海外現地レポート

第17回 上海/香港

2018/08/01 :海外現地レポート

香港  第四銀行コンサルティング推進部

香港のフィンテック振興への取り組み、仮想銀行の導入

金融・保険サービスは、香港にとって貿易、不動産と並ぶ主力産業の一つとなっています。しかし、香港では他国・地域と比べてITを融合した金融サービスであるフィンテック分野の発展の遅れが指摘されてきました。そこで香港金融管理局(以下、HKMA)は、その後れを取り戻すべく、幾つかのフィンテック振興策を進めており、その取り組みのなかで『仮想銀行』の導入があります。

仮想銀行とは、実店舗を持たずに個人や企業に向けて全方位的な金融サービスを提供する銀行のことを指します。仮想銀行は、現時点でリテール業務が主体になるとみられており、インターネットを通じて口座開設や預貯金、金融商品の売買など一連の銀行サービスを展開することが予想されています。

また一部の仮想銀行では、電子商取引(EC)業者と連携してネット通販時に資金を貸し出したりするほか、スマートフォン向けアプリだけでサービスを提供したりするなど、従来にない生活に密着した銀行サービスの提供が想定されています。早ければ年末にも第一弾となる仮想銀行の免許が発給される見通しとなっており、香港では仮想銀行に関するニュースが多く報じられています。

HKMAは、5月30日に仮想銀行の認可に向けた改正ガイドラインを発表しました。今回のガイドラインでは、仮想銀行認可の条件として資本金が3億香港ドル(約42億円)以上であることなどが定められており、条件を満たせば金融機関以外の企業の申請も認めることとしています。

HKMAによると、昨年9月に仮想銀行認可に向けた計画を始動して以降、香港フィンテック企業「WeLab」や中国モバイル決済サービス「銭方好近(QFPay)」など、50社を超える企業が仮想銀行の開設に興味を示しています。また、中国電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を運営する「螞蟻金服(アントファイナンス)」や微信(ウィチャット)で知られる中国IT大手「騰訊(テンセント)」も、免許取得に意欲的な企業として名前が挙がっています。

更に、英系金融大手のスタンダード・チャータード銀行は、香港の大手行では初めて仮想銀行の免許取得を目指すことを表明しました。同銀行によると、仮想銀行は実際の店舗を持たずに低コストで銀行業務を手掛けられるので、これまで手が届きにくかった中小企業向け事業を強化したいとの狙いがあるとのことです。

またHKMAは、仮想銀行を育成・発展させていくための布石として、「フィンテックを活用した個人向け融資審査を認める」新たなガイドラインも銀行に通達しています。これまで、銀行は個人向け融資審査において、個人の償還能力を評価するために住所証明や所得証明の提示を求めていましたが、今後はフィンテックを活用した新しい信用リスク管理ツール(※)を採用できるようになりました。将来的には、法人向け融資でもフィンテックを活用した審査を段階的に認めていく可能性を示唆しました。

香港市民は「仮想銀行の導入に伴う銀行業界での競争によって、金融サービスの手数料が下がりサービスの質自体も上がる」と期待しており、今後の動向にも注目が集まっています。

(※) ビッグデータや取引履歴などを通じてパターン分析を行ない、顧客の信用リスクを診断するツール。

(香港派遣 相澤 寛行)

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第16回 上海/バンコク

2018/07/02 :海外現地レポート

上海     第四銀行上海駐在員事務所

地域産品の海外販路拡大

日本国内では、地域産品の海外販路拡大が話題になっています。地域商社の取り組みなどが代表事例です。地域経済の振興を考える際、これまでの様に、企業誘致など外から活力を取り込もうとする取り組みだけでなく、それぞれの地域の特産品を活かして、内側から経済の活性化を目指す取り組みに注目が集まっています。今回は、日本の地域産品の海外販路拡大について考えてみたいと思います。

上海市内で日本の地域産品の販売場所として一般的なのは、日系を含む外資系の百貨店やスーパーです。食品、キッチン用品など様々な日本産品が販売されています。売り場には、日本全国の商品が並んでおり、日本国内の百貨店やスーパーより品揃えが多い商品もあります。日本の地方自治体関係者に話を聞くと「日本全国の関係者が地元の商品を取り扱ってもらおうと、百貨店やスーパーで開催される物産展への出展や、バイヤーへの営業活動を行なっている」「売り場には日本産品が溢れているが、日本産品同士でパイの奪い合いをしており、地元産品の販売状況が当初の計画どおりだという自治体は少ないのではないか」などの声が聞かれます。

中国国内の消費者市場は、年齢、収入、居住地などの要素により、需要が細分化されています。小売店のバイヤーは、対応の難しい市場において、収益機会の最大化と機会損失の最小化を目指し、当地での流行や自身の経験にもとづく勘により、「売れそうなものもしくは売れているもの」を大量に仕入れる傾向がみられます。バイヤーの読みが当たり、常にヒット商品となれば良いのですが、ヒット商品が生まれる確率は非常に低く、売れ残り商品となり、値引き品や見切り品として低価格で販売される傾向があります。小売店の店頭をながめると、日本の製品、特に加工食品においては、他の商品に比べ見切り品化する商品が多いというのが実感です。こうした厳しい環境で日本の地域産品の販売を成功させていくためには、日本側(売り手)は、成熟市場といわれて久しい日本国内市場で培ってきた販売戦略や消費者志向のモノづくりなどの知見を活かし、中国側(小売店バイヤー)が成果を獲得できるお手伝いをするという考えが必要ではないでしょうか。

日本の生産者は、日本の消費者のニーズをとらえるため、必死に研究し素晴らしい商品を作っています。しかし、一生懸命であるがゆえに「自分達の素晴らしい商品は他国の消費者にもきっと理解してもらえるはずだ」と考えている傾向があるのではないでしょうか。食材、消費財など商品の種類は問わず、何を良いと思うのかはその国によって異なります。必ずしも日本の消費者に評価されている商品が、外国の消費者にそのまま受け入れられるわけではありません。今後、地域産品の海外販路拡大を考えていくうえで大切なのは、「その国の消費者のことを第一に考えて作る」ことではないでしょうか。

(柄澤 雄)

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第15回 香港/ホーチミン

2018/06/01 :海外現地レポート

ホーチミン  第四銀行コンサルティング推進部

オフショア開発からみるベトナムIT業界

ベトナムで意外に感じられるのが、IT環境が充実していることです。ベトナムにはカフェ文化が浸透しており、街中では多くのカフェをみかけるのですが、そのほぼ全ての店舗で無料のWi-Fi環境が整備されています。もちろんホテルやオフィスも同様で、充実したネット環境のもとでベトナムの人々はインターネットで思う存分動画を視聴し、音楽を楽しんでいます。ベトナムのIT環境はある面では日本よりも進んでいるといっても過言ではありません。今回はベトナムのIT業界、特にその発展に大きく貢献しているオフショア開発※を中心に紹介いたします。

ベトナムのIT業界の成長は主に2000年頃のソフトウェアの輸出とオフショア開発から始まっています。それまで主に、人件費といったシステム開発コストを抑える為のオフショア開発は、日本語との親和性が高く、時差の少ない中国が中心でした。

しかし、中国での人件費の高まり等から他の製造業と同じく、「チャイナプラスワン」としてのベトナムが注目されました。ベトナムは中国と同じく日本から比較的時差の少ないこと(マイナス2時間)やその人件費の低さ、勤勉な国民性から受注を増やしていきました。技術レベルについても当初は中国に比べて決して高いとはいえなかったものの、オフショア開発案件の増加にともない徐々に高まってきました。

ある日系IT企業の担当者は、『日本では、システム開発を日常的に行なうエンジニアが減ってきている。技術レベルや知識のアップデートについては、遜色がないばかりか、ベトナム人技術者の方が進んでいる場合もある』と考えるほどです。

ベトナムIT産業の構造としては中小の企業がほとんどであり、当初は事業性のシステム開発がほとんどでした。しかし近年ではその業務も多様化し、アプリ開発やWEBページ制作等分野を絞り、開発を行なう企業も増えてきています。

ベトナムでのオフショア開発における最大の問題はコミュニケーション・ギャップです。日本では当たり前の感覚が現地とは異なり、完成品が想定していたものと全く異なってしまって、大きな手直しが必要となり逆にコストがかさんでしまったという事例も散見されます。古くから日系企業の開発を受注してきた中国企業に対し、ノウハウや文化の理解といった蓄積が少ないベトナムでは特に注意が必要です。

また、日本語ができる人材は英語ができる人材と比べても非常に限られています。ベトナム政府として、成長産業の一つであるIT産業の人材を毎年数千人単位で育成していますが人材不足は解消されていません。一つの解決方法として、ベトナムIT業界では独自に「コミュニケーター」と呼ばれる通訳を置き、日本企業との連絡をとる企業も多く存在します。しかし、そのコミュニケーター自身の専門知識にもバラつきがあり、こちらの意図していることがうまく伝わらないことも多くあります。

ベトナムの長所でもあった人件費にも変化があります。ベトナムでは毎年約6%近く人件費が高騰しているといわれており、IT業界でも同様に人件費は高騰しています。

従来のシステム開発に加え、AI、IoT、フィンテックと、IT業界への期待や負担は世界的にますます高まっています。ベトナム政府はIT産業を重要な成長産業の一つとして捉え、これまで国内にITパークを整備し国内外のIT企業を誘致するなど、産業の育成を図っています。また、オフショア開発により、日本からの技術移転も益々進んでいます。ベトナムIT産業の目覚ましい発展により、近い将来日本とベトナムの関係性も大きく変わっているのかもしれません。

※ システムやアプリの開発を海外開発会社にアウトソースすることで、開発コストを削減する手法。

(ホーチミン派遣 今井 雅也)

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第14回 上海/バンコク

2018/05/01 :海外現地レポート

バンコク   第四銀行コンサルティング推進部

コンビニ激戦地・タイ

タイにきて多くの方が驚かれるのが、コンビニエンスストアの多さです。その数はタイ全土で15,000店舗以上あるといわれており、バンコクなどの都市部だけでなく、郊外や地方の都市にも多く出店しています。24時間営業スタイルのコンビニエンスストアは日本が発祥ですが、タイも日本同様24時間営業しており、携帯電話などの料金の支払いや小包の発送サービスなど、食料品や日用品の購入だけでなく、さまざまなサービスが受けられるようになっています。

そのようなタイのコンビニ業界でトップに君臨するのが「セブンイレブン」です。タイのセブンイレブンは正式には「CPセブンイレブン」といい、タイ財閥最大手のCPグループによって運営されています。「CPセブンイレブン」は1989年にバンコクに1号店をオープンし、昨年2017年には店舗数が10,000店を超えました。現在の店舗数は10,268店となっており、今後も新規出店を維持し、2021年には13,000店の達成を目標にしています。世界に展開しているセブンイレブンですが、タイの店舗数は日本に次いで第2位となっており、10,000店の大台を超えたのは現在、日本とタイだけになっております。

2位につけるのが、イギリス系のディスカウントストア・テスコロータスが展開する「テスコロータス・エクスプレス」です。ただ、その店舗数は約1,500店となっており、セブンイレブンの店舗数が群を抜いて多いのがわかります。ただ、「テスコロータス・エクスプレス」も、今後年間100店のペースで出店を維持し、生鮮食料品などを拡充し「CPセブンイレブン」を猛追する構えです。

そして、3位につけるのがタイの財閥グループセントラルグループと提携した「ファミリーマート」になり、現在の店舗数は1,134店となっています。「ファミリーマート」では、日本同様店内でコーヒーを挽く「ファミカフェ」や、スイーツなども取り揃え、2021年までに3,000店を目標としています。

4、5位には地元ローカルのコンビニエンスストアの「ミニビッグC」と「Jiffy」が続きます。「ミニビッグC」はタイ大手財閥のTCCグループが展開し、「Jiffy」も国営石油会社PTTが母体となっており、どちらも新規出店を加速させ、まずは業界2位の座を狙っています。

6位は日本の大手コンビニ・ローソンが運営する「ローソン108」です。ローソンもタイ大手財閥のサハグループと提携し、もともとサハグループが展開していた「108」を引き継ぐ形で出店を進めてきました。しかし、日本の大手コンビニのなかでは最後発だったこともあり、現在の店舗数は91店と苦戦が続いております。ただ、こちらもいれたてコーヒーを提供する「ローソンカフェ」を店内に設置し、サバの照り焼きなど本格的な日本の味を提供することで他社との差別化を図り、2020年までに200店の達成を目指しています。

もともと親日国として知られ、日本食のレストランや居酒屋も多く日本食の激戦区ともなっているタイですが、コンビニ業界においても日本企業と地元の財閥企業を巻き込んだ壮絶な争いが今後も展開されそうです。

(バンコク派遣 日下部 尚之)

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第13回 上海/バンコク

2018/04/02 :海外現地レポート

上海     第四銀行上海駐在員事務所

春節期間中の中国の旅行動向

中国国家観光局が発表した「2018年春節期間中(2月15日~21日)の前半4日間の速報」によると、春節前半4日間(15日~18日)の中国国内の旅客受入件数は、約2.9億人となり前年同期比15.3%増となりました。また、この期間に発生した観光収入は、3,527億元となり前年同期比11.6%増となりました。観光局では、今年の春節期間中の旅行関連消費が堅調に推移している理由として「家族旅行」が中国の消費者の間に定着してきたためだと分析しています。今回は「春節期間中の中国の旅行動向」を通じて、「中国の消費者が旅行に求めるものの変化」「日系企業・自治体のビジネスチャンス」について考えてみたいと思います。

春節は旧暦の正月です。中国では春節を家族で一緒に過ごす習慣が残っています。これまで春節というと実家へ帰省し家族で過ごすのが一般的でしたが、近年では老人から小さい子供まで家族総出で旅行に出かけ、日常の疲れを癒す家族が増えてきました。中国は国土の広い国です。同じ季節でも地域ごとに気候が異なります。「寒冷な北の地域で雪を体験」「温暖な南の地方で厳しい寒さから逃れる」というように気候の違いを楽しむ旅行に人気が集まっています。

中国人の旅行者の関心が「モノ消費」から「コト消費」に変化しているのは既に日本でも報道されているとおりです。さらに、今年の春節の旅行動向から新しい動きがみられます。中国国家観光局が発表した今年の春節の旅行トレンドをまとめると以下のとおりです。

これまで春節、国慶節などの長期休暇に集中していた国内外への旅行が、有給休暇を活用して時期を分散して行なうパターンへと変化している。また、今冬の注目の旅行プランはウィンタースポーツを楽しめる温泉リゾート地への旅行などです。個人ツアーの旅行者が中心となったため、これまでの様に旅行代金を重視するだけでなく、予算の範囲内で宿泊先・食事の質、自分達の興味・関心を満たす体験プランを選びたいなど、旅行者の求めるツアープランの水準が上がってきています。

中国国内でウィンタースポーツに注目が集まっているのは、今年の春節期間中に韓国のピョンチャンで冬季オリンピックが開催されたことに加え、次回2022年の冬季オリンピックが北京で開催されるため、国をあげてスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツの普及に力を入れていることがあります。

新潟県は「温泉」「雪」などの観光資源に恵まれた土地です。しかし、これらの観光資源は日本国内での知名度が十分あるため、外国人旅行者の受入体制の整備を積極的に行なってきたとはいえないのが現状ではないでしょうか。中国でウィンタースポーツが盛り上がるなか、改めてPRに力を入れるべきタイミングかもしれません。

(柄澤 雄)

 

 

 

 

 

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第12回 上海/ホーチミン

2018/03/01 :海外現地レポート

ホーチミン  第四銀行コンサルティング推進部

ベトナムの教育事情

日本で3月といえば卒業シーズン。慣れ親しんだ環境から新しいステージへと旅立つ方も多い季節です。一方、こちらベトナムでは欧米諸国と同じく9月が学期スタートです。卒業式は5月という学校も多いので少し雰囲気も異なるかもしれません。

ところで、ベトナムが教育に力を入れている国のひとつであるということをご存知でしょうか。2015年に行なわれたOECDの学習到達度調査(PISA)で、ベトナムは科学リテラシーの部門で参加国70カ国中8位という好成績を収めました。

また、GDPに占める教育費の割合が他のアジア諸国に比べ高水準であり、欧米諸国に引けをとらないことからもベトナムがいかに教育に力を入れているかを窺い知ることができます(表1)。

ベトナムの教育制度は5.4.3.4年の16年制であり、小学校5年間・中学校4年間が義務教育です。その後の高等学校3年間、大学4年間がいわゆる高等教育にあたります。しかし、全ての子供がこういった教育を受けられるとはかぎりません。ハノイやホーチミンを除く地方の実態としては、生徒数に対して教室や教員の不足、生活の困窮を理由に義務教育は小学校5年間のみ、授業は午前中若しくは午後のみといった状況もみられます。発展著しい都市部と地方部の格差は所得のみならず、教育の面でも広がっています。

一方、都市部では教育への意識が高まっています。『良い学校を卒業して良い企業に就職できれば豊かで幸福な人生が送れる。我が子には良い教育をうけさせたい』子供を想う親の気持ちは万国共通です。

ベトナムでは学校教育以外の教育として一般的なものは補習です。小学校や中学校の教員が授業料を取り、放課後に学校の施設を使い、補習を行ないます。集団での補習は1時間あたり4万~6万ドン(約200円〜300円程度)、個別指導は10万〜15万ドン(約500円〜750円)程度と決して高いものではありませんが、給与水準の低い教員には大事な収入源ともなっています。

しかし、都市部に住む高所得者層の増加や教育熱の高まりによりこうした状況にも変化が起きています。ベトナムに住む日本人の子供の勉強が良くできるとの評判もあり、子供を学習塾に通わせる親が増えてきているのです。ホーチミン市に進出している日系の学習塾では公文や栄光ゼミナールが有名です。公文は2007年の教室開設からホーチミン市内に16校を構えるまでに成長してきており、今後もこの流れは継続していきそうです。

語学学校も学習塾同様人気を博しています。ベトナム国内での高所得者といえば外資系企業の従業員です。その為、入社に必須である外国語スキルを身につけるために、幼児から大学生や社会人まで多くのベトナム人が、語学学校に通っています。

スイスの民間企業EFの調査では、ベトナム人の英語力は日本を抜き、調査国80カ国中34位という結果もでております(日本39位)。ある語学学校の授業料は、年齢や受講するコースによって違いはありますが、おおよそ135USドル/月。ホーチミン市の2017年の最低賃金160USドル/月と比べても大変高額であることがわかります。

毎年6%超の高成長が続くベトナムでは、今後はこうした高度な教育を受けた人材がベトナム経済の発展に大きく関わってくるでしょう。

(ホーチミン派遣 今井 雅也)

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第11回 上海/香港

2018/02/01 :海外現地レポート

香港  第四銀行コンサルティング推進部

広深港高速鉄道

香港では、このところ2つの大きなインフラプロジェクトに注目が集まっています。1つは香港、中国広東省珠海市およびマカオ(澳門)の3都市を結ぶ「港珠澳大橋」、もう1つは今年に開通する予定の「広深港高速鉄道」です。この2つのプロジェクトは、香港経済への大きな影響が予想されることもあって、建設工事の進捗状況が常に注目されてきました。

今回は、「広深港高速鉄道」の概要、および香港経済への影響などについてお伝えします。

広深港高速鉄道は、中国広東省広州市、同深圳市および香港の3都市を繋ぐ高速鉄道です。香港区間(全長約26キロメートル)では、起点として新たに西九龍駅(入出境検査所を含む)が建設中となっています。一方、中国本土の入り口である深圳の福田駅~広州南駅区間(全長約116キロメートル)は2015年12月に開通し、すでに高速鉄道が運行しています。

香港区間は2010年に着工、2017年7月時点で95%まで工事が進捗しており、2018年第3四半期には香港区間が完成し、全線が開通する見通しとなっています。

開通すると西九龍駅~広州南駅間が最短48分で結ばれます。香港の紅磡(ホンハム)駅~広州東駅間を結ぶ同様の越境列車(九広鉄路)はすでに運行していますが、約2時間を要するため、高速鉄道の開通により、移動時間が大幅に短縮されます。

また、広深港高速鉄道の開通により、総延長距離20,000キロメートル以上に及ぶ中国本土の高速鉄道ネットワークを利用し、中国本土各都市にアクセスすることが可能となります。具体的には、北京市(約8.5時間)、上海市(約7.5時間)、武漢市(約4.5時間)などの都市に、香港から乗り継ぎなしで直接アクセスすることが可能となる予定です。

香港政府は2017年7月、広深港高速鉄道の西九龍駅構内に香港と中国本土双方の入出境検査所を設ける制度(一地両検)案を発表しました。同制度の発案は、入出境検査所を香港と中国本土との境界に設置すると、乗客が一旦降車して入出境手続きを行なわなければならないため、高速鉄道の意義が薄れてしまうことが背景にあります。

しかし、同制度に対する反対の声もあがっています。民主派議員は、駅構内の中国本土の管轄区域では中国の法律が適用されるため、中国当局が警察権や司法権を行使できることから、一国二制度が脅かされると発言しています。そのほか、一部の香港市民の間でも、中国当局が香港域内での活動範囲を拡げることへの警戒感が高まっています。

広深港高速鉄道の完成によって、香港経済は様々な面でその恩恵を享受していくとみられます。そのため、これらのプロジェクトが相次いで開通する2018年は香港にとって大きな転換点であるといえます。

一方、香港が中国本土との関係をより一層強めることへの不安感や警戒感が一部の香港市民の間で高まっているのも事実です。香港政府は今後、中国本土からの経済的恩恵を享受しながらも中国本土への警戒感を強める複雑な民意をどのようにコントロールしていくのか、その動向が注目されます。

(香港派遣 相澤 寛行)

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第10回 上海/バンコク

2018/01/04 :海外現地レポート

バンコク   第四銀行コンサルティング推進部

バンコク都民の悩み

タイの季節は地域により少し異なりますが、一般的に雨季、乾季、暑季の3つの季節に分けられます。11月〜2月の乾季は比較的雨も少なく、気温もあまり高くないので過ごしやすい日が続きます。一方、3月〜5月の暑季はタイで最も暑い時期となり、雨も降らず乾燥していますが、連日40℃近い気温になります。6月〜10月の雨季は名前の通り雨の多い時期ですが、新潟の雨の様に一日中降り続くことはなく、ゲリラ豪雨の様な強烈な雨が1〜2時間降り、雨が止んだ後はカラッとした天気になります。

そんなバンコクの生活のなかで最も厄介なのが雨季における道路の冠水です。日本のニュースでも取り上げられていましたが、10月13日から14日にかけて、約30年ぶりの記録的な豪雨が降り、バンコク首都圏内の55カ所で道路が冠水、建物浸水などの被害が多数発生しました。このニュースだけを聞くと、あたかもこの時だけ記録的な豪雨が降り、道路が冠水したように思えますが、そうではありません。雨の降り方にもよりますが、雨季の時期には写真の様に車道が完全に冠水するようなことも少なくありません。そして、道路の冠水により世界トップクラスの渋滞に拍車をかけるのです。

バンコク首都圏庁によれば、都内で発生する冠水の原因は主に不適切な廃棄物処理が原因とのことです。バンコク都内を流れる運河や河川には不法投棄により1日約10トンもの粗大ごみが堆積します。またバンコクの観光名所として有名な屋台が流す油が管路内の水流を妨げ、排水パイプを詰まらせ、冠水を発生させているとのことです。

一方、カセサート大学のシターン氏によれば、不適切な廃棄処理だけでなくバンコクの下水道システムに大きな問題があると指摘します。バンコクの下水道システムは降雨による雨水と家庭等の汚水を一つの管路で下水処理場まで送る方式を取っています(日本では環境汚染対策として雨水と汚水を別々の管路で送る分流式)。そのため、ひとたび強烈な雨が降ると排水能力が追い付かず、雨水分が溢れだしてしまうのです。

こういった冠水の被害を軽減するべく、首相が都民に対して、運河や排水溝への廃棄物投棄を止め、適切に処理するよう訴えました。そして、バンコク首都圏庁も粗大ごみの捨てられる日を指定し、テレビや電車内でもごみのポイ捨てや不法投棄を止めるようCMで啓蒙活動を積極的に行なっています。また、タイ政府も日本でお馴染みの「3R(Reduce、Reuse、Recycle)」を打ち出し、毎週月・水・金でレジ袋の禁止運動を開始し、大手小売店を中心にマイバックの普及を試みています。ただ、街を歩いている限りでは、ごみのポイ捨ては相変わらず目立ち、バンコク都民に浸透するにはまだまだ時間がかかりそうです。

ASEANの中心として、経済発展を続けるタイですが、こういった発展途上な面はまだまだあります。そういった部分に日本の商品の販売、システムの導入することで、人々の生活の悩みを解決することができるのかもしれません。

(バンコク派遣 日下部 尚之)

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