新型コロナウイルス感染症禍でのベトナム輸出における、それぞれ...

2021/01/18 :寄稿 海外レポート

ジェトロ・ホーチミン事務所   Consultant for trade and investment   大 桃  伊 代 菜  氏

ベトナム国内の新型コロナウイルス感染症の状況

ベトナムでは4月中旬から7月下旬までの99日間、そして9月初旬から11月末までの87日間、海外からの入国者を除くベトナム国内での新規感染者はゼロとなっている。そのため、いつ自分が感染するか分からないという逼迫した状況が継続しているわけではなく、その分、「新しい生活様式」は定着していない。例えば、飛沫感染防止のためのアクリル板が設置された場所は少なく、レジ待ちの間隔開けも5月以降はほとんど見なくなり、在宅勤務も普及していない。このように新型コロナウイルス感染症による日常生活への影響が比較的少なく見えるベトナムでも、経済面では非常に大きな影響を受けており、他国同様に失業、労働時間短縮による収入減に苦しむ人が多い。ベトナム統計総局が発表した9月までのデータによると、国内で新型コロナウイルス感染症により収入が減少した人は2,200万人(全人口の約23%)にものぼった。また、ベトナムでは観光業がGDPの約9%を占めているため、3月下旬からの入国制限の影響は特に大きく、ホーチミン市1区でも特に観光客が多かったエリアでは、空き物件が目立つ状態が4月以降続いている。

このように感染への不安と同時に、収入減に対する心理的不安が高まり、新型コロナウイルス感染症発生以前に比べて人々の外食機会は減っているようである。主に中間層から富裕層、そして外国人観光客をターゲットとする日本食料理店にヒアリングしたところ、売り上げは前年比70%程度で推移しているようである。ベトナムの食品輸入企業の主な卸先はホテルや飲食店などのHorecaの比率が大きい。そのため、新型コロナウイルス感染症発生以降は、積極的に新しい商品を輸入して取り扱い品目を増やすよりも、市場のニーズが高いものに集中して買い付けたいという声が多く聞かれた。特に、ベトナムの消費者は元々、サプリメント等の健康食品や、赤ちゃんや子供も食べられる安全な食品への関心が非常に高かったが、新型コロナウイルス感染症発生以降、ベトナム人の健康志向が更に高まっているといわれている。この傾向から、ジェトロ・ホーチミン事務所が開催したオンライン商談会(6月に1回、10月に2回、11月に3回開催)でも、参加したベトナムバイヤーは健康に関連する商品に関心を示していた。

全文PDFtip_pdf