10月2020

ウィズコロナ時代の経営戦略

2020/10/01 :特別企画

─新型ウイルス禍における組織経営と今後の展望─

今月から3回にわたり、新潟県内の各分野を代表する方々からウィズコロナ時代における経営戦略や今後の展望等についてうかがったインタビュー記事を特集します。

キャンペーンで回復するも、厳しさが続く

─新型ウイルスの事業への影響はいかがですか─

当社は現在、越後湯沢駅前の「越後湯澤 HATAGO井仙」と南魚沼市の「ryugon」の2つの温泉旅館を運営しています。今年は新型ウイルスが広がる前までの予約は順調で、特に昨年7月に開業したryugonの運営が軌道に乗り始めたことで、当社にとっても大きな節目の年になると期待していました。

ところが3月頃から予約のキャンセルがはじまり、緊急事態宣言が発出されていた4~5月頃には予約が前年のわずか5%程度と厳しい状況になりました。

その後、6月からは新潟県の「つなぐ、にいがた。」観光キャンペーンや国の「GO TOトラベル」キャンペーンの効果もあって、8月以降の予約は前年を超える伸びとなりましたが、今後新型ウイルスの影響がどこまで長引くのか、不安は常にあります。今は、お越しいただくお客さまひとりひとりから確実にファンとなってもらえるように、最大限の努力を行なっています。

「非日常」から「異日常」への流れが加速

─観光業界全体が大きな転機を迎えていますね─

今回の新型ウイルスをきっかけとして、観光市場は大きな転機を迎えました。旅館業界においては、県や国などによるキャンペーン需要の取り込みの巧拙によって既に二極化が進みつつあり、今後は淘汰の動きも進むでしょう。しかし、観光市場においては以前から変化の潮流が生まれており、今回の新型ウイルスは、その動きを加速させたに過ぎません。

すなわち、私が感じていた変化の潮流は、「非日常」から「異日常」への移行です。これは、従来のような観光地を楽しむだけの非日常型の観光から、地域に滞在して暮らしや文化を体験する異日常型の観光に需要が変わるという流れです。以前は、地域に滞在しながら生活するという発想がなかなか理解してもらえませんでしたが、新型ウイルスを契機として、ワーケーションのように滞在先でテレワークによって仕事をするという働き方が知られるようになってきたこともあり、異日常という概念が受け入れられる土壌ができました。

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今すぐできる選りすぐりのアイデア 第55回

2020/10/01 :酒井とし夫の街でみつけた『商売繁盛心理学』

ビジネス心理学講師/米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター/米国NLP心理学協会認定コーチ/ランチェスター経営認定講師 酒井とし夫 氏

こんにちは、ビジネス心理学講師の酒井とし夫です。

私はどんな商品やサービスを扱っていても、どんな業界で働いていても、ビジネスにはひとつの共通項があると考えています。

それは…、お客様は『人』である、ということ。

そして、人は『心』で好き嫌いを感じ、『心』で興味を抱き、『心』で買うか買わないかの行動を決定します。

そのため、どんな業界や職種の方々であっても、ビジネスに関わる方は人の『心』に影響を与える心理学の知識やスキルを理解しておくと、交渉、打ち合わせ、営業、広告、販促、プレゼンテーション、接客、コミュニケーションで優位に立つことができます。

私が日常生活のなかでみつけた商売に役立つ心理学的なヒントやアイデア、ノウハウを毎月紹介します。是非、あなたのご商売や会社経営に応用するにはどうしたら良いのかを考えながらお読み下さい。

100年に一度の大変化

一年前の予定では今頃の日本は東京オリンピックの感動の余韻に浸っていたはずです。しかし、新型肺炎、豪雨、猛暑、総理辞任とまったく予想もしていなかった年となっています。

まさに100年に一度の大変化の年です。ところで100年に一度というのはいったいどれくらいの確率で発生するのでしょうか?もし50歳の人であれば次の計算式となります。

案外、確率は高いですよね。私は今年58歳ですが高度成長、オイルショック、インフレ、バブル、バブル崩壊、湾岸戦争、サリン事件、消費税導入、ベルリンの壁崩壊、クェート侵攻、日航機墜落、山一證券破綻、EU発足、阪神淡路大震災、Windows95発売、急激な円高、消費増税、超高齢化、北朝鮮弾道ミサイル発射、長銀破綻、イラク戦争、異常気象、豪雨災害、世界同時多発テロ、EU財政危機、東日本大震災、リーマンショック、人口減少、糸魚川大火災、そして今年の大事件…と何度も大変化、大事件、大事故に遭遇しました。

そしてこれからも毎年のように100年に一度レベルの変化に遭遇するはずです。私たちが生きている人生のなかでは不変なことなどあまりなく常に変化の波にさらされているわけです。

そんななか、商売人、ビジネスマンはどう生きるべきか。

私は商売やビジネスというのは本質的に変化対応業だと思っています。

以前、布団の製造メーカーとして全国的に有名な大阪の会社の講演会に登壇したことがあります。その会社は創業400年を超える老舗企業。今は布団で有名ですが話を伺ったところ創業当時は蚊帳の製造・販売を行なっていたそうです。

そこから畳表の製造・販売、そして弓問屋と商売を変えて、一時は筆や硯なども製造・販売していたことがあると伺いました。

時代時代の変化に対応して、創業400年を超える企業になっているわけです。

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建前と本音が交錯した夏

2020/10/01 :観光イノベーションで地域を元気に

株式会社 井門観光研究所 取締役  井門 隆夫(いかど たかお)氏

─学生が活躍した温泉地─

1.需要は戻ったのか

物事には建前と本音があるとよくいわれるが、思い返せばこの夏もまさにそんな夏だった。世のなかでは、新型肺炎が収まらないなか、外出を控え、自粛するのが善だという建前と、そうはいっても、地域や自分のためには消費をしたいという本音が交錯していたように思う。それぞれが「世間」という目にみえない社会と闘いながら、どこかに自分で線を引いて、その内側で消費をしていたのではないだろうか。

私も自分自身をふりかえるために万歩計アプリをスマホに入れている。外出できず、全てをオンラインでこなさざるを得なかった4月は前年比7%まで歩数が落ちた。ここまで歩かなかった月は後にも先にもないだろう。5月も18%とほぼ世間に従っていた。緊急事態宣言が解除された6月には50%まで戻し、7・8月は国内を駆け巡りなんとか前年比75%の歩数まで回復できた。自分のことを一般化するのは野暮だが、世のなかも似たような感じではなかったかと思っている。

この夏は、様々な政府の消費促進策に先立ち、GoToトラベルキャンペーンが実施された。感染を拡大させるだけではないか等の批判も尽きなかったが、OTA(オンライントラベルエージェント)の利用状況では、32道府県で前年の予約数を上回ったとか。35%の割引があるので客室に露天風呂の付く高級宿や、マイカーで行ける都市近郊の観光地等がにぎわったようだ。同調圧力と闘いながら、意外と多くの人が近郊への旅に出かけたのではないだろうか。

それでは、地方の観光地ではどうだったのか。一部の例であるが、30人の学生が全国各地の旅館でインターンシップを行なったのでその様子をお伝えしたい。

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2020年度下期のマーケットレポート 景気底打ちも回復ペースは未だ不透明

2020/10/01 :マーケットレポート

 第一生命経済研究所 取締役・首席エコノミスト     嶌峰 義清(しまみね・よしきよ)氏

※ 本稿は、2020年8月27日現在で執筆されたものです。

1.2020年度上期の市場振り返り

2020年度上期のマーケットは、新型コロナウイルスの世界的な蔓延と、これによる戦後最悪の世界経済失速に見舞われたにもかかわらず、株価は上昇基調を強め、金利は低位安定基調を保った。

感染の拡大は、世界のマーケットを混乱に陥れた。新型コロナウイルス感染拡大前の株価の最高値と、新型コロナウイルス感染拡大後の最安値を比較すると、日経平均株価指数は32.2%、米国のNYダウ株価指数は38.4%それぞれ下落した。しかし、3月下旬以降は持ち直しに転じ、4月に入ると徐々に水準を切り上げ、8月にはNYダウと同様に米国の代表的な株価指数の一つであるS&P500株価指数は過去最高値を更新した。

このように市場の雰囲気が一変した背景には、各国政府の思い切った景気対策が挙げられる。感染の拡大を食い止めるために、多くの国で人の移動に制限をかける政策を講じた。こうしたロックダウンなどの感染抑制策が経済活動を抑制したため、世界経済は過去に例のないような急失速を演じた。一方で、政府は停止させた経済活動によって生じる失業の増大を食い止めるために、個人や企業には給付金や休業補償、失業者には失業保険の給付金の割り増しなどの措置を講じた。これにより、感染の沈静化に成功して経済活動を再開させたときに、速やかに景気が立ち直る環境を整えた。加えて、各国の中央銀行は資金の大量供給という形で市場のリスク許容度回復への援護射撃を行なった。

こうした一連の政策によって、感染の拡大が沈静化すれば景気は速やかに持ち直すとの期待が市場で高まり、株価の急上昇に繋がったと考えられる。

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グラフで見る県内経済2020年10月(八月の新潟県経済)

2020/10/01 :グラフで見る県内経済

概況:悪化が続いている

設備投資は減少している。雇用状況は悪化している。一方、個人消費は減少しているものの、下げ止まりの兆しがみられる。

生産活動:低下しているものの、下げ止まりの兆しがみられる

6月の鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比2.3%低下して85.3となった。出荷指数は同4.0%上昇して86.7となった。在庫指数は同2.3%低下して105.3となった。

輸送機械は完成車メーカーの生産調整が緩和しつつあるものの、自動車部品を中心に生産水準の低下が続いている。

汎用・生産用・業務用機械は中国からの受注が持ち直しているが、企業の設備投資需要の弱さから、低調に推移している。

化学はパソコンや5G関連が堅調である一方、自動車向けが落ち込んでおり、弱めの動きがみられる。

食料品は家庭用商品を中心に高水準の需要が続いており、前年を上回っている。

4-6月期の3カ月平均値でみた在庫循環図(注)では、「在庫調整局面」にある。

(注)在庫循環図:出荷と在庫の伸び率を比較することによって景気循環を判断する図。在庫循環図では景気循環に応じて、①意図せざる在庫減局面→②在庫積み増し局面→③在庫積み上がり局面→④在庫調整局面、という動きとなり、理論上は反時計回りで変化する

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新たな時代の新たな佐渡へ「誰もが活躍できる島づくり」

2020/10/01 :感頭言

佐渡市長 渡辺 竜五

佐渡市合併後17年目を迎えた今、少子高齢化、人口減少に加え、合併時に大きな課題と指摘される周辺部の衰退が確実に進んでいると感じています。この現実を今一度見直し、市民の皆様と地域再生への想いを共有し、お一人おひとりのご意見や行動により、各地域の特色を生かし、賑やかさを取り戻していくことが、佐渡再生の第一歩になると感じています。そのために先ずは地域の的確な情報収集、意見交換などによる地域づくりを推進する体制を構築していきます。

また、新型コロナウイルスという未曾有の脅威により、いまだかつてない地域経済の疲弊と、先の見えない不安に苛まれている状態となっています。しかしウィズコロナに対応した新しい社会づくりは、東京一極集中の本社機能の分散化、働き方の見直しによる地方や家庭でのリモートワークやワーケーションの確立、賃金や便利さが優先される都会生活から、自然環境や文化に囲まれた田舎生活への意識の変化など、都市から地方へ目が向く大きな変革をもたらすことが予想されます。

その現状を注視し、アフターコロナにも対応した佐渡ならではの自然・文化・歴史の中で暮らす日常を手軽に体感できる居住空間の整備を進めるなど、長期滞在型の交流からUIターンの受入を強化するとともに、多様な企業、団体等が活躍できる仕組みを構築するため、プロジェクトチームを立ち上げ、関連する民間事業者の皆様からもご協力をいただき、具体的な議論をはじめています。

更には、SDGsを柱として、人とトキが共生する生物多様性の豊かな佐渡の里山を引き継いでいくとともに、再生可能エネルギーの有効活用による、佐渡島におけるエネルギーのベストミックスを実現します。市民の皆様と共に、企業、大学をはじめ、国や新潟県、他の自治体など、島内外の方々との連携に加え、職員の「佐渡を前に動かす」という熱い思いが一体となり共振する「ワンチーム佐渡」により、持続可能な島づくりを目指し確実に歩みを進めていきます。

(わたなべ りゅうご)

※ホクギン経済研究所「ホクギンマンスリー」での「窓」と共同掲載させていただきました。

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