感頭言

今年こそ殻を破り、英知を結集しよう

2021/03/01 :感頭言

新潟県信用保証協会 会長  坂井 康一

今年は、東日本大震災から10年の節目を迎える。最大震度7の揺れ、巨大な津波、そして原発事故と連続した災厄は、かつてない国難と言われた。その後、曲がりなりにも復旧復興が進み、人々の傷も癒えてきた矢先、今度は新型コロナという凶事が到来し、全世界に深刻な影響を与えた。我々の日常生活も過去と断絶したウィズコロナの世界に突入している。

しかし、「待てば海路の日和あり」だ。進化論や弁証法を持ち出すまでもなく、軋轢や混沌の中から新たな可能性が生まれる。各種給付金や実質無利子無担保融資などの支援策により、景気も昨年後半から持ち直しの動きが見られる。救世主となるワクチンの速やかな普及が望まれるが、当面は感染防止と経済対策の両面作戦を辛抱強く展開していくことが肝要だ。

もちろん、コロナ禍だけが課題ではない。以前から日本は人口減少や東京一極集中などの構造的問題を抱え、その弊害は年々大きくなっている。バブル崩壊以降の30年間は、グローバル化の進展の一方で我が国が長い停滞に陥り、国際競争力も低下した時期でもあった。とりわけ、新潟県は毎年人口が2万人減少し、高齢化も全国を上回るペースで進んでいる。

他方、新しい芽吹きや蓄積された底力もある。社会インフラや公共施設はひととおり整備された。また、何といっても食べ物が美味しいし、四季を通じたレジャーも楽しめる。対岸交流等で培った国際性や地場産業の強みもある。県内各地で独自の文化、生業などが息づき、あらゆる方向に道が繋がっている。これからは大収穫の時代だ。

問題は、こうした潜在力をいかに発掘し、磨き上げ、発信していくかである。「ジョハリの窓」という心理学の気づきモデルがある。左上から時計回りに開放、盲点、未知、秘密の四つの窓を想定し、開放の窓を広げる行動を後押しするものだが、これは観光や地域活性化にも当てはまる。とかく宣伝下手と言われる本県は、秘密の窓だけでなく盲点の窓も大きいと思う。コロナ禍や人口減がもたらしたこの転換期にこそ、開放の窓の拡大に向け、多くの英知や繋がりを活かして新たな発展戦略を描き、DXやICTも利用しながらそれを着実に実践していくべきである。

(さかい こういち)

※  ホクギン経済研究所「ホクギンマンスリー」での「窓」と共同掲載させていただきました。

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地域活性化と三杯目のビール~希望ある社会を次世代に引き継ぐために~

2021/02/01 :感頭言

関東財務局 新潟財務事務所長  山岸 徹

数年前に上司から「善と悪の経済学」という本(注)にある「成長資本主義と三杯目のビール」という一節について教えていただいたことがあります。

簡潔に紹介すると、三人で居酒屋に行き、ビールを三杯注文したところ、二杯分しかない。どう分けるのが公平だろうか。一番の金持ちがビールなしですますか、酒好きに譲るべきか、それとも一度もビールを飲んだことのない人に譲るべきか。。。

だが、この問題は、三杯目のビールが魔法のようにテーブルに出現した瞬間に解決される。一人ひとりにビールが一杯ずつ。万事解決、めでたしめでたし。

この三杯目のマジックは経済成長を象徴し、経済成長により財源が確保されれば、富の公平な分配という難題が無視され、解決(思考停止)するというものです。

この一説でのポイントは、三杯目のビールの出現により万事解決とするのではなく、出現しなかった場合にも備え、「絶えず考え続けることが重要」であるということだと思います。

コロナ禍で、地方移住が注目され、各自治体がこの流れをチャンスとばかり様々な移住政策に取り組んでいます。新潟県でも、地域の活性化にもつながるよう、首都圏からの利便性、魅力あるロケーション等も活かし、各地で積極的な取組が注目されています。

地域の持続性、新潟県の未来を考える中で、この地方移住の傾向(三杯目のビール?)が一過性のものにならぬよう、また、地域経済の課題や、人口減少、少子高齢化、人材不足などの様々な課題に対し、企業、自治体だけでなく、金融機関、国の機関等の関係者など地域で生きていく者全員が、課題を共有し、皆が連携・協力して、より魅力ある地域となるよう「絶えず考え続けながら」取り組んでいくことが重要であると考えます。

そして新潟財務事務所としても、地域の一員として、関係者の皆様方と連携・協力をしながら、ネットワークを活かした役割を果たすことにより「希望ある社会を次世代に引き継ぐ」ことに貢献できるよう取り組んでいきたいと考えております。

(やまぎし とおる)

注)「善と悪の経済学」トーマス・セドラチェク(チェコ共和国の経済学者) 訳:村井章子

※  ホクギン経済研究所「ホクギンマンスリー」での「窓」と共同掲載させていただきました。

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新たな歴史のスタート

2021/01/18 :感頭言

株式会社第四北越フィナンシャルグループ 代表取締役社長  並木 富士雄

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルスの感染症によりお亡くなりになられた方々へ衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方やご家族および関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。併せて、治療や感染拡大防止に向けてご尽力されている方々に、心より感謝と敬意を表します。

当社グループは、これまで地域経済の金融の目詰まりを防ぐことを第一義に、金融支援をはじめとした多面的なサポートを行ってまいりました。また、昨年11月からは、当社グループ7社がお客さまの抱えるさまざまな経営課題に対してワンストップでサポートする経営相談会を開催しておりますので、何なりとご相談いただきたいと存じます。

さて、本年1月1日に、当社グループ傘下の第四銀行と北越銀行は合併し、「第四北越銀行」として新たな歴史をスタートさせました。両行の合併に際しましては、皆さまよりひとかたならぬご理解とご支援を賜り、改めて深く感謝申し上げます。

当社を取り巻く経営環境は、人口減少などの構造的問題に加え、デジタル技術の加速度的な進展とも相まって、従来の枠組みを超えた異業種との競争も一層激化するなど、かつて経験したことのない大変革期にあります。また、足下では新型コロナウイルスという未曾有の災厄によって、国内外における社会経済の不確実性が高まっています。

当社は、このような経営環境のもと、これまで長きにわたり築きあげてきましたお客さまとの信頼関係を礎に、グループ役職員一丸となって合併によるシナジー効果の発現に取り組み、最大の目的である「地域への貢献」を永続的に果たしてまいる所存です。

地域の明るい未来に向けて新たな一歩を踏み出した第四北越フィナンシャルグループの今後の活動に是非ともご期待いただき、従来にもましてご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

(なみき ふじお)

※ホクギン経済研究所「ホクギンマンスリー」での「窓」と共同掲載させていただきました。

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地域の歴史を市民の文化に

2020/12/01 :感頭言

新潟市歴史博物館みなとぴあ館長    伊東 祐之

歴史は勉強するもの、人名や年号を覚えるものと思っている人は多い。歴史好きといっても、時代小説や大河ドラマのファンだったりする。歌ったり、演奏したりするように、スケッチブックや絵筆を持つように、歴史を楽しめばいいのにと思う。

だれもが日々歴史と向き合っている。新たな出店を考える時、過去にその場所にあった店の業態や業績を調べる。夕飯の献立を考える時、昨夜や昼の食事、冷蔵庫内の食品やその賞味期限、前に作った時の評判を思い浮かべる。日々歴史を調べている。歴史を調べるという行為は日常なのだ。

今、国は歴史や文化財を観光資源として活用するように促している。しかし、お役所や博物館が「こんな歴史はいかがですか、この文化財はおもしろいですよ」と観光客に発信しても伝わらない。地域の人々が、「私たちの町や村はこういう特徴がある」「私たちはこんなことに気をつけている」「私たちはこんなことを楽しんでいる」「それは先祖がこんな生き方をしてきたから、その証として町角にこれがある、資料館にあれが展示されいる」と語れなくては、歴史や文化財は観光資源にはならない。

食はすでに観光資源である。日々の食事が、地域の食文化となるには、地域で食文化を楽しみ提供する人々が、食材や調理法、食味、嗜好、しきたりなどを意識し、地域の食の特徴とその背景について理解し語ることが重要である。同様に歴史や文化財を観光資源とするには、地域の歴史を調べ、語り合い、楽しみ、発信する文化を地域の人々が享受しなくてはならない。そして、地域の歴史を踏まえて、事業を起こし、まちづくりにかかわり、日々を暮らし、新たな歴史を拓く。それが文化であろう。

博物館は、市民が歴史文化を享受できるよう、必要な歴史資料を収集保管し、その調べ方や語り方を補助し、機会を提供し、たたき台となる歴史像を提示することが仕事なのだ。

そんなことを考えながら、私は歴史博物館にいる。

(いとう すけゆき)

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越後の雪椿に学びます

2020/11/02 :感頭言

東北電力株式会社 上席執行役員 新潟支店長  藤倉 勝明 

4月に着任してからの半年間、新型ウイルス禍のため何かと制約の多い日々ですが、新潟の方々に出会い、街を散策し、滋味豊かな食材を食す機会に恵まれて過ごし、次は冬を迎える時期となりました。ふと頭に浮かんだのは「つらくてもがまんをすれば きっと来ますよ春の日が」という「雪椿」の一節。良い春が来るよう期待したいものです。

さて、電気を含むエネルギーは国の重要事項の一つですし、石油・ガスなどは国際商品です。こうした意味で電力会社が大きな課題に直面することは度々ありました。

例えば、1973年の第一次石油危機の後、日本の課題は脱石油でした。東北電力が液化天然ガス(LNG)の調達先としてイランを選び、難航交渉を経て売買契約書の合意見通しに至ったその直後、イラン革命が勃発し契約は断念しました。運よく代替候補としてインドネシアを選定できましたが、振出からのスタートは時間的にも厳しい試練となりました。

現在の課題は、人口減少や少子高齢化、また、脱炭素化、分散化、デジタル化の進展等による電力の事業環境変化です。これに対しては、企業グループとして策定した中長期ビジョンの具現化に取り組みます。新潟県においては、昨年締結させていただいた包括連携協定に基づいて、新潟県のさらなる発展と県民の皆さまのより良い暮らしの実現に貢献させていただくよう努力してまいります。

LNGの話に戻ります。1983年9月、巨大なLNGタンカー「越後丸」がインドネシア産のLNGを満載して新潟東港に初入港しました。以来、東新潟火力発電所と新潟発電所を合わせるとガス火力は約500万kWとなり、東日本大震災時には東北の電気も支えました。さらに現在は、2023年度運転開始を目指す上越火力発電所(ガス火力)を建設中です。

今年の冬には越後の雪椿を見て、しなやかで、たくましく生きることを学びたいと思います。

(ふじくら かつあき)

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新たな時代の新たな佐渡へ「誰もが活躍できる島づくり」

2020/10/01 :感頭言

佐渡市長 渡辺 竜五

佐渡市合併後17年目を迎えた今、少子高齢化、人口減少に加え、合併時に大きな課題と指摘される周辺部の衰退が確実に進んでいると感じています。この現実を今一度見直し、市民の皆様と地域再生への想いを共有し、お一人おひとりのご意見や行動により、各地域の特色を生かし、賑やかさを取り戻していくことが、佐渡再生の第一歩になると感じています。そのために先ずは地域の的確な情報収集、意見交換などによる地域づくりを推進する体制を構築していきます。

また、新型コロナウイルスという未曾有の脅威により、いまだかつてない地域経済の疲弊と、先の見えない不安に苛まれている状態となっています。しかしウィズコロナに対応した新しい社会づくりは、東京一極集中の本社機能の分散化、働き方の見直しによる地方や家庭でのリモートワークやワーケーションの確立、賃金や便利さが優先される都会生活から、自然環境や文化に囲まれた田舎生活への意識の変化など、都市から地方へ目が向く大きな変革をもたらすことが予想されます。

その現状を注視し、アフターコロナにも対応した佐渡ならではの自然・文化・歴史の中で暮らす日常を手軽に体感できる居住空間の整備を進めるなど、長期滞在型の交流からUIターンの受入を強化するとともに、多様な企業、団体等が活躍できる仕組みを構築するため、プロジェクトチームを立ち上げ、関連する民間事業者の皆様からもご協力をいただき、具体的な議論をはじめています。

更には、SDGsを柱として、人とトキが共生する生物多様性の豊かな佐渡の里山を引き継いでいくとともに、再生可能エネルギーの有効活用による、佐渡島におけるエネルギーのベストミックスを実現します。市民の皆様と共に、企業、大学をはじめ、国や新潟県、他の自治体など、島内外の方々との連携に加え、職員の「佐渡を前に動かす」という熱い思いが一体となり共振する「ワンチーム佐渡」により、持続可能な島づくりを目指し確実に歩みを進めていきます。

(わたなべ りゅうご)

※ホクギン経済研究所「ホクギンマンスリー」での「窓」と共同掲載させていただきました。

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何度も訪れたくなる観光地域を目指して

2020/09/01 :感頭言

公益社団法人新潟県観光協会 会長 髙橋 正

新潟県観光協会は、これまでも新潟県の観光振興のために取組を行ってきていましたが、平成30年12月21日に観光地域づくり法人に登録されました。

新潟県の観光をまとめ、活用する推進役として、自然と食の宝庫新潟の観光に関わる人たちの満足度の最大化を図ることを基本理念とし、来県された方にご満足いただける「対応力のある受け地の地盤づくり」を推進するため、改めて決意を新たにしているところであります。

観光を取り巻く状況は大きな変革の時期にあります。旅行者ニーズの多様化やデジタル化、そして今年に入り大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの拡大。新潟県の観光もこの情勢の変化や苦難を乗り越え、羽ばたいて行かねばなりません。

当協会といたしましては、以下3つの取組を重点的に進めていきます。

1 食のストーリーを通じたブランディング

食の宝庫新潟を形づくった風土や文化、歴史、人の暮らしを合わせてストーリーとして伝え、触れていただく、美食旅(ガストロノミー)を提案していきます。

2 県内宿泊施設の品質向上

宿泊のおもてなしを見える化することで品質を高めていく品質保証制度の導入を進め、品質の向上に努めていきます。

3 観光客の受入体制整備

国内のお客様はもちろんのこと、拡大するインバウンドの受け入れに対する体制づくりも進めていきます。

これらの取組は、新型コロナウイルスの状況下においても継続的に推進するべき地盤づくりであると考えています。情勢の変化にも目を配りながら、対応力の高い観光地域づくりを行い、また、来ていただいたお客様にご満足いただける場所となるよう、力を尽くしていきたいと思います。

新潟県は交通網が整備され、首都圏や隣県から気軽に訪れることが出来ます。また、県土が広く、訪れる地域によって違った食や文化、歴史、自然などを体験することが出来るのも魅力のひとつです。これらを生かし、より多くの方々に新潟県の魅力に触れ、訪れてほしいと思っています。

そのためには業界の垣根を越え、一丸となって取り組み、地域の対応力を上げていくことが必要不可欠です。どうか、新潟県観光の発展に、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

(たかはし ただし)

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リスクに立ち向かう経営力の向上を目指して

2020/08/03 :感頭言

新潟県商工会連合会 会長    早川 吉秀 

新潟県商工会連合会の会長に選任され、2年が経ちました。

その間、全国で自然災害が発生するとともに、新潟県においても山形県沖地震や台風19号、少雪などにより、中小企業・小規模事業者への被害が発生しました。また、年明け以降、新型コロナウイルスの影響により多くの中小企業・小規模事業者が先行きの不透明な状況に立たされています。

私が生まれ育った見附市においては、平成16年7月の新潟・福島豪雨により刈谷田川が決壊し、多くの被害がもたらされました。

かつての刈谷田川は、生活用水として、また、新潟や栃尾などへ物資を運ぶ航路として、周辺住民の生活を支えてきました。一方で、毎年のように洪水を繰り返し、甚大な被害をもたらしました。明治時代には44年間の間に、大きな洪水が38回もあったと聞いています。しかし、昭和55年の刈谷田川ダムの完成や大規模な河川改修を繰り返し、大きく蛇行をしている川を直線化するなどして、今の形になりました。

その後、更なる河川改修や遊水池の整備などがされ、平成23年の豪雨では、平成16年の豪雨とほぼ同じ雨量にもかかわらず、氾濫することなく乗り越えることができました。

自然災害に限らず、私たちの周りには多くのリスクが潜んでいます。企業の経営面で言えば、創業時や成長期の資金リスク、成熟期には企業の新陳代謝が必要となることから事業承継に係るリスクが存在します。また、今回のような感染症の拡大や自然災害などによる事業継続を阻むリスクも潜んでいます。

昨年度から国では、中小企業・小規模事業者を対象に「事業継続力強化計画」認定制度を創設し、自然災害等による事業活動の停止リスクに備えるよう当該計画の策定を勧めています。また、現在、県内商工会では、新型コロナウイルス対策に万全を期すことを最重要課題として、関係機関との連携を強化しながら、取り組んでいます。

大きなリスクに直面した時も被害を最小限にし、すぐに事業に取り組めるよう、常日頃から県内企業の経営力の向上を図り、地域経済の発展のため精一杯努めて参る所存です。

(はやかわ よしひで)

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