2月2019

新潟県の決断が野球界を変える 高校野球「球数制限」への期待

2019/02/01 :青空 青島 青い論

青島 健太(あおしま けんた)スポーツライター&キャスター1958年生、新潟市出身。1985年ヤクルトスワローズに入団、5年間プロ野球選手として活躍。現在、スポーツライター及びテレビキャスターとして活躍中。

新潟県高校野球連盟が歴史的な決断を下した。今年の春季県大会から投手の球数制限を設けるというのだ。100球に達した投手は、それ以降の回で投げることはできない。そこで投手は交代しなければならないというルールだ。全国初の試みであり、球数制限ルールが導入されるのは、各県の裁量で大会運営が任される春の大会に限られるということだ。甲子園出場がかかる夏の予選と秋季大会は、現行通り制限なしで行われることになる。

新潟県高校野球連盟が全国に先駆けて球数制限を導入した背景には、高校生の投手を投げ過ぎから守る仕組みづくりがまずもってある。近年は高校野球も分業制の考え方が浸透し、先発と抑えという投手起用が始まっている。また先発投手も連日の連投がないように複数の投手で担当するチームも増えている。しかし、そうはいっても、部員の少ない学校やずば抜けたエースの存在するチームでは、同じ投手が投げ続けることになってしまう。

例えば、去年の夏の甲子園を沸かせた準優勝・金足農業高校の吉田輝星投手(北海道日本ハムファイターズ)などは、秋田県予選5試合と甲子園での6試合すべて先発登板している。その間に投げた球数は1,500球を越えた。完投しなかったのは決勝戦だけだ。幸いなことに吉田投手は元気に投げ続けたが、高校時代にこれだけ無理をすると、これから先の故障のリスクは高まっているはずだ。

ただ、球数制限導入の難しさは、勝敗の行方に大きく影響することだろう。もし夏の大会にも導入されたときには、先の金足農業(相応の2番手投手がいなかった)も、あれだけの活躍をみせることはできなかっただろう。球数制限は、結果的には部員数が多く人材が豊富な強豪校に有利なルールになってしまう恐れがある。それゆえに日本高校野球連盟もこのルールの導入に慎重な対応を取らざるを得ないのだ。

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今すぐできる選りすぐりのアイデア 第35回

2019/02/01 :酒井とし夫の街でみつけた『商売繁盛心理学』

ビジネス心理学講師/米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター/米国NLP心理学協会認定コーチ/ランチェスター経営認定講師 酒井とし夫 氏

こんにちは、ビジネス心理学講師の酒井とし夫です。

私はどんな商品やサービスを扱っていても、どんな業界で働いていても、ビジネスにはひとつの共通項があると考えています。

それは…、お客様は『人』である、ということ。

そして、人は『心』で好き嫌いを感じ、『心』で興味を抱き、『心』で買うか買わないかの行動を決定します。

そのため、どんな業界や職種の方々であっても、ビジネスに関わる方は人の『心』に影響を与える心理学の知識やスキルを理解しておくと、交渉、打ち合わせ、営業、広告、販促、プレゼンテーション、接客、コミュニケーションで優位に立つことができます。

私が日常生活のなかでみつけた商売に役立つ心理学的なヒントやアイデア、ノウハウを毎月紹介します。是非、あなたのご商売や会社経営に応用するにはどうしたら良いのかを考えながらお読み下さい。

1,000円のスーツ

ちょっと前の話になりますが、その日、私はスーツを買いに出かけました。

しばらく店内を歩いていたら女性スタッフが近づいてきてこういいました。

「スーツは2着目が1,000円です」

その瞬間、私はそのスタッフが何をいっているのか理解ができませんでした。

「えっ! スーツが1,000円?どういうこと?」

スーツが1,000円です。隣接しているレストランのランチより安いかもしれません。

もちろん1着目のスーツが一定額以上の商品であることが前提ですが、それでも「2着目はスーツの代金は1,000円です」といわれたので大きなインパクトがありました。

そして、次の瞬間に私はこう思ったのです。

「それなら、このお店で買わないと損だ。ここでスーツを探そう」

その日、私は何軒かのお店を回る予定でしたが止めて、結局そのお店でスーツを買いました。つまり、2着目が1,000円という販売方法が私に競合店を回って商品と価格を比較させることを断念させたわけです。

そのお店の周りには何軒かの競合店があります。そのため多くのお客様は何店舗か回って、商品と価格を比較検討してから買うことが多くなるはずです。しかし、一旦、「このお店で買わないと損だ。ここで探そう」と思わせることができると、お客様が競合店に流れる確率が下がります。

もちろん、今ではスーツ専門店の多くが同じような販売方法を展開していますので、以前ほどの効果はなくなっているかもしれませんが、情報過多の社会になって購買行動がAIDMAからAISAS※になっている時代には「他店と比較検討されない」ということも商売では大切なのです。

ご存知の通り、AIDMAは人が購買に至るプロセスであるAttention(注意喚起、あるいは認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買行動)の頭文字で表現したものです。簡単にいうと

「Attentionあれは何だろう?→Interest面白そう!→Desire欲しいかも!→Memory忘れられない→Action買おう!(購買行動)」ということ。

しかし、ネットの出現で顧客が手に入れる情報が膨大になっている現代のお客様の購買行動はAttention(注意喚起)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買行動)→Share(シェア)となっています。

つまり、「Attentionあれは何だろう?→Interest面白そう!→Search他のお店も調べて比較してみよう→Action買おう!→Shareシェアして皆に教えてあげよう」ということです。

この購買行動の変化がもたらした最大の違いはあなたの商品やサービスは比較されるということです。

※「AISAS」は株式会社電通の登録商標です

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いま時の若者気質

2019/02/01 :観光イノベーションで地域を元気に

株式会社 井門観光研究所 取締役  井門 隆夫(いかど たかお)氏

─地域に何ができるか─

私は地域振興に関わる傍ら、3つの大学でゼミを担当し、のべ70名の大学生と日々接している。通常、大学の教員といえば大学院でドクター(博士)を取得した研究者が就くものだが、稀に私のような実務出身者が外からの目線で教育・研究に関わることがある。大学には、10年、20年と高度な研究をされてきた先生方が多くいらっしゃるので専門教育に関してはお任せし、観光や地域振興に興味があるという若者に生きた機会を提供している。

ゼミでは、半年に1つの割合でプロジェクトに取り組んだり、3週間のインターンシップを必修にして社会経験を積む。プロジェクトでは、高齢化する温泉地で経営者の事業承継意志を調査したり、スキー場の小さなホテルのシーズン中の企画商品を作成・運営の支援を行ったり、海外での祭に日本の縁日ブースを出店したり、地域に役立つ企画の実践と自らの社会人基礎力を高めることを目標にしている。

そのうち毎年20名ほどが卒業して社会に巣立っていくのだが、近年はしっかりした若者が多く、あえて4年で卒業せず、休学をしてギャップイヤーで力をつける者も少なくない。卒業前に休学し、ベトナムのホテルへ働きに出かける者、デンマークのデザイン学校に入学する者、世界一周に旅立つ者。地域や海外でふれて得た様々な気づきがベースになっていると思う。今回はそんな現代の大学生の一端をご紹介してみたい。

1.島への移住トライ

もともと大学近くの古民家を間借りしてイベント等を行うサークルに所属していたS君。ゼミに入ってすぐの2年生夏に十日町市を訪ね、伝説の古民家シェアハウス「ギルドハウス十日町」に泊まり、地方に移住した方々や旅人と接したことがきっかけになったのだろう、その後ゲストハウスに目覚め、全国のゲストハウスを訪ね歩き始めた。3年生になると、調査に訪れた群馬県の過疎地に立地する小さな温泉旅館で週末にアルバイトを始め、宿泊業の経営に興味を持ち始めた。そして、3年までに単位を全て取得し、4年になってから長期インターンシップを行うため、毎年訪れていた離島に移住した。もちろん、インターンシップということはそのまま島で働くことを本人も目指していた。

しかし、秋も終わりに近づくころ、地方への移住は時期尚早だったと島から戻ってきてしまった。背景には、「『移住』ではなく『永住』を前提とした島での生活」や「観光業での少ない報酬」に不安が募ったことがあった。もちろん、そうしたことを事前に理解していなかった反省は残るが、中途半端に我慢するのではなく、地方の課題を心に留め、一度「都市でも働いてみたい」という希望を叶えることとなった。

とはいえ、新卒一括採用の日本では4年秋に就職活動を始めても就職できる企業は限られている。そのため、もう1年大学に残ることを決め、地方と都市の両方で働く体験をしながら、地方の課題や可能性について論文として書き留めることを目指している。

おそらく彼は、自分自身の失敗を通じて、人生の成功に向けた第一歩を記すことができたと思う。日本では「成功を目指す」より「失敗しないことを是とする」ことがある。しかし、失敗しなければしないほど出世するような国ではイノベーションは起こらない。

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第23回 上海/香港

2019/02/01 :海外現地レポート

香港  第四銀行コンサルティング推進部

香港の再工業化に向けた取り組み

香港は金融や貿易を中心とするサービス産業がGDPの90%以上を占めており、アジアの金融センターや物流ハブとしての地位を確固たるものとしています。しかし近年、香港に隣接する中国広東省深圳市などの周辺都市の台頭によって、その優位性を失いつつあります。そのため香港では、リスク分散のために経済の多様化を図る必要があるとの声が上がっていました。

そこで、香港政府は、サービス業に偏った産業構造を改革すべく、かつて産業の中心となっていた製造業を復活させる「再工業化」を提唱しています。今回は、香港の再工業化に向けた取り組みをご紹介したいと思います。

香港のGDPに占める製造業の比率は1980年に23.7%と、主要産業のなかで最も大きな比率を占めていました。しかし、1970年代後半から土地不足と人件費の高騰を受け、広東省の珠江デルタ地区などに生産拠点を移転する企業が出てきました。そのため、1980年代後半以降は徐々にその比率が低下し、1994年には9.2%と10%を割り込み、2017年には1.1%まで低下しました。そこで、近年、香港政府は製造業を復活させる再工業化を提唱してきました。

そうしたなか、2018年10月に行われた施政方針演説のなかで、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は再工業化に向けた取り組みを強化すると表明しました。香港政府が20億香港ドル(約290億円)を拠出して「再工業化支援スキーム」を立ち上げ、香港にスマート生産ラインを設けるメーカーに対し補助金を支給します。

その取り組みの一環として、香港政府系の産業支援機関である香港生産促進局(HKPC)は、香港の無線機メーカーに対して、生産ラインのスマート化を支援すると発表しました。HKPCは生産設備の設計に関するソリューションを提供し、人工知能(AI)を活用した生産・管理体制の完全自動化・デジタル化を実現します。

またHKPCは、ドイツの応用研究機関と提携し、企業による最新工業技術の採用を支援し、製造業のデジタル化を促す「INCイノベーション・センター」を設立したと発表しました。

さらに、財界においても再工業化に呼応する動きが出ています。香港初の電気自動車(EV)の旗艦工場建設に乗り出そうと、30以上の香港経済団体で構成する「香港創新科技・製造業連合総会(FITMI)」は、EV旗艦工場建設の提案書を香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官に提出したと発表しました。その提案書によると、FITMIは、香港の工業団地に工場と研究開発(R&D)拠点を建設し、香港初の自動車ブランドを打ち出す方針を示しています。

また、FITMIは「インダストリー4.0(※)」の技術を活用した工場とする考えを示しており、生産ラインにはドイツで成功したノウハウやスマート技術を導入する予定です。

本件に関して、FITMIは、「EV旗艦工場建設は、香港政府が提唱する再工業化政策に呼応するもので、企業の香港回帰を後押することができる」と説明し、EV製造を通じて香港のインダストリー4.0を実現させたいと抱負を述べました。

今後も香港において、再工業化に向けた取り組みが活発化し、その動向により香港の産業構造が変化することが想定されるため、香港市民の注目が集まっています。

(※) ドイツで2011年に提唱された「インターネットなどのITを駆使して製造業の革新を促すプロジェクト」

(香港派遣 相澤 寛行) 続きを表示…

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マルソー株式会社

2019/02/01 :探訪

躍進を続ける総合物流企業         マルソー株式会社

総合物流企業として県内の物流をリードするとともに、企業内託児施設の整備など働きやすい職場環境を整えているマルソー株式会社。その具体的な取り組みなどについて、渡邉社長からお話をうかがいました。

代 表 者 渡邉 雅之

創  業 1913年

社 員 数 530名(グループ全体980名)

資 本 金 9,800万円

事業内容 3PL、共同配送、ロジスティクスコンサルティング、廃棄物収集運搬、引越、LED照明販売 他

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新潟県企業動向調査2018年下期

2019/02/01 :自主調査(調査報告)

─業況感は四年半ぶりの高水準。先行きは慎重な見通し─

1業況感

(1)全産業

─業況感は4年半ぶりの高水準。先行きは慎重な見通し─

2018年7−9月期における県内企業の業況判断BSI(※)は▲2.9となった。海外需要が堅調であるほか、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要がみられたことなどから、18年4−6月期の▲8.5から5.6ポイント上昇し、県内企業の業況感は改善した(図表1)。

続く、18年10−12月期(含む実績見込み) は1.2となり、同7−9月期と比べてさらに4.1ポイント上昇した。消費税率引き上げによる駆け込み需要があった14年上期調査(14年1−3月期:20.0)以来、4年半ぶりの高水準となった。

先行きを示す見通しBSIは19年1−3月期が▲12.8、続く同4−6月期は▲13.7と、18年10−12月期と比べて悪化が見込まれており、先行きは慎重な見通しとなっている。

(※)BSI (ビジネス・サーベイ・インデックス)とは、アンケートの回答結果を指数化したものである。本稿でのBSI とは、業況あるいは先行きの見通しなどが「良い」か「悪い」かという質問に対して「プラス(良い、増加等)」「中立(不変等)」「マイナス(悪い、減少等)」の3つの選択肢を用意して、「プラス」と回答した企業の割合から「マイナス」と回答した企業の割合を差し引いた数値のことをいう。

(2)業種別

業況判断BSIを業種別にみると、製造業は18年7−9月期が10.4となり、18年4−6月期比12.8ポイント上昇した(図表2)。

続く18年10−12月期は15.9となり、同7−9月期に比べてさらに5.5ポイント上昇した。内訳をみると、繊維や窯業・土石、食料品といった業種で上昇している。

なお、最近の業況などに関して自由回答形式で尋ねたところ、製造業からは「工場設備投資やマンション・ホテル建設等の旺盛な民需により出荷が好調となっている」(窯業・土石)、「災害への警戒感が高まり保存食の需要が増えた」(食料品)、「スマートフォン用部材の販売が好調である」(化学)といった声がある一方、「一部の半導体関係の受注が急ストップした」(精密機械)、「鋼材、ボルト等の確保が難しくなり、生産に悪影響が出ている」(金属製品)、「米中貿易摩擦の影響が出てきた」(一般機械)といった声が寄せられた。

非製造業は18年7−9月期が▲12.0となり、同4−6月期比0.9ポイント上昇とほぼ横ばいで推移した。

続く18年10−12月期は▲8.9となり、同7−9月期比3.1ポイント上昇した。内訳では、建設や小売などで上昇している。

非製造業の業況については「東京オリンピック関連需要による首都圏の建設工事が依然堅調に推移している」(建設)との声がある一方、「地震等の天災が相次ぎ宴会などが自粛ムードである」(卸売)といった声が聞かれた。

先行きについては製造業、非製造業ともに18年10−12月期と比べて低下する見通しとなっている。

(3)規模別

業況判断BSIを規模別にみると、大企業では、18年7−9月期が13.8となり同4−6月期比10.8ポイント上昇した後、同10−12月期が10.3とやや低下した(図表3)。中堅企業では、同7−9月期が▲2.0と同4−6月期比4.2ポイント低下し、同10−12月期が▲7.7とさらに低下した。中小企業では、同7−9月期が▲3.8と同4−6月期比6.1ポイント上昇し、同10−12月期が1.6とさらに上昇した。

先行きは中堅企業でやや上昇するものの、大企業や中小企業では低下する見通しである。

2生産・売上

─生産・売上は4年半ぶりの高水準─

18年7−12月期(以下、今期)の生産・売上BSI(「増加」−「減少」)は1.7となった (図表4)。同1−6月期(以下、前期)から5.5ポイント上昇し、消費税率引き上げによる駆け込み需要があった14年上期調査(14年上期:1.9)以来、4年半ぶりに高い水準となった。

業種別にみると、製造業は12.2となり前期から8.0ポイント上昇した。内訳をみると、窯業・土石、金属製品などが上昇している。また、非製造業は▲5.6となり、前期から4.0ポイント上昇した。内訳では、卸売、小売などで上昇している。

生産・売上については「設備導入により増産となった」(金属製品)、「外国人旅行者の宿泊が増えている」(サービス他)といった声が聞かれた。

先行きを示す19年1−6月期(以下、来期)のBSIは、▲14.8と今期に比べて大幅に低下する見通しとなっている。

3仕入・販売価格

(1)仕入価格

─4期連続で上昇─

今期の仕入価格BSI(「上昇」−「低下」)は48.3となった(図表5)。前期から2.3ポイント上昇し、4期連続で上昇した。

業種別にみると、製造業は58.1となり前期から3.2ポイント上昇した。内訳をみると、金属製品、繊維などの業種で上昇している。非製造業は41.5となり、前期を1.9ポイント上回った。内訳では、建設、サービス他が上昇している。

仕入価格については「材料費、梱包(副資材)費の高騰により利益が減少している」(金属製品)、「資材の値上がりにより収益性の悪化がみられる」(建設)との声があった。

来期のBSIは46.0となり、今期に比べて2.3ポイント低下する見通しとなっている。

(2)販売価格

─5期連続で前期を上回る─

今期の販売価格BSI(「上昇」−「低下」)は10.4となった(図表5)。前期から1.3ポイント上昇し、5期連続で前期を上回った。

業種別にみると、製造業が8.1となり前期から3.2ポイント上昇した。また、非製造業は12.0となり前期から0.1ポイント低下と概ね横ばいで推移している。

販売価格については「販売価格の上昇により採算が好転している」(木材・木製品)、「高額商品への関心は高くなっている」(繊維)といった声がある一方、「荷主から運賃改定の良い回答は得ているものの、実施時期が先延ばしになっている」(運輸)といった声が寄せられた。

来期のBSIは11.5となり、今期に比べて1.1ポイント上昇する見通しとなっている。

4採 算

(1)採 算

─2期ぶりに改善─

今期の採算BSI(「好転」−「悪化」)は▲9.0となった(図表6)。前期比2.6ポイント上昇し、2期ぶりに改善した。

業種別にみると、製造業は▲4.4となり前期比6.4ポイント上昇した。内訳をみると、食料品、窯業・土石などの業種で上昇している。非製造業▲12.2となり、同0.1ポイント低下した。内訳では、建設、サービス他で低下している。

採算については「5年ほど高どまりしていた仕入れ価格が低下し利益が出やすくなった」(食料品)、「販売価格の上昇により採算が好転している」(木材・木製品)といった声がある一方、「資材、労務費の値上がりにより収益性が悪化している」(建設)、「残業抑制により外注割合が上昇している。人件費上昇のため外注単価もアップしている」(その他製造)、「西日本豪雨の影響で関西方面からのお客様が減少し採算が悪化した」(サービス他)といった声も聞かれた。

来期のBSIは▲13.7となり、今期に比べ4.7ポイント低下する見通しとなっている。

(2)採算好転・悪化の理由

─ 好転要因では「売上数量の増大」「販売価格の上昇」、悪化要因では「売上数量の減少」「仕入価格の上昇」が上位─

今期の採算が「好転」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の増大」(74.4%)の回答割合が最も高く、以下「販売価格の上昇」(25.6%)、「高付加価値製(商)品の比率拡大」(16.7%)、「経営の合理化」(14.4%)などが続いた(図表7)。

なお、18年上期調査と比べると、「販売価格の上昇」の割合が大きく伸びたほか、「経営の合理化」などの割合がやや高くなっている。

一方、今期の採算が「悪化」したと回答した企業にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「売上数量の減少」(71.3%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(37.3%)、「人件費などの固定費負担の増加」(26.0%)などが続いた(図表8)。

なお、18年上期調査と比べると、「販売価格の低下」や「輸入品との競合」などの割合がやや高くなっている。

5雇 用

(1)全産業・業種別

─雇用の不足感が一層高まる─

正社員の充足状況をみると、今期の雇用BSI(「過剰」−「不足」)は▲ 41.5となり、前期比2.9ポイント低下した(図表9)。継続的に雇用BSIの調査を開始した1993年下期調査以来最も低い水準となり、雇用の不足感は一層強くなっている。

業種別にみると、製造業は前期比2.2ポイント低下し▲33.0となった。内訳をみると、食料品や化学などで雇用BSIが低下している。非製造業は前期比3.1ポイント低下し▲47.3となった。内訳では、サービス他、建設などで低下している。

雇用については「人材不足により生産性低下を招いている」(その他製造)、「人員不足により時間外労働が増え、人件費も増加した」(サービス他)、「技術者が不足している」(建設)などといった声があった。

(2)職種別

─「生産・建設」「運輸」などで不足感が拡大─

職種別の雇用BSIをみると、「専門・技術」で▲42.8となり不足感が最も強く、以下「生産・建設」(▲33.9)、「営業・販売」(▲32.1)などが続いている(図表10)。

18年上期調査と比べると、「生産・建設」「運輸」などの職種で不足感が拡大した。

(3)正社員不足への対処法

─7割以上の企業が「中途採用の実施」と回答─

「(1)全産業・業種別」で、正社員の充足状況が「不足」と回答した企業に正社員不足への対処法を尋ねたところ(複数回答)、「中途採用の実施」(75.2%)の回答割合が最も高く、以下「新卒採用の実施」(42.9%)、「定年延長や再雇用などによる雇用延長」(20.6%)、「非正社員(パート、派遣社員)の募集」(14.6%)などが続いた(図表11)。

6賞与・一時金の状況

─ 賞与・一時金の増額に前向きな企業の割合は前年を下回る─

18年度の冬季における賞与・一時金の支給について尋ねたところ、「未定」とする回答が多いものの、「増額する」と回答した企業の割合は10.3%、「増額を検討中」が18.6%となっており、これらを合わせた『増額に前向き』な企業の割合は28.9%となっている(図表12)。

ただし、前年同時期に行なった17年下期調査と比べると、『増額に前向き』な企業の割合は2.3ポイント下回っている。

7設備投資

(1)設備投資計画

─18年度の設備投資額は前年度を上回る見通し─

18年度における設備投資の実施企業割合(含む見込み)は61.7%となり、17年度実績を4.1ポイント上回る見込みとなっている(図表13)。

実施企業割合を業種別にみると、製造業が73.0%、非製造業が53.9%となった。

18年度の設備投資額(含む見込み)は、17年度実績比33.5%増となる見通しであり、18年上期調査(20.8%増)より上方修正されている(図表14)。

業種別にみると、製造業は一部大手企業の大型設備投資もあり、17年度実績比57.4%増となっている。内訳をみると、その他製造、精密機械などの業種で増加している。また、非製造業も同7.1%増となっており、サービス他、運輸などの業種で増加している。

規模別にみると、すべての規模で17年度実績を上回っており、大企業が前年度比74.9%増、中堅企業が同2.0%増、中小企業が同10.7%増となった。

なお、19年度の設備投資計画は、現時点では未確定とする企業が含まれていることもあり、実施企業割合、投資額とも前年度実績を下回る見通しとなっている。ただし、前年同時期調査(17年下期調査)での実施企業割合(18年度計画:45.2%)、投資額の前年度比増減率(18年度/17年度:▲37.5%)をそれぞれ上回っている。

(2)設備投資の目的

─「 情報化(IT)投資「」省エネルギー・環境問題への対応」などが上昇─

18年度における設備投資の目的をみると(複数回答)、「既存機械・設備の入れ替え」(66.7%)の回答割合が最も高く、以下「生産能力増大のための機械・設備導入」(27.9%)、「省力化・合理化」(24.9%)などの順となっている(図表15)。

17年度実績と比べると、「情報化(IT)投資」「省エネルギー・環境問題への対応」などが上昇した一方、「既存機械・設備の入れ替え」「土地購入」などが低下した。

8経営上の問題点

─5期連続で「人材不足」がトップ─

経営上の問題点を尋ねたところ(複数回答)、「人材不足」(64.3%)の回答割合が最も高く、以下「仕入価格の上昇」(37.7%)、「先行き見通し難」(35.1%)、「生産・受注・売上不振」(33.9%)、「競争の激化」(28.2%)、「人件費の増加」(26.5%)などが続いている(図表16)。

18年上期調査と比べると、順位に大きな変化はないものの、「競争の激化」「生産・受注・売上不振」「先行き見通し難」などの割合がやや低下した。

9軽減税率制度導入の準備状況

─ 3割超の企業が軽減税率制度導入の準備に未着手─

19年10月1日から、消費税率引き上げと同時に実施される予定となっている軽減税率制度導入の準備状況を尋ねたところ、「準備が必要な業務はない(対象品目を取り扱っていない)」(32.4%)と回答した企業の割合が最も高く、以下「準備に取り掛かり始めている」(30.6%)、「準備に取り掛かっていない」(27.5%)、「準備に何が必要かわからない」(5.0%)、「準備は完了している」(0.9%)などとなっている(図表17)。

なお、「準備に取り掛かっていない」と「準備に何が必要かわからない」を合わせた『軽減税率制度導入の準備が未着手』の企業の割合は3割を超えている。

まとめ

─業況感は改善するも先行きは慎重な見通し─

アンケート調査結果をみると、県内企業の「業況感」は18年7−9月期、同10−12期連続で上昇した。

一方、先行きを示す見通しBSI(19年1−3月期、同4−6月期)は18年10−12月期と比べ悪化している。原材料価格の高騰などによる仕入価格の上昇や人手不足が企業の採算を圧迫していることに加えて、米中貿易摩擦が懸念されることなどから、先行きについては慎重な見方が示されている。

今後、こうした懸念材料に警戒しながら、米中間の交渉経緯の行方や米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、為替動向などを注視していく必要があろう。

(2019年1月 久住 正人)

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正社員の中途採用に関する経営者アンケート調査

2019/02/01 :自主調査(調査報告)

─新潟経済社会リサーチセンター・ホクギン経済研究所 共同調査─

一般財団法人 新潟経済社会リサーチセンターと株式会社 ホクギン経済研究所は2018年10月1日の「第四北越フィナンシャルグループ」設立後、初の試みとして、特別調査「正社員の中途採用に関する経営者アンケート調査」を共同で実施した。

要旨

〇正社員の中途採用活動の有無

─8割超の企業が正社員の中途採用活動を「実施したことがあり、今後も実施したい」との意向─

過去3年間(2015年12月から現在までの間)で正社員の中途採用活動を実施したかどうかを尋ねたところ、「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した割合は83.9%となった。業種別にみると、「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した割合は、製造業で81.1%、非製造業で85.7%となっている。

〇正社員の採用状況

─半数以上が予定人数に達していない─

採用活動を実施した先に採用状況を尋ねてみると、「予定していた人数を下回った」と回答した割合が55.7%と最も高く、半数を超えた。一方、「予定どおりの人数だった」と回答した割合が42.3%、「予定の人数を上回った」の割合が2.0%となり、これらを合わせた『予定以上の人数だった』の割合は44.3%となった。規模別にみると、「予定していた人数を下回った」の割合が大企業で50.0%、中堅企業で72.9%、中小企業で54.5%となり、すべての規模において半数以上が予定の採用人数に達していなかった。水準に差はあるものの、企業の規模に関わらず採用活動は厳しいことがうかがえる。

〇採用段階での課題

─「応募が少ない」が7割超─

採用段階での課題を尋ねたところ(複数回答)、「応募が少ない」(74.2%)と回答した割合が7割を超えて最も高くなった。以下「応募者が自社に適した人材かの見極めが難しい」(46.1%)、「応募者のスキルや能力が採用基準に達しない」(33.8%)などが続いている。

はじめに

新潟労働局の「労働市場月報」によると、県内における正社員の有効求人倍率(2017年度・原数値・平均)は1.10倍となった(図表1)。リーマン・ショック後の10年度から上昇傾向が続いており、統計の公表が始まった05年度以来、最も高い水準となっている。また、県内企業からは人手不足に直面しているとの声が多数あがっており、企業の中途採用に対する意欲は高まっている。

そこで、県内における正社員の中途採用活動の現状と課題を把握するために、県内企業1,440社(有効回答768社)を対象に当センターとホクギン経済研究所が共同でアンケート調査を行った。以下はその結果である。

1正社員の中途採用活動の有無

─ 8割超の企業が正社員の中途採用活動を「実施したことがあり、今後も実施したい」との意向─

過去3年間(2015年12月から現在までの間)に正社員の中途採用活動を実施したかどうかを尋ねたところ、「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した割合は83.9%となった(図表2)。以下、「実施したことがなく、今後も実施するつもりがない」(6.9%)、「実施したことがあるが、今後は実施するつもりがない」(4.7%)、「実施したことはないが、今後は実施したい」(4.6%)となった。

「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した企業の割合を業種別にみると、製造業が81.1%、非製造業が85.7%となっている。特に、運輸(95.1%)、建設(94.5%)、一般機械(91.7%)、金属製品(88.1%)などで高くなった。

規模別では大企業で86.2%、中堅企業で86.4%、中小企業で83.5%となり、大きな差はみられなかった。

なお、「実施したことがあり、今後も実施したい」と「実施したことはないが、今後は実施したい」を合わせた『今後実施したい』の割合は88.5%となった。

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グラフで見る県内経済2019年2月(十二月の新潟県経済)

2019/02/01 :グラフで見る県内経済

概況:緩やかに持ち直している県内経済

設備投資は緩やかに増加している。生産活動や個人消費は緩やかに持ち直しており、住宅投資は下げ止まりつつある。一方、公共投資は減少している。総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している。

生産活動:緩やかに持ち直している

10月の鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比0.1%低下して104.6となった。出荷指数は同1.1%上昇して104.0となった。在庫指数は同2.0%低下して124.6となった。

はん用・生産用・業務用機械は国内の設備投資の増加を背景に回復している。

金属製品は建築需要が堅調なことから、建設用製品などを中心に持ち直している。

電子部品・デバイスは一部に弱さがみられるものの、車載向けなどの受注が増加しており、前年をやや上回っている。

食料品は横ばい圏内で推移している。

8−10月期の3カ月平均値でみた在庫循環図(注)では、「意図せざる在庫増加局面」に移行している。

(注)在庫循環図:出荷と在庫の伸び率を比較することによって景気循環を判断する図。在庫循環図では景気循環に応じて、①意図せざる在庫減少局面→②在庫積み増し局面→③意図せざる在庫増加局面→④在庫調整局面、という動きとなり、理論上は反時計回りで変化する

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