感頭言

今こそ新潟港のポテンシャルを活かすとき

2018/08/01 :感頭言

新日鐵住金株式会社 新潟支店 支店長      藤井 邦之

今年度(厳密には平成31年1月1日)、新潟港は安政の開港五港の一つとして開港150周年を迎えます。江戸時代には北前船の寄港地として繁栄し、19世紀後半までは人口が約166万人と全国第一位だったことはご承知の方も多いと思います。

19世紀の日本経済は、第一次産業を中心に展開され、その中で新潟は稲作に適した土地と気候でお米の収穫量が豊富だったとされています。また、日本海に面してほぼ中央に位置することから海路も発達しており、朝鮮半島、中国大陸、ロシアとの交易も盛んで、当時の東京よりも産業が栄え、人もたくさん集まり、まさに新潟が日本産業の中心であったのでしょう。

しかしながら、20世紀に入ると近代化の波が押し寄せ、冬期間の降雪影響もあり、次第に太平洋側での貿易が増え、相対的な地位は低下していったとされます。加えて、戦後の高度経済成長期に産業構造が第一次産業から第二次・第三次へと移行したこともあり、首都圏への人口流出が始まったのでしょう。

とは言え、20世紀中頃から後半にかけては、日本で五番目の面積を有する県土に、全国に先駆け高速道路、高速鉄道、国際空港、国際港湾等の主要インフラが整備されたことは記憶に新しいところです。

元来、農作物やお酒に代表されるように食文化が豊かなことに加え、温泉やスキー場等の観光資源にも恵まれている新潟は「ポテンシャルが高い県」と言われ続けてきましたが、直近のインバウンド需要の恩恵をあまり享受できていないのも事実であり、これら有益な資源を活用した実りある実績を残すタイミングがいよいよ訪れたのではないでしょうか。

現在開発が進められているロシアや中国をはじめとする中央アジアとの交流には、日本海側がその玄関口として大きな意味を持つことは言うまでもなく、さらに北極海航路を活用する場合も日本海側の重要拠点港として果たす役割は相当大きいと考えております。

新潟の将来ビジョンをきちんと描き、この地が再び日本の中心的役割を担うことを視野に入れながら、素材供給メーカーとしてその一翼を支えていきたいと心を躍らせています。

(ふじい くにゆき)

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地域におけるローカル放送局の未来

2018/07/02 :感頭言

株式会社 新潟放送 代表取締役社長  佐藤  隆夫

「忘れられた日本人」の名著で知られる民俗学者である宮本常一が、放送作家として活躍を始めていた永六輔さんにこう語りました。「放送に携わる人間は、スタジオだけでものを考えていてはいけない。電波の届く先まで行って取材して、またスタジオで考えなさい」(隈元信一著「時代を旅した言葉の職人」)。

BSN新潟放送は、ラジオ放送を始めてから今年で66年、弥彦山からテレビ放送の電波を発射してから60年になります。今、放送業界は激変期を迎えています。インターネットやスマホなど「通信」が、既存メディアを飲み込む勢いです。政府の規制改革推進会議では、「放送と通信の融合」「放送のグローバル化」が話し合われ、NHKが東京オリンピックまでの開始を目指しているネットによる常時同時再送信も、民放ローカル放送局の足元を大きく揺るがしています。壁はどんどん低く無くなりつつあります。

こうした中で、私たちローカル放送局はどう生き残るのか?何をしなければならないのかが大テーマです。まずは、地域にとって欠かすことができない存在であり続けることが重要です。地域に根差した地元密着の番組を作り続け放送し、事業イベントなども含め地域社会に貢献してゆかないといけません。そんな激変期だからこそ、ラジオ・テレビの草創期に活躍された永六輔さんの生き方は、私たちが失ってはならない放送人の「魂」のようなものを思い起こさせてくれます。「放送」は楽しいもの、役に立つものでなければなりません。

ところで、新潟放送は、作家・坂口安吾の兄である坂口献吉(元新潟日報社社長)によって作られました。当時、海のものとも山のものとも知れない電波の世界に打って出たチャレンジ精神こそ、私たちが忘れてはならないものです。新しいことへの挑戦。変わることの勇気。新潟放送のDNAを受け継ぐ「放送人」であることを強く意識して、常に地域に向かい合うことが今求められています。

(さとう たかお)

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新潟支社の現況と取組み

2018/06/01 :感頭言

東日本旅客鉄道株式会社  執行役員 新潟支社長  今井 政人

新潟支社は、新潟県の大部分と山形県庄内地区、福島県の一部を営業エリアとして、上越・北陸の新幹線2線区、信越本線、羽越本線ほか在来線10線区を担当しています。営業キロは約945キロ、駅数は193駅、1日約16万人のお客さまにご利用をいただいており、約3,200名の社員が従事しています。

昨年は、JR発足30周年、上越新幹線35周年という記念すべき節目の年でした。これは当社をご利用いただいたお客さまや地域の皆さまのご支援の賜物であります。

これからの経営環境は、人口減少に伴う社会環境の変化や人口知能などの技術革新、グローバル化のさらなる進展など、これまで経験したことのない大きな変化が予測されます。このような変化の中で当社グループが成長を続けていくためには、さらなる「安全・安定輸送のレベルアップ」、新たな成長戦略の推進による「収益力向上への挑戦」、業務改革・生産性の向上を中心とした「TICKET TO TOMORROWの推進」を意識し、スピード感を持って施策を推進していくことが重要と考えております。

輸送ネットワークの強化とともに、駅を中心とした付加価値の向上やエキナカからマチナカ等への事業エリアの拡大に挑戦していきます。具体的には、新潟駅の高架駅第一期開業及び新幹線・在来線同一ホーム乗換えを契機として上越新幹線、羽越本線等の流動活性化や新潟駅高架下活用の推進につなげていきます。

また、2019年秋の「新潟県・庄内エリアDC」に向けて、プレDC期間を中心に新潟県及び庄内エリアの自治体や観光圏等としっかり連携し“おもてなし”の充実を図るとともに観光素材の掘り起しやブラッシュアップに取り組んでいきます。

急速な世代交代や人口減少社会という環境の変化を見据えると、効率性・生産性の向上は喫緊の課題です。計画的な業務遂行やITツール等を活用した「ワークスタイル改革」の推進や、これまでの業務の棚卸も含めた組織のあり方・仕事の進め方の検討を進めていきます。

また、徹底したコストダウン推進に向けては、ランニングコストを意識した設備更新や低稼働設備・機器等のスリム化、業務効率化とあわせたコストダウンを推進していきます。

2018年度は次の30年を見据えたスタートとなる年度です。JR東日本グループがお客さまや地域の皆さまに対して新たな価値・サービスの提供していくため、私たち一人ひとりが「自分がやらなければ」という当事者意識をもって行動し、スピード感を持って業務を実行していくことが重要となります。グループ全員で力を合わせてより良い新潟支社を創ってまいります。

(いまい まさひと)

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AIやIoTを活用した優良モデルの発信を新潟から

2018/05/01 :感頭言

東日本電信電話株式会社 新潟支店 理事 支店長 山本 健一 

新潟といえば米と酒。そんな印象を持って2年前、新潟に着任しましたが、枝豆(茶豆)、ルレクチェ、かきのもと、越後姫、ふなべた等々、全国的には知名度は低いものの、沢山の美味しいものがあることに驚き、食文化の豊かさを実感しました。

一方、新潟県は人口226万人で、全国の15番目に位置する地方の中核的な県ですが、人口減少数が北海道に次ぐワースト2位、昨年一年間で1.8万人が減っています。県の中心となる新潟市でも、人口は80万人ですが、想像以上に市街中心部の空洞化が進んでおり、私の職場のある古町では、毎週のように店舗や事務所が閉店・撤退しているなど、段々寂れていく様子を目の当たりにしています。

そうした地方圏の社会的課題に対し、国では「Society 5.0で実現する社会」として、全ての人とモノがつながるIoT(Internet of Things)や人工知能(AI)を活用したロボットや自動走行車などの技術により、過疎化や少子高齢化などへの対応に取り組んでいます。

人口の自然減に加え社会減による影響も大きい新潟では、今後ますます働き手は減り、少子高齢化が進みます。私どもNTT東日本グループでも、地域で暮らす皆さまの生活を、より安全・快適にするとともに、地元企業の生産性向上に寄与するため、AIを活用したコミュニケーションロボットの提供(医療・介護分野)や、センシング技術を活用したIoTパッケージの開発(農業・酒造分野)など、AIやIoTの技術を利活用した幾つかのサービス事例を積み上げているところです。新潟からこれらの優良モデルを多数発信していくことで、地域の発展に少しでもお役に立てればと考えています。

《Society5.0》
狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

(やまもと けんいち)

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地域の暮らしのサポーター

2018/03/01 :感頭言

アクシアル リテイリング株式会社  代表取締役社長  原 和彦

父の急逝により社長に就任してから今年で10年になります。

就任直後にリーマンショックが発生し、「100年に一度」などという事態に直面し、戸惑いながら悩んだ日々を昨日のことのように想い出します。

この10年で私たち食品スーパーの課題も大きく変化しています。今、最も力を入れている課題のひとつが「健康」です。これからは人口減と高齢化が進みますが、労働力を維持していくためにも私たちには健康的な食生活を支える責務があると思っています。

それも強制的なものではなく、できるだけ毎日の食生活で自然と健康が維持できるものが望ましいのではないかと考えています。

そこで、まず偏りがちな野菜の摂取量を増やすためにサラダの品揃えを強化いたしました。サラダは食卓に出される頻度が抜群に高く、しかもバリエーションが豊富なので提案しがいがあります。

次いで魚です。体に良いことはわかっていても調理や片づけが面倒なので敬遠されがちですが、買ってすぐ簡単にお召し上がりいただくように美味しく調理した「魚菜屋」というコーナーを十数店舗に設置しました。

そして減塩です。従来は「減塩=味が薄い」という問題があり、なかなか売れる商品が少なかったのですが、味の薄さをダシでカバーすることで美味しい商品づくりに成功いたしました。こちらは全店で「だし香る」シリーズとしてご好評いただいております。

また商品以外にも昨年は10店舗でウォーキング企画を実施し、「食+運動」という切り口からも健康的な生活を支援しています。

これからも自然とバランスの良い食生活が送れ、健康を維持し続けられるような提案を増やすことで、地域の暮らしのサポーターを担ってまいりたいと考えています。

(はら かずひこ)

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成長を考える

2018/02/01 :感頭言

財務省関東財務局 新潟財務事務所長       斉藤 友博

我々世代の子供の頃ですが、「流星号、応答せよ、流星号」と腕時計に向かって声を出して、自動車型タイムマシンを呼ぶというアニメの主人公の真似が流行りました。これは、50年ほど前にテレビで放映されたSFアニメで、30世紀の未来からやってきたタイムトラベラーの話です。

30世紀は抽象的な未来ですが、子供の頃の20世紀から既に21世紀へと時代も変わり、スマートフォン(パソコン)から冷蔵庫にある食材で夕飯のレシピを作成し、AI搭載の炊飯器でお米を炊くというようにICTが生活に浸透しているのが現代です。

腕時計はスマートウォッチとなり自動車の遠隔操作が可能に、それどころかレベル5の完全自動運転化が目前まできていて、子供の頃に真似たアニメの世界が夢から現実になりつつあります。

第4次産業革命によって、新たな変革をもたらす社会とはどのようなものになっていくのでしょうか。農林水産業は、ICT化で少子化を物ともせず今以上の生産性を上げ、家庭まで直接繋がる販売網と高付加価値品の開発で新たなビジネス市場を切り開いている。空には、ドローンが物流の一翼を担って所狭しと飛び交っている。未来の新潟は、「田園工業観光都市」として機能する先駆的な地域に変わっている等々、夢は膨らみます。

新潟に住んで7か月、当地を知るにはまだまだ時間が必要ですが、産業、観光資源、食の文化など、新潟の魅力を未来に伝えるには、夢を見るだけではなく将来をきちんと見据え地域活性化を実施していくことが大切ではないかと思っております。理想の未来を叶えるため、新潟財務事務所も地域のプラットフォームとしての役割を活かして、新潟の魅力発信に取り組んでまいります。

(さいとう ともひろ)

 

 

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AIのもたらす社会を考える

2018/01/04 :感頭言

一般財団法人   新潟経済社会リサーチセンター     理事長    曽山 稔

新年は「おめでとうございます」のロボットの声で目覚め、新聞は平均寿命が100歳となった記事を伝えている。テーブルに座れば、お屠蘇も注いでくれる。今日の予定は、と問えば、着用しているメガネレンズのスクリーンに瞬時に打ち出される。着ているシャツを通じて食後の血圧等の健康データが病院へ瞬時に通知される仕組みである。夕食にはたまに分厚いステーキでも、と思うものの、ロボットにチェックされ、たとえ外食しても入店時に健康データの提出を求められる決まりからこの数値では入れてもらえそうもない、と断念する。というような、社会が来るかもしれない。

ところで、昨今、ICT(情報技術)の進展やディープラーニングの機能によってAI(人工知能)が学習能力を持ち、飛躍的に「発達」することにより、人間の脳(知性)はAIに凌駕されるのではないか、更にはそのAIを超えるAIが出現するのでは、と世の中が騒がしい。

今、日本は大きな転換期を迎えている。人口減少や少子化・高齢化といった問題がボディーブローのように重くのしかかり、生産年齢人口の減少、即ち人手不足が経済成長の制約要因になりつつある中で、他の先進国と比較して、労働生産性が低く、イノベーションの分野での見劣りが課題となっている。労働生産性を向上させ、地方創生を確実なものにするためには、「働き方改革」や「人づくり革命」を推し進め、AIやICT技術を活用した「第四次産業革命」と呼ばれる大きな時流をどのように捉えていくか、喫緊の課題である。

AIの進展によって大失業時代が到来すると言われている。しかしながら、技術によって失われる労働力、労働需要を人間しか出来ない仕事の分野へ開発・シフトさせ吸収することで新たなビジネスチャンスも生まれる。これまで労働生産性の点では首都圏よりも劣っているものの高度な技術を持ち、柔軟性を備えた中小・零細企業の集積である地方にこそ、そのヒントがある。求められるのは行政の強いリーダーシップであり、経営者の失敗を恐れない強い意思と、ブレない覚悟である。

願わくば、AIがもたらす社会は住み易く希望が持てる社会であることを初夢で見てみたい。

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未来を信じて

2017/12/01 :感頭言

株式会社 日本政策投資銀行 新潟支店長  佐藤  紳文 

えらく世間が騒がしい。

地域紛争に環境問題、大国間の利害の衝突、成長を求める中での競争と協調、利益優先主義による不正と完全なる優勝劣敗の構造、そして成熟社会の中での人口減少と生産力の低下、騒がしさを挙げれば枚挙にいとまがない。

日々の暮らしにおいても、誰もが寸暇を惜しみ「今」を獲得することに余念がない。我先にと、知恵を働かし、身体を動かし、生の追求に追われることに余儀なくされているようにも見受けられる。ご縁を頂き、新潟に暮らし通算10年を超えることになったが、ご当地新潟も、ご多分に漏れず、人口減少や地域間競争等の中で将来への不安にさいなまれているようである。

人間の思考は、「過去」と「他」との比較により構築されることを学んできたが、現在の状況は、「過去」と「他」からの推察だけでは容易には解決しがたく、頭を抱え、目を覆いたくなるような状況なのかも知れない。

幼少の頃、パイロットを夢見た私は、その後自分の視力をはじめとする身体能力の限界を知るに至り、その方向性を大きく転換し、文学を志し、職業としては教員としてその資格も取得したが、最後には現在の職を選択するに至った。

今に思えば、その曲折は自己や世間を知る知恵・経験に欠けていたとの指摘は甘んじて受け入れざるを得ないと思うが、おそらく「過去」と「他」との比較の思考では今の自分は存在し得なかったのだと思う。私を突き動かしてきたものは、当時何も持ち得ていない中にあって、自分の「未来」に対する憧憬のようなものだけが原動力だったように思う。

低成長時代で将来に期待が持ちにくいということが言われるが、真にそうであろうか。何も無く、未来以外なかった時代と知恵と守るべきものが増えすぎたことによる違いでもあるのではないか。

私は、新潟の未来を信じている。新たな知識も、経験も、他の意見も必要ない。

必要なのは、ただ一つ、純粋に未来を夢見て、未来を大いに語り、その未来に向けて、疑うこと無く突き進むことである。道は必ず拓ける。

(さとう なおふみ)

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