(26.2%)、「経営の合理化」(21.5%)などが続いた(図表7)。

なお、19年上期調査と比べると、「経営の合理化」や「仕入価格の低下」が高くなった一方、「売上数量の増大」が大幅に低下している。

一方、今期の採算が「悪化」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の減少」(76.6%)が最も高く、以下「人件費などの固定費負担の増加」(35.1%)、「仕入価格の上昇」(30.9%)などが続いた(図表8)。

なお、19年上期調査と比べると、「売上数量の減少」や「人件費などの固定費負担の増加」などの割合が高くなっている。

6雇用

(1)全産業・業種別

─ 製造業は雇用の不足感が緩和傾向にある一方、非製造業では不足感が強まる─

正社員の充足状況をみると、今期の雇用BSI(「過剰」-「不足」)は▲40.0となった。前期比0.1ポイント低下しほぼ横ばいで推移したものの、依然として雇用の不足感は強い状況にある(図表9)。

業種別にみると、製造業は前期比2.9ポイント上昇の▲28.1となり、2期連続で前期を上回った。化学、鉄鋼などでは低下したものの、木材・木製品や一般機械などが上昇した。一方、非製造業は前期比2.4ポイント低下し▲48.4となった。2期ぶりの低下となり、非製造業の雇用の不足感は継続的に雇用BSIの調査を開始した1993年下期調査以来、最も強くなっている。卸売は上昇したものの、小売、運輸では低下している。

雇用については「人手不足で受注増加に対応できない」(その他製造)、「人員確保が新規出店において最大の障害となっている」(小売)といった人手不足による機会損失を挙げる声が挙がっている。また、「求人広告などの費用が増大しているうえ、最低賃金の上昇などにより常に給与の見直しが必要となっている」(サービス他)など、人件費の増加に苦慮する声も聞かれた。一方、「人手不足、人件費高騰を背景に、物流システムの合理化・省力化の引き合いが増えている」(一般機械)、「業界全体で人手不足が大きな問題となっていることから、新しい技術取得に向けて取り組んでいく必要がある」(建設)といった、人材不足を契機とした新たな動きもみられる。

(2)職種別

─「専門・技術」「営業・販売」などで不足感が強まる─

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で▲41.8となり不足感が最も強く、以下「営業・販売」(▲34.5)、「生産・建設」(▲29.5)などが続いている(図表10)。

前期と比べると、「営業・販売」や「専門・技術」で不足感が拡大している。また、「生産・建設」は不足感がやや拡大しているものの、内訳を業種別にみると建設業が大きく低下している一方、製造業では上昇している。

7経営上の問題点

─「 生産・受注・売上の不振「」人材不足」などの割合が上昇─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(63.5%)の割合が最も高く、以下「生産・受注・売上の不振」(43.3%)、「先行き見通し難」(35.7%)、「人件費の増加」(30.9%)などが続いている(図表11)。

業種別にみると、製造業は非製造業に比べて「仕入価格の上昇」「生産・受注・売上の不振」の割合が高くなっている一方、非製造業は製造業に比べ「人材不足」「競争・競合激化」の割合が高くなっている。

また、19年上期調査と比べると、「仕入価格の上昇」などの割合が低下した一方、「生産・受注・売上の不振」「人材不足」などの割合が上昇している。

8設備投資

(1)設備投資計画

─19年度の設備投資額は前年度並みとなる見込み─

19年度における設備投資の実施企業割合(含む見込み)は63.6%となり、18年度実績を5.2ポイント上回る見込みとなっている(図表12)。

実施企業割合を業種別にみると、製造業が78.3%、非製造業が53.2%となり、いずれも18年度実績を上回っている。

19年度の設備投資額(含む見込み)は18年度実績比1.8%増となっている(図表12)。前年度並みで推移する見込みとなっているものの、19年上期調査(4.6%減)より上方修正されている(図表13)。

業種別にみると、製造業は18年度実績比0.7%増となっている。内訳をみると、金属製品や繊維などで減少しているものの、電気機械や窯業・土石などで増加している。また、非製造業は同4.2%増となっている。建設やサービス他が減少しているのに対して、運輸や小売などが増加している。

規模別にみると、中堅企業が18年度実績比21.7%減と前年度を下回っている一方、大企業が同4.1%増、中小企業が同3.0%増と前年度を上回っている。

(2)設備投資の目的

─「 情報化(IT)投資「」既存機械・設備の入れ替え」などが上昇─

19年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(68.6%)の割合が最も高く、以下「省力化・合理化」(26.8%)、「生産能力増大のための機械・設備導入」(27.6%)などの順となっている(図表14)。18年度実績と比べると、「情報化(IT)投資」「既存機械・設備の入れ替え」などが上昇した一方、「生産能力増大のための機械・設備導入」「省力化・合理化」などがやや低下した。

9消費増税の影響

(1)売上高

─7割超の企業が売上高は「変わらない」と回答─

消費税が引き上げられた10月以降、消費増税の影響で売上高が変化したかを尋ねたところ、「変わらない」の割合が最も高く、70.2%となった(図表15)。以下「やや減少している」(14.6%)、「減少している」(6.0%)などの順となり、この両者を合計した『どちらかといえば売上高が減少している』の割合は20.6%となった。設問の仕方や調査対象などに違いがあるため単純に比較はできないものの、当センターが前回増税後の14年5月に実施した14年上期企業動向調査によると、増税後の反動減について『反動減が生じた』と回答した割合は45.9%となり、今回調査の結果を大きく上回っている。現時点で増税の影響による売上高の落ち込みは、前回増税時よりも小幅にとどまっている模様である。

業種別にみると、『どちらかといえば売上高が減少している』と回答した割合は製造業で17.8%、非製造業で22.5%となっており、なかでも小売(52.2%)、繊維(42.9%)、木材・木製品(33.4%)などで高くなっている。

(2)終息時期

─『19年度内に終息』が約半数を占める─

『どちらかといえば売上高が減少している』と回答した企業に、消費増税の影響による売上高減少の終息時期を尋ねたところ、「わからない」(36.6%)の割合が最も高くなった(図表16)。以下「2020年1〜3月頃」(22.1%)、「2019年内」(20.7%)の順となっており、この両者と「既に収束している」を合わせた『19年度内に終息』の割合は49.7%と約半数を占めている。

なお、「わからない」と回答した企業の割合は製造業で44.2%、非製造業で32.3%となっており、消費増税の影響について製造業の不透明感が高くなっている。

10社員教育

(1)実施内容

─8割以上の企業が社員教育を実施─

人手不足が続くなか、企業では社員の能力の向上が課題のひとつとなっており、その解決手段として社員教育が注目されている。

そこで社員教育の現状を尋ねたところ(複数回答)、「資格取得支援制度」「計画的なOJTの実施」「OFF-JTの実施」など何らかの『社員教育を実施している』企業の割合は81.4%となった(図表17)。なお、社員教育の具体的な内容をみると、「資格取得支援制度」(48.1%)と「計画的なOJTの実施」(46.4%)の割合が特に高くなっており、以下「OFF-JTの実施」(40.4%)、「計画化されていないOJTの実施」(27.2%)などが続いている。

規模別にみると、いずれも「資格取得支援制度」の割合が最も高くなっているものの、大企業は他の規模に比べて「通信教育等、自己啓発への金銭的支援」や「スキルマップの作成」などの割合が高い一方、中堅企業では「社員教育は実施していない」が高くなっている。また、中小企業では「OFF-JTの実施」が他の規模に比べて高くなっている。

(2)OFF-JTの内容

─「 新規採用者など初任層を対象とする研修」が半数超─

社員教育の実施内容のうち、「OFF-JTの実施」と回答した企業に、その詳細を尋ねたところ(複数回答)、「新規採用者など初任層を対象とする研修」(56.7%)の割合が最も高く半数を超えた(図表18)。以下「マネジメント研修」(45.5%)、「技術者・技能者研修」(39.9%)などの順となっている。

業種別にみると、製造業、非製造業ともに「新規採用者など初任層を対象とする研修」の割合が最も高くなっているものの、製造業は非製造業に比べて「労働生産性向上に向けた研修」や「マネジメント研修」が高い一方、非製造業は製造業に比べ「営業・販売研修」や「技術者・技能者研修」が高くなっている。

11まとめ

アンケート調査結果をみると、19年7-9月期の「業況感」は公共工事の増加や消費増税前の駆け込み需要などから上昇した後、同10-12月期には、天候不順や駆け込み需要の反動減などから非製造業を中心に低下したため、業況感は悪化した。

先行きを示す見通しBSIについても、低下が見込まれており、業況感は低水準での推移が続く見通しとなっている。

今後も米中貿易摩擦や中東情勢の緊迫化による原油価格の動向、消費増税後の個人消費の回復状況など国内外で懸念材料が多く、県内企業にとって厳しい外部環境が続くとみられる。ただし、今回の調査では自由回答のなかに「多品種少量生産への取り組みを進めてきた結果、取引先の数と業種が増えたことで、景気の変動があっても一定の受注が確保できるようになった」(金属製品)、「売上高が伸びている部門を増員するなど、人員の配置転換の実施などにより合理化を図っており、生産性は向上している」(卸売)など、外部環境が厳しいにもかかわらず自社の経営努力によって業績を向上させている企業がみられており、このような動きが広がっていくことを期待したい。(2020年1月 近 由夏)全文PDFtip_pdf

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2020年新潟県経済を占う 県内主要団体に聞く

2020/01/06 :自主調査(調査報告)

県内景気は前年より厳しい見通し。消費増税の影響や米中貿易摩擦の動向などに懸念。ただし、東京五輪やAI・IoTの活用などに期待感も

はじめに

2019年の新潟県経済を振り返ると、年初は生産活動や個人消費などで緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、その後、生産活動は米中貿易摩擦の影響などから弱含み、個人消費は家電製品や乗用車などの耐久消費財を中心に消費増税による駆け込み需要とその反動減がみられた。一方、減少していた公共投資は「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」によって、国の予算が大幅に増額されたことなどもあり、持ち直しに転じている。総じてみると、足元の県内経済は横ばいで推移している状況にある。

こうしたなか、当センターでは、県内の主な業界団体や商工会議所・連合商工会の42団体にご協力をいただき、2020年の見通しについてうかがった。以下はその調査結果である。

1.2020年の国内景気見通し

─厳しい景気見通しが広がる─

新年(2020年)の国内景気の見通しを尋ねたところ、前年と比べて「やや悪化」と予想する回答が22団体と最も多くなった(図表1)。また、「悪化」が3団体あり、調査対象42団体(業界団体32団体、商工会議所・連合商工会10団体)のうち約6割に当たる25団体が厳しい見通しを示している。

また、前回調査(2019年見通し)と比較すると、「やや好転」「変わらない」が減少する一方、「やや悪化」「悪化」が増加している。

2.2020年の県内景気見通し

─国内景気と比べ、より厳しい見通し─

新年(2020年)の県内景気の見通しについては、前年と比べて「やや悪化」と予想する回答が26団体と最も多くなった。「やや悪化」に「悪化」と回答した3団体を合わせると29団体となり、全体の約7割を占めている(図表2)。

また、前回調査(2019年見通し)と比較すると、「やや好転」「変わらない」と予想する回答が減少する一方、「やや悪化」「悪化」が増加している。

県内景気の先行きについては、国内景気と比べて、より厳しい見通しをする団体が多くなっている。

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新潟県消費動向調査2019年冬期

2019/12/02 :自主調査(調査報告)

─「ボーナス支給予想」は低下。一方、「ボーナスの使途」では「買い物」「旅行・レジャー」が上昇しており、明るさもみられる─

はじめに

新潟県内の個人消費関連の経済指標をみると、百貨店・スーパー販売額は衣料品が低調だったことなどから前年を下回って推移していたものの、消費税の引き上げ直前には酒類や日用品のまとめ買いによって売上高の押し上げがみられた(図表1)。ただし、前回増税時に比べると伸び率は小幅にとどまった。家電大型専門店販売額はパソコンや4Kテレビ、白物家電などを中心に、好調に推移している。一方、乗用車(軽含む)新規登録・届出台数は人気車種のモデルチェンジの効果や駆け込み需要が幾分みられたことから前年を上回る推移が続いたものの、増税後は反動減などにより減少している。消費増税という特殊要因があったことから、増税前後で大きな振れ幅をともなう動きとなっており、足元の個人消費は駆け込み需要の反動が一部にみられる。

こうしたなか、個人消費の実態と先行きの動向を把握するため、9月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,525人)を対象に、収入や消費支出の状況、今後半年間における消費支出項目の増減、近年登場した商品・サービスの利用状況、ボーナス等についてアンケート調査を実施した。

1収入の推移

─収入は2期ぶりに上昇─

〈半年前と比較した収入について〉

半年前と比べて収入が「増えた」と回答した人の割合は15.1%、「減った」と回答した人の割合は16.2%となり、収入CSIは▲1.1となった(図表2)。収入CSIは2019年夏の調査と比べて4.1ポイント上回っており、2期ぶりに上昇した。

年代別でみると、19年夏の調査と比べて「増えた」と回答した人の割合は40代を除くすべての年代で上昇している一方、「減った」と回答した人の割合はすべての年代で低下している(図表3)。

〈今後半年間の収入について〉

今後半年間の収入についても同様に尋ねたところ、収入予想CSIは▲10.8となった(図表2)。収入予想CSIは足元の収入CSIと比べて9.7ポイント低くなっており、慎重な見通しが示されている。

年代別では、足元の収入CSIと比べて収入予想CSIが上昇しているのは50代、60代以上のみとなっている。

※ CSI(Consumer Survey Index)

アンケートの回答結果を指数化したもので、ここでは「増えた・増えそう」と回答した人の割合から「減った・減りそう」と回答した人の割合を差し引いた数値のことをいう。CSIは、収入・消費支出が増加(改善)基調か減少(悪化)基調かといった「変化の方向」と、拡張・後退が速いか遅いかといった「変化のテンポ」を示すものである。

2消費支出の推移

─消費支出は2期ぶりに低下するも、先行きは上昇する見通し─

〈半年前と比較した消費支出について〉

半年前と比べて消費支出が「増えた」と回答した人の割合は30.0%、「減った」と回答した人の割合は5.6%となり、消費支出CSIは24.4となった(図表4)。消費支出CSIは19年夏の調査と比べて3.1ポイント下回って2期ぶりに低下した。調査時期が消費税引き上げの直前であったものの、目立った駆け込み需要は生じなかった模様である。

〈今後半年間の消費支出について〉

今後半年間の消費支出についても同様に尋ねたところ、消費支出予想CSIは28.4となった(図表4)。

消費支出予想CSIは、足元の消費を示す消費支出CSIと比べて4.0ポイント高くなっており、先行きの消費は緩やかに増加する見通しが示されている。

年代別でみると、30代を除くすべての年代で足元に比べて先行きの消費支出の増加が見込まれている。

3今後半年間における消費支出項目

─「増えそう」は「食費(外食費を除く)」がトップ─

今後半年間の消費支出について「増えそう」な支出項目と「減りそう」な支出項目をそれぞれ尋ねた(複数回答)。

〈消費支出が増えそうな項目〉

「増えそう」と回答した人の割合は「食費(外食費を除く)」が最も高く、41.0%となった(図表5)。以下「日用品(生活雑貨・消耗品等)」「教育費(学費・学習塾・教材費等)」などの順となっており、比較的購入頻度の高い項目が上位となっている。

〈消費支出が減りそうな項目〉

「減りそう」と回答した人の割合は「趣味・娯楽費(書籍・スポーツ・アウトドア用品等)」が最も高く27.1%となった(図表6)。以下「外食費」「小遣い(含む交際費)」などの順となっており、余暇関連の項目が上位に挙がっている。

4近年登場した商品・サービスで半年以内に利用したもの

─「ネットショッピング」が7割近くでトップ─

近年登場した商品・サービスのうち、最近半年以内に利用したものを尋ねたところ(複数回答)、「ネットショッピング」が66.0%と最も高くなった(図表7)。以下「定額制の映像配信・雑誌読み放題・音楽配信等サービス(Amazonプライム・dマガジン・Applemusic等)」(17. 1%)、「フリマアプリ(メルカリ、ラクマ等)」(14. 2%)、「オンラインゲーム」(12.2%)などの順となっている。一方で、「家計簿アプリ」(4.9%)、「ネットスーパー」(4.4%)、「投資アプリ」(4.3%)などの利用は一部にとどまっている。

調査対象などに違いがあるため単純に比較はできないものの、当センターが12年4月に実施した「ネットショッピングに関するアンケート調査」によると、「ネットショッピング」の利用について「半年に1回程度以上」と回答した人の割合は51.3%となっていることから、約7年間で15ポイント程度上昇している。

性別では、男女とも「ネットショッピング」の割合が最も高くなっているものの、男性は女性に比べ「ネットオークション」「オンラインゲーム」などの割合マアプリ」などが高くなっている。

年代別にみると、「ネットショッピング」のほか「定額制の映像配信・雑誌読み放題・音楽配信等サービス」「フリマアプリ」など、主にスマートフォンを使ったサービスの利用については若年層ほど高い割合になっている。

5ボーナス支給予想

─ボーナスの支給予想は18年冬の調査に比べて低下─

今冬のボーナスが昨年の冬と比べて「増えそう」と回答した人の割合は6.3%、「減りそう」と回答した人の割合は15.3%となった(図表8)。ボーナス支給予想CSIは▲9.0となり、18年冬の調査に比べて2.8ポイント下回ったものの、基調としては横ばい圏内で推移している。

今冬のボーナス支給予想CSIを18年冬の調査と比べると、「増えそう」と回答した人の割合は40代、50代でわずかに上昇している(図表9)。一方で、「減りそう」と回答した人の割合はすべての年代で上昇している。

6ボーナスの使途

─「預貯金等」がトップ─
 
今冬にボーナス支給があると回答した1,115人を対象に、ボーナスの使途について尋ねたところ(複数回答)、「預貯金等」の割合が49.6%となり最も高くなった。(図表10)。以下「買い物」「生活費の補填」「旅行・レジャー」などの順となった。

18年冬の調査と比べると「買い物」「旅行・レジャー」などの割合がやや上昇した一方、「生活費の補填」「預貯金等」などの割合が低下した。

ボーナスの使途を年代別にみると、全ての年代で「預貯金等」が第1位となった(図表11)。第2位は10~20代で「旅行・レジャー」、30代で「買い物」となっており、40代、50代、60代以上で「生活費の補填」となった。

まとめ

今回の調査結果によると、19年夏の調査と比べて「収入」は上昇した。一方、「消費支出」は足元では低下したものの、先行きをみると増加する見通しとなっている。

ただし、今後半年間で「消費支出が増えそうな項目」には「食費(外食費を除く)」「日用品(生活雑貨・消耗品等)」といった購入頻度の高い項目への支出が上位に挙がっているのに対して、「消費支出が減りそうな項目」では「趣味・娯楽費(書籍・スポーツ・アウトドア用品等)」「小遣い(含む交際費)」といった余暇関連への支出が上位となっており、節約志向がやや高まっていることがうかがえる。これらを踏まえると先行きの消費支出の増加は、購入頻度の高い項目への支出が消費増税にともなって増加することを見越している面もあり、一概に積極的な消費拡大の表れとは言い難い。

一方で、「ボーナスの使途」においては「買い物」「旅行・レジャー」の割合が上昇するなど明るさもみえることから、消費マインドが過度に悪化していく可能性は小さいと思われる。加えて、消費増税にあわせて軽減税率制度やキャッシュレス・消費者還元事業といった政府による家計への負担軽減対策が手厚く講じられていることなどから、駆け込み需要の反動減によって消費支出が落ち込むことはあっても一時的なものにとどまるとの見通しが一般的となっている。

ただし、米中貿易摩擦などによって企業の業績が下振れすることで雇用・所得環境が悪化することになれば、消費増税による節約志向の高まりと相俟って消費マインドの低下が長期化する可能性があり、注意が必要である。

(2019年11月 近 由夏)

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「キャッシュレス決済」に関するアンケート調査

2019/12/02 :自主調査(調査報告)

─今後、クレジットカード、カード型の電子マネー、QRコード決済を中心にキャッシュレス決済が増える見込み─

はじめに

2019年10月より「キャッシュレス・消費者還元事業」が開始された。これは、消費税が引き上げられる10月1日から9カ月間、対象となる中小の小売店や飲食店等で、クレジットカードや電子マネー等を使って代金を支払うと、最大で5%分のポイントが戻ってくる政府の取り組みである。こうしたなか、県内のキャッシュレス決済の利用動向を把握するため、9月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,492人)に対してアンケート調査を実施した。

1キャッシュレス決済の現状

(1)キャッシュレスとは

─ 物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態─

キャッシュレスについては統一的な定義が存在しない。そのため、経済産業省では「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」において、「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」をキャッシュレスとしている。

また、一般社団法人キャッシュレス推進協議会では店頭での主なキャッシュレス決済を「接触型」「非接触型」「コード型」の3つに分類している(図表1)。

本稿では上記などを踏まえ、「クレジットカード」「電子マネー」「デビットカード」「QRコード決済」「非接触型決済」などを具体的なキャッシュレス決済手段とした。

(2)キャッシュレス決済金額の推移

─キャッシュレス決済金額は拡大が続く─

日本銀行の「キャッシュレス決済の現状」などを参考に主なキャッシュレス決済である「クレジットカード」「電子マネー」「デビットカード」の決済金額を合わせると、増加傾向で推移している(図表2)。2014年に合計で約51兆円だった決済金額は18年までに約74兆円まで増加している。

一方、経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」によると、国の家計最終消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率を諸外国と比較すると、日本のキャッシュレス比率は18.4%と低い水準にあり、大阪・関西万博(2025年)に向けて、キャッシュレス決済比率を40%とする目標が掲げられている。

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景気の現状と先行き見通し

2019/11/01 :自主調査(調査報告)

─横ばいで推移している県内経済─

1景気の現状と先行き

現 状

◎県内経済は横ばいで推移している

県内主要経済指標等から景気の現状を概観すると、公共投資は持ち直している。個人消費は緩やかに持ち直しており、設備投資と住宅投資は概ね横ばいで推移している。一方、生産活動は弱含んでいる。総じてみると、県内経済は横ばいで推移している。

先行き
◎生産活動は弱含みが続く

生産活動は内需が堅調さを維持しているものの、米中貿易摩擦などの影響により外需が落ち込んでいることから、引き続き弱含むとみられる。個人消費は消費増税の実施により、消費マインドの落ち込みが懸念される。ただし、軽減税率制度の導入など家計への負担を緩和させるための各種経済対策が講じられていることもあり、消費の低迷は一時的にとどまるとみられる。一方、公共投資は政府の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」により、インフラの維持を中心に、国や県などで公共工事関連の予算が前年と比べ増額となっていることから、今後も持ち直しの動きが続くと思われる。

総じてみると、リスク要因はあるものの、県内経済は横ばいで推移するとみられる(図表1)。

2生産活動の現状と先行き

現 状

◎弱含んでいる

新潟県の鉱工業生産指数(季節調整値)は、19年4-6月期に前期比4.0%低下の101.5と大幅に低下し、3四半期連続で前期を下回った(図表2)。

生産指数を業種別にみると、汎用・生産用・業務用機械や化学は海外からの受注が減少しており、弱い動きとなっている。輸送機械は海外で新車販売が低迷していることから、自動車部品などの生産に落ち込みがている。食料品は包装米飯や水産練製品などが好調なことから、堅調な動きとなっている。

国内向けの比重が比較的高い業種は底堅く推移している一方、海外向けの製品を生産している業種では「受注の減少が続いているため、受注残高が減り生産水準にも影響が出てきた」との声が挙がっている。

先行き

◎ 弱含みが続く。外需の落ち込みが内需に波及する可能性に注意

生産活動の先行きを業種別にみると、汎用・生産用・業務用機械は米中貿易摩擦など不透明な海外情勢が続くなか、中国などで設備投資に慎重な動きがみられており、弱い動きが続くと見込まれる。輸送機械は中国やインドなど新興国を中心とした新車販売の減速を背景に、自動車部品の輸出が減少している影響から低調に推移すると思われる。一方、金属製品は東京オリンピック・パラリンピック関連の建設工事に落ち着きがみられるものの、大都市圏で大規模な再開発が計画されていることから、作業工具や建設用金属製品への需要は続くと予想される。

在庫循環図(3カ月移動平均)(注)をみると、4-6月期は「意図せざる在庫増加局面」にあり、徐々に「在庫調整局面」に近づいていることがわかる(図表3)。今後「在庫調整局面」に移行し、企業が生産水準を下げて在庫減少を図る可能性もあるため、在庫の動きを注視していく必要がある。

このように、今後も低調な外需を内需の底堅さが下支えする状況が続くと予想されるため、生産活動全体では弱含みながらも急速に悪化する可能性は小さいと思われる。ただし、海外経済の下振れによって国内経済が減速し、これまで底堅さを維持していた内需が弱含むことになれば、生産活動の大幅な落ち込みが懸念される。

(注)在庫循環図:出荷と在庫の伸び率を比較することによって景気循環を判断する図。景気循環に応じて、①意図せざる在庫減少局面→②在庫積み増し局面→③意図せざる在庫増加局面→④在庫調整局面、という動きとなり、理論上は反時計回りで変化する

3設備投資の現状と先行き

現 状

◎概ね横ばいで推移している

当センターが2019年上期に実施した「企業動向調査」によると、19年度の設備投資額(含む見込み)は前年度実績比4.6%下回る見通しである(図表4)。投資額が高水準であった18年度実績をやや下回る見通しであるものの、概ね横ばいで推移している。

設備投資の目的をみると(複数回答)、製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の割合が最も高く、以下「省力化・合理化」「生産能力増大のための機械・設備導入」などの順となっている(図表5)。一方、非製造業では「既存機械・設備の入れ替え」の割合が最も高く、以下「情報化(IT)投資」「店舗・工場等の新設、増改築」などの順となっている。企業へのヒアリングでは、製造業から「前年度に比べて生産能力増大のための投資は抑える一方、新製品開発など中長期的な視点に立った投資を行なう計画である」との声が聞かれる。非製造業では「情報化投資を引き続き実施するほか、軽減税率制度やキャッシュレス・消費者還元事業に対応するため、情報システムやレジの導入費用も計画に組み入れた」との声が挙がっている。

なお、他機関の調査結果をみると、調査時期や調査先の違いなどによって差はあるものの、19年度の計画は18年度実績とほぼ同水準となっている。

先行き

◎横ばいでの推移が続く

18年度補正予算では「ものづくり・商業・サービス補助金」「IT導入補助金」など、設備投資を推進する補助金制度を一体化し、「中小企業生産性革命推進事業」として大規模予算が組まれており、企業の採択が順次決定している。今後、これらの補助金を活用した設備投資が見込まれる。

企業にとって生産性の向上が喫緊の課題となっているなか、情報化及び省力化・合理化への投資が重要かつ不可欠になっており、今後も生産性向上に向けた設備投資は続くものと思われる。一方、景気の先行きに対する不透明感の高まりから、投資を先送りする動きが出てくる可能性に注意する必要がある。

4雇用の現状と先行き

現 状
◎ 有効求人倍率は高水準にあるものの、やや低下している

19年1-3月期の有効求人倍率(パートを含む全数、季節調整値)は1.66倍と15四半期ぶりに前期を下回り、続く4-6月期も1.66倍となった(図表6)。その後、7月は1.63倍、8月は1.59倍と低下している。有効求人数が19年3月から6カ月連続して減少していることなどから、有効求人倍率は高水準ながら足元ではやや低下しており、労働需給は緩和方向にある。

先行き

◎ 新規雇用には慎重な姿勢がみられ、労働需給の緩和が続く

雇用の先行指標となる新規求人数(パートを含む全数・実数)をみると、19年1-3月期に前年比0.6%減、続く4-6月期に同3.9%減と2四半期連続で前年を下回っている。なかでも製造業は、19年2月から8月まで7カ月連続で前年を下回っており、景気の先行き不透明感から新規雇用に対して慎重な姿勢であることがうかがえる。

「企業動向調査」によると、19年上期の従業員の過不足を示す雇用BSI(「過剰」-「不足」)は依然として低水準にあり、雇用の不足感の強い状況が続いているものの、6期ぶりに上昇に転じている(図表7)。実際、企業からは「雇用のひっ迫は続いているものの、幅広い職種で人手を確保しようといった前年までの募集状況を改め、足元では職種を絞り必要な人数を見極めて募集している」など、採用方法を変化させる動きが複数の業種から聞かれている。

今後、求職者の大幅な増加が予想し難いなか、有効求人倍率は高水準で推移するとみられるものの、米中貿易摩擦などを背景に製造業の生産は弱含んでおり、引き続き新規雇用に慎重な姿勢で臨むことが予想される。したがって、労働需給は緩和方向での動きが続くと思われる。また、景気の先行き不透明感の高まりから、製造業のみならず他の業種でも新規雇用を見合わせるといった、雇用状況の下振れリスクに留意する必要がある。

5個人消費の現状と先行き

現 状

◎緩やかに持ち直している

小売業販売額(全店)(注)は、19年4-6月期に前年比0.3%増となった(図表8)。内訳をみると、百貨店・スーパーは百貨店で衣料品販売が振るわなかったことなどから、前年を下回った。また、天候不順により園芸用品の販売が落ち込んだことなどから、ホームセンターも低調に推移した。一方、家電大型専門店では生活家電や4Kテレビ、パソコンなど幅広い商品で売れ行きが好調となった。買い替え需要に加え、消費増税前の駆け込み需要があったとみられる。ドラッグストアでは新店出店が続いており、前年を上回って推移した。

乗用車新規登録・届出台数(軽含む)は、19年4-6月期に前年比1.9%増となった後、19年7-9月期に同8.9%増となった(図表8)。人気車種のフルモデルチェンジがあり売り上げが伸びたことに加え、消費増税を意識した需要が幾分みられたことから、2四半期連続で前年を上回った。

これらのことから、個人消費全体としては緩やかに持ち直している。

(注)小売業販売額:経済産業省「商業動態統計」の百貨店・スーパー、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアの全店販売額を合計したもの

先行き

◎消費増税の影響は一時的にとどまる見通し

小売業販売額は、消費増税による消費マインドの低下から前年を下回る推移が予想されるものの、一時的な落ち込みにとどまると思われる。軽減税率制度の導入により、購入頻度の高い飲食料品の税率が8%に維持されるため、過度な節約志向が緩和されるとみられるほか、キャッシュレス・消費者還元事業の活用も期待される。家電大型専門店では駆け込み需要などによる売上増加がみられたことから反動減が懸念されるものの、サポート終了が予定されているWindows7の買い替え需要や東京オリンピック・パラリンピックを控え、4Kテレビの購入意欲の高まりが予想されることから、大幅な落ち込みは回避されるとみられる。

また、乗用車新規登録・届出台数は駆け込み需要が若干みられたものの、増税後の自動車税引き下げなど、政府の経済対策が講じられていることもあり、前回増税時に比べると盛り上がりに欠けたため、販売台数の減少は限定的とみられる。

総じてみると、個人消費は消費増税による一時的な落ち込みはあるものの、緩やかな持ち直し基調に戻っていくと期待される。

6住宅投資の現状と見通し

現 状

◎概ね横ばいで推移している

19年4-6月期の新設住宅着工戸数は、前年比10.2%増となり、2四半期ぶりに前年を上回った(図表9)。内訳をみると、貸家や分譲は前年を下回る動きが続いている一方、持家は4四半期連続で前年を上回り、住宅投資を下支えした。その後、7月は同13.4%増、8月は同39.5%減と振れ幅が大きくなっており、総じてみると、住宅投資は概ね横ばいで推移している。

先行き

◎横ばいでの推移が続く

県内の住宅メーカーによると、住宅ローン減税の対象期間の延長など、増税後の住宅取得優遇策が手厚いことから、駆け込み需要はほとんどみられず、その後の販売状況にも変化はみられていない模様である。持家は利便性の高い新潟市内を中心に需要が高いことから、底堅い動きとなることが予想される一方、前年にマンション建設が多かったことから、分譲はマンションを中心に前年を下回って推移するとみられる。また、貸家についても、相続税対策が一巡するなか、複数の大手メーカーによる施工不良問題もあり、不動産投資への需要が低下していることから、低調な動きが続くと思われる。

したがって、持家は持ち直しの動きが続く一方、貸家や分譲は弱めの推移となる見込みである。

7公共投資の現状と先行き

現 状

◎持ち直している

公共投資の発注動向を表す公共工事請負金額は、19年4-6月期に前年比2.4%増となり、3四半期連続で前年を上回った(図表10)。18年12月に「国土強靱化基本計画」の見直しと「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が閣議決定され、18年度補正予算から公共工事関連予算が大幅に増額されている。また、18年は市町村の執行額が大きく減少していたことからその反動もあり、市町村を中心に公共投資は前年を上回る推移が続いている。

先行き

◎持ち直しの動きが続く

「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」によって、国の予算が大幅に増加されたほか、新潟県の19年度予算では公共工事関連が前年度を大きく上回っている。県の予算はインフラを維持するための費用が中心となっており、なかでも河川改修費が大幅に増額されている。河川関連工事は冬場に実施されることから、今後県からの発注が期待される。ただし、新潟県においては財政状況の悪化により「新潟県行財政改革行動計画(案)」が発表され、そのなかで20年度の公共事業費の前年度比削減が盛り込まれていることから、今後の予算編成を注視していく必要がある。

(2019年10月 近 由夏)

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RPAによる業務効率化と導入のポイント

2019/11/01 :自主調査(調査報告)

はじめに

昨今、少子高齢化にともない生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少しており、さまざまな分野において労働力不足が顕在化している。そうしたなか、業務効率化や労働環境の改善などに向けた有効な手段のひとつとして、人手を要する事務作業などを効率化する新たな技術である「RPA」が注目を集めている。

本稿では、RPAの特徴や機能、導入時のプロセスなどを確認するとともに、すでにRPAを導入している県内外の活用事例を踏まえ、導入に向けたポイントを整理する。

1RPAについて

(1)RPAとは

RPAとは、Robotic Process Automationの頭文字から取った略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味する。

「ロボットによる業務自動化」といえば、工場等で活躍する産業用ロボットをイメージする。しかし、RPAはこうした物理的な形を有するロボットとは異なり、パソコン等にインストールされたソフトウェア(以下、ロボット)が、定型的な作業(いわゆる単純作業)を人間に代わり自動処理する「ツール」である。

(2)RPAツール

RPAツールは、「サーバー型」と「デスクトップ型」の2つに大別することができる(図表1)。

主な特徴についてみると、サーバー型はロボットがサーバー内で稼働するため、全社レベルでさまざまな業務を横断的に一元管理することができる。また、サーバー内で100体以上のロボットを同時に稼働させることも可能であるため、大量のデータを処理する場合に適している。

一方、デスクトップ型はロボットが個々のパソコン内でのみ稼働する。パソコン単位で導入できるため、部門・担当者レベルでの小規模な導入に適している。またサーバー型と比べて、一般的に導入コストが低価格であることも特徴となっている。

(3)RPA導入のメリット

①業務の自動化・効率化

RPA導入のメリットのひとつとして、業務の自動化・効率化がある。人間であれば1時間を要する作業がRPAであれば半分や3分の1程度の時間で済む場合もある。またロボットの設定次第では、時間や曜日に関係なく、いつでも作業を行なうことができるため、作業効率の向上が期待できる。

②コスト削減

RPA導入により、人件費の削減なども期待できる。RPAは導入にともない初期コストや定期的なメンテナンス費用などが必要となるものの、従来、人間が行なっていた定型的な作業をロボットが代わりに行なうことで、人件費や外注費などの削減に繋げることが可能となる。

③作業の品質向上

作業ミス(ヒューマンエラー)を払拭できることもRPAのメリットである。人間が集中力を持続できる時間には限界があり、長時間にわたり作業に従事すると、作業ミスが発生しやすくなる。

しかし、RPAでは一度設定したプログラムをロボットが正確に繰り返し、作業し続けることが可能なため、ミスが防がれ、作業の品質向上が見込まれる。

(4)RPAの導入効果が大きい業務

一般的にRPAの導入効果が大きいといわれている業務は、「手順・ルールが決まっている単純作業」や「大量かつ繰り返し行なう定型作業」とされる。

具体的な作業としては、伝票など各種データの入力作業、請求書等の管理・発行作業、インターネット(Webサイト)にアクセスして、特定のデータを収集する作業や社内システムの利用状況をモニタリングして、結果をエクセルで一覧化する作業など多岐にわたる。

ただし、作業プロセスを頻繁に変更する作業、あるいは人の判断を必要とする作業などは、RPAによる自動化そのものが難しく、効果も小さいといわれている。

(5)RPAの導入プロセス

RPAの導入に際しては、一般に「①事前準備」「②試行導入」「③本格導入」「④運用・保守」という4つのプロセスが挙げられる(図表2)。そこで以下では、各プロセスについて説明する。

①事前準備

自社の既存業務を見直し、RPAの対象となる業務の洗い出しを行なう。そしてRPA導入の狙いは何か、対象となる業務を自動化するとどのような効果が得られるのかなど、対象業務や導入目的、導入効果を明確化する。

またRPAの選定では、自社の導入目的に合ったRPAかどうかを見極める必要がある。RPAはそのツールのタイプにより、ロボットの設定・稼働範囲や機能、導入コストなどが異なるため、RPAベンダー(販売会社)やホームページ等を活用しながら情報収集を行なう。

②試行導入

続いて、導入を見込むRPAツールの試行(トライアル)がポイントとなる。

実際にロボットが行なう作業、すなわちシナリオ(ロボットに正確な作業をさせるための具体的な設定や条件)を作成し、必要に応じて複数のRPAを稼働させてみることで、自動化を想定した業務とRPAツールとの親和性を判断するとともに、作業担当者にとっての使い勝手などを検証する機会とする。このほか、試行によりRPAと連携することになる自社のシステム環境や導入後の運用体制などを確認するとともに、本格導入に向けた課題の抽出・整理などを行なう。

③本格導入

試行導入での検証を踏まえて自動化の対象業務、RPAツールなどを選定する。

なお、本格導入に際しては、RPAの管理ルール・体制を整備し、専担者を配置する。導入後にRPAツールに不具合が生じたり、RPAと連携した社内システムの変更に備えて、社内業務と社内システムの双方に精通した人材をRPA担当者として登用・育成する必要がある。

④運用・保守

プログラミング停止などRPAを活用する際に生じる可能性がある想定外の不具合を回避すると同時に、作業を行なうロボットの最適化を図るために、適宜、保守・メンテナンスを行なう。また業務の一層の効率化に向けて、自動化する対象業務の拡大や業務プロセスの見直しなどを検討する。

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消費税率引き上げが個人消費に与える影響

2019/10/04 :自主調査(調査報告)

─前回増税時と今回の増税前の動向を比較─

はじめに

10月1日から消費税率が10%に引き上げられる。前回の増税時(2014年4月)には、大きな駆け込み需要がみられたものの、その後に反動減が生じ、個人消費の低迷が続いた。

そこで、本稿では前回増税時の個人消費の動向を振り返るとともに、19年10月以降の個人消費と住宅投資の見通しについて整理した。

1. 前回増税時における国内の経済動向

前回増税時の経済動向を四半期別の国内GDP(実質・季節調整済・前期比)によりみると、前回は増税前の14年1−3月期に前期比0.9%増加したが、増税後の4−6月期には同1.9%減となり、7四半期ぶりに前期を下回った(図表1)。個人消費(民間最終消費支出)は特に変動が大きく、1−3月期に同2.0%増と駆け込み需要により大幅に増加した後、4−6月期には同4.8%減と急速に落ち込んだ。

個人消費の動向を長期的にみると、その後も低迷が続き、17年1−3月期頃から個人消費に持ち直しの動きがみられるまで、約3年を要した(図表2)。

2.前回増税時における県内の経済動向

前回増税時における県内の経済動向を景気動向指数(一致指数・3カ月後方移動平均)により確認すると、13年1−3月期以降上昇傾向をたどり、14年1−3月期にピーク(114.1)を迎えた(図表3)。

増税後は、14年後半に一旦持ち直したものの、15年に入ると再び下降し、17年半ば頃から上昇基調に転じるまで、約3年間にわたり低迷が続いた。

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企業におけるソーシャルメディア活用のポイント

2019/10/01 :自主調査(調査報告)

はじめに

近年、スマートフォンの普及などもあり、ソーシャルメディアの利用者は増加している。このため、ソーシャルメディアで活発に情報発信したり、顧客ニーズを把握したりして、事業にソーシャルメディアを有効活用する企業が増えてきている。

こうした状況を踏まえ、本稿では企業におけるソーシャルメディアの利用割合や取組事例、活用のポイントなどを紹介する。

1ソーシャルメディアの現状

(1)ソーシャルメディアとは
総務省「平成27年版 情報通信白書」によると、ソーシャルメディアとは「インターネットを利用して誰でも手軽に情報を発信し、相互のやりとりができる双方向のメディア」とされている。具体的には、登録された利用者同士が交流できるウェブサイトの会員制サービスであるソーシャルネットワーキングシステム(以下、SNS)に加え、動画や写真などの共有ウェブサイト、ブログなどがソーシャルメディアに含まれる。

主なサービスを企業側の視点からまとめると、以下のようになる。

①LINE

LINEはEメールのように特定の個人を対象にメッセージをやり取りできるSNSである。個人間だけでなく、企業も公式アカウントを作成し、「友だち」登録したユーザーにメッセージを一斉配信できる。

②Facebook

Facebookは他のSNSとは異なり、実名による登録が特徴である。企業が活用できるFacebookページを通じて、文章で商品を紹介できるほか、画像や動画も投稿可能となっている。また、ユーザーが気に入った投稿などに対して、肯定的な反応を示す「いいね!」ボタンが設置されている。

③Twitter

Twitterは短文で投稿することが特徴のSNSであり、画像や動画も発信できる。使用した商品の感想などをユーザーが投稿した場合、それを取り扱っている企業が改めてユーザーの投稿を再投稿(以下、リツイート)して紹介することも多い。

④Instagram

Instagramは写真に特化したSNSであり、写真を簡単な文章とともに投稿する。写真映えする商品を扱う企業を中心に活用が進んでいる。

⑤YouTube

YouTubeは代表的な動画の共有ウェブサイトである。文章では伝えにくい商品の使用方法や使用感などを、動画で紹介している企業もある。

⑥ブログ

ブログは文章や画像などで構成された投稿を、時系列で閲覧できるウェブサイトの1つである。企業では、顧客や見込客に対して有益な情報を、ブログで発信しているケースがみられる。

なお、企業が運営している各ソーシャルメディアのアカウントに「友だち」登録やフォロー登録などを行なうことで、企業の投稿やお知らせなどが届くようになる。以下では、企業の投稿などが届くユーザーを「登録者」と表記する。

(2)個人の利用割合

①全国

総務省「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2017年)をもとに、全国における個人のソーシャルメディアの利用割合をみると、「LINE」の利用割合が75.8%と最も高く、次いで「YouTube」が72.2%となっており、ともに7割を超えている(図表1)。以下「Facebook」(31.9%)、「Twitter」(31.1%)、「Instagram」(25.1%)などとなっている。

なお、各ソーシャルメディアの利用割合を、全てのメディアで比較できる15年と比べると、この2年間で「LINE」が15.2ポイント上昇しているほか、「Instagram」が10.8ポイント、「YouTube」が5.5ポイント、「Twitter」が4.6ポイント上昇している。一方、「Facebook」は0.6ポイント低下しており、概ね横ばいで推移している。

②県内
当センター「SNSの利用状況に関するアンケート調査」(2017年)をもとに、県内の個人におけるSNSの利用割合をみると、「LINE」が69.9%と最も高く、以下「Facebook」(27.2%)、「Twitter」(21.5%)、「Instagram」(20.9%)などとなっている(図表2)。調査対象や調査方法等が異なるため単純には比較できないものの、全国と比べると、各SNSの利用割合は全体的にやや下回っている状況とみられる。

各SNSの利用割合を年代別でみると、「LINE」は全世代で利用割合が最も高くなっており、「50代」でも6割を超えている。「Facebook」は「10~20代」と「30代」で4割を超えているほか、「40代」でも2割強に利用されている。「Twitter」は「10~20代」が約6割と特に高くなっている。Instagramは「10~20代」で約5割、「30代」で3割を超えている。

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