特別企画

ウィズコロナ時代の経営戦略

2020/12/01 :特別企画

─新型ウイルス禍における組織経営と今後の展望─

今回は、10月号から3回にわたって特集してきた「ウィズコロナ時代の経営戦略」の最終回をお届けします。

米国での活動を一時中止して国内へ

─現在はどのような活動を行なっていますか─

当社はキャンプや登山、アパレル分野を中心としたアウトドア用品の開発・製造・販売を手掛けており、国内外で100店舗以上を展開しています。また、現在は国内7カ所のキャンプ場運営に携わっているほか、観光・地域活性化のための地方創生事業などにも取り組んでいます。

近年、当社ではグローバルな経営戦略を強化しているため、私は昨年より活動拠点を米国オレゴン州のポートランドに置いています。しかし今年は、新型ウイルスの世界的な拡大によって国内外の移動が制限されたことで、私も2月に株主総会のために帰国して以降は米国に戻らずに、今は三条市と見附市にある二つの拠点を中心として、感染状況に細心の注意を払いながら東京のオフィスにも出勤して執務にあたっています。

感染防止のため店舗とキャンプ場を一時閉鎖

─新型ウイルスの影響はいかがでしたか─

当社は東京にもオフィスがあるため、日本での感染が少しづつ広がりをみせていた2月から、いち早くお客さまと従業員の安全を第一に考えた対策を行なってきました。このなかで、既に制度として整備されていたリモートワークを東京オフィス勤務者のみならず、新潟の二つの拠点でも推進するなど、社内での予防対策を構築しました。

3月に入ってからは緊急事態宣言が発出されている全地域の直営店を一時休業とし、インストアに関しても取引先企業の皆さまからのご協力もあって、当社販売員を店頭から一時引き上げさせていただきました。

当社が運営しているキャンプ場に関しても、4月9日から5月6日までの約1カ月間にわたって、臨時休業を決めました。大型連休の期間中は予約で満杯だったのですが、万が一にも当社のキャンプ場から感染が広がってしまうと、当社のみならずアウトドア業界全体に悪影響が及び兼ねないと判断して、早い段階で休業を決断しました。

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ウィズコロナ時代の経営戦略

2020/11/02 :特別企画

─新型ウイルス禍における組織経営と今後の展望─

10月号から12月号までの3回にわたり、新潟県内の各分野を代表する方々からウィズコロナ時代における経営戦略や今後の展望等についてうかがったインタビュー記事を特集します。

予兆を感じ、早期に対策本部を設置

─新型ウイルスにはどのように対応していますか─

私は、今年の2月に第16代の新潟大学長に就任しました。新潟大学は10学部・5大学院研究科に加え、脳研究所及び災害・復興科学研究所、医歯学総合病院などを有する日本海側最大規模の総合大学です。学生数は約13,000人、教職員数は約3,000人にのぼり、活動の場も五十嵐キャンパス、旭町キャンパス、サテライトキャンパス「ときめいと」、佐渡の演習林などと広範です。また学生の6割以上が県外出身者で、海外からの留学生も1,000人を超えています。

このため、私が新型ウイルス感染症(COVID-19)への対策を検討するうえで最も重視したのは、万が一にもクラスターが発生した際に、どうすればそれを最小限に抑え込めるかということでした。

もとより私は医学部出身でもあり、中国・武漢市で感染が確認された昨年12月頃からパンデミックの予兆を感じて、新型ウイルスの動きには細心の注意を払っていました。そこで私は、2月に学長に就任すると素早く対策本部を設置して、大学における感染対策の指揮系統の一本化を図り、学務や行事、教職員の職場環境等に関する検討を進めてきました。この検討会議は、現在も毎週定期的な開催を継続しており、新型ウイルスに関連した学内の情報共有化に役立っています。

オンラインによる非対面式の授業を導入

─ 新型ウイルスにより、大学の行事や授業にはどのような影響がありましたか─

新潟大学では例年、3月の卒業式と4月の入学式を朱鷺メッセで開催していましたが、今年は感染防止の観点からいずれの式典も中止して、私からのビデオメッセージなどに切り替えました。また新学期の開始についても、当初予定していた4月8日から2週間延期して、4月20日に変更しました。

肝心な授業の仕方ですが、3月の早い段階でオンラインを利用した非対面式授業の導入を決定し、それに先駆けて学内の各種会議をオンラインに移行する措置を取りました。なおオンライン導入にあたっては、私自身が学会などでオンライン会議を行なった経験を踏まえ、利便性を重視してZoomの導入を決めました。

さらに6月以降になって感染拡大が落ち着きをみせたため、現在は実験・実習科目の一部で対面式の授業を再開しており、これまで全面的に停止していた部活動などの課外授業に関しても条件付きで一部緩和しました。しかし授業については、2学期も原則として非対面方式での実施を継続していきます。

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ウィズコロナ時代の経営戦略

2020/10/01 :特別企画

─新型ウイルス禍における組織経営と今後の展望─

今月から3回にわたり、新潟県内の各分野を代表する方々からウィズコロナ時代における経営戦略や今後の展望等についてうかがったインタビュー記事を特集します。

キャンペーンで回復するも、厳しさが続く

─新型ウイルスの事業への影響はいかがですか─

当社は現在、越後湯沢駅前の「越後湯澤 HATAGO井仙」と南魚沼市の「ryugon」の2つの温泉旅館を運営しています。今年は新型ウイルスが広がる前までの予約は順調で、特に昨年7月に開業したryugonの運営が軌道に乗り始めたことで、当社にとっても大きな節目の年になると期待していました。

ところが3月頃から予約のキャンセルがはじまり、緊急事態宣言が発出されていた4~5月頃には予約が前年のわずか5%程度と厳しい状況になりました。

その後、6月からは新潟県の「つなぐ、にいがた。」観光キャンペーンや国の「GO TOトラベル」キャンペーンの効果もあって、8月以降の予約は前年を超える伸びとなりましたが、今後新型ウイルスの影響がどこまで長引くのか、不安は常にあります。今は、お越しいただくお客さまひとりひとりから確実にファンとなってもらえるように、最大限の努力を行なっています。

「非日常」から「異日常」への流れが加速

─観光業界全体が大きな転機を迎えていますね─

今回の新型ウイルスをきっかけとして、観光市場は大きな転機を迎えました。旅館業界においては、県や国などによるキャンペーン需要の取り込みの巧拙によって既に二極化が進みつつあり、今後は淘汰の動きも進むでしょう。しかし、観光市場においては以前から変化の潮流が生まれており、今回の新型ウイルスは、その動きを加速させたに過ぎません。

すなわち、私が感じていた変化の潮流は、「非日常」から「異日常」への移行です。これは、従来のような観光地を楽しむだけの非日常型の観光から、地域に滞在して暮らしや文化を体験する異日常型の観光に需要が変わるという流れです。以前は、地域に滞在しながら生活するという発想がなかなか理解してもらえませんでしたが、新型ウイルスを契機として、ワーケーションのように滞在先でテレワークによって仕事をするという働き方が知られるようになってきたこともあり、異日常という概念が受け入れられる土壌ができました。

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