海外現地レポート

第20回 上海/バンコク

2018/11/01 :海外現地レポート

バンコク   第四銀行コンサルティング推進部

タイのeコマース市場について

タイのIT発展は目覚しく、現在ではタイ人にとってスマートフォンは必需品となっています。首都バンコクのスマートフォン普及率は70%を超えており、その影響もあってオンラインショッピングもタイ人にとってはあたり前のものになりつつあります。今回はそのような進展の目覚しいタイのeコマース市場についてご紹介したいと思います。

eコマース取引とは、「コンピューターネットワーク上での商品、またはサービスの売買」を意味します。タイ国内でのeコマース市場は年々拡大しており、2017年の売上高合計は前年比9.9%増の2兆8,130億バーツとなりました(図表)。タイのeコマース市場の急速な拡大の要因は、物流の発展やインフラの大幅な改善によるほか、以下の要因が考えられます。

(1)2017年時点でのタイ国内のインターネット利用者数は3,310万人で10年間で約2,000万人増加している。

(2)タイ商業省がeコマース新興企業に対する、i)従業員の能力向上および販売準備サポート、ii)実店舗販売からオンライン市場進出までの一貫したサポート、iii)国境を越えた販路拡大のサポートを実施している。

(3)タイでもマーケティングや販路拡大において、他の媒体に比べて効率的かつ安価なウェブサイト、アプリケーションおよびソーシャルメディアを用いることが一般的になっていること。

(4)タイのeコマース市場に対する近隣諸国からの直接投資が増加しており、特に「LAZADA」「Shopee」「11 street」等の外資系企業の参入により競争が激化し、eコマース市場の刺激に繋がっている。

現在、タイで最大のeコマースサイトは「LAZADA」となっています。2011年にドイツのRoclet Internet社が設立したeコマースサイトであり、2012年にタイに進出しました。2016年6月にアリババに経営権を約10億ドルで売却しており、現在では東南アジア最大級のeコマースサイトとなりました。また、現在タイで最も勢いのあるeコマースサイトとしてシンガポールに本社を置く「Shopee」があげられます。タイに進出したのは2015年と最近のことですが、タイの有名俳優、女優を起用した大々的なプロモーション(写真)や送料無料などの各種キャンペーンにより、短期間のうちに利用者数を爆発的に伸ばしており、数年後には「LAZADA」に並ぶ存在になるといわれるほどの急成長をみせています。

タイのeコマース市場は今後も継続した成長が見込まれています。その理由の一つとして、潜在的なインターネット利用者の存在があげられます。首都バンコクのパソコン普及率は約50%であるのに対し、バンコク以外のほとんどの地域では30%を下回っています。今後、タイ国内の経済発展により現在メインユーザーである中間層以上から幅広い層へのインターネットの普及が進めばさらに市場は拡大すると見込まれています。

また、2017年にタイで開始されたヤマト運輸による国際クール宅急便サービスにみられるように、多様化する宅配需要に対応する動きも市場成長の追い風となっています。決済方法に関しても、タイでは一般的な決済方法である代引支払いから、今後モバイル決済が主流となっていくことで、利便性向上による利用者数の増加が予想されています。このようにタイのeコマースはまだまだポテンシャルの高い市場であるといえます。

(バンコク派遣 小池 貴大)

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第19回 上海/ホーチミン

2018/10/01 :海外現地レポート

ホーチミン  第四銀行コンサルティング推進部

ベトナムの水産業について

ベトナムの主要な産業の一つに水産業があります。ベトナムは南北に3,260キロメートルにわたる長い海岸線を有しており、国土に面する南シナ海では、豊富な種類の水産物が獲られています。養殖業も盛んで、広く分布する河川や池では古くからエビの養殖が行なわれてきました。

ベトナムの農林水産業は長らく国の発展を支えてきており、現在ベトナムのGDPのうち約15%を農林水産業が占めています。ベトナムでは、今後も農林水産業が重要な役割を果たすことと期待され、2020年までにはこの割合を30%程度までに高めることや水産物の輸出量増加、労働者の所得を3倍程度に引き上げることを目標としています。

世界的にみてもベトナムは世界有数の水産物輸出国です。日本との関係も深く、日本の水産物全体の輸入量では、5番目に多い取引国となっています。また、日本に輸入されるエビの21.9%がベトナム産のエビであり、最も多い割合となっています。反対に、日本からはカジキ・マグロ類の16.9%をベトナムに輸出しており、水産物全体の輸出相手国としても4番目に位置しています。

ベトナムの水産業の特徴としては養殖業が多いことが挙げられます。先述の通り、古くから南部メコンデルタ地域を中心に生け簀を利用した食用のエビが養殖されてきました。国内での消費が主であった過去から、政策的に養殖業の発展が推し進められ、90年代後半からは施設の近代化、工業化により、主要な立場を築くに至りました。

主に養殖される種類はバナメイエビやブラックタイガーといった種類のエビで、バナメイエビは病気に強いこと、ブラックタイガーは過熱した際に鮮やかな赤色が出ることから日本で特に好まれています。この二つは既に日本でも馴染みのある食材ではないでしょうか。また、近年はバサやパンガシウスとよばれる魚の養殖も盛んになってきています。世界的に白身魚の需要が増加するなか、既存の食材の代替魚として、アメリカやEU向けに多く輸出されるようになりました。

日本でも普段意識することはないかもしれませんが、このような魚が白身魚のフライなどの惣菜で利用されているかもしれません。

日本からはカジキ・マグロなどがベトナムへ輸出されていますが、一部はベトナム国内で消費されているものもあるでしょう。ただ、その多くはベトナムで缶詰などに加工され、日本もしくはEU諸国やアメリカなどに再輸出されています。さらに最近では、サウジアラビアやイスラエルなどの中東諸国への輸出も伸ばしています。ベトナムで加工を行なうメリットは人件費の安さや、EUやASEAN諸国等の消費市場に近いことが考えられますが、GLOBALGAPやBAPといった食品の認証制度や基準に耐えうる加工設備が整っていることも要因のひとつです。

ベトナムでは海外の輸入業者が、産業の発展段階の早期に進出し、このような設備を整えてきました。水産物・加工品の輸出増加に向け、ベトナム政府としても各水産加工会社がこういった認証制度を取得する為の支援を行なっており、世界的な競争力も更に増してくるものと考えられます。

全世界的に水産物の消費需要が増すなか、ベトナムは自国への供給はもちろんのこと、早くから国外のマーケットにも目を向け、水産業を発展させてきました。アメリカやEUなどの先進国との間でアンチダンピング関税が課される、食品基準が更に厳しくなる、他の新興国との競争激化が予想されるなどの懸念材料はありますが、今後も成長が期待できる産業のひとつであることは間違いなさそうです。

(ホーチミン派遣 今井 雅也)

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第18回 上海/ホーチミン

2018/09/03 :海外現地レポート

ホーチミン  第四銀行コンサルティング推進部

ベトナムの医療現場と課題

一般的なベトナムの人々は公立病院を受診します。公立病院と私立病院では診療費が大きく違うことがその主な理由です。日本では医師不足や地方の過疎化による地域医療の問題が多く取り上げられてきておりますが、ベトナムの状況はどうなっているのか。今回は、ベトナム国内の医療環境と課題について、公立病院の現状を中心にご紹介させていただきます。

ベトナムの健康保険制度ではすべての国民が所定の手続きを行ない、病院に受診すれば60%から100%の医療費が保障され、一定の医療サービスを受けることができる仕組みとなっています。

国民の多くが利用するベトナムの公立病院で中心的な役割を果たしているものは、「リファラルシステム」と呼ばれる仕組みです。病院と病院を結ぶ連携システムで、「患者紹介システム」と呼ばれることもあります。

ベトナムの公立病院には、国が管轄する病院、県や郡が管轄する病院、その他地方団体が管轄する病院がありますが、これは下位の病院で対応できない重症患者をより上位の病院に紹介し、治療を施すシステムであり、上位の病院は重症患者の治療を行なうだけではなく、先進医療の研究や下位の病院への医療指導を行なう役割も持っています。

しかし、近年上位の病院へ患者が集中し、「リファラルシステム」が機能不全に陥っている点が問題となっています。下位の病院では治療施設が整っておらず、また知識や経験の少ない人材が配置されていることが多く、重症患者に十分な治療を施さず放置し、不幸にも上位の病院に紹介したときには既に手遅れになっているという事態も発生しています。

地方の病院への信頼が失墜したことから、ベトナム国民は一定の負担を覚悟で、上位の病院を直接受診します。上位の病院ではそういった患者の対応に忙殺され、上位の病院本来の役割である先進医療サービスの提供や研究、下位の病院への指導が妨げられてしまっているのです。

例えば、ホーチミン市にありますチョーライ病院は国が直接運営を行なう病院で、保健省の指定する3大総合病院の一つとして、「リファラルシステム」では最も上位の病院に位置します。このチョーライ病院にも患者が殺到し、対応に苦慮しています。外来の初診の場合、早朝に受け付けた患者がその日のうちに診察を受けられないケースも発生するほどの混雑ぶりで、総合受付や会計に外来患者やその家族が列をなし、院内は雑然とした雰囲気に包まれています。入院患者についても同様で、病床数に対し、常に100%を超える患者が入院し、1つのベッドに2人の患者が横たわる、病室に収まり切れない患者が廊下に配置されたストレッチャーにて療養するなどの光景もみられます。

こういった状況の原因は、前述致しました下位の病院への信頼感の欠如が主ではありますが、その他にも病院施設、医療人材の絶対数の不足、下位の病院に勤務する医師の「リファラルシステム」への知識不足(病状の程度を充分考慮せず、直接トップである国営病院に紹介する)、救急体制の未確立(同様に直接国営病院へ搬送する)などが挙げられます。

また、将来を見据えると疾病構造の変化へも対応が必要となっております。2012年に行なわれましたWHOの調査ではベトナム人の死因トップテンの第一位は脳卒中によるものでしたが、従来多かった感染症が減り、心疾患や呼吸疾患、がんなどが増える傾向にありました。今後は豊かになる生活と引き換えに、先進諸外国と同様に生活習慣病への対応が更に必要になってくるのは明白です。

急激な経済発展や人口増加により、医療を取り巻く環境も劇的に変化しているベトナムですが、この課題に対し現在から将来にわたり効果的な取り組みができるかどうかも、国全体の成長に大きな影響を与えることになります。

(ホーチミン派遣 今井 雅也)

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第17回 上海/香港

2018/08/01 :海外現地レポート

香港  第四銀行コンサルティング推進部

香港のフィンテック振興への取り組み、仮想銀行の導入

金融・保険サービスは、香港にとって貿易、不動産と並ぶ主力産業の一つとなっています。しかし、香港では他国・地域と比べてITを融合した金融サービスであるフィンテック分野の発展の遅れが指摘されてきました。そこで香港金融管理局(以下、HKMA)は、その後れを取り戻すべく、幾つかのフィンテック振興策を進めており、その取り組みのなかで『仮想銀行』の導入があります。

仮想銀行とは、実店舗を持たずに個人や企業に向けて全方位的な金融サービスを提供する銀行のことを指します。仮想銀行は、現時点でリテール業務が主体になるとみられており、インターネットを通じて口座開設や預貯金、金融商品の売買など一連の銀行サービスを展開することが予想されています。

また一部の仮想銀行では、電子商取引(EC)業者と連携してネット通販時に資金を貸し出したりするほか、スマートフォン向けアプリだけでサービスを提供したりするなど、従来にない生活に密着した銀行サービスの提供が想定されています。早ければ年末にも第一弾となる仮想銀行の免許が発給される見通しとなっており、香港では仮想銀行に関するニュースが多く報じられています。

HKMAは、5月30日に仮想銀行の認可に向けた改正ガイドラインを発表しました。今回のガイドラインでは、仮想銀行認可の条件として資本金が3億香港ドル(約42億円)以上であることなどが定められており、条件を満たせば金融機関以外の企業の申請も認めることとしています。

HKMAによると、昨年9月に仮想銀行認可に向けた計画を始動して以降、香港フィンテック企業「WeLab」や中国モバイル決済サービス「銭方好近(QFPay)」など、50社を超える企業が仮想銀行の開設に興味を示しています。また、中国電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を運営する「螞蟻金服(アントファイナンス)」や微信(ウィチャット)で知られる中国IT大手「騰訊(テンセント)」も、免許取得に意欲的な企業として名前が挙がっています。

更に、英系金融大手のスタンダード・チャータード銀行は、香港の大手行では初めて仮想銀行の免許取得を目指すことを表明しました。同銀行によると、仮想銀行は実際の店舗を持たずに低コストで銀行業務を手掛けられるので、これまで手が届きにくかった中小企業向け事業を強化したいとの狙いがあるとのことです。

またHKMAは、仮想銀行を育成・発展させていくための布石として、「フィンテックを活用した個人向け融資審査を認める」新たなガイドラインも銀行に通達しています。これまで、銀行は個人向け融資審査において、個人の償還能力を評価するために住所証明や所得証明の提示を求めていましたが、今後はフィンテックを活用した新しい信用リスク管理ツール(※)を採用できるようになりました。将来的には、法人向け融資でもフィンテックを活用した審査を段階的に認めていく可能性を示唆しました。

香港市民は「仮想銀行の導入に伴う銀行業界での競争によって、金融サービスの手数料が下がりサービスの質自体も上がる」と期待しており、今後の動向にも注目が集まっています。

(※) ビッグデータや取引履歴などを通じてパターン分析を行ない、顧客の信用リスクを診断するツール。

(香港派遣 相澤 寛行)

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第16回 上海/バンコク

2018/07/02 :海外現地レポート

上海     第四銀行上海駐在員事務所

地域産品の海外販路拡大

日本国内では、地域産品の海外販路拡大が話題になっています。地域商社の取り組みなどが代表事例です。地域経済の振興を考える際、これまでの様に、企業誘致など外から活力を取り込もうとする取り組みだけでなく、それぞれの地域の特産品を活かして、内側から経済の活性化を目指す取り組みに注目が集まっています。今回は、日本の地域産品の海外販路拡大について考えてみたいと思います。

上海市内で日本の地域産品の販売場所として一般的なのは、日系を含む外資系の百貨店やスーパーです。食品、キッチン用品など様々な日本産品が販売されています。売り場には、日本全国の商品が並んでおり、日本国内の百貨店やスーパーより品揃えが多い商品もあります。日本の地方自治体関係者に話を聞くと「日本全国の関係者が地元の商品を取り扱ってもらおうと、百貨店やスーパーで開催される物産展への出展や、バイヤーへの営業活動を行なっている」「売り場には日本産品が溢れているが、日本産品同士でパイの奪い合いをしており、地元産品の販売状況が当初の計画どおりだという自治体は少ないのではないか」などの声が聞かれます。

中国国内の消費者市場は、年齢、収入、居住地などの要素により、需要が細分化されています。小売店のバイヤーは、対応の難しい市場において、収益機会の最大化と機会損失の最小化を目指し、当地での流行や自身の経験にもとづく勘により、「売れそうなものもしくは売れているもの」を大量に仕入れる傾向がみられます。バイヤーの読みが当たり、常にヒット商品となれば良いのですが、ヒット商品が生まれる確率は非常に低く、売れ残り商品となり、値引き品や見切り品として低価格で販売される傾向があります。小売店の店頭をながめると、日本の製品、特に加工食品においては、他の商品に比べ見切り品化する商品が多いというのが実感です。こうした厳しい環境で日本の地域産品の販売を成功させていくためには、日本側(売り手)は、成熟市場といわれて久しい日本国内市場で培ってきた販売戦略や消費者志向のモノづくりなどの知見を活かし、中国側(小売店バイヤー)が成果を獲得できるお手伝いをするという考えが必要ではないでしょうか。

日本の生産者は、日本の消費者のニーズをとらえるため、必死に研究し素晴らしい商品を作っています。しかし、一生懸命であるがゆえに「自分達の素晴らしい商品は他国の消費者にもきっと理解してもらえるはずだ」と考えている傾向があるのではないでしょうか。食材、消費財など商品の種類は問わず、何を良いと思うのかはその国によって異なります。必ずしも日本の消費者に評価されている商品が、外国の消費者にそのまま受け入れられるわけではありません。今後、地域産品の海外販路拡大を考えていくうえで大切なのは、「その国の消費者のことを第一に考えて作る」ことではないでしょうか。

(柄澤 雄)

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第15回 香港/ホーチミン

2018/06/01 :海外現地レポート

ホーチミン  第四銀行コンサルティング推進部

オフショア開発からみるベトナムIT業界

ベトナムで意外に感じられるのが、IT環境が充実していることです。ベトナムにはカフェ文化が浸透しており、街中では多くのカフェをみかけるのですが、そのほぼ全ての店舗で無料のWi-Fi環境が整備されています。もちろんホテルやオフィスも同様で、充実したネット環境のもとでベトナムの人々はインターネットで思う存分動画を視聴し、音楽を楽しんでいます。ベトナムのIT環境はある面では日本よりも進んでいるといっても過言ではありません。今回はベトナムのIT業界、特にその発展に大きく貢献しているオフショア開発※を中心に紹介いたします。

ベトナムのIT業界の成長は主に2000年頃のソフトウェアの輸出とオフショア開発から始まっています。それまで主に、人件費といったシステム開発コストを抑える為のオフショア開発は、日本語との親和性が高く、時差の少ない中国が中心でした。

しかし、中国での人件費の高まり等から他の製造業と同じく、「チャイナプラスワン」としてのベトナムが注目されました。ベトナムは中国と同じく日本から比較的時差の少ないこと(マイナス2時間)やその人件費の低さ、勤勉な国民性から受注を増やしていきました。技術レベルについても当初は中国に比べて決して高いとはいえなかったものの、オフショア開発案件の増加にともない徐々に高まってきました。

ある日系IT企業の担当者は、『日本では、システム開発を日常的に行なうエンジニアが減ってきている。技術レベルや知識のアップデートについては、遜色がないばかりか、ベトナム人技術者の方が進んでいる場合もある』と考えるほどです。

ベトナムIT産業の構造としては中小の企業がほとんどであり、当初は事業性のシステム開発がほとんどでした。しかし近年ではその業務も多様化し、アプリ開発やWEBページ制作等分野を絞り、開発を行なう企業も増えてきています。

ベトナムでのオフショア開発における最大の問題はコミュニケーション・ギャップです。日本では当たり前の感覚が現地とは異なり、完成品が想定していたものと全く異なってしまって、大きな手直しが必要となり逆にコストがかさんでしまったという事例も散見されます。古くから日系企業の開発を受注してきた中国企業に対し、ノウハウや文化の理解といった蓄積が少ないベトナムでは特に注意が必要です。

また、日本語ができる人材は英語ができる人材と比べても非常に限られています。ベトナム政府として、成長産業の一つであるIT産業の人材を毎年数千人単位で育成していますが人材不足は解消されていません。一つの解決方法として、ベトナムIT業界では独自に「コミュニケーター」と呼ばれる通訳を置き、日本企業との連絡をとる企業も多く存在します。しかし、そのコミュニケーター自身の専門知識にもバラつきがあり、こちらの意図していることがうまく伝わらないことも多くあります。

ベトナムの長所でもあった人件費にも変化があります。ベトナムでは毎年約6%近く人件費が高騰しているといわれており、IT業界でも同様に人件費は高騰しています。

従来のシステム開発に加え、AI、IoT、フィンテックと、IT業界への期待や負担は世界的にますます高まっています。ベトナム政府はIT産業を重要な成長産業の一つとして捉え、これまで国内にITパークを整備し国内外のIT企業を誘致するなど、産業の育成を図っています。また、オフショア開発により、日本からの技術移転も益々進んでいます。ベトナムIT産業の目覚ましい発展により、近い将来日本とベトナムの関係性も大きく変わっているのかもしれません。

※ システムやアプリの開発を海外開発会社にアウトソースすることで、開発コストを削減する手法。

(ホーチミン派遣 今井 雅也)

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第14回 上海/バンコク

2018/05/01 :海外現地レポート

バンコク   第四銀行コンサルティング推進部

コンビニ激戦地・タイ

タイにきて多くの方が驚かれるのが、コンビニエンスストアの多さです。その数はタイ全土で15,000店舗以上あるといわれており、バンコクなどの都市部だけでなく、郊外や地方の都市にも多く出店しています。24時間営業スタイルのコンビニエンスストアは日本が発祥ですが、タイも日本同様24時間営業しており、携帯電話などの料金の支払いや小包の発送サービスなど、食料品や日用品の購入だけでなく、さまざまなサービスが受けられるようになっています。

そのようなタイのコンビニ業界でトップに君臨するのが「セブンイレブン」です。タイのセブンイレブンは正式には「CPセブンイレブン」といい、タイ財閥最大手のCPグループによって運営されています。「CPセブンイレブン」は1989年にバンコクに1号店をオープンし、昨年2017年には店舗数が10,000店を超えました。現在の店舗数は10,268店となっており、今後も新規出店を維持し、2021年には13,000店の達成を目標にしています。世界に展開しているセブンイレブンですが、タイの店舗数は日本に次いで第2位となっており、10,000店の大台を超えたのは現在、日本とタイだけになっております。

2位につけるのが、イギリス系のディスカウントストア・テスコロータスが展開する「テスコロータス・エクスプレス」です。ただ、その店舗数は約1,500店となっており、セブンイレブンの店舗数が群を抜いて多いのがわかります。ただ、「テスコロータス・エクスプレス」も、今後年間100店のペースで出店を維持し、生鮮食料品などを拡充し「CPセブンイレブン」を猛追する構えです。

そして、3位につけるのがタイの財閥グループセントラルグループと提携した「ファミリーマート」になり、現在の店舗数は1,134店となっています。「ファミリーマート」では、日本同様店内でコーヒーを挽く「ファミカフェ」や、スイーツなども取り揃え、2021年までに3,000店を目標としています。

4、5位には地元ローカルのコンビニエンスストアの「ミニビッグC」と「Jiffy」が続きます。「ミニビッグC」はタイ大手財閥のTCCグループが展開し、「Jiffy」も国営石油会社PTTが母体となっており、どちらも新規出店を加速させ、まずは業界2位の座を狙っています。

6位は日本の大手コンビニ・ローソンが運営する「ローソン108」です。ローソンもタイ大手財閥のサハグループと提携し、もともとサハグループが展開していた「108」を引き継ぐ形で出店を進めてきました。しかし、日本の大手コンビニのなかでは最後発だったこともあり、現在の店舗数は91店と苦戦が続いております。ただ、こちらもいれたてコーヒーを提供する「ローソンカフェ」を店内に設置し、サバの照り焼きなど本格的な日本の味を提供することで他社との差別化を図り、2020年までに200店の達成を目指しています。

もともと親日国として知られ、日本食のレストランや居酒屋も多く日本食の激戦区ともなっているタイですが、コンビニ業界においても日本企業と地元の財閥企業を巻き込んだ壮絶な争いが今後も展開されそうです。

(バンコク派遣 日下部 尚之)

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第13回 上海/バンコク

2018/04/02 :海外現地レポート

上海     第四銀行上海駐在員事務所

春節期間中の中国の旅行動向

中国国家観光局が発表した「2018年春節期間中(2月15日~21日)の前半4日間の速報」によると、春節前半4日間(15日~18日)の中国国内の旅客受入件数は、約2.9億人となり前年同期比15.3%増となりました。また、この期間に発生した観光収入は、3,527億元となり前年同期比11.6%増となりました。観光局では、今年の春節期間中の旅行関連消費が堅調に推移している理由として「家族旅行」が中国の消費者の間に定着してきたためだと分析しています。今回は「春節期間中の中国の旅行動向」を通じて、「中国の消費者が旅行に求めるものの変化」「日系企業・自治体のビジネスチャンス」について考えてみたいと思います。

春節は旧暦の正月です。中国では春節を家族で一緒に過ごす習慣が残っています。これまで春節というと実家へ帰省し家族で過ごすのが一般的でしたが、近年では老人から小さい子供まで家族総出で旅行に出かけ、日常の疲れを癒す家族が増えてきました。中国は国土の広い国です。同じ季節でも地域ごとに気候が異なります。「寒冷な北の地域で雪を体験」「温暖な南の地方で厳しい寒さから逃れる」というように気候の違いを楽しむ旅行に人気が集まっています。

中国人の旅行者の関心が「モノ消費」から「コト消費」に変化しているのは既に日本でも報道されているとおりです。さらに、今年の春節の旅行動向から新しい動きがみられます。中国国家観光局が発表した今年の春節の旅行トレンドをまとめると以下のとおりです。

これまで春節、国慶節などの長期休暇に集中していた国内外への旅行が、有給休暇を活用して時期を分散して行なうパターンへと変化している。また、今冬の注目の旅行プランはウィンタースポーツを楽しめる温泉リゾート地への旅行などです。個人ツアーの旅行者が中心となったため、これまでの様に旅行代金を重視するだけでなく、予算の範囲内で宿泊先・食事の質、自分達の興味・関心を満たす体験プランを選びたいなど、旅行者の求めるツアープランの水準が上がってきています。

中国国内でウィンタースポーツに注目が集まっているのは、今年の春節期間中に韓国のピョンチャンで冬季オリンピックが開催されたことに加え、次回2022年の冬季オリンピックが北京で開催されるため、国をあげてスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツの普及に力を入れていることがあります。

新潟県は「温泉」「雪」などの観光資源に恵まれた土地です。しかし、これらの観光資源は日本国内での知名度が十分あるため、外国人旅行者の受入体制の整備を積極的に行なってきたとはいえないのが現状ではないでしょうか。中国でウィンタースポーツが盛り上がるなか、改めてPRに力を入れるべきタイミングかもしれません。

(柄澤 雄)

 

 

 

 

 

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